7月31日(火)におこなわれた、厚生労働委員会の議題は労働契約法の一部を改正する法律案。多くの方々が傍聴にこられているなか質問をいたしました。
以下議事録を掲載いたします。
※未定稿文ですので一部変更の可能性がございます。
○川田龍平君
みんなの党の川田龍平です。
今回の法案で、雇い止め制限法理を条文に明文化すること自体は良いことですが、しかし実際の判例と条文との間に違いがあります。有期労働契約が更新されるとの合理的期待が満了時になければいけないという、法令にはない規定を入れなければいけない理由が分かりません。衆議院の答弁では、雇い止めされた有期労働契約の満了時に至るまでのあらゆる事情を総合的に勘案して判断されておりますとのことですが、あらゆる事情というのは具体的に例えばどういう事情があり得るのかを御説明いただけますでしょうか。
○大臣政務官(津田弥太郎君)
川田委員にお答えを申し上げます。
これまでの裁判例では、雇い止め法理の適用の可否は、その雇用の臨時性あるいは常用性、それから更新の回数、雇用の通算期間、それから契約期間管理の状況、これ手続になると思いますが、それから雇用継続の期待を持たせる言動、これは当然、その当事者間での様々な言動があるだろうと思います、あるいは制度の有無、こういうことを総合的に考慮をして個々の事案ごとに判断されるというふうに承知をいたしております。
○川田龍平君
この衆議院の答弁では、訴訟提起の有無にかかわらず適用されるルールとして、紛争となっていないケースに対しても条文がどのように影響するかを踏まえた条文とする必要があるとしていますが、結局は同様の事例で裁判に持ち込まなければならず、雇い止めになった労働者を苦しめる結果になるのではないのでしょうか。裁判がどれだけ大変か身をもって知っている身としては、このことは大変気になります。
大臣、裁判が起きても仕方がないということなんでしょうか。
○大臣政務官(津田弥太郎君)
お答えを申し上げたいと思います。
御指摘の答弁というのは、この改正後の第十九条において、労働者の更新又は締結の申込みを要件として規定したのは、期間満了時に使用者も労働者も何もせずに円満に退職する場合にまで更新承諾みなしを発動させることは適当でないためである旨の答弁を述べたものであります。
雇い止めに関する紛争は、必ずしも裁判に持ち込まなければならないものではないと考えております。すなわち、雇い止めの法理が法律に明記されることで、使用者が合理的理由のない雇い止めを回避する行動を取ることが促進をされる、また、法の趣旨を踏まえた労使の話合いが促され、企業の実情に応じた無期転換の自主的ルールの整備が進むことが期待をされているわけでありまして、私、先ほど石橋委員の質問にも答えましたけれども、当然、例えば中途採用というような位置付けに持っていくような話合いが行われていくことが期待されているわけでございます。
このように、雇い止め法理の立法化は紛争の予防につながる効果があるというふうに考えております。
○川田龍平君
ありがとうございます。
次に、有期雇用を無期雇用に転換するルールについてですが、これによってどれだけの有期雇用の労働者が無期雇用になるのか。政府としては数量的な面での提示が現段階ではできないそうですが、大変無責任と言わざるを得ません。四年と十一か月で雇い止めといった例が続出したらどうするのでしょうか。現段階で示せないならば、いつなら示せるのでしょうか。期限を決めて、いつまでに一定の目標値に達しない場合にはこういう対策をするといった具体的な計画を考えていないのでしょうか。どのようなめどをお持ちなのかをお教えください。
○大臣政務官(津田弥太郎君)
有期契約労働者が約千二百万人ということでありまして、勤続年数が五年を超える方の割合が約三割ということでございまして、掛けると約三百六十万人が五年を超えて有期労働契約を反復継続している実態、今、今日の実態がそういうことであるというふうに試算をいたしております。
そこで、この無期転換ルールを導入した場合に、通算契約期間が五年の時点で雇い止めされる有期契約労働者が生じる可能性は、これは否定できません。しかし、どの程度の雇い止めが発生するか。選択肢としては、有期でそのまま続けるケース、それから雇い止めのケース、当然無期になるケース、こういう三つぐらいのコースが想定をされるわけですが、これを定量的に予測するということは大変困難ではないかというふうに考えております。
厚労省としましては、無期転換の権利が生ずる直前の雇い止めをできる限り抑制する、これが大変大事なことであると思っておりまして、希望する労働者がより安定的な無期労働契約へ円滑に転換できるように支援をしていきたいというふうに考えております。
先ほど大臣からも答弁をさせていただきましたけれども、無期転換後の労働者の正規雇用への転換、人材育成あるいは処遇改善などキャリアアップに取り組む事業主への支援、ハローワークによる指導、援助や助成などの総合的な支援など、必要な政策対応を検討、実施していきたいと考えております。
○川田龍平君
さて、次の改正は八年後となりますが、この無期雇用への転換が五年でいいのか、クーリングが必要なのかなど、また議論していくことになるかと想像しますが、どのような検討を今後していくのでしょうか。また、省令に落とし込むことがなるべくないよう条文の中にきちんと内容を書き込むことが大事だと思いますが、その点も併せてお答えください。
○大臣政務官(津田弥太郎君)
御指摘の改正法附則第三項の検討規定、新設される第十八条の規定、すなわち無期転換ルール全体が見直しの対象となるわけでございます。また、今回、クーリング期間の規定につきましては、内容が非常に複雑かつ技術的な内容を含むものであることから、要件の基本的な部分を法律に明確に定めた上で、技術的な細目を省令に委任することにしたわけでございます。
労働契約法は、労働契約の民事的効力を規律する基本法でございます。今後の労働契約法の改正では、川田委員御指摘のように、今回を前例としない、できる限り法律で要件と効果を書き切るという基本的な考え方で対応してまいりたいと考えております。
〔委員長退席、理事梅村聡君着席〕
○川田龍平君
次の質問ですが、クーリング期間を認める理由として、五年で離職した労働者が再び半年以上空けて再就職できるようにとの趣旨の説明をされていますが、同じ企業に半年以上空けて勤めるというのは具体的にどういう場合を想定しているのでしょうか、お答えください。
○大臣政務官(津田弥太郎君)
お答え申し上げます。
有期契約労働者の雇用の実態というのは様々で、千二百万人いらっしゃるわけでございます。例として、育児や介護といった労働者側の事情により離職をした後にそうした事情が解消して、過去の職務経験を生かすために同じ会社、企業に復帰しようとする、そういうケースがあるだろうというふうに思います。また、生産の減少、いわゆる忙しいときと忙しくないときというような事例、そういった使用者側の事情により離職をした後、また仕事量が増えてきたとか生産量が増えてきたというようなことで、再び前と同じ仕事をしていただいた方に復帰をしていただくというような例があるというふうに考えております。
○川田龍平君
みんなの党では労働基準法の改正案を準備しています。それは、雇用形態を理由とする賃金についての差別的取扱いの禁止を条文に追加するものです。無期雇用になった場合、従前と同じ待遇にするとなっていますが、同一労働同一賃金を徹底して正社員と同様にすることをなぜしないのでしょうか。
○大臣政務官(津田弥太郎君)
有期労働契約の雇用が不安定であり、雇い止めを恐れて年休取得等の権利を十分に行使することができないといった課題を解消することがまずもって重要であるというふうに考えます。今回の改正では、その視点に立って、まずは無期転換により雇用不安をなくし、労働者としての権利行使も容易にして、安心して働き続けることができるようにする、このことが大変重要だと思っております。
川田委員の御指摘も十分に理解ができるわけでございまして、公労使の議論では、こうした考えの下、検討がなされたわけでございます。無期転換後の労働条件は別段の定めがある部分を除き従前と同一の労働条件にするという無期転換ルールが合意されたということについて、是非御理解を賜りたい。ステップ・バイ・ステップで上げていくということでございまして、まずは最初のステップがこういう段階だということでございます。
○川田龍平君
この労使交渉で賃金を決めるだけということでは、政府はこの同一労働同一賃金を目指すということは一切ないのでしょうか。あるのであれば、具体的にどうやって目指していくのかを大臣にお答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君)
今回の法案に盛り込まれました期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止、このルールに違反する場合には無効ないし損害賠償の対象になると考えていまして、そのような意味で、無期契約労働者と有期契約労働者の均等待遇の推進、同一労働同一賃金に向けた一歩になると、あくまで一歩だということは認識をしています。
また、パートタイム労働者の賃金の待遇につきましても、働き方が正社員と同じであるパートタイム労働者に対して差別的な取扱いを禁止する。また、全てのパートタイム労働者に関して、多様な就労実態に応じて正社員と均衡の取れた待遇の確保に努めるよう求めていますし、今回まだ、今法案を準備しているんですが、なるべく均衡から均等に近づけるようにということは、私からも強くそこのところは言っているところです。
さらに、六月二十一日に労働政策審議会から今後のパートタイム労働対策について建議をいただきましたので、この法案作業を進める中で、均衡からなるべく均等にという考え方はしっかりと維持をするような形で速やかに提出をしたいというふうに考えているところです。
○川田龍平君
省令の改正で有期労働契約の更新の判断基準を明示させるようにするとのことですが、厚労省としては判断基準についてどのようなものを想定しているのでしょうか。これぐらいは最低限書かなければいけないといった模範例のようなものがありましたら、お教えください。
○大臣政務官(津田弥太郎君)
更新の判断基準についてでございますが、この有期労働契約を締結する労働者が契約期間満了後の雇用継続の可能性についてできるだけ予見しやすい客観的なものであることが望ましいというふうに考えております。
この契約更新の判断基準として用いる要素、一つには、契約期間満了時の業務量がどうなっているか、あるいは勤務成績や態度はどうか、あるいは能力はどうか、会社の経営状況はどうか、従事している業務の進捗状況がどんな状況であるかというようなことが考えられるだろうというふうに思います。これまでもモデル労働条件通知書等でその明示を推奨してきたところでございまして、今回もそのように取り組んでいきたいと考えております。
〔理事梅村聡君退席、委員長着席〕
○川田龍平君
小宮山大臣は少子化担当大臣でもありますが、正規労働に就けずに低賃金が続くことで若年層が将来低年金になったり、低収入により結婚や出産に踏み切れずに今少子化をもたらしているという傾向に、現状についてどう取り組んでいくのか、決意を述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君)
持ちたい人が持ちたい子供を持てる、そのためには今、川田委員がおっしゃいましたように、やはりきちんとした職に就いて、収入がないと結婚もできない、子供も持てない、そういう若者がいるということは、本当にこれは日本の将来にとっても、それぞれの方にとっても大きな問題だというふうに考えています。
その中で、まず安定した職に就いていただくために、若者の雇用については相当力を入れて今までも取り組んできていまして、新卒者に対して全国の新卒応援ハローワークなどでジョブサポーターがきめ細かに伴走型で支援をすること、これによりまして、ジョブサポーターによる就職者の数が昨年は十六万人を超えています。また、フリーターなどに対してハローワークでやはりきめ細かに就職支援をするということと、また、今トライアル雇用、これがかなり活用されて正規雇用に結び付いているので、これにも力を入れたいと。昨年、フリーターなどの正社員の就職者の数が二十五万人ということなので、更に力を入れたいと思っています。また、この度、若者雇用戦略を作っていますけれども、その中で、学校とハローワークがしっかり連携をするということ、また今年度、大学などへジョブサポーターによって派遣をしまして、相談窓口をつくるとか、出張して相談をする、そのようなこともしていますので、しっかりとそこに盛り込んだ施策を実行していきたいと思っています。
また、今回の一体改革の中でも、非正規の方のこの格差をなくしていくということで、短時間労働者に対する社会保険の適用拡大などもしてきていますので、いろいろな面でやはり今までその目配りが高齢な方についてよりも足りなかったその若い人たちに向けて、就労の促進ということも社会保障の改革の大きな柱だと思っていますので、しっかりと取り組ませていただきたいと思っています。
○川田龍平君
終わります。