【川崎大輔のアセアン自動車ニュース】マレーシアの国産プロドゥア、中古車販売店を開設へ | アセアン自動車流通大陸@川崎大輔

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ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)は、今年下半期にも中古車販売店を開業する計画だ。

 

(記事抜粋)

『新車販売が厳しい状況にあって、消費者の選択肢を広げる同社の戦略の一環。プロドゥアは今年、昨年の4億9,200万リンギを上回る5億5,700万リンギの資本投資を計画している。

 

同社の全国規模のカーニバルに出席したアミナル・ラシド・サレー社長兼最高経営責任者(CEO)は、「今年が厳しい年になることは認識しており、引き続き手頃な価格の自動車を製造すると共にアフターサービスなどに力を入れていく」と言明。成長が期待できる分野の一つとして中古車販売を挙げた。』

 

http://www.malaysia-navi.jp/news/?mode=d&i=5975

 

 

 

マレーシアには中古車関連の業界組織はなく中古車市場規模の統計データがないため正確な数字は分かっていない。マレーシア国産メーカーでのヒアリングによれば、中古車の年間登録台数は新車販売台数(約66万台)の約80%(=53万台弱)と見積もられている。登録(名義変更)は、エンドユーザーに届くまでに平均1.5~2回行われており、実際の中古車小売台数は、およそ27万~35万台と推測される。

 

マレーシアにおける中古車の流通は、新車ディーラー、中古車販売店、オークションの3つの流通経路で取引が行われている。

 

新車ディーラーはまだ販売規模が少なく積極的な中古車の小売りは行っていない。新車の乗り換えとして手に入れた中古車は中古車販売店へ卸売りをしている状況だ。現地のディーラーへのヒアリングでは小売:卸売=1:9であった。一方で自動車メーカーとしてトヨタが2000年に“Top Mark”という認定中古車のブランドを立ち上げ、2012年にプロデゥアが2番目のメーカー認定中古車制度を立ち上げた。まだ数は少数ではあるがメーカー認定の中古車が市場に流れ始めたようだ。

 

中古車販売店はマレーシア中古車流通市場のメインプレーヤーであり、およそ5000か所程あるのではないかと言われている。エンドユーザーへの小売がメインとなるが、他の中古車販売店に対しての卸売りも行っている。仕入の多くは新車ディーラーからだが、一般ユーザーやオークションからの仕入、中古車販売店同士での交換もある。中古車販売店の集客は、ネットサイトと自動車雑誌が多く利用されている。一般的にエンドユーザーはネット、雑誌などで興味がある中古車を確認した後、中古車販売店で現車を確認し購入するというステップを踏んでいる。

 

 

オークションは、およそ20~30か所あり、それぞれ毎月300~400台の取引が行われている。多くは銀行などの金融差し押さえの中古車が流通している。エンドユーザー同士での個人間取引もネットサイトやこのようなオークションを通じて行われている模様だ。

 

自分は、「アジアの新車ディーラーで中古車販売していくという動きを広げていく必要性」を重要視している。アジアの国々では自動車メーカーが中古車販売に力を入れていない。日本でも1970年代は同じで中古車ビジネス、修理・整備などのアフタービジネスに関心がない時代があった。新車ディーラーの収益安定、発展にとって、新車販売だけではなく中古車を下取り小売りするということが重要だ。長期的にみれば自動車メーカーにとっても、新車ディーラーが経営体として強くなることで新車販売が拡大する。つまり中古車流通が健全化されるということは、新車の販売につながる。そういった循環(バリューチェーン)にようやくプロドゥアが重い腰を上げたと言える。

 

ただ、一つ言えるのは、新車ディーラーの人間がそんなに中古車はできない。また、中古車の買取にも新車のように全て同じではない、一物一価の中古車価値を算定していくことが必要になる。新車を販売するより、中古車を販売する方がレベルが格段に高い。こういった課題をどのように克服していくのか、個人的に興味を持っている。

 

 

 

<川崎大輔 プロフィール>

 

大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLC にてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。専門分野はアジア自動車市場、アジア中古車流通、アジアのアフターマーケット市場、アジアの金融市場で、アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア研究センター外部研究員。