kawanobu日記/自民が与党に復帰しても続くねじれ国会、この参院をどうする?:クロ鳩が予測どおりに引退撤回 画像1

 ああ、やっぱりな、という感想だった。クロ鳩が、引退撤回をしたという報道に接して、である。次期衆院選出馬に関しては、一応、「来年の統一地方選のころを目安に、結論を見つけたい」と保留という形だが、この男のこれまでの言行不一致と数々の前言翻しの来し方を見れば、次期衆院選に何食わない顔をして出馬するだろう。17日、選挙区である北海道9区の苫小牧市での発言である(写真=後援会員と握手して回るクロ鳩)。

過去に何度も前言を翻した天性のペテン師
 6月10日付日記で、クロ鳩が辞任表明時に次期衆院選に出ないと言ったのは信じられないと述べたが、そのとおりとなった(「立つ鳥後を濁した『真性暗愚』の宰相とド素人=イラ菅新首相の不誠実」)。
 例えば、加藤紘一議員らの秘書が政治的スキャンダルを起こした後、秘書の罪は議員の罪であり、私なら議員バッジを外す、と大見得を切りながら、実際に自分の政策秘書が逮捕されると、そんなことを忘れたかのように口を拭い続けたのはご存知のとおり。
 また政策秘書が政治資金規正法虚偽記載で有罪になったのに、3月の参院予算委員会で「元秘書の裁判が終わったら、使途に関して説明する」と約束しておきながら、判決直前の4月21日に開かれた党首討論では、「個人のプライバシーに関わる資料で、提出の必要はない」と前言を翻している。
 このように、1度約束したことを翻したことは、過去何度、何十度もある。その場で、耳に心地よい万人受けすることを言っておけばよい、と処世術にしているので、およそ信用できない男だが、自己の進退に関してもやはり嘘をついたのは、天性のペテン師と言うべきである。

参院選前のバラマキスト民主党の横暴国会
 それはさておき、30日からの臨時国会を控えて、バラマキスト民主党も予算委員会を開かないではいられないようだ。
 参院選前は、郵政改悪法案をたった1日、たった6時間だけの総務委で強行可決したり、国家戦略相の荒井聡の問責決議案や参院議長の江田五月の不信任案を、採決すらせずに強引に国会を閉じたり、と横暴のやり放題だった。
 それが参院選で世論の厳しい審判を受け、低姿勢に転じた。これがいつまで続くか、見物だが、先日の日記でも書いたが、法相千葉景子の問責決議案だけは提出して欲しい。
 衆参逆ねじれは、バラマキスト民主党の暴走を抑えるものとして短期的には歓迎できるが、ただよく考えてみると、現在野党の自民党にとっても、問題含みである事態であることには変わりはない。

衆院で自民が政権復帰してもやっぱり「ねじれ」
 例えば、早ければ年末にでも解散、総選挙となる衆院選だが、与党時代のように公明党との共闘が成った場合、現在のボケ菅政権下でも自民・公明はたぶん過半数を抑え、与党復帰となる。大ざっぱな試算だが、自民・公明連合は小選挙区で定数300のうち200議席、比例区で定数180のうち最低でも80議席はとるだろう。合わせて280議席の堂々たる過半数である。
 ところが参院では、自民・公明連立でも、少数派であることに変わりはないのだ。少なくとも3年間、この状態が続く。自公政権末期のように、衆院再議決を行う3分の2も得られない。これを打開するには、バラマキスト民主党を党内分裂させ、この分派とも連立を組む他、ない。自公+「みんなの党」でも、参院ではなお過半数に達しないからだ。それも可能かどうかすら、今のところ不透明だ。
 つまり下手をすると、向こう3年間は、何も決められない国会になってしまう恐れがあるのだ。

第二院である参院が強すぎるのは、憲法上の欠陥
 こうなるのも、日本の参議院は根本的欠陥を抱えているからだ。まず全国1区の超大選挙区である比例区がある。さらに、5人区の東京のような典型的中選挙区がある。そして2人区のような与野党多数派が1議席ずつを分け合うような「福祉区割り」がある一方、1人区のようにたった1票差でも天国と地獄を分けるような小選挙区も併存する。世界でも稀なこの選挙区割り制度では、かつて絶対多数の信認を得ていた自民党と違って、有権者が流動化している現在では、どの党も決して過半数をとれないだろう。
 政治の不全が続くことは、日本の地盤沈下を招くことである。これは、第二院である参院を、衆院とほとんど同じ権能に位置付けた憲法上の欠陥である。
 これを打開するには、憲法を改正して参議院の権限を制限するしかないだろう。

昨年の今日の日記:「雨にたたられた裏磐梯での休暇:磐梯朝日国立公園、五色沼、青沼」