私、川田龍平が所属している、「NGO・NPOの戦略的在り方を検討する会」では、2018年の設立以来、難民支援や震災復興、貧困支援など国内外の社会課題解決における「高度なスキルを有する専門家集団」としてのNGO・NPOの育成が、社会課題の多様化・財政制約に直面する政府に欠かせないとの問題意識で活動現場の声を伺い議論を積み重ねながら政府への提言を行ってきました。



一方で、特に国際協力NGOに関しては、朝鮮半島有事、台湾有事などの可能性がささやかれる中で、こうした局面においてはポストコンフリクト支援において日本政府として実施しづらい事態が生ずる可能性も排除できない現実があります。

(注:例えばアメリカにおいては、ガザ地区の支援など政府が前面に立ちづらい場面でNGOが実施の役割を担っており、その調整のためNSC(国家安全保障会議)との定例会議も行われている。)

 

こうした事態を踏まえ、また日本国の国際協力NGOの活動実態が国際的にみても比較的小規模にとどまっていることを考えれば、NGOのキャパシティビルディングが急務となっています。

 また、2020年以降のコロナ禍による人的移動の制限にともなう本邦国際協力NGOの活動量の低下や、ウクライナ・東アジアをはじめとする国際情勢の変化など、様々な環境変化を考えたとき、今後日本において国際協力NGOのキャパシティを強化していくためには、資金、人材、活動領域のそれぞれの観点において政府による一層のコミットメントが必要な状況となっています。

 以上の環境を踏まえ、「NGO・NPOの戦略的在り方を考える会」として、人道支援において現在日本の国際協力NGOが直面している課題に関連し、より戦略的かつ効果的に活動を展開していくため以下3点について提言を致しました。



1.    戦略的な人道支援の実施

●限られた予算の中で、短期間に大規模な資金投入が必要となる人道支援において、特定の国・地域や活動分野でトップドナーとしてイニシアティブを発揮する等、戦略的に集中した資金投入を行い、日本の支援のプレゼンスと効果が広く可視的になるようにする

 

2.    NGOとの政策対話とジャパン・プラットフォームを通じた人道支援の強化

●平時より、人道支援における政府とNGO間の政策対話のチャネルを作り、国際的慣行を踏まえた効果的なプログラム・事業形成と実施を推進する。

●中長期化する人道危機の増加に対応するためジャパン・プラットフォームの通常予算拡充を行いつつ、一定の質で支援を効率的かつ効果的に展開可能なNGOとのパートナーシップを通じた支援を拡大する。

●「技術協力」と「自然災害の緊急援助」をマンデートとするJICAの役割を改めて整理し、「緊急支援」が主たるマンデートとされているジャパン・プラットフォームが担うべき支援の規模を拡大する。

 

3.    人道危機発生地域(ウクライナ等)への邦人渡航について

●人道危機の発生するウクライナ等での人道、さらに復旧・復興支援を大規模に進めるに際しては、邦人職員が他の国籍の職員と同様に、政府資金でも現場に渡航し留まることができなければ、現場で権限を持つ各国際機関や他の人道支援機関と連係・調整の上で大規模な活動を展開することはできない。また、日本の人道支援の質の低下にも繋がる懸念がある。そこで、政府も人道・復興支援に注力するウクライナでの今後のNGOによる人道、復旧・復興支援展開にあたり、政府資金でもNGO邦人職員の必要な渡航、駐在を可能とする。                                      以上

いのちを守る参議院議員 川田龍平 拝