中国による人民元の一方的切り下げは、世界の金融市場の秩序を大きく揺るがした。そこに、21日発表の8月のPMI(製造業購買担当者景気指数)速報値が、決定的追い打ちをかけた。


月曜日の東京は暗い週明けの約900円安
 同値は47.1と、リーマンショック後の09年3月以来の低い数値となり、中国当局の公表(直近のGDP成長率7.0%)とは全く違った中国経済後退が裏付けられ、世界の金融市場は08年のリーマンショック以来の大混乱に陥った。
 ただ、それは過度な反応であり、一昨日から落ち着く局面に入った。これ以上の混乱、そして世界中の景気後退を免れたようで、まずは一安心である。
 この間のパニック的な市場の荒れを、概観していこう。
 24日月曜日の東京市場は、前週末のニューヨーク株式市場が大幅安となった流れを受け5日続落で始まったが、10時半から上海株式市場が開いて大きく下げると、下げに拍車がかかった。一瀉千里の下げとなり、終値は895円安、4.6%安と2年3カ月ぶりという大幅なものであり、防衛ラインの1万9000円を割った。


火曜日はついに1万8000円割れ
 この下げは、ヨーロッパからニューヨークに再び連鎖し、ニューヨーク株式市場は一時1000ドル以上も下落した。この振れ幅の激しい動揺と大幅安は、今度は再び東京市場も揺り動かす。
 25日の東京市場の終値は、6日連続安、733円安の1万7806円となり、ついに1万8000円割れとなった。この日の日中値幅が1087円という激しいものであり、デー・トレーダーにとって天国と地獄の両方を味わわされる値幅となった。
 アベノミクス相場が始まって以来の大動揺であり、この6日間の下げ幅は実に2800円にも達した。


水曜日、ついに待望の反発、グランドバーゲンセールに
 これまではニューヨークが暴落すれば日本も暴落、ニューヨークが暴騰すれば日本も暴騰のパターンだったが、明けて26日は逆になった。前日の25日にニューヨーク市場が200ドル以上の6日連続下げで雰囲気が最悪だったのに(この日、前場までは大幅上げだったのに、後場に大崩れするという最悪のパターンだった)、前日の26日の東京市場は朝方からしっかりし、後場に勢いを増し、570円以上の大幅上げとなった。
 東京市場が世界株安の歯止めとなった。この間の大幅下げで、日経平均のPER(株価収益率)は12倍台に低下していたグランドバーゲンセールとなっていたので、さすがに投資家は買いに入ったのである。


ニューヨークは今朝も大幅高で2日間で1000近く戻す
 この間の25日夕、中国人民銀行は、自国株式市場の大幅下げにこらえきれず、追加金融緩和を発表していた。25日のニューヨーク株式市場が大きく反発して始まったのも、これを好感したのだが、後場に大崩れしたのは、中国の経済への不信感がやまなかったからである。実際、中国人民銀の発表を受けても、上海株式市場の下げは収まらなかった。
 東京市場の踏ん張りは、ニューヨーク市場に好影響を及ぼし、26日は619ドル高 と6年10カ月ぶり上げ幅を記録し、ニューヨーク市場も復調となった(写真)。今朝方に引けた27日のニューヨーク株式市場は、369ドル高の1万6654ドルと、2日間で1000ドル近い力強い戻りとなった。


ニューヨーク株式市場


25日火曜日はセーリング・クライマックスだった
 愚者の後知恵だが、今から考えると25日後場の暴落中と26日の朝方のこぢっかり局面は、数年に1回のグランドバーゲンセール中の絶好の買い場だったと言える。それを確信できたのは、日中値幅が1087円という25日の大シーソー相場の東証1部の売買代金は、普段の倍の5兆円近い水準まで膨らんだことだ。この出来高は今年最大であり、それだけ損切り・投売りが極大になったことを示す。これを、セーリング・クライマックスと言い、相場の重要な転換点である。
 となれば、後は「買い」しかない。果たして、26日は前記のように読み通りとなった。
 そして27日も続伸、つい先ほど終わったシカゴCMEの日経平均先物が大幅高の1万9020円で終わっているので、今朝も3日連続高で始まるだろう。
 東京市場は2日連騰になったというものの、上げ幅はまだ770円弱しかなっておらず、6日続落幅の2800円の4分の1しか取り戻していない。
 日本経済と企業のファンダメンタルズから見て、なおバーゲンセールは実施中というところだろう。


昨年の今日の日記:「ポーランド紀行:『白貂を抱く貴婦人』を観てヴァヴェル城見学終了、そしてヨハネ=パウロ二世の旧居の前へ」