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 M9.1の超巨大地震が明日にでも起きるのではないか、とNHKなどが大声で警鐘をが鳴り立てている南海トラフ地震は、ひょっとすると壮大な虚仮威しではないか、と思わせる論文が、このほど地震学者らで構成される日本地震学会の論文賞を受賞した。

南海トラフ沿いの巨大地震は2タイプ
 受賞論文は、東大地震研の瀬野哲三教授が昨年の『地震』誌(査読付き)に発表した「南海トラフ巨大地震―その破壊の様態とシリーズについての新たな考え―」である。
 瀬野教授は、過去に南海トラフ沿いで巨大地震の起きて場所を調べた多数の研究を再検証してみた。そのうえで地震の揺れ、津波、地殻変動の特徴を調べて、最も矛盾の少ない形で整理したところ、日向灘から遠州灘までの領域で起こる「宝永型地震」と、四国から紀伊半島沖と駿河湾周辺で起こる「安政型地震」の2つのタイプに分けられることが分かったという。
 過去にはこの2タイプの巨大地震が交互に起き、宝永型は350年程度、安政型は400年程度の発生間隔と考えられる、と推定した。直近で宝永型は1944年(昭和東南海地震)とそれと連動した1946年(昭和南海地震)の大地震があり、また安政型では1854年に連日で起こった安政東海地震と安政南海地震がある()。

次の巨大地震は200年~300年後か
 この順だと、次の大地震は安政型だが、宝永型であってもまだ当分起きないことになる。瀬野教授は、「次の巨大地震は200年~300年後ではないか」と指摘している。
 さらに南海トラフ地震の最大規模についても検討した。2タイプの巨大地震がたまたま同時に起きる場合も否定できないが、それでも南海トラフで動く断層の大きさで計算すると、M8.8に留まるという。M9に達する可能性は低い、としている。
 政府や自治体の採る南海トラフの巨大地震を一緒くたにやってくるとし、その場合100年~150年間隔で発生し、最大規模はM9.1にもなり得るという想定と、ずいぶんとかけ離れているではないか。

M9.1の超巨大地震説は科学なのか
 この想定が独り歩きし、関東以西の太平洋岸各地で、まるで明日にでもM9.1の超巨大地震が起こり、防潮堤やら高い津波避難タワーなどの建設を大わらわで進めている。市役所を街中から外れた不便な高台に新築移転するなんていう都市もある。
 むろん想定どおりにならないのが、地震である。そのことは、地震学者の誰1人予測しなかった東日本大地震でも明確になった。それほど地下深くで起きることを、まだ我々は理解できない、探知できないのだ。
 それなのに恫喝するように、明日にでも最大でM9.1の超巨大地震がやってくるとして、例えば原発に不必要な防潮堤を建設させるなど、壮大なムダが行われていることは、考え直してもよいのではないか。その提唱者は、政府関係や自治体関係に引っ張りだこになるという私益を貪っているのではないか。
 写真中央は、メキシコ、ウシュマル遺跡の補遺。グラン・ビラミッド頂上から見た「総督の宮殿」、そして出口に咲いていた鮮やかな赤い花。メキシコなので、誰も花の名前は分からなかった。

昨年の今日の日記:「日本は韓国の竹島不法占拠を国際司法裁判所に提訴の意思を示し続けよ」