25日の夜、首相官邸前で「許すな! 憲法改悪・市民連絡会」を名乗るアホどもの呼びかけによる「後藤さんを見殺しにするな」と安倍首相に要求する200人規模のデモが行われたという(写真=我が家で購読している新聞では、朝日新聞だけが写真入りで大きく取り上げ、日経新聞はボツ。日経の判断が妥当と信じる)。


官邸前デモを報じる朝日紙面


抗議すべきはテロリストではないのか
 政権が一体となって不眠不休で後藤氏解放の取り組みを続けているのに、このバカどものデモはいったい何なのだ?
 当たり前のことだが、非道な拘束と恫喝を続けているのは、支配地の住民の斬首すら日常的に行い、異教徒の女性を性奴隷にしている無法者たちである。抗議すべきは、そのイスラム国ではないのか!?
 テロリストどもを非難せず、安倍政権を批判する。お門違いもいいところで、とうてい見過ごせない暴論だ。後藤氏をタネに何でも安倍政権を非難しようとするこのアホどもに、憤激の念を抑えられない。

 

あとはヨルダンが判断すること
 お門違いは、もう1つある。
 すでにイスラム国は、プロパガンダだった身代金要求は取り下げ、ヨルダンに収監されている女テロリストの死刑囚サジダ・リシャウィの釈放を要求している。つまり釈放するか否かは、日本政府の主権の及ばない他国の政治判断に属することだ。
 日本に、できることは限られている。
 そしてヨルダン側にも、サジダ釈放には強硬な反対論がある。日本があまりに強く要請すれば、逆に反発をかう。何しろサジダ・リシャウィは、ヨルダン人を50人以上も殺したテロリストの実行犯なのだ(彼女自身は自爆に失敗したとはいえ)。


ヨルダンには解放を優先すべきパイロット捕虜がいる
 さらにヨルダンには、日本人よりはるかに優先すべき自国のパイロットの捕虜がいる。イスラム国と交渉する場合、こちらを優先すべきなのは当然で、デモをしたアホどもは、その道理も分からないらしい。
 それにヨルダンには、サジダ・リシャウィ以外にも、イスラム原理主義テロリストが収監されている。ここでイスラム国と日本の要求に応じれてサジダを釈放すれば、さらに日本人など外国人を人質にして仲間の釈放要求が繰り返される。
 アメリカがテロリストと取引しない、としているのは、その恐れが濃厚だからだ。


釈放されたサジダが再び自爆テロを起こし多数の犠牲者が出たらどうする?
 もしも、である。夫を失った筋金入りのテロリストであるサジダが、釈放後にもし新たな自爆テロを起こして(その可能性は非情に高い)、多数の犠牲者が出たら、日本政府は責任を問われることにもなるだろう。
 デモをやった連中は、その恐れを一瞬でも考えたか?
 今回は、テロリストどもは72時間の期限を設けていない。テロリスト自身が、日本とヨルダンの調整に時間がかかる、と見ているのだ。
 したがって日本政府は、ヨルダン政府にサジダの釈放を要請するのでなく、あくまでもイスラム国に対して後藤氏の無条件解放を要求し続けるべきだ。


イスラム国テロリストのプロパガンダの片棒を担ぐ屑
 でなければ、日本国内を分断しようと狙っているイスラム国の思う壺である。
 冒頭のアホどもがいかに無責任であるか、そうした分別をしない、できないということからも分かる。
 日本が非道・残虐なテロリストに対し、1つになって後藤氏解放に努めなければならない時に、イスラム国に迎合した要求のデモを行う連中、そしてそれを大きく取り上げる新聞、久しぶりに「人間の屑」、「国賊」という言葉を思い出した。


昨年の今日の日記:「南部アフリカ周遊:ライオン・パーク⑨=最終回;夕暮れのキリン;追記 たった1人の不満分子が揺るがす社会の脆弱」