187-参-東日本大震災復興特別委員会-004号 2014年11月17日(未定稿)

○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。
 早速、質問に入らせていただきます。
 南相馬の特定避難勧奨地点の解除問題に関し、先日、又市委員も質問されておりましたが、その質疑も踏まえ、何点か質問いたします。答弁は簡潔にお願いいたします。
 南相馬の特定避難勧奨地点百五十二世帯中、子供や妊婦のいる世帯は何世帯あるでしょうか。

○副大臣(高木陽介君) 南相馬市におきまして特定避難勧奨地点に指定された百五十二世帯のうち、指定を行った平成二十三年度の時点では、高校生以下の子供又は妊婦がいた世帯は百二十三世帯でございます。

○川田龍平君 随分多いと感じますが、それらの世帯については、毎時二・〇マイクロシーベルトを上回っている地点ということで避難推奨がなされたということでよろしいでしょうか。

○副大臣(高木陽介君) この南相馬の特定避難勧奨地点の子供・妊婦世帯について、福島県及び同市との協議の上、以下の全ての要件を満たす場合に特定避難勧奨地点へ指定を行ってまいりました。それは四点ございます。
 一つは、新たに年間積算線量二十ミリシーベルトを超える空間線量率が測定された地点の近傍であること。二番目が、事故発生時において当該地点に居住実態があること。三番目に、妊婦又は高校生以下の子供がいること。四番目に、玄関先又は庭先において、地上五十センチメートルの高さで、空間線量率の測定値が毎時二・〇マイクロシーベルト以上であること。
 この子供・妊婦世帯については、解除に当たって、以上の要件のいずれかを満たさなくなった場合には解除することとしております。

○川田龍平君 今回、特定避難勧奨地点の解除基準は年二十ミリシーベルトを下回ることが確実になるとされていますけれども、これを空間線量に換算しますと、五十センチの高さで毎時三・八マイクロシーベルトということかと思います。この基準を子供や妊婦のいる世帯についても適用するとなると、避難開始時よりも避難解除時点の方が数値が高いというおかしな話になってしまいます。
 この三・八マイクロシーベルトという基準を子供や妊婦のいる世帯にも適用するんでしょうか。

○副大臣(高木陽介君) 今申し上げましたように、特定避難勧奨地点の指定を行ったときは四つの条件という形で行いました。ですから、この二・〇マイクロシーベルト以上であることというのが、五十センチの高さでですね、という基準でございますので、妊婦、子供のいる世帯はそれが基準となりますので、毎時三・八マイクロシーベルトを下回ったことをもって解除することではございません。

○川田龍平君 では、子供や妊婦のいる世帯の避難勧奨の解除は三・八ではなく、あくまで二・〇マイクロシーベルトを基準にするということでよろしいですね。確認したとします。
 それでは、十月に住民説明会での反対の意見を受け、解除を延期されていますが、その後、住民の依頼を受けて庭先と玄関先以外にも複数箇所の空間線量率を計測していると聞いていますが、これまで何か所を計測したのでしょうか。そのうち毎時二マイクロシーベルトを超える地点はどのくらいありましたでしょうか。

○副大臣(高木陽介君) この特定避難勧奨地点の指定や解除の判断に当たっては玄関先及び庭先における空間線量率の測定値を用いておりますが、これは居住空間の中でとりわけ日常的に使用される場所が玄関先や庭先であることということで二十三年度の時点では考えました。
 原子力災害対策の現地対策本部が、今年七月から八月にかけて、南相馬市のこの特定避難勧奨地点において、玄関先と庭先について地上一メートルの高さと、先ほど申し上げました妊婦、子供のいる世帯ですね、地上五十センチの高さの空間線量率の測定を行った結果によれば、百五十二世帯の指定世帯全てについて毎時二マイクロシーベルトを超える地点はなかったことが確認されております。このため、妊婦、子供の世帯についての解除の要件は満たされていると、そのように考えております。
 ただ他方、その住民の方々に対して解除についての説明会を行った際に、線量について不安な、様々な御意見を頂戴いたしました。私自身も、先月現地に行きまして、指定世帯のお宅、四軒でございますが訪問いたしまして、直接意見交換、また、その場で放射線量の現場確認を行いました。確かに住民の方々の中には線量に対する不安が強い方もいらっしゃることが確認できました。
 委員御指摘の庭先と玄関先以外の空間線量率の計測については、以上申し上げましたような状況を踏まえ、私の指示によりまして、住居敷地内の放射線量に不安のある方々にお応えするために、市と協力の上で相談窓口を設けて、線量に不安のある地点について住民の方々の御希望に応じて空間線量率を測定し、必要に応じて堆積物の除去等の清掃作業を行うこととしたものでございます。
 この取組の中で、本日までに十三世帯について空間線量率の測定作業を行っておりますが、このうち高校生以下の子供又は妊婦のいる世帯は十二世帯、この十二世帯では御希望に応じて総計二百二十四地点で空間線量率を測定いたしました。毎時二マイクロシーベルトを超える線量が測定された地点は一地点存在しておりました。ただ、この一地点は、その住居敷地内、これ、その住居の方は二十二地点測定をいたしましたが、その外れにある林内の地点、いわゆる、いぐねを削りまして、そこの部分のところに少し残っていたと、こういうような状況でございます。

○川田龍平君 あるのであれば、これはまた更なる除染などの対策を行うべきであり、解除というのは時期尚早ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○副大臣(高木陽介君) 再度申し上げますが、先ほど申し上げたとおり、その住民の方々の線量に対する不安に応えるため、まず相談窓口の設置、住居敷地内の希望に応じた空間線量率の測定、必要に応じた堆積物の除去等の清掃作業などを今進めております。
 加えて、国の職員による戸別訪問も行い、放射線の健康影響に関する国際的、科学的知見を踏まえた国としての考え方などについて丁寧に住民の方々に今説明を行っているところでございます。
 なお、実際に指定世帯の方々のお宅を訪問してみると、放射線への不安を感じておられる方々だけでなく、既にもう自宅に戻って生活しておられる方が一定数いらっしゃるとの報告を受けました。
 先ほど、毎時二マイクロシーベルトを超えるその一地点、これがあるから解除は早いんじゃないかというお話がございましたが、今後、必要な清掃作業、その地点はしっかりとさせていただきたいと考えています。
 解除の時期につきましては、こうした住民の方々の不安に丁寧に応える取組を行っていく中で総合的に判断したいと、このように考えております。

○川田龍平君 十月十日に参議院の議員会館で、解除に反対して、避難勧奨の継続と地域指定を求める住民の方からの大臣宛ての要請書を取り次がせていただきました。
 副大臣も御覧になっていると思いますが、是非、それによれば、除染が済んだとされる地域にもいまだに一平米当たり何十万ベクレルもの汚染地帯があるとのことです。解除の前に子供や妊婦の方の地域生活の不安を解消する努力を是非ともお願いいたします。
 次に、子ども・被災者支援法について何点か伺います。
 先ほど、森委員からも質疑がありました。超党派で参議院で議員立法を成立をさせていただきましたけれども、特にこれまで基本方針が示されてから、この十三条の第二項、第三項の規定であります定期的な健康診断と医療費の減免、さらには医療の提供について、これをしっかり実施していくための実施法について超党派の議員連盟において今議員立法をすべく検討中です。
 やはり早くこういった実施をしてほしいという、特に福島県民だけではなく県外の人からも、特に健康診断をしてほしいという声ですとか、それから先ほどの森委員からもありましたように、十八歳を超えた後も継続して医療を受けられるようにしてほしいという声もありまして、そういった実施の方をやっぱり是非、これは法律もそうですし実施の方も含めてやっぱり検討を是非進めていただきたいというふうに思っています。
 質問なんですが、この子ども・被災者支援法の附則の二には、「国は、第六条第一項の調査その他の放射線量に係る調査の結果に基づき、毎年支援対象地域等の対象となる区域を見直すものとする。」と書かれています。
 この支援対象地域の見直しはいつ行うんでしょうか。法律では毎年見直すということになっているわけですが、支援対象地域を定めた基本方針の閣議決定からはや一年がたちました。十二月に行うということで理解してよろしいでしょうか。

○副大臣(浜田昌良君) 今、川田委員から御質問いただきましたように、昨年の十月十一日に基本方針、閣議決定しております。そして、法律の附則二で、今読み上げていただきましたが、毎年支援対象地域等の対象となる区域を見直すと、こう規定されておりますので、支援対象地域の考え方の変更自体はないと思いますけれども、この法の二条の規定に基づきまして、区域については様々な事情を考慮して適時適切に対応してまいりたいと思っております。

○川田龍平君 この見直しに当たっては、どのような観点で行うんでしょうか。よもや予算やこの対象地域を減らす方向ではないと思いますが、この準支援対象地域についても見直すのかどうか、お答えいただけますか。

○副大臣(浜田昌良君) 支援対象地域の見直しについてでございますけれども、川田委員御存じのように、この支援対象地域については空間線量の一定推計値をベースにしますが、当時の法案の審議の際、分断を新たにつくらないでほしいという要望もございましたので、経済的、社会的な一体性も考慮して決められております。そういう考え方をベースにしながら、基本的にその後の線量の状況はどうなっているかということを踏まえて決めていくと。
 あわせて、準支援対象地域についても、支援対象地域等と決められておりますので、検討していくことを考えております。

○川田龍平君 大臣、是非、恐縮なんですけれども、この子ども・被災者支援法の第十四条、それから第二条の二項に何と書いてあるか御存じでしょうか。もしよろしければ読み上げていただければと思います。

○国務大臣(竹下亘君) 子ども・被災者支援法第十四条は、「国は、第八条から前条までの施策の適正な実施に資するため、当該施策の具体的な内容に被災者の意見を反映し、当該内容を定める過程を被災者にとって透明性の高いものとするために必要な措置を講ずるものとする。」と、こう定めているところでございます。

○川田龍平君 続けて、二条の二項には何と書いてありますでしょうか。

○国務大臣(竹下亘君) 二条二項は、被災者生活支援等施策は、被災者一人一人が第八条第一項の支援対象地域における住居、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない、こう定めているところでございます。

○川田龍平君 大臣にわざわざ読んでいただいたのも、まさにこの条文がこの法律の理念の本当に基本となるところです。わざわざ十四条にこういうふうな規定を置いているわけですから、この支援対象地域、また準支援対象地域の見直しに当たっては、このパブリックコメント、パブコメだけで済ませようということではなく、是非、自主避難者の人たちの声も含めて、この被災者の声を直接聞く場というものを是非復興庁主催で設けていただけるというふうにお考えいただきますようによろしくお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○副大臣(浜田昌良君) 今、十四条は大臣から読み上げさせていただきましたが、被災者の要望、意見をしっかり受け止めることは重要でございまして、復興庁においてはこれまで被災者団体等が開催する会合に職員が参加するなどして被災者などの意見を伺ってまいりました。私自身も何回も出席させていただきました。さらに、県外避難者等に対する相談体制を確保するため、昨年度、全国四か所で民間団体等を通じた県外自主避難者等への情報支援事業を実施しておりまして、今年度はこれを八か所に拡大して実施しております。今後とも、被災者を支援する民間団体とも協力しながら、政府が責任を持って、被災者等の御意見を引き続き伺ってまいりたいと思っております。

○川田龍平君 大臣、是非この関係団体のヒアリングを傍聴するという、そこに行って聞くというだけではなくて、是非主催して、復興庁の方で主催していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣、大臣お願いします。

○副大臣(浜田昌良君) 担当の私から答えさせていただきます。
 基本方針の策定の際には、御存じのように、復興庁主催で福島と東京で説明会も主催させていただきました。そういう意味では、そういうことも組み合わせておりますし、ただ、大人数でわあっとやるというのが必ずしも効率的でなかったなという感じもありましたので、少人数での懇談会になるべくお招きいただいて、かつ、NPOのいろんな工夫もございますので、そういうところで伺った方が本当の意見もお伺いできますので、その辺、開催の仕方についてはいろいろ工夫したいと思っております。

○国務大臣(竹下亘君) 先ほど浜田副大臣にお答えをいただきましたように、本当にいろんなレベルでやらなければならない。川田委員御指摘のように、それを復興庁が主催してやりなさいという御指摘でございますが、今までどういう形でやって、どこが落ちていたのか、あるいはどこか抜けがあるのかということも再検討した上で検討させていただきます。

○川田龍平君 これ、被災者の人たちが待ち望んでいるのは、定期的な協議の場を設けてほしいということも要求してありましたので、是非直接意見を聞いていただきたいと思います。
 次に、この自然体験と保養事業進捗の来年度の見込みについて、子ども・被災者支援法に基づき文科省が実施している自然体験・交流活動支援事業について伺います。
 今年度から福島県外も対象となっていますが、現時点で県外を選択した学校や、幼稚園、保育園の割合、また長期の宿泊を伴う事業を実施した社会教育関係団体にはどのような団体があり、行き先の都道府県はどこだったのかの現状をお教えください。

○国務大臣(下村博文君) 福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業は、子ども・被災者支援法第八条の自然体験活動等を通じた心身の健康の保持に関する施策の一つとして、御指摘のように、今年から、福島県の子供を対象に、幼稚園、保育所、小中学校、特別支援学校及び社会教育関係団体が実施する自然体験活動や、県外の子供たちとの交流活動を支援する事業として実施しているものであります。
 今年度の幼稚園、保育所、学校の申請数は九百二十九校園所で、参加予定の子供の数は約七万五千人となっております。このうち県外での活動を組み入れているものは百六十校園所、約二万人で、全体の約二割でありました。また、六泊七日以上の長期宿泊を伴う事業を実施した社会教育関係団体はNPO、社会福祉法人、PTAなどでありまして、行き先は北海道、新潟、神奈川、伊豆大島、京都、沖縄と全国各地にわたっております。

○川田龍平君 ありがとうございます。
 チェルノブイリの経験から、放射線にとりわけ脆弱な子供たちが一定の期間ほかの地域で保養することが重要との知見は大臣もよく御存じのことだと思います。
 この事業、私は子ども・被災者支援法の貴重な成果の一つとして評価をしています。初年度の今年は、準備が間に合わずに日帰りや一泊程度の事業しか実施できなかった学校などが多かったと聞いております。来年度はもっと県外での滞在宿泊日数を増やして申請する学校などが増えてくるのではないかと思いますが、今年度の予算と比べて来年の概算要求額は増やしていますでしょうか。

○副大臣(浜田昌良君) 復興特別会計でございますので、復興庁からお答えさせていただきます。
 今年度から東日本大震災復興特別会計に計上いたしました福島の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業につきましては、平成二十七年度概算要求において、文部科学省からの要望を踏まえ、今年度と同額でございます三億二千四百万円を計上したところでございます。

○川田龍平君 是非副大臣、それから文部科学大臣、副大臣、昨年は十億円要求をして三億円だったと聞いております。獲得した予算額と同額しか要求していないということでは減ってしまうのではないでしょうか。心配です。是非、実施団体、受入れ団体の声にも文科大臣からもよく耳を傾けていただきながら、来年度の予算を十分に確保していただくようにお願いいたします。
 その次に、時間ですが、最後に一問だけ、震災関連死について伺いたいと思います、一問飛ばしますが。
 是非この震災関連死、大変今増えている震災関連死ですけれども、震災弔慰金、それから震災関連死の認定は自治体の自治事務であり、この基準は県によってばらばらです。国が一定の基準を示すべきことを私は何度も国会で取り上げてきましたが、そして二〇一二年の八月に、復興庁が震災関連死に関する検討会を設置、報告事例の公表を行いました。しかしながら、これは震災関連死を防ぐ観点からの検討で、新たな事例の収集や公表は行わないと聞いております。
 この災害弔慰金の制度を二〇一三年の厚労省から移管された内閣府では、震災関連死の認定基準が自治体によって異なり、県ごとの認定率も大きな差があることについて、どのような取組を行っていくのかをまずお聞きしたいと思います。

○国務大臣(山谷えり子君) 震災関連死の認定基準が自治体によって異なり、県ごとの認定率も大きな差があるということで、国が認定例を調査、共有するなどしたらどうかということでございますが、災害弔慰金の支給に当たっては、避難生活が県内か県外かなど、地域ごとにおける被災状況や被災者の避難先での生活環境に応じて、その後の復興の状況等に基づき、各市町村において適切に認定審査が行われているものと承知しております。
 なお、いまだ多くの被災者が応急仮設住宅にお住まいであり、現に災害弔慰金が支給されている中で仮に認定事例を共有、公表した場合、認定のための参考として事例を提示したにもかかわらず、国が画一的な審査基準を示したとの誤解を招き、市町村における地域の実情に応じた適切な判断を妨げるおそれがあるというふうに考えております。まずは関係自治体の御理解をいただけるようにと考えております。

○川田龍平君 時間ですので終わりますが、是非基準の見直しをしていただいて、自治体間等の協議を是非しっかりしていただきますように、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。