本日の参議院厚生労働委員会は午前中、総理入りで労働者派遣法の審議を行い、午後は年金問題についての委員会が開催されました。
 私の質問は以下の通りです。

 


○川田龍平君 川田龍平です。
 総理、体調は大丈夫でしょうか。大変、同じ難病患者として体調を心配しております。しっかり質問させていただきますので、答弁よろしくお願いします。
 総理、今回の法改正については、派遣労働者を増やす意図はないと塩崎大臣は明確に答弁されていますが、総理も今回の法案で派遣労働者の割合は増えないと考えているということでよろしいですね。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、今回の改正案の前提として、これまでも答弁しているとおり、派遣労働者を増やすべきだとは全く考えておりません。
 働き方が多様化する中で派遣という雇用形態を選択する方があり、育児などで仕事から離れていた方が職場復帰のステップとしてまず派遣という形で仕事をスタートする場合もあります。派遣労働者の数は、景気や雇用情勢、労働者の意向など様々な要因を受ける、影響を受けるものでありまして、一概にこのようになると断定することはこれは難しいわけでありますが、正社員を希望する方にはその道が開かれるようにしなければならないと考えております。
 このため、今回の改正案では、派遣元に対して、派遣期間が満了した場合、正社員になったり、別の会社等で働き続けることができるようにする措置や計画的な教育訓練を新たに義務付けるなど、派遣就労への固定化を防ぐ措置を強化することとしております。こうした取組によって、働く方の希望に応じた働き方が実現できる環境を整備していく考えでございます。

○川田龍平君 これは増やすべきではないとお考えだということです。
 専門二十六業務の個人単位の期間制限による雇い止めの懸念について伺います。
 このうち、添乗員と放送番組等演出は、いずれも派遣法制定直後の一九八六年に法制化され、既に三十年余りたっていますが、高度に専門的な知識、技術を持っていて、独自の労働市場を形成しているから期間制限が不要と政府が判断したということで、三十年も確立した労働形態です。
 総理、このことについて、責任が政府にあるということでお認めいただけますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、この二十六業務の見直しの考え方についてでありますが、現行制度であれば、派遣先での受入れについて、専門的な二十六業務を除き最長三年という期間制限を設けておりますが、専門性が時代とともに変化する、対象業務に該当するかどうか分かりにくいといった課題があります。また、専門二十六業務については、これまで期間制限の対象外でありましたが、実際には八割以上が有期の雇用契約であり、雇用契約が終われば雇い止めの可能性がある上、キャリア形成の機会も乏しいという状況があります。
 このため、改正案では、現行の期間制限を廃止をし、全ての業務を対象とし、派遣労働者ごとの個人単位で同じ職場への派遣は三年を上限とし延長できない、派遣先の事業所単位で受入れ期間の上限を三年とした上で、延長する場合には現場の実態をよく知る過半数労働組合等からの意見聴取を義務付けるといった二つの期間制限を設けることとしております。

○川田龍平君 添乗員ですとか通訳ですとかそういった仕事は、三十年間これは社会の中で定着してきた仕事です。これも一律に合わせて、いきなり一時的だ、臨時的だということで切り捨てるのは、これは無責任ではないかと聞いているんですけれども、総理、これ全部一律になくすということは無責任じゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の改正案では、同じ職場で漫然と派遣業務が長期間続けられるのではなく、キャリアを見直す機会となるよう、派遣労働者ごとの個人単位で同じ職場への派遣は三年までとする期間制限の対象として、雇用が途切れないよう、派遣元に対し、派遣期間が満了した場合、正社員になったり、別の会社等で働き続けることができるようにする雇用安定措置を新たに義務付けることとしています。
 これによって、不安定な派遣就労に固定化するのではなく、雇用を維持しつつ、キャリア形成を図ることとしており、切捨てという指摘は当たらないと考えております。

○川田龍平君 じゃ、ちょっと大臣に聞きますけれども、この二十六業務全てが臨時的、一時的な働き方と言い切れませんよね。これ、個人事業主化すれば、請負となって直接指示を受けられないですし、短期契約社員化するならば、面接など採用手続がお互いに面倒になることも考えられます。
 放送番組等演出、またこの添乗員というのも、どの国でも社会に必要な仕事だと思いますが、例えばヨーロッパではどういう雇用形態になっているのか、調査していただくということでよろしいですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 放送番組などの演出とか添乗員などにつきましてヨーロッパでどのような雇用形態になっているかは現状ではまだ把握はし切れていないわけでありますが、例えばフランスにおきましては、労働契約は期間の定めのない契約を原則としておりまして、派遣労働等有期労働契約は労働契約の例外的なものとして位置付けられているということで、利用事由を限定した上で利用事由に応じた派遣期間を定めているものと私どもは理解をしているわけであります。
 また、ヨーロッパでは、業務の専門性に着目をして派遣期間に制限を設けている国は見られないために、委員御指摘の放送番組等演出や添乗員などに限定をしてヨーロッパでの労働者派遣制度の調査を直ちに実施するという予定はございません。
 いわゆる二十六業務の中で、放送番組等の演出は常時雇用される派遣労働者が多いわけでありまして、添乗業務においては常時雇用される派遣労働者以外が多いという違いがございますけれども、いずれにしても、キャリアアップ措置や雇用安定措置等によって派遣労働で働く方の雇用の安定を図ることが重要ではないかというふうに考えております。

○川田龍平君 これ、百歩譲って、譲ってですよ、二十六業務に期間制限を導入することとして、私は、この二十六業務の全てとは言わないまでも、附属的業務が分かりにくいといった課題がない一部の特別な業務に関しては、今回の法改正以前の派遣契約で働いている方については個人単位の期間制限の対象外とするよう法案を修正すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおり、今のこの二十六業務についての考え方についてはもう繰り返し申し上げてきたわけでございまして、そういうことで、例えばこの二十六業務の中で特に多いところの業務を持っていらっしゃるところに聞いてみて、どのようにこれからされるのかということを聞いてみて、一番多くやっぱり答えてきたのは、無期雇用にしていただいて派遣を続けるということで、その方々との関係を、そういう形の労働力を活用していきたいということを私どもは聞いているところでございます。

○川田龍平君 やっぱり、これはしっかり法案修正すべき内容だと思いますが、そこはしっかり修正をしていただきたいと思います。
 二十六業務で働く派遣労働者の数が、二〇〇九年から二〇一〇年の一年間に九十万人から七十五万人へ激減しています。この原因、大臣はどのように分析していますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) この減少の理由は二〇〇八年の秋にリーマン・ショックがあったわけであります。この影響がもちろん考えられまして、いわゆる二十六業務で働く方を含めた多くの非正規で働く方々が雇い止めに遭ったわけでございまして、また、二〇一〇年の二月に実施を、これ民主党政権のときでありますけれども、専門二十六業務派遣適正化プランというのがあって、これも影響しているとの指摘があると理解をしております。
 しかし、これ、いずれにせよ、派遣で働く方の数は景気や雇用失業情勢のほか、多様な働き方を希望する労働者の、働く方々の意向など様々な要因によって影響を受けるものでございますので、一概に何が一つの原因かということで決め込むことはなかなか難しいというふうに思っております。

○川田龍平君 この十五万人の二十六業務だった方々は、その後どうなったんでしょうか。これ失業してしまったのか、また非正規でも正規でも直接雇用になったのか、それぞれの割合はどの程度だと把握していますでしょうか。

○政府参考人(坂口卓君) 今御質問ございました、この御指摘の十五万人であった方のその後の状況ということでございますが、この十五万人の方々全てにつきまして、その後の動向ということを把握しているわけではございません。
 したがって、そういった意味での正確な数値を申し上げることは困難でございますが、先ほどの中でもありました、一つの目安としましては、二十二年の三月から四月にいわゆる専門二十六業務の派遣適正化プランということを行っております。集中的に指導監督等を行っておりましたが、そういった指導監督の結果、是正指導されました事業主におきまして、派遣労働者のその後の状況の確認を確認したという状況についてはございますので、御参考までに申し上げますと、派遣先へ直接雇用された割合が二一・二%、適正な派遣請負等による雇用継続というのが七三・四%などということで、その後も雇用が維持された方が九七・六%ということとなっておりまして、逆に離職、失業された方というのは二・四%であったという結果は調査結果としてあるということでございます。

○川田龍平君 大臣、そうしますと、これ通告していませんけれども、専門二十六業務の派遣適正化プランというのは良かったというふうに大臣判断しているということでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) いろいろな形態があって、必ずしも好ましくないケースがあったという意味においては、適正化という意味ではそれはそれなりに意味はあったのではないかというふうに考えております。

○川田龍平君 では、意味があったというのであれば、これはやっぱりちゃんと分析評価をしないと、こういった問題を変えるに当たって、特に法改正するに当たって、そういったことをやっぱりちゃんと効果を検証しておくべきだと思います。政策の実績はどうだったのかということを把握しないうちに別の仕組みに切り替えるというのは、これは朝令暮改ということになりますので行き当たりばったりで、先ほども意見ありましたけれども、当事者の意見を聞いてやっぱり十分に練られた法案とは私はこれは到底思えていません。労働現場の実態を丁寧に把握しないままに、経営者側の意向だけを聞いてこの法改正に突き進んだのではないかと思います。
 部長答弁を聞いていても、今までこの厚生労働委員会で発言してきた答弁、ずっと一貫して聞いていても、労働官僚としての誇りはどこに行ってしまったのかということをやっぱり感じざるを得ません。全くこの派遣業者の方に魂を売り渡してしまったのではないかということを感じております。
 この適正化プランという政策評価を行うなど、しっかりPDCAサイクルを意識した取組を行って、労政審での議論に資する政策評価を労働行政は日頃から行うべきではないかと考えますが、これ、総理、是非、そう思いますが、どう思いますか、決意をお述べください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 厚生労働行政は、国民の生活や健康に直接関わるものであり、その実施状況について常に自己点検を行い、不断の見直しを行っていくことが重要であると考えています。このため、政策目標を明確にした上で、有識者の意見を伺いながら、目標に沿った効果が得られているかを検証し、これを政策に反映させる政策評価等の取組を行っているものと承知をしています。
 また、労働分野においては、一般的に、現行制度の実態把握を行い、それらに基づき、公労使の三者で構成される労働政策審議会において審議を行った上で、必要な制度見直しを行っているところであります。
 引き続き、このような取組を適切に実施をし、委員が御指摘をされたようなPDCAサイクルをしっかりと回すことによって、国民への説明責任を果たしながら、効果的、効率的な行政を推進していきたいと考えております。

○川田龍平君 大臣、時間がありませんので、端的に均衡か均等かだけ答えていただきたいと思いますが、大臣、派遣先において派遣労働者だけに忌引休暇がないケース、これは均衡か均等か、それだけ、均等か均等かだけちょっと答えてください。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは均衡の問題だと思います。

○川田龍平君 これ、均等にやっぱり与えるべきだと思います。これからの派遣労働を考えるときに、均衡だけではなく均等待遇の実現が絶対に必要だと思います。私、今回の審議を通じて痛感しております。その担保がされないままの今回の労働者派遣法の改正であるということには、大変これは許されるべきではないと思っていますが、派遣労働者には忌引さえないという参考人の発言がありました。私は、この発言、大変重いと思っております。
 これ、総理にも是非聞いていただきたいんですが、正社員であれば、御親族が亡くなった情報が社内に流されますが、何年勤務しても会社のメンバーとして認めてもらえない派遣労働者にはそれもありません、派遣労働者も人間です、家族がいます、それは正社員と変わりません、しかし、忌引がないということは、人間扱いされていないことだと思います、派遣労働者のみならず、その家族も物扱いなのです。この発言を私は大変重く受け止めております。
 この労働者の声を、これを大臣聞いてどう思いますか。それを是非、一言だけ答弁いただけますか。

○委員長(丸川珠代君) 申合せの時間を過ぎておりますので、おまとめください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 忌引休暇は、企業が働く方に付与することが法律上義務付けられているわけではありませんが、一般企業における福利厚生の一環として実施されているものでありまして、派遣先においては忌引休暇が実施されている場合であっても、そこに派遣される方については派遣元が忌引休暇の有無を定めることから、同じ職場で違いが起こることがあり得るわけでありまして、本人や親族の心情を考えると胸が痛むところであります。
 ただ、現行の労働者派遣法では、派遣元において福利厚生について派遣で働く方と派遣先の労働者の待遇の均衡に配慮すべきこととしております。この観点から、派遣元では均衡の取れた範囲で派遣で働く方にも忌引休暇を認めることが望ましいと考えています。
 今回の改正案では、これに加えて、賃金、教育訓練及び福利厚生の面で派遣先の責任を強化するなど、派遣労働者と派遣先の労働者との均衡待遇を進めることとしておりまして、派遣で働く方の待遇の改善のため、現行法も含めて改正案の趣旨について周知徹底を図っていく考えであります。
 

 

ここからは午後の質疑になります。

○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。
 まさにこの年金問題、年金集中の問題は、やはり検証委員会の甲斐中委員長にもしっかり出席していただいて、引き続きまたこの年金問題についてやらなければいけないということをまず冒頭申し上げてから質問に入らせていただきます。
 四月二十二日の厚労省へのサイバー攻撃に関して伺います。
 五月に行われた一連の年金機構への攻撃との共通点について伺います。不審な通信先のドメインが共通だったとのことですが、標的型メールの送信元IPアドレスやサーバーなど、ほかに共通点を確認していますでしょうか。

○政府参考人(安藤英作君) お答え申し上げます。
 共通点につきましては、今先生の方から御指摘がございました不審な通信先のドメイン名が基本的に同じであったということ、また、この裏返しということになりますが、使われておりますマルウエアによって生じます事象が一定のアクセス先に通信を試みようとする点、こういった点で共通をしていたというふうに理解しておりますが、それ以外の点につきましては特段共通するものはなかったと考えてございます。

○川田龍平君 これは、NISCとしても特にこういった共通点というのは確認していないということでよろしいでしょうか。

○政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。
 今厚労省の方から御答弁ございましたように、接続先のドメインについて、四月二十二日に検知したものとサブドメインのみが異なるものが五月八日に検知したものに含まれております。また、どちらも同じタイプのマルウエアによるものであるというふうに認識しております。

○川田龍平君 この受け取った標的型メールは一通だけでしょうか。四月に厚労省全体が受け取った標的型メールは、組織的な攻撃がうかがえるような多数だったのでしょうか。安藤審議官。

○政府参考人(安藤英作君) メール自体は複数だったということでございます。そのうち二通につきましては、受信し開封をしたということでございます。

○川田龍平君 多数ということでしょうか。二通だったということでしょうか。

○政府参考人(安藤英作君) 多数ではございません。複数でございました。

○川田龍平君 これ、二通ということですか、それとももっと多いんですか。だから、何通あったんですか。

○政府参考人(安藤英作君) 受信できなかったものが幾つかございましたが、受信できたものは二通でございます。

○川田龍平君 いや、開いたのではなく、届いたものがですよ、何通かと。

○政府参考人(安藤英作君) 受信できたものは二通でございます。

○川田龍平君 ちょっと、それ納得いかないんですけれども、次行きますが、ちょっと後でまたこれ引き続き検証していただきたいと思いますが。
 これ、四月二十二日以外に、今年に入ってからNISCは厚労省に何件の不審な通信の通知を行っていますか。NISCの方です。

○政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。
 NISCにおきましては、不審な通信を検知をした場合に、各省庁に対してインシデントの可能性ありという場合に通知をしているわけでございますけれども、今ちょっと手元に資料がございませんが、私の記憶では今年度におきまして五件であったと記憶しております。

○川田龍平君 その五件、それらについては通信先ドメインなど共通点はありましたでしょうか。

○政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。
 ちょっと今手元に資料がございませんので、改めて私どもの方で調査をしてみたいと思います。

○川田龍平君 安藤審議官、いかがでしょうか。

○政府参考人(安藤英作君) 今年度、NISCから通報があった件でございますが、御指摘の既にされております四月二十二日と五月八日の同じドメイン名という以外にはなかったと考えてございます。

○川田龍平君 NISCは五件と言っているんですけれども、厚労省は二件しかないということですか。

○政府参考人(安藤英作君) 他は同じドメインではございませんでした。

○川田龍平君 そのほか共通点はございませんでしたか。

○政府参考人(安藤英作君) 特に私どもの方では共通点は関知しておりません。

○川田龍平君 結局、四月二十二日までの対応が既に不十分だったと、国民の大事な個人情報を預かる役所として全くサイバーセキュリティーに対する備えが不十分だったということがこれまでのずっと審議でも明らかになっているわけですが、このような厚労省の不作為、お粗末な対応について大臣の責任は極めて重いと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 情報政策担当参事官室と統計情報部の担当者レベルでしか五月八日にはこの四月二十二日の事案とドメインが共通しているという事実を認識できなかったわけでございまして、この際には、サブドメインのみならず、ドメイン単位での遮断をその担当者レベルで判断をして行っておりますけれども、その後展開される事態の予兆という捉え方ができなかったということでありまして、これは厚労省としても、そもそもその担当者レベルでその上に上がらないという基本的なミスをしているわけでございまして、そういう意味で、この八日の時点で、この一連の対応によって機構からの不審が止まったということで、そこでまた一区切り付いたというまた安心感を持ってしまった、このことも問題でありまして、これらは検証委員会にも明確に書かれているとおりでございまして、厚生労働省としてもちろん、結果として個人情報が大量流出するように、さっき津田先生のときにも申し上げましたが、備えは機構においても厚労省においても大変問題があって、極めて脆弱だったということでございますので、その責任は、もう繰り返し申し上げているとおり、私どもにもあるということは間違いないということでございます。

○川田龍平君 これ、何度も予兆という言葉を言うんですけれども、予兆じゃなくて、もう既に厚労省に四月二十二日の時点で攻撃が来た時点から始まっていたと思うんですけれども、これどうして予兆予兆と言うんですかね。
 これ、機構の問題だけじゃなくて厚労省全体の問題だということを認識しているのかどうか、大臣、もう一度伺いたいと思いますが。

○国務大臣(塩崎恭久君) 予兆という言葉は、これは甲斐中委員長がお使いになったので、それを引用しているということでございまして、ただ、それが完全に機構に来た、マルウエアの結果として感染をする原因になったもの全てではなかったということでありますけれども、また検証委員会でも、この四月二十二日にドメイン単位で遮断をしておけば五月八日の一部は守れたんじゃないかということが明確に書いてあるわけでございますので、もちろん、ですから、四月二十二日と五月八日以降のことが全く関連がないということではないことは、これはもう検証委員会の報告でも明らかなところでございます。

○川田龍平君 それでは、次の質問に行きますけれども、七月十四日にハローワークシステムの職員端末一台がマルウエアに感染していた問題について伺います。
 個人情報のこれ流出はありましたでしょうか。

○政府参考人(生田正之君) お答えいたします。
 ハローワークシステムにつきましては、本年七月十四日に不審な通信を確認いたしまして、七月十五日に職員端末の一台がマルウエア感染をしていたことが判明をいたしました。
 七月十七日に、端末のマルウエア感染と、その時点で個人情報の流出は確認されていないことにつきまして公表させていただきましたけれども、その後、感染した端末につきまして詳細な調査を行いました結果、個人情報の流出ですとか、あるいはその可能性をうかがわせるような形跡は確認をされませんでした。
 なお、この事案のほかには、そもそもマルウエア感染が確認されたことはなくて、これまでハローワークシステムからの個人情報の流出自体は確認をされておりません。

○川田龍平君 これは、感染した端末上には個人情報はあったのでしょうか。また、フォレンジック調査はいつからいつまで行ったのでしょうか。

○政府参考人(生田正之君) 個人情報が入っていたかどうかの点につきましては、まず職業紹介に使う、業務に使用する情報が入っておりましたけれども、その詳細を申し上げますと、どの部門にどのような情報が入っていたかということにつきまして推認させることもあって攻撃者を利するおそれもございますため、恐縮でございますけれども、お答えできません。
 それから、フォレンジック調査、委員御指摘のようにフォレンジック調査をさせていただきました。これにつきましては、マルウエア感染が判明いたしました後、調査をいたしまして、最終的に結果が分かりましたのが七月三十一日でございまして、そこまでの調査でございます。

○川田龍平君 これはいつから行ったんですか。

○政府参考人(生田正之君) お答えいたします。
 七月十四日に不審な通信が判明したわけですけれども、最初に記者発表した段階から並行してフォレンジック調査の依頼をしておりまして、七月十四日から調査を開始をいたしております。

○川田龍平君 これ、調査、二週間でできたということですね。
 この監視機能の有無について伺いますが、NISCはハローワークシステムを常時監視していますでしょうか。

○政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。
 NISCにおきます監視の対象については基本的には明らかにしておりませんが、NISCにおきましては、GSOCセンサーを各府省の情報システムのインターネットとの接続口に設置をし、不正な通信等を監視しております。もう少し具体的に申し上げますと、厚生省の統合ネットワークからインターネットの出口の部分についてNISCが監視をしているということは申し上げられるかと思います。

○川田龍平君 それでは、その厚労省の方は、ハローワークシステムにはSOCというものはないのでしょうか。

○政府参考人(安藤英作君) 厚労省の統合ネットワークの方にSOCがございます。そこで不審な通信等の監視を行っているところでございます。

○川田龍平君 このハローワークシステムにはSOCはないのでしょうか。

○政府参考人(生田正之君) SOCが備わっているかどうかにつきましては、攻撃者を利するおそれがあるために、今の段階ではお答えできません。恐縮でございます。

○川田龍平君 このことについては、七月の二日から私が理事会に資料提出を求めてきましたが、ところが、昨日の段階で、厚労省からサイバー攻撃側に情報を悪用されるおそれがあるから回答できないと連絡を受けました。国会答弁をこれ悪用するようなハッカーなんているわけないじゃないですか。こんな間抜けなハッカーがいるわけないですよ。だったら、なぜ七月十七日に中途半端な公表したんでしょうか。しかもその後の対応が年金機構と比べても極めて不透明でよく分からないと。
 確認ですけれども、ハローワークシステムがマルウエアに感染したのはこれが初めてなんですね。

○政府参考人(生田正之君) マルウエア感染が確認されたのは本当に初めてでございます。

○川田龍平君 これ、大臣、再発防止策についてどのような取組を行うつもりでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 不審な通信を確認したこの七月十四日から、ハローワークシステムの職員端末についてはインターネット及び外部メールからの遮断を既に実施をしております。今後も当然これは継続をしていくということにしておるわけでございます。
 また、個人情報を扱う場合のパスワードの設定など、個人情報の適正な取扱いについては、従前よりハローワークシステムを使用する全職員に指示はもちろんしておったわけでございますけれども、改めて今般の事案を受けてその徹底を指示をし、これは七月の二十四日にメールでもって全員に指示をしたというところでございます。
 今後とも、標的型メール攻撃に関する効果的な訓練の実施、これは先ほど来出ておりますけれども、幹部から一般の職員に至るまで、日々高度化するサイバー攻撃に対処できるように、技術面での情報セキュリティー対策についても万全を図らなければならないと思っておるところでございます。

○川田龍平君 この問題は、年金機構と全く同じで、フォレンジック調査で痕跡が見付からなくても情報流出の可能性は完全には否定できないんです。ハローワークシステムに対する早急なサイバーセキュリティー対策を求めます。
 続いて、医療保険者、介護保険者のサイバーセキュリティーについて伺います。一か月半も前の七月十四日に私がこの対応状況を尋ねたところ、七月二十二日に取りまとめるとのことでした。医療や介護の個人情報の流出は国民にとって極めて深刻な問題です。
 取りまとめが遅れている現状について、どうなっているのか、御説明ください。

○政府参考人(唐澤剛君) 要点のみお話しさせていただきます。
 物理的な基幹システムとインターネットの切断等につきまして、先生御指摘のように、六月十七日に要請をして、そしてその後対応状況の調査をお願いをいたしました。これは、七月の下旬に締切りをお願いをして回答をお願いをしましたが、六千六百九十九の団体が医療、介護でございます。この団体から、八月三十一日現在で六千六百七十五団体の回答をいただいておりますが、この中に、その記入内容を文書で御記入をいただいたり、あるいはまだ未提出の団体もございますので、こうした督促や集計、精査等を現在行っているところでございます。
 この集計、精査が完了次第、適切な形で公表させていただきたいと考えております。

○川田龍平君 これがまだ終わっていない段階でこのマイナンバー法の改正案が可決、成立してしまったことは大変残念です。国民の情報流出、医療情報の流出がとても心配です。
 これは、もう時間ですのでまとめますが、これらの保険者のサイバーセキュリティーについて厚労省は一体どこまで責任を持つつもりなのか。やっぱり取りまとめの結果次第ではこれしっかりNISCに協力を依頼することも検討すべきと考えますが、大臣に答弁いただけませんけれども、是非これ、しっかりNISCにも協力依頼をするように大臣に申し上げて、終わります。お願いします。
 ありがとうございました。