第28回日本生命倫理学会 年次大会のシンポジウム、「臨床研究 日本は「被験者保護」先進国か?〜「生命倫理学」の果たす役割〜に、シンポジストとして出席してきました。

 

今回は、〝被験者の保護〟をテーマにお話しをさせていただきました。

 

 

 

 

ディオバン事件が世の中で大きく取り沙汰され、私は、臨床研究における被験者の保護に関する法案の国会での成立を目指して、懸命に動いてきました。

 

様々な方々の協力をいただきながら、『臨床研究の実施の適正化等に関する施策の推進に関する法律案』をつくり、提出をしたものの・・・。そこからが長く、二年間もの長期にわたり、なかなか進まず、棚ざらしにされてきました。現在、閣議決定がなされ、ようやく一歩進めることができました。

【臨床研究法案がついに国会に提出されました!】

http://s.ameblo.jp/kawada-ryuhei/entry-12160062708.html

 

 

 

 

HIVについて、母を通じて、感染していることの告知を受けた子どもの頃。治験の一環として、新しい薬の投与を受け、その効果は研究データとなりました。
当時は子どもに対するインターフェロン等の投与の事例はなく、様々な不安の中でそのような治験を受けてきましたが、「薬を早く使いたい」、「安全に使いたい」という患者の気持ちを自分自身が身をもって経験してきました。だからこそ、臨床研究が行われる中で、被験者の保護の重要性を、議員になった当初から訴え続けてきたのです。

 

 

 

 

 

世界の中でも、日本の被験者保護の取り組みは、遅れをとっています。一緒に登壇したシンポジストの方々からも説明がありましたが、例えば、イギリスでは中立的な倫理審査機関があるのに対し、日本ではまだありません。被験者の保護ということの概念もまだ十分浸透していないと言っていいでしょう。

 

 

▲大阪大学で開催された学会。出席したシンポジウムでは、進行役は、大阪大学医学部付属病院の山本洋一さん、国立生育医療研究センターの掛絵直子さん。シンポジストは、私の他に、写真右から、滋賀大学の位田隆一さん、弁護士(すずかけ法律事務所)の鈴木利廣さん、東京大学医科科学研究所の高嶋佳代さんでした。

 

 

会場の参加者の方からの質問タイムの中で、被験者の保護を進めるための法整備について、もっと直接的に議論されないのはなぜなのでしょう?という、「〝被験者保護〟をより前面に出してほしい」との希望を込めたご質問をいただきましたが、「被験者保護のため」と言っても、様々な抵抗が実際にはあります。そのような中で、「研究の推進のため」という視点も上手に含めながら、整備を一歩一歩進めていくことが現実的だと思っています。

 

私が中心となって進めてきた法案が、今、ようやく閣議決定というハードルを超え、次のステージに進み、動き始めています。このように整備が少しずつ動いていくことは、何より過去の事件の重さが風化していってしまうことを、防いでくれる役目も果たしてくれる、と信じています。ディオバン事件のことを覚えていますか?ともすれば、一過性のものとなってしまうことを防ぎたいという気持ちも、強くあるのです。

【ついに厚労省が踏み切った!ディオバン問題で刑事告発】

http://s.ameblo.jp/kawada-ryuhei/entry-11746343204.html


まだまだ完全な法整備は整っているとは言えない現状は確かにありますが、だからこそ、みなさんの力が必要です。みなさんの注目や、声が、事態を進展させる大きな力になります。

 

 

 

 

無所属の議員としてスタートした頃から、臨床研究の中での、被験者の保護を守るための勉強会を、ずっとずっと続けてきました。様々な環境の変化がありましたが、これからも被験者の保護を訴え続け、気運をより高めるために、もっと進み続けていきたいと思っています。

 

お越しいただいた皆さん、今日は本当にありがとうございました。今後も応援をよろしくお願いいたします。