世界にテロの暴風が吹きまくっている。
 10月にカナダの首都オタワで連邦議会侵入による警備兵1人が殺された事件のほとぼりも冷めぬ去る15日、今度はオーストラリアの経済首都シドニーで人質をとってのカフェ立てこもり事件が発生した。


シドニー立てこもり事件制圧直後にパキスタンで
 いずれも、イスラム原理主義テロリスト1人の犯行で、「ローンウルフ」と呼ばれる、「イスラム国」に思想的に影響を受けた単独犯の仕業で、シドニーの事件では翌日、テロリストは警官隊に射殺された。しかし人質2人が、テロリストの手にかかって亡くなった。
 しかしテロの暴風は、それで納まらなかった。その直後の同日16日、今度はパキスタン北西部のペシャワルでもっと凄惨なテロが発生した。


最初から生徒たちを殺害する目的で襲撃
 今年度ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんを2年前に襲撃したイスラム原理主義テロリスト集団「パキスタン・タリバーン運動(TTP)」のテロリスト7人が陸軍関係の学校を襲撃し、教師や生徒141人を射殺した。他に数百人の負傷者が出ている。
 この襲撃は、教師や生徒を射殺するためだけに実行された、とうてい容認できない凶行で、実際、生徒たちは襲撃後30分ほどの間に無差別的に射殺された。
 テロリストどもは、教師の死体に火をかけて焼き殺している。また倒れた生徒の生死を確認し、息のある生徒にはさらに発砲し、息の根をとめている(写真は、上から犠牲者の死を悲しむ関係者、生き残った生徒たち、負傷した生徒、現場周辺を警備する軍)。


身内の死を悲しむ女性

救出された子供たち

負傷して病院に運ばれた少年

現場を封鎖する軍


パキスタン政府、尊い犠牲で対テロ国際連帯の仲間入り
 今年からパキスタンのシャリフ政権は、従来からのTTPとの融和路線をやめ、制圧に乗り出していたから、学校襲撃はその報復である。
 それ以前にはアフガニスタン政権と仇敵インドへの牽制からTTPを利用してきた負い目から、TTP制圧にどことなく本腰の入らなかったシャリフ政権も、これで完全殲滅を目指さざるをえなくなった。
 でなければ、欧米から笑いものになる。
 パキスタンは、思えば尊い犠牲を払って対テロ国際連帯の仲間入りを果たしたと言えるのだ。


イスラム原理主義テロリストは全人類の敵
 それにしても学校を襲撃して生徒などを皆殺しするなど、とうていイスラム教に基づくものとは思えない。異教徒に不寛容なイスラム教ではあっても、殺してもよいとはしていないはずだ。まして被害者は、同じムスリムで、しかも未成年者である。
 こうしたテロリスト集団は、もはや人類の共通の敵、とみなさざるを得ない。人類の敵であれば、例えば制圧を目指すエボラウイルスのように、イスラム原理主義テロリスト集団は問答無用に殲滅せざるを得ないだろうだろう。
 世界で、イスラム原理主義テロリストになお寛容な意見の持ち主がいたとしても、これは容認できないだろう。日本で北大生をイスラム国に送り込もうとした自称・イスラム法学者で「元大学教授」の中田考などは、これをどう擁護するのだろうか。


ホーム・グロウン・テロリストに備えよう
 日本にも、イスラム国や中田考の影響を受けた若者が、ホーム・グロウン・テロリスト(自国育ちのテロリスト)になり得る恐れが増した。
 政府は、凄惨なテロが起こる前に、中田考やホーム・グロウン・テロリスト予備軍を事前に取り締まる法制定に早急に取り組むべきである。


昨年の今日の日記:「南部アフリカ周遊:さらば喜望峰とケープ岬よ;ウミウ、ダイヤモンド」