日々の暮らしにやっと、という方には無縁な話だが、世の中には老後費用の確保に余裕資金の運用に頭を悩ませている人だっている。特に、預貯金が事実上、ゼロ金利となった今は。
REIT、当面は上昇基調
そんな方に僕は、本日記でREITを推奨し、自分でも買ってきた。ただミドルリスクとはいえ、REITも上場金融商品であるから、日々、上げ下げする。
多数の銘柄を持つ僕にしろ、中には元本割れに相当する含み損を、わずかだけれども抱えている銘柄もある。ただ諦めなければ、年利回り3.5%ほどの分配金で、その含み損も埋め合わせられ、結果的にはプラスになった。
僕の個人的観測だが、現在のゼロ金利はあと数年は、続く。だからマイナスの長期金利も、あと数年は動かない。したがって長期金利との金利差から買われるREITが売り込まれ、下落基調に転じることは、当面はない。
もし1億円あったら……「リスクは嫌」の人にはまことに不都合かも
それでも「絶対安全でなければ嫌」という向きには、年利0.001%の銀行定期しかない。ちなみにここに1億円を1年預けても、税込みで1000円にしかならない。1回、窓口で他行に送金すればなくなってしまう。
1億円なんて、しょせんは無縁なカネだが、日本には資産1億円超の人が100万人以上いるそうだから、バカにしたものではない。
ただしこうした資産家は、銀行預金など端から視野の外である。もっと株式や不動産などに賢く投資している。損失を抱えるリスクはあっても、そうした行動をとったから資産家になっているのだ。
一部メガ証券会社が募集するキャンペーンに乗る
そうした投資家が、時には心を動かす金融商品がある。この層だって、できれば損失を出したくないと、心の片隅では思っているはずだ。資産分散で、手堅く、しかし賢くインカムを得られるのが、個人向け変動金利国債10年物である。
こちらも、今、募集中の物は、0.05%と、ゼロ金利に近い。1億円を購入しても、1年で税込みでたった5万円にしかならない。銀行預金よりマシだが、五十歩百歩に近い。
ただこの人たちは、そんな「はした金」は当てにしない。食指を向けるのは、一部メガ証券が募集するキャンペーンによるキャッシュバックだ。
50万円以上の購入でキャッシュバック
財務省の6日の発表によると、3月の個人向け国債の応募額は、前月比1668億円もの増加の4003億円だったという。銀行定期預金よりは金利は高いが、多くはキャンペーンのキャッシュバックに引き寄せられたものではないか。
僕の手元に来た野村證券のダイレクトメール(写真)を見て唸ったのだが、50万円の購入から最低で1000円のキャッシュバックが受けられる。桁が上がるごとに、割り増しされ、1億円だとなんと50万円のキャッシュバック、である。これだけで、0.5%の利回りに相当する。
個人向け変動金利国債10年物は、最低金利0.05%が保障されている。たとえ銀行預金金利がマイナスになろうと、これより下がることはない。逆に市中金利が上がったら、半年ごとの見直しを機に、金利も上がる。
そして1年たったら、前1年分の金利を返すだけで、換金できる。
1年持ち切るならノーリスクで最高0.5%の利回り
しかしキャッシュバックは、販売証券会社が財務省から受け取る手数料を吐き出して購入者に還元しているから、返金を求められることはない。
つまり1年持ち切るつもりなら、ノーリスクでキャッシュバックが手に入るのだ。
先の例に倣えば、1億円でこれを買った人は、1年後に金利5万円分を返せば、現金化できる。そのうえキャッシュバックの50万円を、まるまる手元に残る。利回りにすれば、年0.5%である。ノーリスクでの資金運用である。
1年間、使う当てのない資金があれば、個人向け国債10年物が狙い目である。たとえ最低額の50万円でも1000円(0.2%)、100万円なら3000円(0.3%)、リスクなしにゲットできる。
毎月募集だがキャンペーンは毎月ではない
個人向け国債は毎月、販売しているが、キャッシュバックは毎月ではない。春とか年末、6月のボーナス期だけだ。
しかも銀行や中小証券会社、ネット証券では、キャッシュバックは基本的にない。野村證券などの大手証券だけの特典である。これを知らないと、当てが外れる。大手証券でも締め切りはまちまちだから、各社のホームページで調べるしかない。
なお野村證券のキャンペーン期間は、4月28日まで。
昨年の今日の日記:休載