川田 龍平 オフィシャルブログ
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6月19日(火)、厚生労働委員会にて質疑に立ちました。この日は、午前は一般調査、午後は障害者総合支援法の審議でした。ここでは、午前の一般調査の内容をお伝えいたします。

一般調査では、B型肝炎訴訟の和解の進捗状況や、脳死下の臓器移植における情報公開等について質しました。

以下、議事録です。
※未定稿文ですので、一部修正の可能性がございます。

○川田龍平君 みんなの党の川田龍平です。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず最初に、B型肝炎訴訟の和解の進捗状況について伺います。
 B型肝炎訴訟基本合意から一年がたとうとしていますが、厚労省の人的体制が不十分なままで和解が進んでいません。もっと早く処理を進められるよう更なる体制整備を行うべきと考えますが、まだ提訴した方のうち和解したのは一割にも行っていないのです。こうしている間にも、和解を待たずして肝硬変や肝がんが進行し、命を落とされる方もいらっしゃいます。一体いつまで待たせるのでしょうか。一日も早く全員が和解できるように迅速に対応していただかねば困ります。今後の体制、拡充方針を教えてください。
○大臣政務官(藤田一枝君) 和解手続については、基本合意書に基づいて迅速かつ適正に行うことが重要だということは十分認識をいたしております。
 現在、裁判所に提訴し、証拠書類を提出された方から順番に基本合意書に定める和解要件に合致するかの確認作業を行っております。厚生労働省の和解手続の体制については、今年四月にそれまでの十四名体制から三十一名体制に拡充をしたところでございます。このため、それまでの処理というのが、平成二十年三月時点までは月当たり百件程度にとどまっておりましたんですけれども、五月からは月当たり三百件以上の処理ができるところまで来ております。
 今後も、現在四百二十人の方と和解をしておりますが、今後とも和解が迅速かつ適正に進んでいくように更に努力をしてまいりたいと考えております。
○川田龍平君 是非とも迅速にお願いいたします。
 次に、脳死下の臓器移植における情報公開について質問いたします。
 六月十四日に富山大学附属病院で六歳未満の男児に初めての法的脳死判定が行われ、十五日には脳死下の臓器摘出が行われましたが、この男児の年齢や脳死に至った経緯、救命治療の内容など公開されるべき情報が今回も公表されていません。家族承諾による十五歳未満の児童からの脳死下臓器提供は二例目ですが、最初の事例も重要な事実が公表されていません。遺族の承諾が得られなかったので公表しないというのでは脳死臓器移植医療の透明性が確保できず、国民の理解も得られないと考えますが、個人が特定されない方法で公表する知恵はないのでしょうか。政府の見解を伺います。
○副大臣(辻泰弘君) 御指摘いただきましたように、六月十四日、六歳未満の方が脳死判定されまして、国内で初めてとなる六歳未満の方からの脳死下での臓器提供が行われたわけでありますが、まずは亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。また、小さなお子様を亡くされ大変な悲しみのさなかにおられながらも臓器提供という尊い御判断をされた御両親を始め御家族の方々に深い敬意を表したいと思っております。また、私自身も三年前に厚生労働委員長をしておりますときに、改正臓器移植法、中間報告の形で本会議で個人の判断での採決がございましたので、私自身も大変感慨深く受け止めているところでございます。
 それで、御質問についてでございますけれども、臓器提供事例に関する情報公開は臓器移植の透明性を確保するためにも大変重要なポイントであると考えております。一方で、臓器提供は御本人や御家族の善意によるものであることから、そのプライバシー保護にも十分配慮しなければならないと考えるところでございます。今回の事例につきましては、御家族が情報公開について御理解があり、臓器提供施設名、年齢属性、性別、原疾患などについて御家族が公表に同意をいただいたことに加え、御家族の心情を表すコメントもいただき、その情報を公開させていただいたところでございます。
 御指摘のような具体的な年齢等につきましては、個人を特定されるのではないかとの懸念があり、公開とはなっていないところでございますが、今回の事例につきましては、厚生労働省として臓器移植の透明性の確保とプライバシー保護の両面に配慮しつつ適切な情報公開が行われたと考えております。
○川田龍平君 昨年四月に行われた十五歳未満での脳死下臓器提供の少年ドナーはその後自殺だったという一部の週刊誌で報道がありましたが、このような事実が明確にされなければ自殺防止のための対策にもつながりません。公表が提供直後に無理であれば例えば三年後あるいは五年後には公表するなど、また三月二十九日に脳死下での臓器提供事例に係る検証会議、百二例の検証のまとめが公開されていますが、そうしたまとめを行う際に脳死に至った経緯を明らかにするということはできないのでしょうか。政府の見解を伺います。
○副大臣(辻泰弘君) 御指摘いただきましたように、脳死下での臓器提供事例につきましては、厚生労働大臣より有識者に参集をお願いをいたしまして検証会議を開催をし、脳死下での臓器提供に係る検証作業を行っているところでございます。
 その検証会議の報告書については、ドナーの御家族の同意が得られた場合には公表するとしているところでございます。また、個別の報告書の開示に御同意いただけなかった事例につきましても、御指摘いただきました百二例のまとめのように、症例を総括して公表するなどの工夫を行うことで対応してまいりましたし、今後ともできる限り情報開示に努めていきたい、このように考えております。
○川田龍平君 さきの委員会で辻副大臣の答弁にありましたように、脳死が人の死であるのは臓器提供の場面に限られています。脳死下臓器移植には、心臓が動いている状態で死が宣告され、ドナーに麻酔を掛けて移植のための臓器を摘出し、移植術を行うという極めて特異な医療技術です。とりわけ今回の六歳未満の法的脳死判定は最初の事例であるので、国民が納得できる詳細な公表、透明性が確保できるものでなければならないと考えています。
 この改正臓器移植法は虐待を受けた十八歳未満の児童からの臓器提供を禁止していますが、この虐待のありなしは臓器提供施設が確認することになっています。確認方法は、家族に聞き、身体に傷がないか、体重の目立った増減がないか、あるいは児童相談所に通報がなかったかということなどですが、性的な虐待や心理的な虐待があった場合、これらの方法だけでは確認できません。ほかに確認する方法を考えるべきではないかと考えますが、政府の見解を伺います。
○副大臣(辻泰弘君) 児童からの臓器提供につきましては、運用に関するガイドラインによりまして臓器提供施設に対して、虐待防止委員会等の虐待を受けた児童への対応のために必要な院内体制の整備や児童虐待への対応に関するマニュアル等の整備とともに、可能な限り虐待の兆候の有無を確認するよう求めているところでございます。
 今回の事例につきましても、臓器提供施設がガイドラインに基づく対応に加えまして、児童相談所と連携し、臓器の提供者である児童について虐待が行われた疑いがないことを確認し、また警察も事件性がないと判断したものと承知をいたしております。今回の対応につきましては、先ほど申し上げました検証会議におきましてしっかりと一年を目途に検証をしていくとともに、各提供医療機関に対しましてはガイドラインに沿った対応をしていただくように指導していきたいと、このように考えております。
○川田龍平君 次に、イレッサの訴訟問題検証チームの調査報告書で報告されていない事項について伺います。
 配付資料にありますように、厚労省内部資料のイレッサ訴訟関係の意見書やメディア状況のアタックリストの情報公開請求では重要な部分が全て黒塗りのままの情報開示ですので、きちんと情報公開をしていただきたいと思います。
 まず第一に、この調査報告書には学会以外に患者団体、独立行政法人、専門家団体、国立大学法人への要請があったのかどうかについての全く記載がされていませんが、これらの団体の関係者に対して見解公表を要請した事実はあるのでしょうか。
○大臣政務官(藤田一枝君) 検証チームは、イレッサ訴訟の和解勧告に関して学会が見解を公表し、このことについて事前に厚生労働省から声明文案の提供があったとする報道が行われ、国会でも取り上げられたこと、こうしたことを踏まえて、当時の厚生労働大臣の指示によってイレッサ訴訟の和解勧告に関する学会の見解公表の経緯について事実関係を調査したものでございます。
 調査に際しては関係者からヒアリング等を行いまして、調査報告書に記載のある事項以外に見解の公表を要請したという具体的な事実については確認はできなかったと認識をしているところでございます。
○川田龍平君 今質問しました患者団体、独立行政法人、専門家団体、国立団体、それぞれについて要請があったかどうか、それについてお答えください。
○大臣政務官(藤田一枝君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、検証チームでは調査報告書に記載のある事項以外に見解の公表を要請したという具体的な事実については確認をできなかったと認識しております。
○川田龍平君 これらの団体の関係者に対してこの声明文案を提供したという事実はあるのでしょうか。
○大臣政務官(藤田一枝君) そのことも確認しておりません。
○川田龍平君 第三に、この要請を受けた団体、個人の中に実際に見解を公表したところというのはあるのでしょうか。
○大臣政務官(藤田一枝君) 検証チームの調査の過程の中ではそういうこともございません。
○川田龍平君 この厚労省が要請した団体名を是非明らかにしてください。このリストを検証チームは見ていたのですから、この学会以外にもこれらの団体が接触対象となっていたことは分かっていたはずにもかかわらず、これらの団体の関係者に対する要請のありなしや内容について調査し、調査報告書に記載をしなかったのはなぜでしょうか。
○大臣政務官(藤田一枝君) 委員から資料として御提供いただいておりますように、アタックリストというものが存在をしているということは事実でございます。
 しかし、本当に繰り返しで恐縮でございますけれども、検証チームはイレッサ訴訟の和解勧告に関する学会の見解公表の経緯ということが事実の、事実関係の調査ということでございましたので、そういった意味で調査報告書に記載のある事項以外に見解の公表を要請したというような具体的な事実について確認できなかったということでございます。このために、学会以外の団体の関係者に対する要請の有無等については調査報告書に記載しなかったものと考えております。
○川田龍平君 この調査報告書では極めて不十分であります。学会に対する要請の事実については調査し、公表されていますが、このイレッサ訴訟問題検証チームによる調査は国会での質問を受けて当時の細川大臣の指示によって行われたものです。
 そこで、小宮山厚生労働大臣にお聞きしますが、学会以外の団体に対する要請の事実についても学会と同様に調査、公表する必要があると考えますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。学会については調べる必要があるが、それ以外の団体については必要がないと言えるのでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君) 今政務官の方から答弁をさせていただいたように、この検証チームは当時の厚生労働大臣の指示によってイレッサ訴訟の和解勧告に関する学会の見解公表の経緯について事実関係を調査したものです。
 それに際しまして関係者からのヒアリングなどを行いましたが、調査報告書に記載のある事項以外に見解の公表を要請したという具体的な事実については確認できなかったと認識をしています。このため、現時点では学会以外の団体に対する要請の事実について調査、公表することは考えていません。
 また、今回の調査のきっかけとなった学会への要請と同じように、声明文案の提供など公務員として行き過ぎた行為があったという具体的な事実などがあれば、学会以外の団体に対する調査も今後検討する必要が出てくると考えていますけれども、現時点ではこうした具体的な事実は承知をしていませんので、調査をすることは考えていません。
○川田龍平君 この調査報告書には、公務員としては行き過ぎた行為であったと言わざるを得ないという報告が出されています。
 このお配りした配付資料を見ても、小宮山厚生大臣は、これでは不十分だと、情報公開が不十分だと思わないんですか。
○国務大臣(小宮山洋子君) これは、今るる御説明をしているような状況の中でこういう形で出させていただいているものですので、現状としてはこういうことでやむを得ないというふうに思います。
○川田龍平君 当時の細川厚生労働大臣は、怒りが込み上げてくるということで答弁をし、検証チームを発足させて、そのことを覚えているでしょうか。学会以外の団体、個人に対する要請の事実についても調査し、国会に報告をしていただきたいと思いますが、小宮山大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君) 繰り返しになりますけれども、今回の調査のきっかけとなった学会への要請と同じように、声明文案の提供など公務員として行き過ぎた行為があったという具体的な事実などがあれば学会以外の団体への調査も今後検討する必要が出てくると思いますけれども、現時点ではこうした事実がないので、調査を行うということは考えていません。
○川田龍平君 そうであるならば、このアタックリストの情報公開を是非してください。この黒塗りの資料では分かりません。そのなかったということを事実として証明するためにも、この資料をしっかりと公表していただきたいと思います。
 それでは次に、本来午後の時間に質問すべきですが、各党の御配慮により午前中にお時間をいただきましたので、障害者自立支援法違憲訴訟の和解に政府が違反していることについての質問をさせていただきます。
 違憲訴訟の基本合意では、国は速やかに応益負担制度を廃止しとありますが、まず第一点目に、収入認定について、配偶者を含む家族の収入を除外し、障害者本人だけに認定しなかったのはなぜでしょうか。
 第二点目には、この自立支援医療は住民税非課税世帯でも使用料が依然として徴収され続けていますが、基本合意では、自立支援医療に係る利用者負担の措置については、当面の重要な課題とすると記されています。二〇一〇年度、二〇一一年度、一二年度と三年間にわたってこの負担額は変わっていませんが、当面とは三年も掛かる話なのでしょうか。
 第三点目には、介護保険優先原則は廃止し、障害の特性を配慮した選択制度の導入を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。障害者で、市町村税非課税世帯であっても介護保険の応益負担はあるのです。一体、社会保障における保険優先原則に法的根拠はあるのでしょうか。あるのかないのかも含めて、併せてお答えください。
○大臣政務官(津田弥太郎君) 川田委員にお答えを申します。
 三点いただきました。
 まず、収入認定についてであります。この障害福祉サービス等の利用者負担額を算定するに当たって、障害者本人とその配偶者のみの所得で判断する仕組みというふうにしているわけであります。配偶者については、民法上、扶養義務が課せられていることなどを考慮して、負担上限月額を算定する際の対象としているものであります。
 利用者負担に係る収入の認定に際して配偶者の収入を考慮に入れないということにつきましては、財源の確保状況や医療や介護など他の制度との整合性、公平性も踏まえた国民的な議論が必要であることから、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
 二点目でございます。自立支援医療に係る低所得者の利用者負担についてでありますが、基本合意文書で当面の重要な課題とされ、平成二十三年、二十四年度の予算編成過程で検討を行ってまいりましたが、厳しい財政状況の中でどのように財源を捻出できるかなど大変厳しい課題があったため、引き続き検討することとしております。
 また、障害者自立支援法と介護保険法との適用関係、これにつきましては、障害者自立支援法第七条で、介護保険法の規定による保険給付が優先されるということが規定をされているわけでございます。介護保険サービスに相当するものがない障害福祉サービスを利用する場合、あるいは市町村が適当と認める支給量が介護保険サービスのみによって確保することができない場合など、個別のケースに応じて障害者自立支援法に基づくサービスを受けることも可能になっているわけでございます。
 介護保険優先原則の見直しということを御指摘をいただいたわけでございますが、この介護保険制度における負担と給付の考え方、障害者と障害者以外の者との公平性、給付に係る財源の在り方等を含め、引き続き総合的かつ慎重な議論が必要であると考えております。
○川田龍平君 端的に答弁いただきたいと思います。
 それでは次に、支給決定にかかわる部分について質問させていただきます。
 基本合意文書の原告と弁護団の指摘で、「どんなに重い障害を持っていても障害者が安心して暮らせる支給量を保障し、個々の支援の必要性に即した決定がなされるように、支給決定の過程に障害者が参画する協議の場を設置するなど、その意向が十分に反映される制度とすること。そのために国庫負担基準制度、障害程度区分制度の廃止を含めた抜本的な検討を行うこと。」とあり、これにこたえる制度を骨格提言は提示していますが、法案で取り上げられていないのはなぜでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 障害支援区分の認定を含めました支給決定の在り方につきましては、介護や住居の状態など障害者の置かれている社会状況をどう反映させるか。それから、先生から御指摘がありましたような骨格提言で提言されました協議調整方式であるとか、支給ガイドラインをどう考えるかというような課題もあり、客観性、公平性を保ちながら安定的な制度運用を確保することを基本として、法施行後三年を目途に検討してまいりたいと思っています。
 そういう趣旨から、法案の附則には、常時介護を要する障害者などに対する支援その他の障害福祉サービスの在り方や障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方について、法三年後を目途に見直しの検討を行う旨の検討規定を設けているところでございます。
○川田龍平君 是非、政権が替わってもしっかりやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。