フロマーダーの二周忌に当たり、注力を注いで作られた約60分のリミックス曲は、聴く人に、サウンド・トリップが体感出来るユニークな体験を提供しています。
河原が選定、リマスターした過去の曲に独特の音響処理が施されていて、過去と現在を行き来するようなフロマーダーの革新的だった音楽性に敬意を表した音楽に仕上げています。
リミックス使用曲
01. Medusa 1 – Through Time and Mystery (1988)
02. Minolith – Ritual (1985)
03. Vorstadt Im Fohn – Nekropolis Live (1983)
04. Homunculus 1 – Homunculus 1 (1985)
05. Magic – Ritual (1985)
06. Bizarro – Kanaan Live (1975)
07. Mitternachtsmesse I – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
08. Holle Im Angesicht – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
09. Homunculus 1 – Homunculus 1 (1985)
10. Arrival – Ritual (1985)
11. Ghul – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
12. Holle Im Angesicht – Nekropolis Live (1983)
13. Homunculus 1 – Homunculus 1 (1985)
14. Ecstacy – Ritual (1985)
15. Pagan – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
16. Bizarro – Kanaan Live (1975)
17. Departure – Ritual (1985)
18. Mitternachtsmesse II – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
19. Homunculus 3 – Homunculus 2 (1987)
20. Homunculus 2 – Homunculus 1 (1985)
21. Fegefeuer – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
22. Unendliche Qual – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
23. Mitternachtsmesse II – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
24. Hollenfahrt – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
25. Medusa 1 – Through Time and Mystery (1988)
26. Neutronen-Symphonie – Nekropolis Live (1983)
27. Mitternachtsmesse I – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
28. Homunculus 2 – Homunculus 1 (1985)
29. Psychofarm – Nekropolis Live (1983)
30. Homunculus 2 – Homunculus 1 (1985)
31. Mitternachtsmesse II – Musik Aus Dem Schattenreich (1979)
32. Sphinx Touch – Hiro Kawahara & Peter Frohmader (1998/2022)
1996年、河原は次の2つのHereticリリースとなる予定の2曲のデモ作品を関係者のみに限定リリースしました。「Past in Future」です。披露された曲は全て河原一人の演奏であり、Hereticというグループとしてはまだ具体化されてない興味深いデモ作品です。
ここでは、次に正式リリースされる2 つの作品「弥生幻想」と「Drugging For M」がどのように発展していくのか明確な違いが発見出来て、興味深い作品となっています。
アンビエント路線、もう 1 つはHeldonのような本格的なエレクトロニック・ロック路線で、どちらの作品もそれぞれ約35分で構成されています。
本作について、過去にExpose誌の印刷版第10号でレビューしました。
http://expose.org/index.php/articles/display/heretic-past-in-future-3.html
今回、更にボーナス・トラックが1曲追加され、16分に及ぶ「In The Mist of Time (For Peter Frohmader)」が追加されています。河原はフローマダーのベースとシンセサイザーの演奏をバックにオーバーダビングとリミックス加工をしています。
https://www.dimensions-in-sound-and-space.com/post/heretic-complete-works-1984-2023 Philip Jackson (フランスAcid Dragon誌) HERETIC - COMPLETE WORKS (1984-2023)
当時ポピュラーだった数多くのシンセサイザー、ギター・エフェクトを使って、河原がエレキ・ギターを弾いています。
曲想としては統一した印象があり、中盤のシンセサイザーによる「風と波」をバックに、流れるようなギター・ソロが聴けます。終盤近くでシンセ・ベースが繰り返す「リフ」に移行しますが、このエンディングは少し曲想が異なっているように感じました! (完成版のDrugging For Mと比較して下さい。)
ボーナス・トラックとしては、故Peter Frohmaderがベースを弾いている16 分のリミックス曲が収録されています。(Hiro Kawahara and Peter Frohmaderに収録された同名曲と全く同じ曲です。)
Belle Antiqueよりリリースされた「弥生幻想」(1996)ではアルバム1枚分の長さの曲が一曲だけ収録されています。(CD-ROM付きでした)
ここではその「弥生幻想」の決定的なリマスター・サウンドが聴けます。河原はシンセサイザーを、太田亨はブズーキ、ロビン・ロイドはエレクトリック・パーカッションを担当したトリオ編成です。
音楽はとても美しく(一気に通して聴くと、ある意味、一連の変化に富んだインナー・トリップが出来る音楽です!)実験的であると同時に刺激的で、かつメロディックで、河原博文/Hereticの最高傑作の一つだと思います。
「Drugging For M」 (1997) では、Hereticとしてはロビン・ロイドとのデュオ録音で1曲分のみの収録でした。(当時はこちらもCD-ROM付き) 河原はテルミンを含めたトリッキーな楽器、デバイスをふんだんに使い、エレキ・ギターも弾いています。(メロトロンも!) 当時の流行合わせて、ゲストによるチャップマン・スティック演奏も取り入れています。
こちらは「弥生幻想」とは異なる音楽性を有しており、緊張感が維持された強力な楽曲です。
「Requiem」 (2022) は、ハイライトとして、Hereticとしては最後の録音になる20分の「Spiral 1999」、22分に及ぶOSIRIS期のオリジナル版「月影1-2」、「弥生幻想」と「Drugging for M」からの各抜粋バージョンを収録していますが、
Heretic以前の、河原の最初のワンマン・プロジェクトであったOSIRIS(1979年~1982年にカセット・テープで多数リリース)とAstral Tempelからの音楽(1981年~1982年)の曲も多数収録されています。
(ここには収録されていませんが、河原はプログレッシブ・ロック・バンドAin Sophの山本要三と結成した「Dr.Jekyll and Mr.Hyde」というバンドもありました)
OSIRIS:
Journey To New World(1979:Cassette)
A Midsummer Night's Dream(1979:Cassette)
Osiris Mythology(1979:Cassette)
Astral Temple(1980:Cassette)
Rhapsody For You(1980:Cassette)
The Restration Of Soul(1980:Cassette)
In and Out(1980:Cassette)
In The Mist Of Time(1980:LP)
El Rayo De Luna I(1981:Cassette)
El Rayo De Luna II(1981:Cassette)
A Failed Play(1982:Cassette)
Echo Troublant(1982:Cassette)
Astral Tempel:
Shadow Illusion(1981:Cassette)
Vista Under Arc Light(1982:Cassette)
100% Odd Lots Session(1982:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde (with Yozox Yamamoto from Ain Soph):
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 1(1981:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 2(1982:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 3(1982:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 4(1982:Cassette)
「Drugging for M」(1995年8月12日スタジオ・ライブ)は、河原単独でのスタジオ・ライブです。
変化するシンセサイザーのスイープ音とギター・ループをバックに、彼はギター・ソロを様々なエフェクトを使い分けて演奏し、音を変化させていきます。メロディー・ラインはゆっくりとしたペースで変化していきます。
このライヴでは、最後のパートが正式版よりも長く、より即興要素が多い演奏です。システムミュージックに見られる反復的なリズミカルがベースとなっていて、正式版と異なっています。
現時点での Hereticの最高の曲の一つと評価します。
今回、ボーナス・トラック、「In The Mist Of Time (Peter Frohmader:2022 3D Remix)」が追加されています。この音楽は、河原と競演したドイツのベーシストでマルチ楽器奏者のPeter Frohmaderに捧げられています。 残念な事に、Peterは2022年5月に逝去しており、「現在」という位置づけで、この3Dリミックス楽曲がボーナストラックとして追加されています。ここでPeter Frohmaderがベースを弾いた事で、このトラックを際立たせ、結果的にHereticとしてのサウンドに厚みが出ました。ここではシンセがフィチャーされ、メロディー・ラインが複雑に交差し、中間点までその緊張感が続きます。その後、穏やかなシンセとスローでファンキーなベース・サウンドが、大音量で変化した後、緩やかに変化していきギターのサウンドスケープをサポートしていきます。ここには、ファンが期待するすべてが詰め込まれています。
総じて、「Past In Future」では、彼らの音楽の成長振りが、洗練さ、メロディー、全体的な完成度の高さにおいて証明されています。
Heretic - 弥生幻想
(7/10 : とても良く、繰り返し聴きたい作品)
デモ・バージョンであった「Past In Future」に続き、Hereticの次の作品リリースは、この「弥生幻想 2022 Remaster」となり、正式版としてグループによる演奏です。 太田亨(シンセサイザーとブズーキ)とRobbin Lloyd(エレクトリック・パーカッション)、河原博文(シンセ、サンプラー、エレクトロニクス、デバイス、コンピューター・プログラミング)の三人編成により、更に完成度が高まったサウンドとなっています。 全体的な印象としてはデモと大きな違いは少なく、微妙な作り直しという印象です。
但し、デモバージョンと同様に、正式版も素晴らしい音楽に仕上がっています。音色の変化が楽しめ、カラフルな背景音も聴けて、各パートの構成も練られています。 雰囲気という点でも、デモより完成度が上がっています。
Heretic - Drugging For M
(7/10 : とても良く、繰り返し聴きたい作品)
この『Drugging For M』のスタジオ・ライブ・バージョンが「Past In Future」として、限定リリースしていましたが、その後の正式版をリマスターしたのがこちらの作品です。
Hereticのメンバーとしては、Robbin Lloyd(エレクトリック・パーカッション)と河原(エレキギター、テルミン、シンセサイザー、サンプラー、エレクトロニクス、エフェクト、コンピュータープログラミング)だけで、石井孝治(チャップマンスティック)と野田真弘(エレキギター)の二人がゲストとして参加しています。
この四人で、複数のパートに分かれた34分の曲を制作しました。河原一人のスタジオ・ライヴに比べて、ゲストが色彩感と躍動感を加え、バンドらしい音となりました。パート構成もより有機的に感じられます。
Astral Tempelの曲としては二つの短い曲の後に、20分近くのジャーマン・ロックそのものといったライブが続きます。今回、河原はこのライヴ曲を、2022年12月に亡くなったドイツの友人Manuel Gottsching (Ash Ra Tempel)に捧げています。録音状態としては平均的な海賊盤の音質なのですが、バンド三人のパワーの凄さを証明しています。良い意味で、Ash Ra Templeの影響が色濃く出ています。
最初のトラック「In The Mist Of Time」は「Past In Future」にも収録されています。 Peterのベース・サウンドが、このトラックを際立たせ、サウンドに厚みが出ています。ここではシンセがフィチャーされ、メロディー・ラインが複雑に交差し、中間点までその緊張感が続きます。その後、穏やかなシンセとスローでファンキーなベース・サウンドが、大音量で変化した後、緩やかに変化していきギターのサウンドスケープをサポートしていきます。素晴らしい音楽となっています。
残りの4曲は全てPeterの作曲です。
「Sphinx Touch」では、ドイツのテレビ番組または映画から取られたサンプルで始まり、所々で聴こえます。この曲では重低音を利かせたベースとドラムがグルーヴ感を出し、その上で河原が素晴らしいギターソロを披露しています。その後メロトロンの音も追加され、特徴的な音色変化をするシンセの音(訳注:これはギターの特殊なエフェクト音です。)によって、ジャジーなグルーヴ感が生み出しています。こごては魅力的でスペーシーなジャーマン・ロック・サウンドを聴く事が出来ます。
8.「LIVE - KYOTO '85 AND TOKYO '88」は未発表のライブ録音を集めたものです。
最初は(訳注:これは二曲目です。)、「Rehearsal For Tokyo Live (1988年3月13日)」で、フル・メンバーによる演奏。シンセやギターなどに加えてパーカッションが数多く聴けます。「弥生幻想」と「DRUGGING FOR M」の10 年前の演奏ですが、しばしば「弥生幻想」と「DRUGGING FOR M」のおぼろげな姿と擬似シンフォニックなスタイルだったPeter Frohmader期のサウンド、更に東洋の音も入り混じった音楽に聴こえました。30分を過ぎた後半のセッションでは、ギターワークがかなりRichard Pinhasらしくなりますが、ここでは、近年のPinhasのギターワークに似ています。
「Tokyo Live (1988年3月19日)」は基本的には、先のリハーサルと同じテーマで演奏していて、ここでも「DRUGGING FOR M」で聴けるものと同様のボレロ・パートを演奏しています。(訳注:DFMにはボレロ・パートは無いのですが....????)
9.「HIRO KAWAHARA & PETER FROHMADER」
この2人のミュージシャンが1998年に一緒に作ったレコーディングで構成されています。私が調べた限り、これはファイル交換によって行われ、Peterが基本的な最初の曲を作成し、その後、河原が追加でギターとシンセサイザー、SE音を追加ダビングしました。
一曲目の『In The Mist Of Time』は、少なくとも最初は最もHereticぽいサウンドなのですが、後半からラスト・パートはよりFrohmader色が色濃くなってます。
「Sphinx Touch」はまさにNekropolisサウンドです、
一方、「Virtual Nature」は、ほとんどジャズ・ファンク・サウンドです。
「The Earth」は両者のサウンドがよりバランス良く混ざり合ったものであり、彼らの意識がいくつかのパートを通過しく中で、交じり合っていく様に聴こえます。
「9-13」は、一種の風変わりなエレクトロニック・ファンク・サウンドです。
(3) 私の一番愛する曲で、私の音楽の方向性を決めたトラックの立体音響(3D)処理も施したリミックス曲です。
使ったトラックは、 New Age Of Earth (1976)
Live at Mt. Fuji (2007)
@shra Vol. 2 (1997)
です。
中盤でのLive at Mt. Fuji (2007)でのManuelさんが頭の中で考えていたメロディーの断片を取り出しています。
ラストのAshra四人でのライヴ・テイクは、基本的には大阪のライヴがベースになっていると思いますが、多分ですが、録音を取り直していると思います。この大阪公演は、私もステージの近くで経験しました。
Manuelさんとの交流も、ここから始まる事になります。ここでは、Haraldのドラムが前面に出ていて、ダンス寄りというより、よりロック的な側面を強調していたと思います。
尚、リマスター処理として、まず、低音域の強調をした上で、必要な部分のみ繋げ、最後に、要所要所で立体音響処理を施しました。この曲の私の解釈から、音をゆっくりと回転させているので、性能の良いヘッドフォンで聴けば、音が頭の周りをゆっくりと周回しているのを楽しめるはずです。
今回、悲しみに暮れているManuelの奥さんが、特別にこの無料公開を許可してくれた事に感謝します。
Blackouts / Manuel Gottsching (1977年9月録音、1977年発売)2008年9月末のCDライナー解説より。
BlackoutsについてManuel-sanが語ったエピソードをまず、ご紹介致します。
「1977年、Virginレーベルと契約をした直後に、私は、初めてアメリカ/ニューヨークにRosiと旅行に行きました。(彼女は現在、N.Y.に住んでいて、今でもいい友達です。)
N.Y.に着いて、びっくりしたのが、市内が真っ暗/停電状態(Blackout)でした。皆、騒いでいて、「この世の終わり」を絵に描いた有様でした。ほどなく、群集が静かになった時、理由が分かりました。この騒ぎは、有名なNewport Jazz Festivalのお祭りの一環だったのです。
N.Y.の街並みではサルサの音楽が演奏され、私には斬新/魅力的に感じました。:-)それから、当時のマービン・ゲイの新曲、"Got to give it up"を聞き、とても気に入りました。(今でも、好きなんですよ。)
N.Y.からベルリンに帰国してもこの旅行気分が抜けず、音楽もマービン・ゲイ、ラテン音楽、ソウル・ミュージック、ファンク・ミュージックを聴きまくっていました。
そんな中で、この作品を作りました。これらの音楽の要素が本作の中に入っていると私は信じています。作品タイトルは、私の人生で初めての停電という経験から、Blackoutsと付けたんです。:-)
それからこのN.Y.旅行中のハプニングとして、Houston StreetをRosiと歩いていたら、たまたまBernard Xolotlに声をかけられた思い出もあります。彼は、フランス生まれで、当時サンフランシスコに住んでいましたが、N.Y.を旅行中にたまたま私を見かけたので、声をかけたとの事です。(それまで面識がありませんでしたが、New Ageの写真で私だと判ったそうです。)」
From 1980 to 1982, Hiro Kawahara formed OSIRIS, Astral Tempel, Dr.Jekyll and Mr.Hyde, like Kraut Rock sound, and mainly released cassette tapes.
In 1980, released an independent LP, 'In The Mist Of Time' under name,OSIRIS, helped with Fools Mate magazine.
In 1984, Hiro Kawahara, Thoru Ohta, and Takurou Moriyama formed this Heretic and releases private 1st LP 'Interface'.
In 1988, Heretic 2nd LP,'Escape Sequence' was released as an LP by Belle Antique Label.
Also participating are my friends Yozox Yamamoto and Taiqui Tomiie from Ain Soph.
In 1994, the 1st and 2nd compilation CD were released from Belle Antique label.
After that, in the 1990s, we released works using MIDI, and various software in Hiro Kawahara's personal studio.
1996, Limited release called 'Past In Future', a pre-release demo for Belle Antique label.
1996, Released 'Yayoi Dream' with CD-ROM from Belle Antique label.
1997, Released 'Drugging For M' with CD-ROM from Belle Antique label.
1998, Recorded individual collaborations with German musicians Peter Frohmader and Steve Baltes (Ashra).
2000, Hiro Kawahara had exclusive audio parts for Eurock's CD-ROM, 'The Golden Age', which includes his final recording track as Heretic in 1999.
2010, Eurock (USA) released a Heretic and Pre-Heretic compilation called 'Requiem' as Eurock's final CD.
August 25, 2023, All Hiro Kawahara's past and unreleased works were digitally released from Cuneiform Records in the United States.
Discography;
1979 OSIRIS - Journey To New World (Cassette)
1979 OSIRIS - A Midsummer Night’s Dream (Cassette)
1979 OSIRIS - Osiris Mythology (Cassette)
1980 OSIRIS - Astral Tempel (Cassette)
1980 OSIRIS - Rhapsody For You (Cassette)
1980 OSIRIS - The Restration Of Soul (Cassette)
1980 OSIRIS - In and Out (Cassette)
1980 OSIRIS - In the Mist Of Time (LP Private Press & Fool's Mate JHWH-1001)
1981 OSIRIS - El Rayo De Luna I (Cassette)
1981 OSIRIS - El Rayo De Luna II (Cassette)
1981 Astral Tempel - Shadow Illusion (Cassette)
1981 Dr.Jekyll and Mr.Hyde - 1 (Cassette)(with Yozox Yamamoto from Ain Soph)
1982 OSIRIS - A Failed Play (Cassette)
1982 OSIRIS - Echo Troublant (Cassette)
1982 Dr.Jekyll and Mr.Hyde - 2 (Cassette)(with Yozox Yamamoto from Ain Soph)
1982 Astral Tempel - Vista Under Arc Light (Cassette)
1982 Astral Tempel - 100% Odd Lots Session (Cassette)
1982 Dr.Jekyll and Mr.Hyde - 3 (Cassette)(with Yozox Yamamoto from Ain Soph)
1982 Dr.Jekyll and Mr.Hyde - 4 (Cassette)(with Yozox Yamamoto from Ain Soph)
1994 Heretic - Interface (LP Private Press)(DL:Cuneiform Rune 3375)
1988 Heretic - Escape Sequence (LP:Belle Antique 8807)(DL:Cuneiform Rune 3378)
1994 Heretic - 1984-88 (CD:Belle Antique 9457)(DL:Cuneiform Rune 3373)
1996 Heretic - Past In Future(Demo-CDR) (DL:Cuneiform Rune 3377)
1996 Heretic - Yayoi Dream (CD + CD-ROM:Belle Antique BELLE 96302)(DL:Cuneiform Rune 3374)
1997 Heretic - Drugging For M (CD + CD-ROM:Belle Antique BELLE 97350)(DL:Cuneiform Rune 3376)
2000 Eurock - The Golden Age (CD + CD-ROM) (Eurock ECD 3001)
2010 Heretic - Requiem (Zen Records ZCD 4001)(DL:Cuneiform Rune 3380)
2023 Heretic - Live-Kyoto 85 and Tokyo 88 (DL:Cuneiform Rune 3381)
2023 Hiro Kawahara and Peter Frohmader - Hiro Kawahara and Peter Frohmader (DL:Cuneiform Rune 3379)
2023 Heretic - Complete Works (DL:Cuneiform Rune 3382) Heretic - Yayoi Dream Video Sample: Heretic - Drugging For M Video Sample: Hiro Kawahara and Peter Frohmader Video Sample: Heretic - Complete Works Video Sample:
A: 私は、もともと日本のポピュラー音楽に興味がありませんでした。
小学生から中学生の頃に、最初に熱中したのは、The Beatlesです。
特にLet It Beはリアルタイムで経験したので、Let It BeとAbbey Roadは今も好きです。
今回のHereticの全作品のリマスター作業をした前年(2021年)には、1969年1月のLet It Beセッション、所謂「Nagra Tape」全てのデータから会話とか不要なビープ音を取り除いた、音楽だけを取り出した編集を、私個人の楽しみとしてリマスターしました。
その時のテクニック/ノウハウが、今回のHereticのリマスター作業に生かされています。
Journey To New World(1979:Cassette)
A Midsummer Night's Dream(1979:Cassette)
Osiris Mythology(1979:Cassette)
Astral Temple(1980:Cassette)
Rhapsody For You(1980:Cassette)
The Restration Of Soul(1980:Cassette)
In and Out(1980:Cassette)
In The Mist Of Time(1980:LP)
El Rayo De Luna I(1981:Cassette)
El Rayo De Luna II(1981:Cassette)
A Failed Play(1982:Cassette)
Echo Troublant(1982:Cassette)
Astral Tempel:
Shadow Illusion(1981:Cassette)
Vista Under Arc Light(1982:Cassette)
100% Odd Lots Session(1982:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde (アインソフの山本要三氏とのデュオ):
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 1(1981:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 2(1982:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 3(1982:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 4(1982:Cassette)
Q: ジキルとハイドについて詳しく教えて下さい。情報がほとんどありません。
A: 上記、ディスコグラフィーを参照して頂きたいのですが、OSIRISのLP, In THe Mist Of Timeが出る直前に、共通の知り合いの人の紹介で、Ain SophというJazz-Rockグループのリーダー、山本要三氏を紹介してもらい、その後意気投合して、Dr.Jekyll and Mr.Hyde名義で4作のカセット作品をリリースしました。
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 1(1981:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 2(1982:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 3(1982:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 4(1982:Cassette)
山本さんとは、今でも仲の良い友人です。
私は、
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 1(1981:Cassette)
Dr.Jekyll and Mr.Hyde 2(1982:Cassette)
のデジタル・データは持っていますが、3と4のデータが引越しの後、マスター・テープも含めて紛失しています.........(お持ちの方、ご連絡下さい。)
彼とのデュオ・サウンドは、違うタイプのギタリスト二人による、即興演奏が大半でした。
音楽的なクオリティーと、山本氏の経歴に傷がつく事を恐れて、私は、現時点では公開するつもりはありません。
但し、今後、彼と相談した上で、効果的なリミックスが出来たなら、公開する可能性はあると思います。
Q: このプレスは何枚でしたか?
A: どのアルバムのご質問でしょうか?
OSIRIS - In The Mist Of Time(1980:LP) : 500枚
その他のカセットは、日本国内でごく少数のコピーしか販売していないはずです。
Heretic - PAST IN FUTURE (1996)
「ここで聴かれる音楽はエレクトロニック・ロックとアンビエントの境界線をまたいでおり、時にはBiota のランダムなサウンドスケープ、時にはリシャール・ピナスの攻撃的なイメージ、時にはForrest Fangの Migrationでの浮遊感のあるアンビエント・ミュージックも感じさせますが、実際にはこれらのどれにも似ていません。完全にオリジナル作品となっています。」- Peter Thelen、Expose
A: 根本にあるコンセプトは、大きくは時間芸術、音響的には、「禅-エレクロトロクス」を目指しています。
言い換えると、私の作る音が聴く人の深層意識に、響くような音作りをしていて、人によっては自分の内面と向き合うきっかけ/媒介となる音楽を目ざしていました。
New Age Musicと看做すリスナーも多いかと思いますが、より神経を集中して聴くと、もっと深いイメージが心の中から浮かび上がるはずです。
又、Hereticで表現したかったのは、少なくとも私が自分で気に入った作品を作りたい、という思いがずっとありました。
Q: 過去の使用機材について教えてください。
A: Keybords and Sound module;
Korg DSS-1x2,DSM-1,M3R
Roland U-110,R-8M
Oberheim Matrix-1000,DPX-1
E-Mu Vintage Keys +
Yamaha RX-11
Roland TD-7 and Pads
Effector, outboard;
Roland DIMENTION D
Yamaha SPX90,SPX50D
Korg SDD-1000
BBE 462
Behringer EX-1,EX-3100
ZOOM 9150
Lexicon Jam Man
Recorder;
Fostex E-16(16tr)
Victor XD-Z505(DAT)
TEAC A-6100 mkII(2tr/38)
Console;
TASCAM M-224
BOSS BX-16
Software;
Various MIDI software,
enclufing intereactive software,
e.g. M, Jam Factory and Music Mouse......
アーティストとして非常に気に入っているのは、HR/HMのジャンルですが、日本のLOVEBITESというバンドの特定の曲/特定のパートが大変気に入っています。特にEdge of the World
ここのドラムの女の子(Haruna)がツイン・キック・ドラムを連打していてびっくりしています。ツイン・ギターの3/5度のインターバル・ハーモニーと複雑なリズム展開も大好きです。
先日掲載した「私の愛聴盤」に書きましたが、確か1978年か79年頃にFMで聴いた「New Age Of Earth」からの「Sunrain」が彼の音楽を初めて聴いた曲となります。
当時は、LPの時代でしたが、Ash Ra TempelのLPなんて、廃盤でどこにも売っていませんでした。
たまたま「どらっぐすとあ」という不思議なお店に、複数枚のLPが置いてあり、そこで聴かせてもらって彼の音楽にのめり込んでいったのです。
OSIRISの音楽は、明らかに彼からの影響が大きかったです。マスター・データを紛失していますが、「Echoe Waves」のコピーのような曲も演奏・録音しました。
Ash Ra Tempel , Feb' 11th 1997, Club Quatro, Osaka
まさかのAsh Ra Tempelライヴが、日本で実現された。お気付きの様にグループ名がAshraでは無く、Ash Ra Tempelである。メンバーは、Manuel Gottsching(g,key),Harald Grosskopf(ds),Lutz Ulbrich(g,key),Steve Baltes(key)。このコンサートは Psychedelic Originators For Space Age シリーズの一環です。
2/11 (火) 開演19:00の約1時間前に開場し、多分彼らが作ったと思われる音楽が流れる中、開演を待つ。その音楽は、基本的にテクノ路線だが、飽きさせない音楽だった。この大阪公演の客は大半が20才前半の若者ばかりで、客数は100名位来ていたのだろうか? 2/12の東京は250人位。
"ドイツから来た、Ash Ra Tempel!!"とアナウンスされると、まず若手のSteve Baldesが登場し、客席から見て真中右寄りのキーボード、MIDIラックのコーナーに入り、Inventions For Electric GuitarからサンプリングしたEcho Wavesを鳴らし出した。Echo Waves? 何年振りの演奏なんだろうか? Echo Wavesを演奏するからAsh Ra Tempelなの?と色んな疑問が頭の中を駆け巡る。
次にLutz Ulbrichが一番左側に位置し、ギターでリフを重ねていく。ほどなく、Haraldが登場し、客席に向かって写真を取る。彼はステージに上がる毎に写真を取ってコレクションしている様だ。彼のドラムがあのEcho Wavesに合わせて演奏し出すと、なるほど、現在のテクノの音になるな、と納得。いよいよMr.Ashraの登場だ。皆待っていた様に拍手をする。一番右側にセッティングされた場所で、オリジナルに近い内容で、ディレイ・ギターを弾いていく。Lutzと二人共同じGibsonのアーム付きSG(Manuelのトレード・マーク)を使い、同じ音質を出して、多重録音のニュアンスを出そうとしていた様に見受けられる。
大阪では以下の曲順で、たまにHaraldのMCをはさみながら演奏された。翌日の東京ライヴも曲順、時間共、同じ内容だったと思われる。判っている曲でも全て、独特のアレンジがしてあって、CDの内容とはかなり違っていた。一曲毎の時間が長く、Oasisですら、9分。又、この大阪公演は、音のバランスが悪かったのが残念。
1.Echo Waves (Inventions For Electric Guitar '74) 20min
2.Twelve Samples (Walkn' the Desert '89) 18min Lutzが中近東風のスケールでギター・ソロ
3.Six Voices (Walkn' the Desert '89) 12min
4.Timbuktu (new title) 13min Lutzのギター・ソロがフィーチャー
5.Hausaufgabc (The Private Tapes) ~
6.Four Guitars (Walkn' the Desert '89) 17min
7.Sunrain (New Age of Earth '76) 10min
8. Niemandlacht ruckwarts (The Private Tapes) 20min Klaus Schlzeみたいなスペーシーな曲、途中ドラム・ソロあり、後半はManuelのギター弾きまくり
encore
9.Oasis (Correlations '79) 9min アンビエント・テクノ・バージョン
10.encore2 Move 9Up (new title) 10min かなりアヴァンギャルドな曲
当初、リリース予定だったAsh Ra Tempel / London Royal Festival Hall (4/2/2000)のビデオがキャンセルされて、代わりにリリースされたのがこのビデオです。当然これがASHRAにとって最初のオフィシャル・ビデオとなります。
1997年は、ASHRAとしては新メンバーのSteve Baltesさんを迎え、日本公演(4回)、オランダ公演(KLEM festival)と、このOpen Air Burg Herzbergの計6回の公演と、Manuelさん(以降Mr.Ashraと呼びます)個人としてはthe Art & Music FestivalでMercedes Engelhardのインスターレーションに音楽で参加(別ビデオのDie Mulde)と、精力的にライブ活動を行った年でした。
演奏曲も日本公演並びにオランダ公演と同じで、特にこの"Herzberg Festival"での演奏はこのビデオに収められている4曲のみで、このビデオ通りの曲順で演奏されています。ビテオのエンディングのクレジット・ロールには、収録日が1997年7月12日となっていますが、ホーム・ページの情報から正しくは7月19日です。
ビデオの内容についてですが、まずトータル・ランニング・タイムが26分という非常に短い件についてですが、以下がASHRAのマネージャーからの答えです。「コンサート自体は全て収録しているんだけど、プロモーション・ビデオの位置付けから、各々の曲を短くカットした。」併せてSteveさんに同じ質問をしたところ、「僕もそう思うよ。でもこのビデオそのもののリリースを聞かされていなかたんだけど.....」という話でした。とはいえ、やはり余りにも短か過ぎる。もっと見たいと思うのは、ファン心理として当然でしょうね。オフィシャルのASHRAのビデオはこれしかないので、文句は言えないんですが.........
全曲共、過去の曲のアレンジです。新曲が無いのは残念ですが、まぁ、ライブが楽しめるだけでも贅沢な話ですから、文句は言えないですよね。
「1977年、Virginレーベルと契約をした直後に、私は、初めてアメリカ/ニューヨークにRosiと旅行に行きました。(彼女は現在、N.Y.に住んでいて、今でもいい友達です。)
N.Y.に着いて、びっくりしたのが、市内が真っ暗/停電状態(Blackout)でした。皆、騒いでいて、「この世の終わり」を絵に描いた有様でした。ほどなく、群集が静かになった時、理由が分かりました。この騒ぎは、有名なNewport Jazz Festivalのお祭りの一環だったのです。
N.Y.の街並みではサルサの音楽が演奏され、私には斬新/魅力的に感じました。:-)それから、当時のマービン・ゲイの新曲、"Got to give it up"を聞き、とても気に入りました。(今でも、好きなんですよ。)
N.Y.からベルリンに帰国してもこの旅行気分が抜けず、音楽もマービン・ゲイ、ラテン音楽、ソウル・ミュージック、ファンク・ミュージックを聴きまくっていました。
そんな中で、この作品を作りました。これらの音楽の要素が本作の中に入っていると私は信じています。作品タイトルは、私の人生で初めての停電という経験から、Blackoutsと付けたんです。:-)
それからこのN.Y.旅行中のハプニングとして、Houston StreetをRosiと歩いていたら、たまたまBernard Xolotlに声をかけられた思い出もあります。彼は、フランス生まれで、当時サンフランシスコに住んでいましたが、N.Y.を旅行中にたまたま私を見かけたので、声をかけたとの事です。(それまで面識がありませんでしたが、New Ageの写真で私だと判ったそうです。)」
(Mr.Ashraから、直接この話をライナー用に送ってくれました。感謝!)
1996年にリリースされたThe Private TapesのVol.2に、Shuttlecockの初期バージョン(ライヴ)が、Vol.5ではLotusの初期バージョン(ライヴ)が確認できます。
Blackouts録音直後の1977年10月18日 (Bruxells)での三人組Ashraのライヴでは、Blackoutsからの曲は演奏されませんでした。時は流れて1985年8月24日のU.K.Electronicaでのライヴでは、三人組AshraとしてBlackoutsを演奏していました。今年8月の来日の際、METAMORPHOSE 08において、本作のShuttlecockとMidnight on Marsがトリオで演奏されました。
1997年9月6日に開催されたthe International Festival for Arts & Musicの一環として、Manuelさん(以下Mr.Ashraと呼ぶ)と長年の親交があったMercedes Engelhardtさんからの依頼で彼女のミラー・パフォーマンスに作曲と音楽パフォーマンスで参加する事になったそうです。
曲名のDie Muldeは、単語の意味としては「渓谷」ですが、パフォーマンスの行われたライプツィッヒ(旧東ドイツ)近郊の村(Hofgen-Kaditzsch)の西側に流れるのがタイトルのムルデ川です。この村は、ここ数年芸術祭が行われる場所として有名な所だそうです。1997年のフェスティバルのテーマは “What do we hear?” だったそうです。
Mercedesさんはベルリンを拠点に活動するアーティストで、このパフォーマンスに34枚の大きな鏡を村と森に囲まれた牧場に設置し、その鏡の隣でMr.Ashraが数週間の作曲・準備をもってその場で音を出す、というパフォーマンスでした。当日、約1500人の人がこの牧場に訪れ、鏡の前を通り、見る角度により変わる風景とMr.Ashraの音楽を楽しんだそうです。かなり大きな音量だったみたいで、会場のみならず近くの村にまで音が届いていた様です。今回の音楽のアイデアとしては、自然の中を歩きながら音楽を聴く、という音の森林浴を目指したものだそうです。
以下Mercedesさんからの情報です。
副題になっているR.S.V.P.は、フランス語の "repondez s'il vous plait"の頭文字で、この表現はドイツ人もパーティーやディナーの招待に良く使います。「出欠の返事を下さいね」という意味で、少しオールド・ファションな、エレガントなニュアンスを含んでいます。
今回の彼女のパフォーマンスの意図についてですが、「見たもの、そのものを見る。つまり景色は景色と認識する。」という事だそうで、フランスの哲学者ルソーが、自然(nature)は人工(artificial)の対局に位置すると云っていますが、彼女にとっての自然とは、人間ではなく地球が作った美しいartificialなものなんではないか、という見方をしています。つまり、地球という自然が作った美しいアートを楽しみたい、という事だそうです。
日本での彼女のパフォーマンスはまだ行っていません。しかし彼女は、日本の石庭文化が大好きだそうです。例えば竜安寺の石庭などは、概念的な要素、天(sky)・地(earth)・人(human being)を庭の中に表現させているので、非常に興味深く思われているそうです。
Mr.Ashraとは30年来の付き合いの友人で、勿論彼の音楽は昔から好きだったそうです。Mr.Ashraが一緒にパフォーマンスしているのは彼女の依頼で、視覚と聴覚両面から今回のパフォーマンスを行いたかった為だそうです。機会があれば、再度Mr.Ashraとのコラボレーションを期待したい、との事です。
彼女は、この様な鏡を使ったパフォーマンスを屋外で度々行っています。鏡を池の中にセットしたり、森の中にセットしたりしました。又、鏡だけでなく、樹木を赤くしたパフォーマンスも行っています。これは複数の国でパフォーマンスを行っています。
話を当日のパフォーマンスに戻すと、ドイツのTV局が当日の模様の一部をニュースとして流した様です。
又、Mr.AshraはCDとしてのリリースも考えているそうですが、現時点ではこのビデオでしか聞けない音楽となっています。余談ながら当日朝に雨が降っていたそうで、Mr.AshraもMercedesさんも長靴をはいて会場に入ったとか。
さて、音そのものの分析ですがマルチ・トラックにDA88を使っているのと、Alesis社のリバーブを使っているのがビデオで判りますね。
導入部の印象は、Klaus SchulzeとかNew Age Of Earth期の70年代の感触を感じます。とはいえ新しいシンセサイザーを随所で使っているので、もっとモダンな印象があります。23分辺りから出てくるタブラ風のパーカッションやレゾナンスの効いたパーカッションの音など、凝った処理にしていますね。その後、シェーカーやハンドクラップの音も取り入れており、このあたりはASHRAの新メンパーのSteve Baltesさんの影響かなと思ってしまいます。いずれにしても、昔からハイハット、キック(バス・ドラム)の音を排除したリズム音源の組み合わせにするのがMr.Ashraの好みなんでしょうね。あと、ギターが聴けないのが残念なところでしょうか。
それから、THE WORKS(Mr.Ashraの詳細なバイオグラフィー)によると1982年10月に行われたファッション・ショーでMr.AshraとMercedesさんが初めてコラボレーションした様で、そのビデオもある模様です。
Manuel Gottsching (video technics) / Video YUNO,feature for fashion designer
Gudrun Mercedes Engelhadt (23:20)
ASH RA TEMPEL名義でリリースした「New Age Of Earth」は、当初フランスのイサドラ・レーベルからのリリースでした。1977年春にイギリス、ヴァージン・レコードと契約した時を切っ掛けに、ASHRAという名前にして再出発したい、と考えました。ヴァージン・レコードは、「New Age Of Earth」を全世界に向けて、ASHRA名義でジャケットも変更してリリースしてくれました。その際プロモーションの為、ロンドンでコンサートを行う事を要請され、 "Berlin-school"時代からの友人Lutz Ulbrichを連れていく事にしました。彼は、 1974年~75年までのAsh Ra Tempelでの数多くのコンサートで一緒に演奏してくれていましたから。それからTarotや「Starring Rosi」、「Cosmic Couriersセッション」で共演したHarald Grosskopfにも参加を要請しました。
この3人で 1977年夏、ASHRAの新しいラインアップとしてロンドンRegents Park屋外劇場でデビュー・コンサートに臨みました。
契約上の理由から次のソロ作品をすぐに作成しないといけなかったので、「Blackouts」を77年9月に一人で制作しました。しかし8月のAshraのコンサートではトリオでの演奏を行っていたので、翌年制作のアルバムは当然このトリオでの録音が自然な成り行きとなっていました。その録音とリハーサルの場所として、ベルリンにあるUfaフィルム・スタジオが見つかったのです。私は、このリハーサル・ルームに機材をセットアップする際、事前に、二・三のフレーズだけを用意して、3週間のリハーサル(1978年5月)に挑みました。その間メンバー以外を立ち入らせず、ジャム・セッションを繰り返しました。そのセッションの大半が、「The making of "Correlations"」として残りました。このリハーサルの中から、曲を選び出し、同年6/7月に録音を予定していました。
しかしLutzが病気に罹り、録音を9月に延期せざるを得ませんでした。9月になると今度は、私が病気に罹ったので、録音は10月から開始されました。
そのセッションの大半を、私は自分のRevox A77テープ・レコーダーにモノラルで録音していたんです。目的は、後で作曲に利用しようと思っていたので。ガレージ・ライクなサウンドでしたが、パワーがみなぎり演奏するのが楽くて仕方が無い、という内容でした。
バックグラウンド・ノイズや歪等の音質をお詫びしなければいけませんが、音質そのもののより当時の演奏そのものを皆さんにお聴かせしたかった為、特別な編集をしていません。この最初のリハーサルから「Correlations」の完成迄1年がかりとなった、この制作の大変さを感じ取って頂けるのではないかと思います。
1997年の日本公演から参加したSteve Baltesが「@shra」のミックスを担当し、今回皆さんがお聴きのこのリハーサル・テープのマスタリングも行ってくれました。
Manuel Gottsching 2001年9月
1978年は、私にとってベルリンに滞在した初めての年でした。私達は、1978年夏に行われる「Correlations」のリハーサル場所を探していたんです。出来れば邪魔の入らない場所が良かった訳ですが、ベルリンのUFA映画スタジオがぴったりの場所でした。今でもあの陰気な場所を覚えています。あそこは、後に多くのオルタナティヴ・グループが結成された場所でもありました。50年前迄はあの場所で、偏狭・強圧的なナチズムの権化、Joseph Goebbelsの元に数多くの戦争賛美の映画が作られた場所でした。こういった歴史の流れという視点からも奇妙な感じがします。ここを見た人は皆、華やかな雰囲気には思わないでしょうが、私はこの老朽化した多くのビルを見ていると壮観さを感じました。昔はここで数多くのUFAの映画スターが動き廻っていた場所です。私達がリハーサル・ルームにした所は、もともとガラス張りの応接室だった所で、大きな曲がった階段もあり、かつてここで「ヒットラー万歳!」とシャンパンで乾杯でもしていたのでしょう。休憩の間さえ、私はこの結構大きな建物の隣接した部屋々々を見て廻りました。多くのドアは壊れ、多くのフィルム缶がそこら中にひっくり返っていました。なんだか、戦争の終わりは、こんな感じかという気がします。そういった部屋に私達の乏しい器材をセットアップしました。私たちの音楽がこの場所の悪魔払いをしてくれればと、願ったものです。マイク録音時のモニターで、ハウリングを起こさない様にテープレコーダーとマイクのセッテングに注意しました。このモノラル録音の音楽は、リリースを計画していなかった、ただ音楽を演奏するのが楽しかった当時の私達の純粋な演奏が聴けます。
Harald Grosskopf, 2001年4月
『「New Age of Earth」では、色んなキーボードとシンセサイザーを演奏しました。「Inventions」でギターのみの演奏を行っていたので、対照的な作品を作りたかったんです。Virginと契約した時、彼らはアーティスト名を短くする事と、ロンドンでのコンサートを要請しました。で、LutzとHaraldをASHRAの新メンバーとして一緒に演奏しました。「Blackouts」は、再びギターをフィーチャーした私のソロ作品となりました。そのプロモーション・ツアーには、この三人でヨーロッパで公演を行いました。こういった経緯から次の作品「Correlations」では、三人で制作しようと決めたのです。「Correlations」は、私が主導権をもって録音しました。しかし次の「Belle Alliance」では、三人全てが同等の立場で制作出来た作品となっています。
それから、私の音楽がトランス・ミュージックと呼ばれる事についてですが、それはリスナーやメディアの方がそう呼んでいるだけで、私はトランス・ミュージックと意識して作曲している訳ではありません。まして、この単語は最近使われている概念ですからね。』
マネージャーによると、Ashra名義でのリリース契約に関して、Virginが常にMr.Ashraがリーダーとしてメインの作曲を行う事を条件にしていた、という事です。
「Private Tapes vol.4,6」には1979年8月にベルリンで行ったコンサートの模様が5曲収録されていて、この音源も興味深いものがあります。”Club Cannibal”,”Sausalito”,”Ain't No Time For Tears”,”Ice Train”,”Phantasus”を基本的にトリオで、曲によっては別のベース奏者が加わって演奏しています。このライヴ・テイクも、出来れば、このセットの中に入れて欲しかったですね。
又、この時期のMr.AshraとLutzによるリハーサル・テープが「Private Tapes vol.6」のHausaufgabeに収録されています。
「New Age Of Earth」から「Belle Alliance」発表の年を年表にすると、以下の様になります。
1976年 「New Age Of Earth」フランス、イサドラ・レーベルよりリリース。
7日間のフランス・ツアー。
1977年 「New Age Of Earth」ヴァージン・レーベルよりASHRA名義で世界規模でのリ
リース。
ラジオRIAS局の放送用に「Dream & Desire」録音。(90年にCDにて発表)
Lutz Ulbrich、Harald Grosskopf(Ds : ex Wallenstein)と共にフランス、イギリ
このセッション内容は、当時のライヴの延長みたいな演奏内容かと想像していましたが、かなりロックっぽい内容になっています。というのも私は幸いにも1977年10月18日ブリュセル公演のテープを持っており、このライヴも聴きながらこの原稿を書いているのですが、ブリュセル公演ではトリオで6曲演奏しており、大半が「New Age of Earth」の”Sunrain”を除く曲とエスニックな曲等で、全体の印象は「Dream& Desire」のCDを聴いた時の印象となっています。「Blackouts」からの曲も演奏していないので、正直な話、メリハリのない演奏に私には聞こえます。
その他のライヴとしては、かなり後になりますが1985年8月24日にトリオでUK Electronica公演を行い、”Sunrain”や”Blackouts”、”Tropical Heat”の元曲を3曲演奏していました。かなりメリハリのあるいい演奏でした。又、「Private Tapes」には1979年8月にベルリンで行ったコンサートの模様が5曲収録されていて、この音源も興味深いものがあります。”Club Cannibal”,”Sausalito”,”Ain't No Time For Tears”,”Ice Train”,”Phantasus”を基本的にトリオで、曲によっては別のベース奏者が加わって演奏しています。
やはりASHRAのライブの完成度としては、Steveさん参加後の方がメリハリがあり、CDとしては「@shra」「@shra Vol.2」がお薦めかと思います。又、この時期のMr.AshraとLutzによるリハーサル・テープが「Private Tapes vol.6」のHausaufgabeに収録されています。
紹介が遅れましたが、私はASHRAの日本公演後、ASHRAのコンサート・レビューを書く為にSteve Baltesさんと何度もメールのやりとりをしている内に仲良くなり、一緒に曲を作っています。具体的には、彼の2ndソロ・アルバム「Rhythm of Life」の中の一曲、”Behind the Moon”でギターとエレクトロニクスを担当しています。一緒に演奏して思ったのが、非常にソロが取りやすいバッキング・トラックを用意してくれるアーティストだという事です。
[2008年の4度目の来日に因んで]
2008年8月23日、静岡・伊豆市修繕寺にある、自転車の国サイクルスポーツ・センターで開催される、METAMORPHOSE 08にManuel Gottsching & Ashraとして来日が予定されていますが、2年前(2006年)の8月、同じMETAMORPHOSEフェスティバルで、Mr.Ashraがソロ・ライヴを行いE2-E4を初めてソロとしてライヴ演奏しました。
今回は、11年振りの三人組Ashraとしての演奏ですので、非常に興味があります。(不幸にして、私はこの週はシンガホールにいますので、見る事が出来ません。とはいえ、コンサートの翌週に、東京で再会する予定です。)
尚、今回の来日の直前に、Mr.Ashraはアメリカでソロ・コンサートを行い、E2-E4を演奏しました。
8/15(金) : New York, Lincoln Center
8/16(土) : Philadelphia, The Gatherings
8/17(日) : New York, LOVE, August 17, 2008
この、一週間後に日本で、Ashraとしての演奏を行った、という事になります。以下が、今回の来日時の演奏曲目です。
Ice Train (Correlationsより)
Flying Turtles (Belle Alliance Plusより)
Kazoo (Belle Allianceより)
Deep Distance (New Age Of Earthより)
Morgana Da Capo (Correlationsより)
Club Cannibal (Correlationsより)
Shuttlecock (Blackoutsより)
Midnight On Mars (Blackoutsより)
Mr.Ashra (g,key)以外は、Steve Baltes (key), Harald Grosskopf (Ds)という三人編成でした。選曲自体は、正直、今回は地味目のものばかりでしたが、Steveさんのアレンジにより、それぞれの曲がオリジナルのテイストを残しつつ、やはり若い人にも受ける様な音作りになっていて、このバランス感は非常に良いのではないかと思います。Mr.Ashraのギターの音だけを、それぞれ聴いていると判るのですが、Ash Ra Tempel時代のWowwow + ディレーの音が、随所に聴かれていて、バックの音と、サイケデリックなギターの対比が摩訶不思議な感覚でした。個人的には、現代版Kraut Rockではないのか?という音の印象です。決してテクノ系の音ではないです。
同年(2006年)は4月にも来日していて、富士山・山麓でLiveを行っていました。これがCD 「Live at Mt.Fuji」となっています。Sunrainのバリエーションも演奏していますし、本作のShuttlecockも演奏しています。Mr.Ashraの最近のライヴは、屋外ばかりですが、周りの景色も表情が変わるので、本人は好きみたいです。
ライヴが終わった後、Mr.Ashra夫妻は、都内のホテルに、一週間滞在して、次回の来日と、今後のCDリリース等の、準備とプロモーション、マスコミ各社のインタビューに忙殺されていました。
多忙な合間を見つけて、私との再会の時間を取ってくれました。たまたま、私が勤める外資のオフィスが、ホテルの向かい側にあった事もあり、今回も数回、会う機会がありました。
当初、都内・隅田川の船による観光(彼らの希望にもなっていたので)を予定していたのですが、突然の割り込みの用件が多く、時間的に案内出来ませんでした。ほんとに、今回は多忙な時間を過ごしていました。
とはいえ、何回か会った内容というのは、正にビジネス・ミーティングといった内容で、彼らの今後の日本に対する戦略とかマーケティングの相談を受けていました。
一番、大きな話題としては、今回彼らがリリースした二種類のDVD (Postcards from Japan,Live at the Open Air Festival Herzberg 1997)に、日本のファンの為に、日本語字幕をつけてくれたんですが、字幕の先頭の文字が欠けてしまう、という不具合が出る事を発見し、その問題解析説明と、今後の対応策の議論を行いました。
Mr.Ashraとマネージャーは私の事は信用してくれているのか、こういった相談を昔から、私の方に聞いてくれます。(会うと、いつも思うのですが、何か手伝ってあげたい、と思ってしまう雰囲気があります。)私の出来る範囲で、可能な限りサポートさせてもらっています。
まず断わっておかねばならないのは、私はHereticの活動以外、ここ5・6年ほとんど自ら好んで音楽を聴いていないという事です。
何故か? 一番の理由はHereticの曲が自分にとって一番思い入れのある作品だからでしょう。つまり他の作品は或る意味では、Hereticの作曲に必要な参考資料という事になります。特に現在、音楽建築論というべき手法を取り始めているので、(マーキー28号参照) Ain Soph、Anonymous、Fromage、Golden Avantgarde、Noa等のメンバーに演奏してもらうという一般のリスナーには絶対味わえない立場にいる訳です。
そういう事から、これから書き挙げる作品群は、昔よく聴いたものとか、現在、Hereticにとって参考になる作品等であるという意味になります。
さて、まず一番始めに挙げねばならないのはAshraの"New Age Of Earth"('76)でして、FM放送で流れた「Sunrain」を聴いて今迄のプログレのイメージ~YesとかE,L&Pといった難解な曲構成のイメージ~を打ち破り、シンセサイザー・ミュージック(エレクトロニクス・サウンド)への興味を持たせた私にとってのターニング・ポイントとなった作品です。
そういやManuel Göttschingの"E2-E4"('84)が今やNYのダンス・クラブでよくかかり、ダンス・レコード専門店の定番となってるの、知ってた?
初期のジャーマン・カオス・サウンドは案外、現在NYの最先端と言われる連中に引き継がれている様に思います。
そういったグループとしてMaterial、Jon Hassell、David Van Tieghem、Laurie Anderson、Controlled Bleeding等を挙げたい。
L,Andersonについては、レコードというよりやはりステージの面白さで評価したいのでビデオ作品"Home Of The Brave"('86)を挙げたい。字幕付きなので、曲間の会話の面白さ等も理解出来、レコードでは絶対理解出来ない彼女の世界が体現出来ます。このビデオでも演奏しているD.V.TieghemやHereticのメンバーのRobbin Lloydもそうなのですが、難解な曲展開でもニコニコしながら演奏してしまうのが凄い。Robertとの録音を例に取るなら、彼との録音前の打ち合せ(コンセプト等も含めて)がほとんど必要なく、録音を始めると、ほぼワン・テイクでOKになっていました。彼らの持つハーモニー感覚やリズム感のボキャブラリーの豊富さは日本人がどう転んでも太刀打ち出来ない凄さがあります。彼らにとって当り前の演奏が、我々にとっては天才的であるというこのギャップ.........
次にNYからの最後の大物と云うべき、Controlled Bleedingについて。このグループは今後のエレクトロニクス・ミュージックの在り方を端的に示唆したグループとして、T.Dream、K.Crimson、Heldonファンに聴いてもらいたい!
Paul Lemos、Joe Papa、Chris Moriartyの三人組で、"Body Sampler"('85)、"Headcrack"('85)、"Curd"('86)、"Between Tides"('86)、"Halved"('86)、"Core"('87)、"Music From The Scourging Ground"('87)その他コンピレーションに多数参加しており、所謂ノイズ・ミュージック・ファンの方によく浸透しているバンドだと思われます。オペラチックなヴォーカル、神秘的・異教的なメロディー等、多作であり乍らもヴォルテージの下がらない彼らの環境ノイズ音群は後述するPeter Frohmaderと共にエレクトロニクス・ミュージック・シーンの最先端に私は位置付けたい。このバンドのノイズ処理や奥行きのある空間作りは初期ジャーマン・カオス・サウンドを現代流にアレンジした展開のように思います。
さて同傾向というか、同じくエレクトロニクス系でドイツ出身のPeter Frohmaderは、雑誌Wave6号でLovecraftとGigerが出会った様なメカニック・ホラー・ミュージックという禍々しいコピーで記事が特集されていましたが、ノイズでも、インダストリアルでもない暗黒エレクトロニック・サウンドを開拓した人であります。
"Nekropolis"('81)、"Nekropolis2"('82)、"2 Compositions"('83)、"Live"('84)、"Cultes Des Goules"('85)、"The Forgotten Enemy"('85)、"Ritual"('86)等コンスタントに発表。作品毎によりリズムが明確になってきて、"Ritual"では、デジタル・ビートの上に不気味な旋律が唸りを上げるという私が好きな音です。彼はH.P.Lovecraftのファンで、その影響は確かに濃厚。プログレ・ファンにはSFファンが多いと聞きますが、私はSFはダメ。
只、Lovecraftの所謂CTHULHU神話をモチーフにした、Colin Wilsonの「賢者の石」という小説は非常に気に入ってます。死の問題に取り憑かれた一青年が不老長寿の研究を初め、大脳生理学の研究へと発展した末、前頭前部葉の手術により、過去を透視する力を得るという筋で読者を強く惹付け、人類の起源にまつわる秘密のところで、CTHULHU神話とシンクロさせるという、人類進化、意識の拡大等の論点も素晴らしく、壮大で刺激的な小説です。
いますが、やはり'74年7月1のNY Central Parkの演奏がベストだと思います。「Starless」の比類ない美しさ、「Exile」のイントロやelc-pをバックにした即興演奏等の凄さは本当に感動的です。
又、'73年5月4日Boston、同月6日のConneticut公演では珍しく即興演奏を二曲も披露しており、当時の彼らのヴォルテージの高さ、又、毎日の様にそれだけの緊張感を維持させた強靭な精神力の凄さ、人間がもつパワーの恐ろしい迄のコントロールを行ったFrippという人間の恐さみたいなものが伺い知れます。二・三枚のライヴ(海賊)盤だけで、彼らのライヴ・パフォーマンスは評価できないので、オフィシャルにもっと当時のライヴを発表してもらいたいものです。
この手の音楽とは違う好きな音楽として、Richard Vimal "Migrations"('78)、Laurent Thibault "Mais On Ne Peut Pas ReverTout Le Temps"('78)、Francoise Hardy "Message Personnel:私小説"、"Quelqu'un Quis'enVa:時の旅人たちへ"('82)があります。
不思議と全てフランスもので個々の作品に共通して透明感のあるメロディーが根底に流れている様です。
Laurent Thibaultは、あのMagmaのプロデュースを担当していた人で、他にシャンソン系でもよく見かける名前である。で、"Mais On Ne Peut Pas ReverTout Le Temps"('78)にはAmanda Parsons、David Rose、Francis Moze等が参加した唯一のソロで、美しいメロディー・ラインやカオス・パートの効果的なアレンジ等、趣向を凝らした、正に贅を尽した趣味作品と云えるクォリティーを保っています。逆に日本でこれだけ趣味性の強い録音が果して物理的に可能なのだろうか?と懸念したりもします。も一つ話をそらして、L.Thibaultらが録音したStudio Hérouvilleは数多くのロック・ミュージシャンが利用している、大庭園とプール付きの城で、二つのスタジオがあり、幽霊が出るってんで一時話題になったスタジオです。
Francoise Hardyについては正にHardy's Eleganceという表現がぴったりくる、素敵な女性でアンニュイな囁く様な声に、素敵なメロディーが絡み、初めて私に歌詞の美しさを教えてくれた人。Vogueのデビュー盤から数えるともう20枚位出てるのかな?どのLPも好きですが、"私小説"が一番Hardyらしい美しさに満ち溢れていて、"時の旅人たちへ"はより、夜のイメージが強く、大人の雰囲気を楽しむには最高のBGMとなるでしょう。"私小説"のプロデューサーはFrance GallのダンナのMichel Bergerで後者はGabriel Yared。共に逸材で、M.BergerはやはりF.Gallのアルバムでさりげなく色々な仕掛を施しており、そのセンスの良さは日本のニューミュージック系のプロデューサーに見習わせたい。G.YaredはJean-Jacque-Beneaux監督の映画"La Lune Dans Le Caniveau:溝の中の月"を担当した人。
特にこの人はシンフォニーからノイズ迄手掛けられる超売れっ子のプロデューサー。日本でこれ程幅広く質の高いプロデュースの出来る人っていないんじゃないの? L.Thibault等にも云える、このプロデューサーの重要性というのは日本ではまだまだ認識が無いですね。やはりスタジオ録音の機会が少ないという点が一番大きいんでしょう。
まずは、サラ・ブライトマン(SARAH BRIGHTMAN)の「エデン」(1999年)
'98年にスバル・レガシーのTVCMで使われた「Time To Say Goodbye」がやはり白眉の出来で、私の生涯で出会った女性ヴォーカルの中で、最高のアーティストと断言出来ます。
ある時は、Kate Bushみたいに、又ある時はJulia Downesみたいに歌い、ここぞ、という時は、オペラ/ソプラノになったり、と変化自在の歌唱力、それから、プロデュースが、Enigmaのプロデューサーという事もあってか、選曲/アレンジがクラシック/ポップスの垣根を取り払ったボーダーレス。選曲のセンスが非常に良いし、フランス語、イタリア語でも軽く歌う彼女は、天才?
優雅、華麗、ドラマチック、と、本物の音楽をまざまざと、聴かせてくれます。音楽表現での美の追求の結果が、彼女の作品にありありと、現れています。世の女性ヴォーカリストや、プロデューサーに是非聴いてもらいたい、アーティストですね。
元々彼女はポップス寄りの人だったのですが、'81年にミュージカル界で有名なアンドリュー・ロイド・ウェバーと出会い、彼の代表作と言える「キャッツ」のオリジナル・キャストとして参加後「オペラ座の怪人」、「エヴィータ」などで主役を務め、グラミー賞クラッシック部門の新人賞にノミネートされるまでになり、私生活では、彼と結婚するのですが、'90年代に入って離婚、クラシック/ポップスの垣根を取り払ったソロ活動を開始して現在に至る経歴の持ち主で、彼女の参加作品は、かなりの量です。1991,1992,1994,1997年に来日公演も行い、特に1991年には、NHK「紅白歌合戦」に出演し、抜群の歌唱力が話題になったそうな。
ここ10年来、私は音楽を聴いて背筋がゾクゾクするっていう事が無かったのですが、彼女の作品を聴く毎に、毎回鳥肌が立ちます。絶品の美声です。スバル「ランカスター」のCFで使われた、アンドレア・ボチェッリとのデュエット曲「タイム・トゥ・セイ・グッドバイ」の元曲は、ボチェッリの「君と旅立とう」です。
サラがレストランで食事している時に彼の曲を聴き、すぐにボチェッリにデュエットの申し込みをした、という話や、ドイツの国民的ボクサー、ヘンリー・マスケの引退試合にて、彼等二人がTime To Say Goodbyeを朗々と歌い上げ、結果ヒット・チャートにランキングされる等、面白いエピソードがあります。
Time To Say Googbyeとしては、そういう経緯もあり、少なく共、三つのバージョンがあり、ボチェッリのオリジナル、次に彼等二人のデュエット、最後にサラのソロと、マニア心をそそりますね。個人的には、サラのソロが一番好きですが......
「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」(1997年)
「DIVE」(1993年)の二枚も大推薦盤です。
次は、ドイツのシンセサイザー奏者で、タンジェリン・ドリームに1971年から88年迄在籍していた、クリス・フランケの作品です。Christopher Franke / The London Concert(1992年)
1991年10月ロンドンでのライヴ盤なんですが、実際には、FrankeとRichard E. Roth二人が演奏した、彼のベスト・アルバム的なCDです。タンジェリン時代のCloudburst Flight、Dolphin Dance、Stratosfear、White Eagle等からの曲も演奏していて、アナログ、デジタル・シンセ、サンプラーはこういう風に使うとカッコイイゾ、という内容になっています。
たまたま、この時のライヴビデオを持っている為、私は、映像でも確認しているのですが、主要なフレーズは、全てコンピュータのシーケンサーにて自動演奏させています。実は、フランケ氏は、アナログ・シーケンサーの使い方が飛び抜けて上手いので、ライヴでその姿を期待したのですが、その点が唯一ガッカリした点ですね。MIDIの自動演奏を活用している、とはいえ、ライヴでこれだけの音数を二人でコントロール、演奏しているのはやはり凄いものがあります。で、16分に及ぶPurple Wavesが白眉の出来。とにかく、リズムとメロディー、ハーモニーの組み立て方が上手い。
複数の別々のシーケンス・フレーズが複雑に絡まりあい乍ら、かつリズムも変化自在に変化し、飽きさせない構成になっています。又非常に印象的かつ美しいメロディーがベースになっており、やはり長年に渡って音楽活動を行っていたのはダテじゃないな、という曲です。シンセサイザーで曲を作ろう、と思っている人も是非聴いてみて。
今回のライヴで脱退したリード・ヴォーカリストのHeather Findlayの圧倒的な歌唱力とバックコーラスとの3度のコーラス・ハーモニーは音程がぶれる事もなく、大変気持ちの良いアンサンブルで、ここに泣きのギターがこれでもかと入ってくる、ザ・プログレの王道のような音でしたが、脱退後のこのバンドの音は余りパッとしません。この2010年のライヴが最高の音だったと思います。 Within Temptation_2014_Hydra : And We Run
Lovebites_2018_Clockwork Immortality(DVD)
Lovebites_2019_Daughters Of The Dawn(LiveDVD)
Lovebites_2020-0221_Five Of A Kind Tokyo Live
こちらもHR/HMですが、ドラムのHarunaさんのドラムテクニックが信じられない演奏です。ヘッドフォンで確認して頂きたいのですが、ツイン・キック・ドラムの超高速連打をずっと同じ間隔・音量で出しています。スネア/タムではフィル・イン、シンコペーション等、手数の多い叩き方をしていますが、リズムが揺れる事もなく、彼女がライヴで全員をリードしています。しかも私は演奏中の苦労も分るので、ライヴでずっと笑顔でいるのが信じられません。最初演奏を聴いた時は、打ち込みでもこんなキックの連打はないだろうと信じられませんでした。本当の意味でプロです。
ギター二人が関西人ですが、私にとっては、ウィッシュボーン・アッシュを、もっと上手くした演奏だと思います。
特に Edge Of The World, Epilogueでの頻繁に変わるテンポと、ここぞという時の泣きのギター・フレーズが大変感動的です。バッキング・ギターのリフも気持ちの良い音なので、文句がないです。
もうひとつ、ライヴパフォーマンス向けの楽器を紹介しましょう。テルミン(etherwave-theremin-J)というレッド・ツェッペリンの映画で、ジミー・ペイジがビャーンとやってた楽器ですが、
これでバイオリンみたいな音程/ニュアンスをとるのは至難の技です。が、ここぞという時に、これをライヴで使うとカッコイイと思います。設置場所によっては磁界の影響で音が出ない場合があります。キーボードとかパソコンに囲まれた中では鳴りませんでした。MIDI機能についてはサポートされていません。HERETICの「Drugging For M」の中で、私も使っています。
はい。 PC 9801 VM2 640KBRAM (ComeOn RCM シーケンサー用)
Apple Macintosh Plus 4MRAM 200MHD (M,Jam Factory,Music Mouse,MAX用)
Apple Macintosh Performa 588 40MRAM 2.5GHD(ビデオ・キャプチャー、CD-ROMオーサリング用)
EPSON VA516V Pentium 166MHz 48MRAM 2GHD (ビデオ、HTMLデバッグ用)
「1984-88/HERETIC」(Belle Antique9457)
「弥生幻想/HERETIC」(Belle Antique96302)
「Drugging For M/HERETIC」(Belle Antique97350)
13.この世に宅録がなかったら何をしていると思いますか?
消去法でライヴ活動かスタジオ・セッション。
14.現在使用機材を教えて下さい。
Keyboard & synth module:
Korg DSS-1 * 2
DSM-1,
M3R,
Roland U-110,
R-8M,
TD-7 & Pads,
Oberheim Matrix-1000,
DPX-1,
E-Mu Vintage Keys Plus,
Yamaha RX-11
Effector:
Roland DIMENTION D,Yamaha SPX90,SPX50D,Korg SDD-1000,BBE 462,ZOOM 9150,SansAmp PSA-1,Lexicon Jam Man,Behringer EX-1,EX-3100
Console (Mixer)
TASCAM M-224,
BOSS BX-16
Recorder:
Fostex E-16
ソフトウエアはCome On Music RCM-PC98並びに、M,MAX,Music Mouse,Jam Factory,Up Beat,Oval Tune,Hyper MIDI,HookUp!,Cybernetic Composer,Band In A Box,MiBAC,Master TrackPro5,Performer,Vision,Alchemy,Sound Designer等その時々によって使い分けています。
あと、各メーカーさんと代理店の方から、録音時には色々機材をお借りしています。
さて、HERETICとは京都在住の河原博文氏が主宰するプログレッシヴロックのユニットなのだが、昨年末に発表したアルバム「弥生幻想」はパソコン用のデータを併せて収録したエンハンスドCDとしても注目の作品だ。今さらこうしたデータ付きのCDは珍しくもなんともないのだが、このアルバムには様々なMIDI関連のソフトやデータが大量に収録されているのだ。
本誌読者にはおなじみのSinger Song WriterやKoan Pro等のデモ版に始まり、何とカモンミュージックがこのアルバムのために特別に制作したというMIDIプレイヤーまで入っているではないですか!更にあのカメオインタラクティブのホームページが全て(約100MB!!)入っているということで、我々コンピュータミュージックマニアとしては無視できない存在であることは間違いない。
もちろんHERETIC自身のホームページやビデオ画像、プロフィール等も入っているし、更にはMIDIデータ(半端な量じゃないョ)やシンセのパッチデータも収録しているというまさに我々が待ち望んだ形態でのCD-ROMであるといえる。肝心の音楽については、タイトルからイメージされるように日本的なイメージを持った作品で、とても聴きやすい。私は評論家ではないので、その辺は専門誌にまかせるとしよう。
その弥生幻想から半年も経たずにリリースされるアルバム「Drugging for M」もまた強烈だ。前作ではWindowsのみであったCD-ROM部がハイブリッドになり、Macでも楽しめるようになった(データ部分約350MB!!)。そしてMacintosh用の名作カルトソフトMやJam Factoryも駆使したというその作品はまさにコンピュータミュージシャン必聴の1枚だ。ちなみに「Drugging for M」は3月25日に発売予定なので、興味があれば前作と併せてレコード店に買いに行こう。多分パソコンショップでは売ってないぞ。
というわけで今回このHERETICのリーダーである河原氏にお話しを伺ったので、以下のインタビュー記事をご覧あれ。
-早速ですが、使用している主なソフトやコンピューターについて教えていただけますか?
K: 作曲には主にPC 9801 VM2とMacintosh Plusを使用しています。
またMacintoshPerforma 588やEPSON VA516Vをビデオ・キャプチャー、CD-ROMオーサリング、HTMLデバッグ等に使用しています。
ソフトウエアはCome On Music RCM-PC98並びに、M,MAX,Music Mouse,Jam Factory,Up Beat,Oval Tune,Hyper MIDI,HookUp!,Cybernetic Composer,Band In A Box,MiBAC,Master TrackPro5,Performer,Vision,Alchemy,Sound Designer等、その時々によって使い分けています。