インドネシアの北ジャカルタにある大規模中古車センター、WTCマンガドゥアは2016年の中古車販売台数が3万8,000台だったと明らかにした。比較的安価な新型多目的車(MPV)が好調なことに加え、配車アプリの市場拡大を背景に、ここ数年間の売り上げを堅調に伸ばしている。ビスニス・インドネシアが伝えた。
(記事抜粋)
『 WTCマンガドゥアのヘルヤント・マネジャーは、全購入者のうちで配車アプリサービスの営業用としても利用を考えている購入者は2割ほどいると説明した。購入者が比較的若年層であることも中古車市場の特徴だと述べた。
MPVは販売台数全体の5~7割を占める。MPVの新車市場が好調で、買い替えた購入者が手放した旧型MPVが出回ったことで中古車市場が活性化した。供給量が増えたことで中古車の売り手からの買い取り価格は低下傾向にあるという。
ヘルヤント氏によると、ジャカルタ特別州内には少なくとも400社の中古車ディーラーが存在している。
WTCマンガドゥアの15年の中古車販売台数は3万7,000台。14年は3万5,000台だった。』
http://www.nna.jp/articles/show/20170118idr005A
インドネシアの中古車流通の実態は、一般的に、日本の中古車販売店ではオークションから仕入れをする。一方インドネシアでは、多くをブローカーから仕入れをする。つまりブローカーネットワークの大きさと質がビジネスの強みとなる。
オークションは存在するが、販売店が積極的にそこで売買をする習慣は日本ほど根付いていない。日本と異なり、自動車メーカーがまだ中古車に目を向けておらず、中古車買い取り専門店も存在しないため、ブローカーがまだ活躍できる市場があるからだ。
インドネシアのブローカーは、都市から地方への中古車流通を担っているという点で重要な存在である。地方のエンドユーザーは、購入したい中古車がある場合、近所の中古車販売店に希望を伝える。中古車販売店は地元ブローカーに条件を指示。地元ブローカーは信頼できる都市のブローカーに連絡して、都市の中古車販売店で希望の中古車を見つけるという流れになっている。都市で仕入れられた中古車は、それぞれの販売店・ブローカーで中間マージンを加算されながら、最終的に地方のエンドユーザーの元に届いていくのである。
インドネシア国内の1000人あたり保有台数は日本の約600台に対して約80台前後だ。インドネシアにおける自動車普及率はまだ低く、拡大する余地は大きい。インドネシアの中古車市場はまさに黎明期にある。
配車アプリによって、純タクシーかによる個人営業車のマネタイズが可能になったことで、中古車販売量が増えたというのは、大変興味ふかい事例だと思う。
ブローカーの介在によって、地方にもさらに中古車が流通する流れが加速していくだろう。
<川崎大輔 プロフィール>
大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLC にてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。専門分野はアジア自動車市場、アジア中古車流通、アジアのアフターマーケット市場、アジアの金融市場で、アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア研究センター外部研究員。