○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。


 まず、配付資料一を御覧ください。
 仮に患者申出療養として入院費用などを保険診療扱いとして三割負担になっても、高額な薬剤費のために全額自由診療の場合とほとんど負担が変わらないことが分かります。親などが、五十代の男性というモデルですけれども、末期がんに苦しんでいるときにこのような金額を出せる方は限られるのではないでしょうか。国立がんセンターの藤原先生でさえも払えないとおっしゃっていました。
 このように薬剤費が高額化していく今、患者が望むのは、繰り返しですけれども、やはり安全性、有効性を治験によって確認して、薬事承認されて保険収載がされることなんです。混合診療によって患者の負担が減るというのはちょっと違うのではないかと私は思います。
 結局、患者申出療養は、高所得者しか使えず、低所得者の保険料で高所得者の医療費を支えてあげている構図じゃないでしょうか。このグラフを御覧になっての大臣の見解を求めます。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の患者申出療養に関連しての御質問であろうかと思いますが、今回の制度は、困難な病気と闘う患者さんが保険収載までの間に国内で未承認の医薬品などを安全性、有効性を確認しつつ迅速に使いたいと、こういう強い思いがあって、今回の患者申出療養というのはこういう思いに応えるためにつくるということでございます。
 その上で、保険外併用療養費制度における保険外の医療費については医療保険の給付は行われないで、患者と医療機関の合意によって社会的に見て妥当、適切な範囲で決定されるものだということでございます。
 このため、今お配りをいただきましたグラフの医薬品について、患者申出療養の申出が行われた場合の薬剤費についても社会的に見て妥当、適切な範囲で決定されるべきものと考えるわけでありますが、将来的な保険適用につなげて、広く国民が医療保険制度の中で先進的な医療を受けられるようにするための制度ということで、これを進めてまいりたいというふうに思っております。

○川田龍平君 このように高額な新薬が相次いで発売されている事態に対して、開発研究に巨額の費用が掛かるからだと主張がありますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
 最近登場する抗がん剤の多くは原価計算方式で算定されており、製薬企業側が提出する原価は妥当なのかという疑問の声が中医協で医師代表からも上がっていると聞いています。製薬企業側は、諸外国と比較し日本が最高額だったケースはないことで正当性があると強調していますが、そもそも米国を始め諸外国での価格が適正なのか、私は大いに疑問です。
 配付資料の二を御覧ください。
 これは、昨年の十一月六日のイギリスのBBCニュースで報道された内容で、BBCのウエブサイトの掲載されている表を私の事務所で翻訳したものです。製薬業界の利益率がほかの業界と比べて格段に高いことと、それから新薬の開発研究よりもむしろ営業、マーケティングに多くの費用を掛けていることが分かります。この中には当然、医師個人への講師謝金や原稿料、コンサルタント料も含まれていると私は解釈していますが、直近では競合する薬が発売されるようになって製薬会社は、各社は割引価格での販売を始める動きも出ているようですが、新薬が超高額になっている実情とその対策について厚労大臣の見解を求めます。

○国務大臣(塩崎恭久君) 言うまでもなく、日本の新薬の価格というのは、薬価というのは、中医協で定められた薬価算定のルールでございます薬価算定基準に基づいて決定をされておるわけでございます。
 新薬の薬価が高額ということで今御指摘をいただいたところでございますけれども、薬価の算定は、先ほども先生からもお話ありましたけれども、二つあって、一つは、効能、効果等から類似の薬剤がある場合、これについてはその類似薬の相当の薬価として運用性等を評価して加算を行うということになっております。もう一つは、類似薬がない場合でありますけれども、製造原価等に基づき薬価を定めるということになっていますけれども、いずれにしても、透明かつ公正なルールに基づいて当該新薬の価値に見合った薬価が算定されているというふうに思うところでありまして、一方で、薬価の収載後は市場実勢価格に基づく薬価の見直しを行って、画期的新薬のイノベーション評価と、それから薬剤費の適正化の両立を図るということをやっているわけでございます。

○川田龍平君 今月十三日に中医協は、C型肝炎治療の新しい飲み薬を保険適用することを了承しました。米国に本社があるギリアド・サイエンシズ社のソバルディというこの新薬は、配付資料の三の表のとおり、一日一錠、六万一千七百九十九円、これまでの注射薬が不要になる画期的な薬とはいえ、一日六万円、十二週間で治療するとして約五百五十万円、従来のインターフェロン治療より三百万円以上高くなる計算です。
 これが、十八日に開催された肝炎治療戦略会議でこのソバルディを国の助成対象に加えることを決まったことは、全国の患者からは待ちに待ったとの歓迎の声が上がっています。今回の助成により患者負担は高くても月二万円で済むことになるということですが、これだけの高額な薬価算定により、国の医療費負担、保険財政、そして助成によりどのくらい増加することが見込まれているでしょうか。一方で、がん患者への進行を減らすことにより、将来の医薬費の負担をどれくらい減らせると効果を見込んでいるでしょうか。

○政府参考人(唐澤剛君) C型肝炎治療薬のソバルディでございますけれども、この薬自体は、よく知られておりますように、インターフェロンが不要であるということと、それからウイルスの除去率が非常に高い、一〇〇%近いというような、もう本当に画期的な医薬品でございます。
 非常に高額なわけでございますけれども、企業による予測でございますと投与対象者は約一万九千人というふうに見込んでおりまして、ピーク時で年間約九百八十七億円の売上げというふうに企業の方では見込んでおります。薬価は、先生が先ほど御指摘いただいたとおりでございます。それから、これはC型肝炎の治療ができるわけでございますので、医療費の削減ということも期待できるわけでございます。
 現在までの私どもの得られているデータには一定の限界もございますけれども、例えば肝がんの減少について一定の前提でざっくりと計算をしてみますと、幾らとは言えませんけど、例えば一年当たりの現在の肝炎の治療薬の薬剤費、これが大体六百八十万円というような金額でございます。また、肝移植をした場合の費用が二百二十万円というような金額でございますので、こうした費用につきましては削減が期待することができるのではないかと考えております。

○川田龍平君 このソバルディという薬は、米国では、配付資料の三に、左下の方にあるとおり、一錠千二百ドルと超高額で、これは米国の政府に薬価交渉権がないために企業の言い値だからということですけれども、二〇一三年には、世界のトップレベルのがん専門医の百人以上が、がん治療薬が高過ぎるとして値段を下げるべきとの声明を発表して、また、今年に入ってから、二月には、約十三万人の内科医が加盟する米国の内科学会が、余りに高額で患者も医師も負担に耐えられない新薬が増えていることを懸念して、高額化する処方薬に対応を求めるキャンペーンの支持を表明をいたしました。日本が公的保険の単一支払制度であるために政府に薬価を決める権限があることがいかに有意義かというのが分かります。
 このギリアド・サイエンシズ社では、更に高価なハーボニという新薬の開発に成功しており、昨年十月に米国で薬事承認を受けています。また、この五月十四日の当委員会で羽生田先生が配付された資料にありましたように、年々、この医薬品の輸入額というのは増え続けています。是非、公的保険による単一支払制度というものを堅持していただいて、薬価交渉権を国が握ってやっぱり離さないようにしていただきたいと思いますが、大臣の見解を求めます。

○国務大臣(塩崎恭久君) 薬価につきましては、あらかじめ中医協が定めたルールに基づいて、中医協の審議を踏まえて最終的には厚生労働大臣が全国で単一の価格を決定をするということになっています。
 このような薬価制度については、国民皆保険の中で全ての国民がどこでも一定の自己負担で必要な医療を受けられるための重要な制度でございまして、今後とも、薬剤費の適正化、そしてイノベーションの評価等の観点から、今の制度をしっかり適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

○川田龍平君 この配付資料の四を御覧ください。このソバルディの一錠六万一千七百九十九円という薬価は、この表の左側の類似薬効比較方式Ⅰにより算定されました。今回、この中の画期性加算一〇〇%が認められ、加算といっても倍額に補正されて、更に外国平均価格調整ということで価格を引き上げました。その具体的な数字は、先ほどの配付資料の三のとおりです。
 従来の類似薬との薬効の比較では、二万三千三百九十六円と算定したのを、画期的だとして倍額の四万六千七百九十三円とし、さらに、英、米英独仏四か国の平均価格と大きな差が出ないように、この六万一千七百九十九円に引き上げたということです。
 余りに極端に諸外国より安くしてしまうと、企業が日本市場に参入してこないという理屈は分かりますが、しかしなぜこの四か国とだけ比較をするのでしょうか。今や市場は世界に拡大をしています。このソバルディは、エジプトでは米国での価格の実に九九%割引、僅か千二百円余りで販売されているんです。
 先ほど御答弁いただいたように、日本は貴重な保険財源や国庫助成で何とか二万円まで患者負担を少なくする一方で、エジプトでは最初から千二百円で売られているというこの実情は、結果として日本の国民が世界全体での企業の利益を必要以上に支えている構造があるように思えるのですが、厚労省の見解を求めます。

○政府参考人(唐澤剛君) この外国薬価制度につきましては、これは元々日本の価格が高いのではないかという御指摘がありまして、諸外国と適切な比較をすべきだということの中で今日まで長い歴史を重ねてまいりました。その際に、やはり薬事承認制度でありますとか、あるいは医療保険制度あるいは医療制度というものが我が国と同じような、同等の水準にある先進国について対照するということで、今この四か国を対象としているところでございます。
 これは、ほかにも、例えばオーストラリアであるとかカナダでありますとか、そういうところも対象にすべきだという御議論がありまして、中医協で議論していただいておりますが、まだそこまで、ちょっと違いが大きいということで、今はこの四か国でございます。エジプトの方のこの金額というのは私どもは報道でだけお聞きをしておりますけれども、なぜこういう価格付けになっているかということについてはちょっと私ども把握をしておりません。
 いずれにいたしましても、中医協の審議をきちんと経て、そして先ほど先生御指摘いただきましたように、国で、きちんと公の場で、透明で加算の根拠もはっきりさせて、国民の皆様に分かるようにお示ししていただくことが適正な価格を設定する上で非常に重要なことだと考えております。

○川田龍平君 この新薬の高額化について厚労省がいかに否定をしようとしても、患者の間にはこういう実感がやっぱり確かにあるのです。
 医薬品や医療の高度化を理由に挙げるのであれば、新医薬品の薬価算定において、費用対効果、つまり、高い薬を飲んでも、それで長期的に疾病が減り、将来の医療費負担がこれだけ減るのだということをデータで証明するべきと考えますが、このことは中医協で議論が始まったばかりと聞いています。今後の検討スケジュールを含め、政府の取組を御説明ください。

○政府参考人(唐澤剛君) 先生御指摘のように、特に分子標的薬でございますとかあるいはバイオ製品でございますとかということで、医薬品の新薬の価格が高くなってきていることは事実でございます。そういうようなことも背景にございまして、私どもも、革新的な医薬品あるいは医療機器などの診療報酬上の評価に当たりまして費用対効果の観点を導入することにつきまして、平成二十四年の五月より、中医協におきまして、費用対効果評価専門部会を設置をいたしました。これまで議論を重ねてきているところでございます。
 日本再興戦略改訂二〇一四におきましては、革新的な医療技術等の保険適用の評価に際し、費用対効果の観点を平成二十八年度を目途に試行的に導入するということにしておりますので、私どもは、次期診療報酬改定を念頭に置きまして引き続き中医協において議論を進めていただきたいと考えております。

○川田龍平君 それでは次に、ドラッグラグの問題についても伺います。
 今日の午前中の参考人の発言にもありましたし、それから国立がん研究センターを視察した際にも、先進医療評価室長の藤原康弘先生は、アメリカ食品医薬品局、FDAでの審査スピードは、がん領域に関しては日本とそれほど変わらないと話されていました。さらに米国では、承認しても安全性、有効性が認められなかった場合には六か月程度で薬事承認を取り下げることもしているとのことで、それを踏まえれば、日本において未承認の抗がん剤の審査についてはこれ以上スピードを早める必要はないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(神田裕二君) がんなどの重篤な疾患で苦しんでいる患者さんに対して有効かつ安全な治療薬をできるだけ早く届けるということは重要な課題だというふうに考えております。このため、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議におきまして、欧米で承認されているが日本で承認されていない、いわゆる未承認・適応外薬につきまして、患者でありますとか学会から要望を受け付けまして、医療上の必要性を評価した上で、製薬企業への開発要請ですとか公募を通じまして日本において薬事承認が取得されるよう努めているところであります。また、早期に承認されるよう医薬品医療機器総合機構の審査体制の強化も図っておりまして、審査ラグについては御指摘のようにおおむね解消しているところであります。
 いずれにしましても、承認審査の過程におきましては有効性、安全性をしっかりと確認した上で承認することといたしておりますので、承認期間の短縮によって有効性、安全性の確認がおろそかになることがないよう引き続き適切な審査を行ってまいりたいというふうに考えております。

○川田龍平君 次に、アメリカのコンペンディア制度について伺います。
 先ほどの藤原先生によれば、アメリカでは、未承認でも保険上の措置で適応外薬の薬剤費が保険償還されるコンペンディア制度があると聞いています。国立がん研究センターの堀田理事長は、用法や用量が明らかに異なる適応外使用は治験を原則とし、先進医療評価制度を弾力的に運用するなどを条件にすれば、現法体系下でも適応外使用は可能であるとしていますが、抗がん剤などのドラッグラグの解消に役立つとされる日本版コンペンディア制度の導入について、厚労省の見解を伺います。

○政府参考人(唐澤剛君) 米国などで導入をされておりますいわゆるコンペンディア制度でございますけれども、これは、医薬品の適応外使用につきまして査読のある世界的雑誌に掲載をされ、さらに第三者評価機関で評価をされ、了承されれば、薬事承認がなくとも公的医療保険制度で償還されると、費用が認められるということでございますけど、そういう制度であると承知をしているところでございます。
 我が国の場合でございますけれども、安全で有効な医療を提供していくという観点から、原則として薬事承認されたものを保険適用するということにしておりますけれども、例外的に、国内で承認をされて再審査期間が終了した医薬品でありまして、再審査期間は七年ぐらいは少なくとも必要ですが、学術上の根拠と薬理作用に基づく適応外使用の場合、こういうケースは、個々の症例ごとに個別に保険適用の可否を判断して認めているものもございます。これは審査支払の過程でそういうことを認めているものもございます。
 ただ、本当の意味での新薬に近い適応外のような場合にはなかなかこれで認めるというようなものは難しい面がございまして、かなりレベル高いものがございますので、こちらの方につきましては、やはり薬事承認をきちんと取っていただいて、そしてそれを早期に保険適用につなげていくということが重要ではないかと考えております。

○川田龍平君 民間保険の先進医療特約についても伺います。
 藤原先生は、先進的な医療は民間保険会社にとってビジネスチャンスだと述べられました。
 例えば、アメリカンファミリーのアフラックでは、支払の限度額二千万円まで保障、高額な先進医療の自己負担に備えられますとして月額九十九円の総合先進医療特約を発売しています。このアフラック社のディスクロージャーの資料を見ますと、保有契約高は二〇一三年度末で約八兆円、これを単純に二千万円で割れば約四十万件の契約、毎年四億八千万円の保険料収入があることが分かります。支払実績は公表されていないので分かりませんが、先進医療の全利用者は二〇一三年度の実績で九百六十六人、自由診療部分は三億九千万円です。一方で、先進医療給付金の医療機関宛て直接支払サービスを始める保険会社が既に出てきています。
 このように医療の世界に民間保険がどんどん広がっている事情について、厚労省はどのように考えているのでしょうか。

○政府参考人(唐澤剛君) 民間保険が広がっているということについては、先進医療特約というような形で普及をしていることについては私どもも承知をしております。
 公的保険とこの民間保険の関係をどういうふうに考えていくかと、なかなか難しい問題でございますけれども、私どもは、何度も申し上げておりますように、基本的な診療とそれから必要なイノベーションというものはやはり保険の中できちんと適用できるようにしていくということが基本ではないかと考えております。

○川田龍平君 最近とみに厚労省から保険会社への現役出向が増えていることが気になります。
 アメリカでは、保険証の種類で受けられる医療が異なり、治療法を医師ではなく保険会社が決めるという実態になっています。皆保険制度の堅持のためにも、厚労省は民間医療保険の加入状況や保険金の支払の実態などを調査すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(唐澤剛君) 先生御指摘のように、アメリカの場合はもうそれぞれの人ごとに適用薬も違いますし、適用できる技術も変わるということで非常に複雑で不安定な状況があるのではないかと思っておりますけれども、我が国はそのような状況にしてはなりませんので、きちんとした技術は保険で適用していくということではないかというふうに考えているところでございます。

○川田龍平君 民間保険の方の実態を調査すべきでないかと。いかがでしょうか。

○政府参考人(唐澤剛君) 民間保険の実態でございますけれども、先日、日本医師会の研究機関の方でもこの民間保険の研究データ、出ております。私どもは、そういうデータを活用したり、それから保険の協会もございますので、そういうところからもデータを収集いたしまして、必要な研究をしてまいりたいと考えております。

○川田龍平君 金融庁の方でも、先進医療特約などの特約ごとの保険金支払状況は把握していません。この患者申出療養が始まれば、これに対応する特約も当然出てくると思われます。保険局は、金融庁とも連携して、是非民間医療保険の動向にも注意しつつ公的保険制度の維持に全力を挙げていただきたいと思います。
 二〇〇一年の財政制度等審議会は、民間保険の普及を背景に、一定金額までの医療費について免責制を導入すべきとの提言を行いました。さらに、財政審は、二〇〇三年には、いわゆる混合診療の抜本的拡充、先進医療に対する公的保険適用の在り方の見直しも主張しました。
 このような公的医療支出を削減したいとする財務当局の思惑は、民間医療保険やがん保険市場を拡大したい生命保険業界の思惑と一致しています。そういう中で患者申出療養の創設であることを私は指摘しておきたいと思います。
 このままでは、いつかこの国でも公的保険の保険証一枚では医療機関にかかることができなくなり、低所得者も無理をして民間保険に加入せざるを得なくなり、民間保険ごとに制限された医療しか受けられなくなるのではないかと懸念をしています。あるいは、生活保護に陥って医療扶助に頼ることとなり、結果として国家の財政負担が増えることになってしまうのではないでしょうか。そうならないようにするためには、保険外併用療法を保険外に留め置くのではなく、公的保険収載への道筋をはっきりと明らかにすることが必要で、また、公的医療保険において低所得者対策をしっかりと行うことが重要と考えますが、大臣の見解を求めます。

○国務大臣(塩崎恭久君) 現在行われております先進医療、これは医療機関に対して将来的な薬事承認、これに向けたロードマップの作成を求めて、保険収載に必要なデータとかエビデンスとかを集積に資するように努めておりまして、保険収載につながるように引き続きこれは取り組まなければならないと思っております。
 今回の患者申出療養、これにおいても、保険収載に向けたロードマップの作成などを医療機関に求め、そして、医療機関から国に対して一年に一回は実施状況を報告をさせると。で、計画どおりに進んでいなければ、これは追加的に報告を求めると。必要に応じて患者申出療養から外すということも含めて対応していかなければならないというふうに考えております。
 こうした仕組みを通じて保険収載に必要なデータとかエビデンスを集積をして、安全性、有効性などの確認を得た上で将来的な保険適用につなげていくというのがこの制度の根幹でございます。

○川田龍平君 次に、患者申出療養の実施体制について伺います。
 患者への安全性、有効性の説明を担うなど、この制度の根幹を担う臨床研究中核病院については、今後、社会保障審議会医療部会の審議を経て基準を満たした病院を承認していくとのことですが、制度開始の来年四月までに何か所整備できる予定でしょうか。現在、何か所の病院から申請が上がっていて、具体的に、今年度のいつ頃、何か所承認できるのかのスケジュールをお示しください。

○政府参考人(二川一男君) 臨床研究中核病院についての申請、承認の状況でございますけれども、本年四月にこの制度が開始をされておりまして、初回の承認審査を行う申請の受付をこの四月一日から五月十五日まで実施をしたところでございます。現在、十一の病院から申請書が提出されているところでございます。
 承認の時期とか病院の数につきましては、今後、実地調査をした上で審議会において審議がなされるものでございまして、現時点でお答えすることは困難でございますけれども、この承認の取扱いにつきましては、可能な限り速やかに検討してまいりたいと考えているところでございます。

○川田龍平君 同じく基幹的役割を担う特定機能病院については、東京女子医大と群馬大学病院が指定を取り消された上に、残りの八十余りについての安全管理体制の集中検査を厚労大臣が指示したとのことですが、来年四月までにその全ての検査を終えるつもりがあるのでしょうか。

○政府参考人(二川一男君) 御指摘のとおり、今般、大学附属病院等の医療安全に関する重大な事案が発生した背景といたしまして、病院管理者、院長が権限と責任を持って病院の管理運営を行うことが実質的にできていないなどのガバナンスの問題があるということを社会保障審議会から指摘をいただいたところでございます。
 これを受けまして、この四月三十日に大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォースが設置され、五月十四日に第一回、開催したところでございます。今後は、近日中に第二回のタスクフォースを開催をし、集中検査に関する検査項目を定めた上で、六月からになると思いますけれども、三か月程度でできる限り多くの特定機能病院への集中検査を実施し、実態把握の取りまとめを行いたいと考えているところでもございます。
 また、取りまとめの時点におきまして、仮にまだ検査に行けていない特定機能病院がある場合につきましても、速やかに検査を続け、できるだけ早期に全ての特定機能病院について検査を完了したいと考えているところでございます。

○川田龍平君 大臣、そんなに焦ってやるべきことなんでしょうか。
 そもそも臨床研究中核病院は、日本再興戦略や健康・医療戦略に基づき、ICH―GCPに準拠して国際水準の質の高い臨床研究や治験が確実に実施されるよう、この四月から法定化され、医師主導治験や査読論文の数、実施体制、施設・人員要件など、高い水準の基準が設けられています。
 また、特定機能病院は、地域の難病患者にとって不可欠な高度な医療の提供、医療技術の開発強化、研修など、この国の医療を引っ張っていく存在です。
 患者申出療養の開始に間に合わせるためにずさんな審査や検査とならないように、この患者申出療養の制度は一旦棚上げして、臨床研究中核病院や特定機能病院の体制整備、立て直しをまずは徹底して行うべきではないでしょうか。
 大臣、通告していませんが、是非答弁をお願いします。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回のこの大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォースというのは、この名前にございますように、医療安全の、先ほど医療分科会からの指摘がガバナンスの問題について特にあったと、こういう話が局長から申し上げたところでありますけれども、今回の立入りはこのガバナンスの仕組みそのものについてどうなのかということなので、実際の医療の中身について点検をするということではなくて、その手前の組織として安全体制を組めている、ガバナンスが効いているのかと。どうも見ていると効いていないねと。病院長が本当に最終責任者としてやっているのかと、この辺が非常に、何というか、いろんなケースがありますけれども、大学そのものが関与があったり、いろんな形でこの安全の仕組みができていても、それが機能していない。そのガバナンスの仕組みは一体どうなっているんだろうかと。それを至急まず調べようじゃないかということで、これを今三か月ということで申し上げているので、今回の患者申出療養とリンクしているわけでは決してございませんが、いずれにしても、これは特定機能病院として大変問題があるというのは、群馬あるいは女子医大、そしてまた、さらには聖マリアンナ等々ございますので、ここのところを、大学病院を始め、こういったところを徹底的にまずガバナンスの仕組みを点検しようと、こういうことでございますので、患者申出療養とは必ずしもリンクするものではないということでございます。

○川田龍平君 やはり安全とそれから有効性というものをしっかりと審査をしてもらわなきゃいけないところでもありますし、本当に病院の機能をしっかりしていくということはとても大事なことだと思います。
 この患者申出療養の実施に人員が割かれてしまって、今この国の医療に最も必要な国際水準の臨床研究の推進に水が差されてしまうのではないかということを懸念しています。実施体制の整備というものをしっかりお願いしたいと思って、この臨床研究の方もしっかりやっていただきたいと思います。終わります。ありがとうございました。