首都アジスアベバからバハルダールに向かう機内から観た下界は、早朝に観たようなやはり荒れ果てた大地が広がる単調な光景だった(写真)。所々、緑が見えるので、まだこの辺りは降水量が多いのだろう。


バハルダール行きのプロペラ機から下界を観る2

バハルダール行きのプロペラ機から下界を観る


赤道近くなのに昼も夜も涼しい
 僕たちの行った1月は、エチオピアでは乾期に当たる。月の降水量は20ミリ未満だ。乾期は、もう4カ月も続いているので、すべてが赤茶けている。
 外国人ツーリストである僕らにとっては、この季節は最良である。雨には降られないし(僕は折りたたみ傘すら持たなかった)、かつ低湿度で涼しい。アジスアベバもこれから行くバハルダールも、標高2000メートル級の高原なので、赤道の陽光こそ強烈だが、カラッとしていて木陰や室内ではまことにしのぎやすい。
 エチオピアの地を踏んでやがて気が付くのだが、レストランにはエアコンがない。ホテルも、夜は涼しいので、あったかもしれないが、エアコンは運転されない。


清潔な真水は石油のように貴重
 こういう気候だから、国民には水の確保は大変だろう、と思う。翌日、バハルダールで泊まったラーナイル・ホテルから舗装されていなラフロードをマイクロバスで走ったが、さすがに青ナイル川の流域のせいか、ラフロードの片側に幅30センチ程度の用水路に水が流れている。
 水は、と言えば、濁っていて、とても飲用に適さないように思うのだが、住民は、これを煮炊きに使うし、洗濯だってする。ある時は、子どもがこの水で体を洗っていた。むろん家畜も、飲む。
 もっと僻地だと、子どもがワジ(枯れ川)の水たまりにポリタンクを背に水を汲みに行く。
 水道など、大都市部だけのものなのだ。それでも大都市の外国人観光客向けのホテルに、浴槽はないのが普通だ。あるのは、シャワーだけ。
 途上国では、真水は石油のように貴重なのである。


青ナイル川の源流のタナ湖のある都市バハルダール
 さてバハルダールは、人口20万人ほどの北部の中都市だ。
 ここは、青ナイル川(ブルーナイル)、つまりエジプト古代文明を育んだナイル川の源流であるタナ湖が有名である。
 青ナイル川は、タナ湖を発して隣国スーダンの首都ハルツームで、遠くケニアのヴィクトリア湖を源流とする白ナイル川と合流して、大河ナイル川として北上するが、タナ湖を発した間もなくで「青ナイルの滝」がある。この滝も、名物だ。
 さてアジスアベバの空港から、1時間弱のフライト時間でバハルダール空港に着いた(写真)。


バハルダール空港2

バハルダール空港

 ここで僕たちは、街の北端にあるタナ湖に向かう。


昨年の今日の日記:「つまらない大河ドラマ『花燃ゆ』だが、松下村塾の輩出した偉才の多さに目を啓かされる」