8月11日に開かれた参議院厚生労働委員会で、労働者派遣法について質問に立ちました。
私の質問は以下の通りです。

 
 
○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。
 先週、地方公聴会、そしてその直後に非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟の申入れを大臣にさせていただきました。その後、参議院の予算委員会がありまして、ちょっと大臣に要望をしていなかったんですけれども、大臣の方から出たいと要望が来ていたんですけれども、申し訳ありませんでした。それで、その後、発達障害支援議連の申入れなどをして、大臣も大変だなと思いながら、この質疑、本当に是非よろしくお願いいたします。
 厚労省としては、本当にこれしっかりいろいろやらなきゃいけないことがある中で、この派遣法の改正というのは、私もこれ本当に重要な法案だと思いますので、しっかり質疑させていただきたいと思っています。
 その中で、法案の審議に入る前に、今就活生の直面するブラック求人の対策の強化について伺います。
 これ、維新の党でもヒアリングさせていただいたのですが、NPO法人POSSEの今野代表が共同代表を務めるブラック企業対策プロジェクトというのが、七月十三日に、過労死された若者の御遺族の方とともに厚労省を訪れて、ブラック求人対策強化の申入れを行いました。
 亡くなった渡辺さんは、二〇一三年の九月、求人票には正社員とあった新卒求人をハローワークから紹介されましたが、試用期間の位置付けでアルバイト勤務するように求められ、過労死ラインを超える残業を強いられて、連続二十一時間勤務後の帰宅中にバイクで電柱に衝突し亡くなりました。二十四歳だったそうです。
 このように、ハローワークの求人票の労働条件が実態と異なる問題について、現在の是正指導は不十分だとして十一項目の申入れが行われましたが、現在この対応を検討しているということだと思いますが、これらの十一項目中、いつまでに、どれから取り組むつもりがあるのかを御答弁ください。

○政府参考人(生田正之君) お答えいたします。
 ハローワークでは、求人受理の段階におきまして原則対面で求人状況を点検するなど、求人内容の適法性あるいは正確性の確認に努めてございます。
 求人条件と実際の労働条件が違うといったような相談がございました場合には、全国のハローワークにおきまして迅速な事実確認等、それから必要な是正指導を行うほか、法違反のおそれなどがある場合につきましては、その求人の職業紹介の一部保留あるいは取消しといった取扱いを実施しております。
 今後とも、求職者の方が気になったときには遠慮なく御相談いただけるように、まず求人ホットラインなど相談窓口の周知を強化いたしまして、今申し上げたような対策を徹底してまいりたいと思っております。
 それから、今般行われました申入れを踏まえた対応でございますけれども、更に実効性のある取組を進めるためということでございまして、まず、時間外労働時間の点検につきまして、三六協定の確認を強化するなど、できるところから早急に取り組むということにいたしておりまして、今後どのような方策が考えられるかにつきましても、引き続き精力的に検討していきたいと考えてございます。

○川田龍平君 是非この十一項目についても一つ一つ聞いていきたいところですが、ちょっと今回、法案の審議に入らせていただきますので、また是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 厚労省としては、罰則を設けるということになると、求人企業が民間職業紹介に流れてしまうという言い訳をされているということもあるようですが、民間にもこれは同じ罰則を科せばよいのではないでしょうか。それに、もしハローワークだけ規制を強化すれば、むしろ就活生にとってはハローワークにやっぱり流れてくるのではないでしょうか。一人の若者の死を無駄にしないためにも、是非対策の強化をお願いいたします。
 では、法案の審議に入らせていただきます。前回に引き続き、期間制限について質問させていただきます。
 労働政策審議会の建議では、派遣元事業主は、無期雇用の派遣労働者を派遣契約の終了のみをもって解雇してはならないことを指針に規定すること、また、派遣契約の終了のみをもって解雇しないようにすることを許可基準に記載することが適当であることとされています。
 派遣契約は、景気の変動等による業務の減少で解約されることもあります。派遣契約が解約などで終了しても、派遣元事業主は無期雇用派遣労働者を解雇できません。次の派遣先が決まるまでの間の賃金の支払等が派遣元事業主の負担感につながり、無期雇用化が進まないという懸念がありますが、厚生労働省の見解を伺いたいと思います。

○政府参考人(坂口卓君) 今御指摘のような内容を許可基準等にも盛り込む中でございますけれども、今委員から御指摘ありましたとおり、無期雇用派遣の場合について、次の派遣先が決まるまでの間というのはまさしく派遣会社の方で雇用が続いているということでございますので、派遣元については賃金などの支払が必要になるということは事実でございます。
 ただ、今回の改正案につきましては、先ほど許可基準なり指針で設けるというような背景にもありましたように、この無期雇用派遣労働者につきましては、一定の期間制限の対象外ということにするということがありますので、そういう面での無期雇用化を進めるというインセンティブということはやはり一定あるのではないかということが考えられます。
 それからまた、有期雇用の派遣で働く方について無期雇用ということにしたという場合についても、私どもキャリアアップ助成金という助成金の対象ということにしておりますので、これらを通じて、無期雇用化も含めて派遣で働く方の一層の雇用の安定ということを図ってまいりたいと考えます。

○川田龍平君 次に、派遣先事業所単位の期間制限について伺います。
 事業所として最初の派遣労働者を受け入れたときから三年を超えて継続して受け入れようとするときは、派遣先の過半数労働組合等の意見聴取が必要となります。
 例えば、人事課で最初の派遣労働者を受け入れたときから三年を経過したとき、同じ事業所内の経理課では最初の派遣労働者を受け入れてからまだ半年しか経過していないとします。派遣先の過半数労働組合等は、人事課だけではなく経理課における派遣労働受入れの是非についても判断しなければならないわけですが、この仕組みは適当と言えるのでしょうか。

○政府参考人(坂口卓君) 今委員の方から御指摘ありましたとおり、今回の改正案では、派遣先に対して事業所単位での三年という期間制限を設けておりますが、これを超えて受け入れようとするという場合につきましては、過半数組合等からの意見聴取を義務付けるということにしております。
 また、今委員の方からもありましたけれども、こういった意見聴取に際しましては、意見聴取の参考となるデータの提供であったり、意見聴取の記録の周知であったり、反対意見があったときの対応方針の説明というようなことで、言わば実質的な労使間の話合いということが進むように措置をしようというところでございます。
 今、具体的に委員の方から御指摘ありましたようなケースでございますけれども、事業所内での組織や業務によって派遣の受入れ期間というのは様々であろうかと思います。一人の方だけを受け入れているとかというような形ではなかろうかというケースもあろうかと思いますので。ただ、そういったケースについては、意見を聴取される、意見を聴かれる過半数組合等におかれましては組織であったり業務ごとに延長の賛否の意見を述べるということも可能でありますので、事業所内の態様、実態に応じて意見を述べていただいて、その上で現場をよく知る労使の判断で具体的、適切な判断が行われるということと考えます。

○川田龍平君 やはり問題は、先日の質問冒頭で指摘したように、臨時的、一時的な働き方と条文には明記しながら、企業は取っ替え引っ替えずっと派遣労働者を同じ職務で使い続けられることになるところにあるのだと思います。
 この点、規制改革会議においては、派遣先の正規雇用労働者との均衡処遇の推進によって派遣労働の濫用防止を担保すると提言されていましたが、改正案においては派遣先事業所の過半数労働組合等からの意見聴取という期間制限の在り方となりました。
 検討のどの過程で、いつ、どうして過半数労働組合等からの意見聴取という方法が提案されたのでしょうか。また、同意を要件とせず、意見聴取及び対応方針の説明だけでよいとしたのは、いつ、どのような理由で決められたのでしょうか。いずれも、在り方研究会と労政審の双方について御説明をお願いいたします。また、いずれも、ほかにどのような案が提案され、どのような議論が行われて、どのような理由で採用されなかったのでしょうか。


 

○政府参考人(坂口卓君) 今委員の方から期間制限の在り方についての成案を得るまでの検討の過程についての御質問がございました。
 今、中でもありました、在り方研究会ということもございましたけれども、具体的には労働政策審議会においてこの制度について最終的な建議をいただいたわけでありますけれども、その議論の前段階で有識者の方に集まっていただいて、今後の労働者派遣制度の在り方に関する検討会ということを御検討いただいたというところでございます。
 その中でいろいろ御検討もいただいたわけでございますけれども、今委員御指摘の派遣可能期間の在り方ということについても幅広く御検討が行われたところでありますけれども、具体的には派遣先における常用代替を防止する策として、派遣先の労使がチェックする方法などの案がその中では具体的に示されて御議論がされたということがございます。
 その後、先ほど申し上げましたように、検討会の報告を受けまして、御参考の一つとして、労働政策審議会の労働力需給制度部会というところで具体的な御議論をしていただいたということでございますけれども、そこの中でも、今後の期間制限の在り方について具体的に議論をする過程の中で、先ほどあったような派遣先の労使がチェックする方法の具体策として、そこの中では、例えば派遣の分野に限って新しい集団的労使関係の枠組みを導入するというようなことの案も御議論いただいたということもありますけれども、そういった案については労使双方から慎重な意見があったということがございます。
 そういう流れを受けて、労働政策審議会の労働力需給制度部会では、公益委員の方々で御議論をいただいて、公益委員案としまして過半数労働組合などの既存の枠組みを活用する期間制限の在り方に見直すという案が示されたということでございまして、その上で、さらに労使間での調整も踏まえて、最終的に労働政策審議会の建議において意見聴取あるいは対応方針の説明等も含む期間制限ということに見直すということが御提言されたということでございます。

○川田龍平君 この初回の委員会から本日まで、私が常用代替の防止を始めとした派遣法の原則についていろいろと質問してきました。そして、法の根本原則の意味が変化していたり、時代に合っていないものがあるのではないかと指摘をさせていただきました。もちろん、私が、我が国の新卒一括採用を始めとする雇用慣行は重要であると考えていますし、雇用の原則は直接雇用であって、派遣労働が拡大して正社員雇用がなくなるということは、決してあってはならないと考えています。
 では、どのようにして派遣労働の拡大に対して歯止めを掛けるかといったことを考えた場合に、政府は今回の改正案によっても常用代替の防止が維持されると強弁していますが、一九八五年、派遣法制定当時の常用代替のおそれが少ない専門的知識等を必要とする業務等のみについて労働者派遣を認めていた時代はまだしも、一九九九年の対象業務の原則自由化や、さらに、二〇〇三年の自由化業務の最長一年から三年への延長などによって、派遣法が常用代替の防止の機能を果たしているかは疑問です。まして今回の改正は、二十六業務自体を廃止することで、企業は専門性の有無にかかわらずに、どのような業務であっても事実上永続的に派遣に任せることができるなど、もはや常用代替の防止を維持できているとは到底評価できない内容となっています。さらに、無期雇用派遣労働者について期間制限を外す理由も、常用代替の防止の観点からは全く説明できません。
 そのような中で、無理やり常用代替の防止を維持しているというポーズを取ろうとした結果、先ほど述べたような過半数労働組合などからの意見聴取という派遣労働の拡大に全く歯止めとならないような仕組みが提案されているのではないでしょうか。やはり派遣労働の拡大の防止策としては、常用代替の防止に固執することなく、より実効性のある歯止め策を取ることが重要だと考えます。
 そこで、派遣労働者の均等・均衡待遇を実現することによって、派遣先が派遣労働者を安い労働力として濫用的に利用することを防ぎ、派遣労働の拡大の防止を達成することを提案をしています。改正案において、常用代替の防止の原則はもはや維持されているとは言えない以上、派遣労働の拡大に対する歯止めの仕組みについて更なる検討をすべきと考えますが、その余地がないのかどうか、改めて厚労大臣の見解を伺います。

○国務大臣(塩崎恭久君) 現行法における期間制限の上限に達した際の受入れを延長するための意見聴取が、過半数労働組合等から意見を聴くだけの一方通行的なものだったという反省に近いものもあって、今回の改正法案では、事業所単位の期間制限の延長の際の意見聴取については、できる限り双方向でコミュニケーションがちゃんと労使の間でできるような、実質的な労使間の話合いができるような仕組みを構築することが大事で、それをもって歯止めになるようにしていかなければならないということで、できる限り意見聴取のプロセスをオープンにしていくということ、あるいは、みんなが知ることができるようにしていくということを考えて、例えば、意見聴取の参考となるデータの提供、これは指針で示す予定でございますが、それから記録の周知、それから反対意見があったときの対応方針等の説明というものを法律で定めるというようなことをやっているわけでありますが、それでも歯止め効果についての御疑問は、先ほどの津田委員からも厳しく御指摘をいただいているわけでございます。特に、二回目についての御指摘が津田委員からございましたけれども、延長時のときだけではなくて、再延長のときにも続けて過半数労働組合から反対意見があった場合、これについての対応について何らかの方策が考えられないかどうか、先ほど津田委員に御答弁申し上げたように、今後しっかり検討をしてまいりたいというふうに考えております。

○川田龍平君 是非、今後のことについても、しっかり余地をやっぱり考えていただきたいと思いますが、是非この均等待遇、均衡待遇についての御意見、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは、維新の党から法案の提案もいただいているわけでございますが、私どもとしても、均衡待遇につきましては今回もよりそれを徹底するということで我々も提案をしているわけでありますけれども、先生方が御提起をされている法案についての審議も近々あるというふうに聞いておりますので、またそこでしっかりと議論をさせていただければというふうに思います。

○川田龍平君 次に、個人単位の期間制限についても伺います。
 今まで期間制限がなかった二十六業務についても、今回の改正案では三年の期間制限が設けられ、二十六業務で働く派遣労働者の雇用が不安定になるとの懸念があります。現在既に二十六業務で働いている中高年者の場合、特に専門的な業務の場合は派遣先の選択肢が少なく、次の派遣先を見付けるのには年齢的にも厳しいものがあります。
 私は、一九八五年に労働者派遣法に制定したことにより、この二十六の専門業務が約三十年にわたって社会の中で確立されてきました。例えば、中学生向けの職業紹介図鑑などで、ツアーコンダクター、添乗員になるためにはまず派遣会社に登録をするというふうにあります。厚労省にはこの責任の一端があると考えますが、このことについて、大臣、通告していませんが、一言御見解を伺います。通告していませんが。

○国務大臣(塩崎恭久君) 添乗員が例に挙げられましたけれども、今回、二十六業務について期間制限を今までと異なって原則課すということにするわけでありますけれども、現行制度の期間制限については、今までは派遣先の正社員と派遣で働く方の常用代替のおそれが少ない業務ということで、二十六業務については期間制限の対象外としておったわけでありますけれども、ただ、二十六業務に該当するかどうかということがなかなか分からないとか、そういう派遣労働者、派遣先、派遣元にとって分かりにくい制度だったということ、それから、派遣業務とその他の業務を区別する基準であるいわゆる専門性、当初はこの専門性でスタートしたわけでありますけれども、これ、時代とともに変化をするということで制度が不安定だと。添乗員のような形は比較的分かりやすいかも分かりませんが、その他は様々でございます。
 それから、仮に現時点における二十六業務を本当に専門性の高いものに絞り込んだとしても付随的業務が分かりにくいという課題が残るということもあって、さらには、二十六業務に従事する方の多くが有期の雇用契約であって、雇用が不安定であると。それから、欧州などでは業務の専門性に着目して派遣期間に制限を設けている国はなかなかないというようなこともあって、このような形にしたわけであります。
 今回、特に雇用契約の期間というものを改めて見て、例えばこの二十六業務の皆さん方の中で六か月以内の雇用契約という方々が五五%ぐらいおられるわけで、二十六業務が安定した雇用であるかどうかというのは必ずしも言い切れない部分もあったわけでございますし、それから、派遣契約で見ても、三年以上の派遣契約というのは、実は、業種にもよりますけれども、例えば一番多い事務用機器操作などでは三六%ぐらいでしょうか、そのくらいで、あとは三年以下、半分ぐらいが一年以下ということにもなっているということになりますと、やはり同様の問題を抱えているということで、二十六業務がみんな安定した派遣かというと必ずしもそうじゃないということで、添乗の場合にはかなり繁閑がはっきりしているので工夫をしなければいけないということでございますが、そのように考えて、今回あえて二十六業務について期間制限を設けるということにしたわけでございます。

○川田龍平君 これ何度もこの委員会でも取り上げられていますけれども、一律に二十六業務を全くそれと同じにするということではなくて、見直しをするということだったと思うんですね。そういったことをやっぱり、全部それを垣根をなくしてしまってというか、全部一律にしてしまうということがやっぱり非常に、この三十年間、この働き方を法律で規定してきた当然厚労省には責任があると私は思います。
 その上で、今回の改正案によってこのような方々が失業する可能性が高いということについて大臣の見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今、二十六業務の方々について失業のおそれが出てきているんじゃないかと、先ほども解雇の通告が行われているというお話を頂戴をしたわけでありますが、先ほど申し上げたように、その中でも長年この二十六業務に従事をしてきた方々の派遣労働者の皆さん方には、無期雇用派遣に転換をすることが派遣元、派遣先双方にとって有益ではないかと考えておりまして、実際、私ども、上位五業務のところにヒアリングを掛けてみましたが、全ての事業主、我々が聞いた中では、やはり安定的に働いていただいてきた方については特に無期雇用化を図るということをお答えをいただいているところが多いということが分かりました。
 また、今回の改正案では、個人単位の期間制限である上限三年に対する見込みがあるときには、派遣元に対して派遣先への直接雇用の依頼等の雇用安定措置を義務付けるということにしておりますし、義務違反に対しては許可取消しもあり得るという、先ほど来議論が出ている厳正な指導監督を行いたいと思っております。
 それと、長年働いていらっしゃれば……

○委員長(丸川珠代君) 大臣、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

○国務大臣(塩崎恭久君) はい。
 年齢でかなりいった方で雇用を切られるんじゃないかという御心配をされている方がおられますけれども、これについては派遣先の指針において、これは年齢で差別をすることは、特定することでありますので禁じられておりますから、こういうことがないようにしてまいりたいと思います。

○川田龍平君 この方たち向けの専用相談窓口を設置するとのことですが、これは法律施行後ということではなく、やっぱり今現時点で、先ほども現在進行形で雇用の雇い止めということが起こってきているということですので、是非早急に設置していただきますようによろしくお願いします。