チーター見学をサファリツアーの最後に、我々の四駆がライオン・パークのエントランスに戻ってくると、キリンが入園口近くの広場を徘徊している(写真)。ほとんど半野生状態だ。
首を伸ばして樹上の葉を食べているキリン
首が長いから、収容される園舎みたいなものはない。キリンを収容するには、出入り口も大きなけっこう高い建物が必要だろうが、見渡してそんのものは見えない。囲いを巡らした原っぱに放し飼いなのだろう。
見ていると、広場に生えているスズカケの木のように見える高木の葉を、首を伸ばして食べている(写真下)。なるほど、長い首を百%利用している。あれを観ると誰でも、1月16日付日記:「南部アフリカ周遊:ライオン・パーク③;キリンの首が長いホントの理由;ラマルク、用不用説、ネッキング、性淘汰、トレード・オフ」で述べたようなラマルク進化論的な見方をしたくなるわけだ。
最低2日の旅程を1日に詰め込んだ強行日程
エントランスを出ると、時間は5時を過ぎ、日が陰ってきた(写真)。
今朝、ケープタウンを発ってヨハネスブルクに着いてから、ヨハネスブルク市内の車窓観光、そしてソウェトのへクター・ピーターソン博物館、マンデラ・ハウスと観て、さらにヨハネスブルク郊外のステルクフォンテイン洞窟、そしてライオン・パークと回った。
どえらい強行日程である。しかし貸し切りバスで、ドア・ツー・ドアで訪問地に連れて行ってもらえるから効率的そのものだ。これを個人旅行でこなそうとすれば(治安が悪いので、そもそも無理だが)、最低2日はかかるだろう。
自分の気に入った所をじっくり観るというわけにはいかないが、治安の悪い途上国に初めて訪れるのであれば、仕方のないことでもある。
下の写真は、のんびりくつろぐメスライオン2頭。
追記 たった1人の不満分子が社会を揺るがせた
マルハニチロの子会社アクリフーズの群馬工場で製造されていた冷凍食品に、殺虫剤マラチオンを混入させた男が捕まった。
工場は操業停止、冷凍食品は回収、会社は減益の下方修正など……
逮捕されたのは、49歳の契約社員の男。同僚によると、日頃から、給料が安い、やってられない、と文句をたらたら並べ、勤務態度もいいかげんだったという。アクリフーズ社に恨みを持っていたと推察できる。
しかしこのたった1人の不満分子の起こした犯行の結果は、重大だった。アクリフーズ社は操業停止、親会社のマルハニチロの冷凍食品は大量に回収・廃棄され、また風評被害もあって売上が激減した。
何よりも全国で2800人以上の消費者がなにがしかの症状を訴えた。社会に与えた影響は甚大だ。
さらに25日、マルハニチロは、14年3月期の連結純利益を前期比17%減に下方修正した。また子会社の従業員の不祥事の責任をとって、マルハニチロと子会社アクリフーズのそれぞれの社長が辞める。
中国の毒入り餃子も処遇に不満を持った従業員という類似性
事件が起きて、マルハニチロの冷凍食品はスーパーの店頭から撤去されたから、この間、同社の株価も大幅下落した。株主も、大きな損失を抱えた。またアクリフーズの従業員は、大幅リストラという苦汁を飲まされる。理不尽、である。
この事件は、食品会社の抱える潜在リスクの大きさを教えている。
スターリニスト中国のJT関連会社「天洋食品」の餃子に毒物メタミドフォスを混入したのも、処遇に不満を持った従業員だった。この男は、つい先頃、たった1回の公判で無期懲役が科された。
たった1人の不満分子を抱えているだけで、食品企業はいつ倒産するかもしれないリスクを抱える。そして我々は、無自覚のまま薬物混入した食品を食べさせられる危険性に晒されるわけだ。
不満分子の根絶は不可能だけに厄介
この抜本対策は、存在しないだけに厄介だ。300人も従業員がいれば、どんな些細なことでも不満を持つ人間が何人かは必ずいるからだ。
課題は、そうした不満分子に、食品に異物を混入させる行動を起こさせないようにすることだ。
そうした対策を採らないと、彼らはいつかはいとも軽々と、かつ安直に社会を震撼させるというルビコンを超えてしまうだろう。
昨年の今日の日記:「パスモが全国の交通機関で使える!! 今春から」