自分を引き立ててくれた前社長がピンチになったから、大慌てで秘書室長に採用する社長がいれば、そんな会社は倒産は必至だ。

捜査妨害のためにルラを官房長官に
 司直の取り調べで逮捕が秒読みの前大統領のルラを、自分を大統領に推してくれた現大統領のルセフが、16日に重要閣僚の官房長官に起用した。日本で言えば、安倍政権の要である菅氏と同じ役割の閣僚である。
 ブラジルでは、閣僚の捜査や逮捕には、連邦最高裁だけが権限を持つ。ルラが官房長官に就任したことで、サンパウロ州検察の取り調べを逃れることができた。捜査・逮捕逃れであることは明白だ。
 この不正に、13日に全国で大規模デモ(写真=ルセフの仮面を被った参加者が手錠の玩具をして、ルセフの逮捕も要求している)を敢行したブラジル国民は怒った。翌17日は、首都ブラジリアや最大都市サンパウロで、市民の抗議デモが起こった。


ルセフ弾劾デモ


連邦最高裁もルラの官房長官就任の差し止め決定
 この怒りは、連邦最高裁も共感したようだ。野党の求めに応じ、連邦最高裁は、18日にルラの官房長官就任の差し止めを決定した。
 今後、ルセフ政権側は、連邦最高裁大法廷に抗告して対抗する見込みだが、この差し止め決定は、民衆側の一定の勝利、と言える。
 さらに昨年末から始まった議会での不正疑惑に基づくルセフ弾劾の手続きで、下院はそのための特別委員会を設置した。

ルセフ弾劾の輪も狭まる
 ルセフには以前から、国家予算の不正会計疑惑と、大統領選挙の不正の疑惑、さらにルラと同じ、国営ペトロブラス関連の不正疑惑があったのが、今回の新たな「不正」で、さらに火に油を注いだ。
 17日、昨年来から強含みに推移しているブラジリアの通貨レアルの対ドル相場は2%強、主要株式指標のボベスパ指数も7%近く、急騰した。マーケットは、ルラ=ルセフの最後のあがきに鉄槌の降りる近さをかぎ取っているのだ(3月16日付日記:「通貨高・株高が予見するブラジル左翼ポピュリスト政権の終焉」を参照)。

貧者の味方を装い、裏で不正蓄財をする腐敗した左翼ども
 昨年から顕著になった南米左翼政権の倒壊の連鎖は、いよいよブラジルで総仕上げをしようとしている。
 貧者の味方を看板に権力を握ると、裏で不正蓄財に血道を上げるのが、洋の東西・時の古今を問わず、左翼の常套手段である。それが、今またしても暴かれたことに、左翼の偽善性にひっかかる民衆の民度の低さも物語る。

昨年の今日の日記:「ポーランド紀行:カルヴァリア・ゼブジドフスカの後のランチ、ピエロギはまるでギョーザ;追記 中国、1969年に『尖閣群島』呼称の地図」