川田 龍平 オフィシャルブログ

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藤井聡参考人


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櫨浩一参考人


2月22日(水)、国民生活・経済・社会保障に関する調査会に出席しました。

先週も出席しましたが、今回は京都大学大学院工学研究科教授藤井聡氏と、株式会社ニッセイ基礎研究所研究理事・チーフエコノミスト櫨浩一氏のお二人が参考人として、「内需主導の経済成長と外需(輸出)も含めた体財政調」をテーマに調査会が開会されました。


以下、議事録です。

※未定稿文のため一部修正の可能性があります。



○川田龍平君  藤井参考人、櫨参考人、ありがとうございました。質問は両方の方に答えていただいて結構ですので、よろしくお願いします。
 私も、今、企業の内部留保をどのようにして使わせていくのかということが大変今の経済に重要だと思っているんですが、これを、今、櫨参考人からお話しいただいたんですが、藤井参考人からも是非お話、聞きたいと思います。そして、やはりこの、みんなの党の政策で、藤井参考人の二十一ページの表を見ますと、インフレという方の政策がみんなの党の政策に多いんですけれども、この増税というのは反対で、消費税増税には今反対をしていて、まず消費税を増税するべきではないというところから、投資減税などもやっぱりこれはしっかりやっていくべきだといっていますし、できれば、デフレの特に資金の供給というのはやっぱり是非やるべきだと。日銀とやっぱりこれアコードを結んで、政府が主導してやるべきだという立場でやっていまして、是非、本当にこのデフレを脱却することがまず第一であるという話にはすごく同感するところです。
 そういった意味からも、やっぱりしっかりとデフレをまず脱却していくということはすごく大事だというふうに私も思っていますが、特に、今、先ほどの大手五紙が一緒の論調であるということがやっぱりすごく、例えばTPPについても、国民が二分して議論しているときに社説がほとんどもう五紙ともTPP推進という形で書かれていて、本当に大手五紙のやっぱり主張が一緒だということが非常に違和感があったのと、それからこの内閣府の統計データとか調査というのはやっぱり非常に疑って見ないといけないというところ、まさにそのとおりだと思っていまして、最近、「政府は必ず嘘をつく」という本が出ているんですけれども、本当にこういう状態でやっぱり今まで来ているところが、やっぱり国民をやっぱりある意味、本当に間違った方向に誘導して、やっぱり今政策の方もやっぱりちゃんと理解しないまま、本当に議論が本当に国会でされないで、やっぱり本当に国会の議論が十分にされない中で、やっぱり進められていってしまっているということにやっぱり非常に危惧を覚えています。
 そういう意味では、本当に国会の中で本当に自由に議論できる場という、本当にこういう調査会みたいな場というのはすごく必要だと思っているんですが、私としては、本当に今介護とか特に保育の分野というのが、先ほど櫨参考人からも供給がやっぱり不足しているというところをやっぱりどういうふうに増やしていくのかと、特に供給をどのようにして増やしていくのが、介護それから保育といったところで、どういうふうに増やしていくのが適切かということを伺いたいと思います。
 それから、次に、外国に国民が、なかなか若い人が出ていかないんですね。なかなか、先ほど義家委員からも話がありましたけれども、本当に外国に行きたいという実は学生が少なくなっていて、私も大学で教えていた経験から、別に外国へ行きたいという意欲がもうなくなっていて、日本にいればいいというところで、ほとんど、海外に行って何か経験してこようという、その意欲もなくなっているようなところがあって、本当に、そうじゃない人もいるんですけれども、だんだんと何か少なくなっているような印象を受けます。そういうような中で、やっぱり本当にもっと国民を、外に行くことによってもっと外貨を稼いでくるとか、本当にそういったことをやるというのはすごく大事なのかなと思っているんですが、それについてどう思うかということ。
 それから、公共事業についてなんですが、これもやはりこれから公共事業というのは大きな箱物や大型公共事業というよりも、本当にこの橋を維持していくとか、今あるインフラを整備していく、それをまた修理をして、工事をしていくということ、それほどの支出が、莫大なものになっていくと思うんですが、そういったものをやっぱりしっかりやっていくことは私も大事だと思っているんですが、今、文化事業を、かなり公共のものを削るということで、大阪府とか大阪市とか、今オーケストラとかまあ音楽予算をどんどん削っていますけれども、本当は文化予算は実はもっと公共支出として出していく必要が僕はあるんではないかと思っているんですが、それについてどう思うかということ。
 最後に、大きな公共事業としては、ただ、ほかで箱物は無駄だと言っていながら、私は首都移転をしたらいいんではないかと実は思っていて、東京選出の議員でありながらそういうことを言う人はいないと思うんですが、私は副首都構想というのが今、これは危機管理都市推進議員連盟というのが今ありまして、その議員連盟でも東京の地震とかに備えて関西の方に副首都をつくるべきではないかという話が進んでいます。それについて、私は、関西も実は南海地震の予測もありますし、東南海、東海とある中で、やっぱりこれからもっと本当に災害に強いところに首都をちゃんとつくっていくべきではないかと。これは岡京というのが実は言われていまして、岡山に首都をつくるべきだという話も、べきというか、そういう話もあるんですけれども、そういう何か、岡山にこういう首都を移転するとか、それから公共交通というところをもっとしっかり整備していく、例えばLRTとか、やっぱり本当にやるべき公共投資というのはもっとあるんではないかと思っているんですが、それについて、藤井参考人、櫨参考人からそれぞれ御意見いただけるところでいただければと思います。よろしくお願いします。
○参考人(藤井聡君)  それでは、幾つかまとめてお答えしたいと思います。
 まず第一点目は、二点目にお話しされましたここの表の考え方ですよね。この表の整理は、これは我が藤井研究室でこういう整理を中野准教授とやっているわけでありますけれども、こういう整理をしている理論というものはほとんどございません、いろいろ調べましたですけれども。こちらの人はこちらばっかり、こちらの人はこちらばっかり。それぞれいろんな学者の話を聞いて、これもこれも良さそうだからってまとめてしまうんですが、それすると、アクセル踏んでブレーキ踏んだりすることがあるので、是非こういう整理をした上で政策というものを組み直していただきたいと思う。
 学者側がこういうのを間違えるのは恥ではありますけれども、先生方は政策というものはトライ・アンド・エラーでやっていただくことでございますから、是非こういうものを参考にしていただきながら経済政策というものを整理いただきたいと思います。で、今必要なのは温めるという方であるということを申し上げています。これが一点目であります。
 二点目の、最初にお話しになった法人の中の内部留保金問題、これの解決の方策は、これは、この状況下で藤井、何を言っているんやと僕これ言われると思いますけれども、学問的な、歴史的な裏付けがあることとして申し上げますけれども、今やるべきは法人税の減税ではなくて増税であるというふうなことを申し上げたいと思います。これは、ええ、藤井さん、逆やないかと言われるかもしれませんけれども、こうなんです。歴史的に言いますと、クリントン政権下において、あのときに財政赤字の問題が大きくなったんですけれども、それをやるために当然ながら増税なり財政再建ということで景気対策をいろいろとやっていって、それで成功して最後の最後黒字化するんですけれども、そんときにやっている重要な話が法人税増税なんですね。
 通常、そんなことをしたら景気悪くなるんやないかということになるわけでありますけれども、今、櫨先生がおっしゃったように、この状況下で内部留保金がたまって、そこに塩漬けになって、たんす預金みたいになるので、これを何とか還流していかないといけないとしたときに、法人税の増税をしてそれでお金を、もちろん、それは法人税の増税をしてそれを何か子ども手当かなんかで配ったら全然意味ないですけれども、これをちゃんときちんとお金が消費か投資に使っていくというのが大事なんですね。
 しかしながら、法人税増税をすると気持ち的に何かやる気がなくなるというところもあるので、僕は、これ理論的には正しいかもしれませんけれども、僕は余り声高にはちょっと言えないかなと思うんですが、ただ、クリントン政権下での成功事例を見ると、理論的には今は法人税増税が必要なんだろうなということを考えると、少なくとも法人税減税は今の状況ではあり得ない話だなということをまず申し上げたいと思います。これが二点目であります。
 若い人の、また先ほど消費のお 話もありましたけれども、私はこう思うんです。心理学の中で認知的不協和理論というのがありまして、何かある一つの行動の状況とかがあると、それが嫌やっても、嫌やって思っているとやっていけないので、もうええねん、僕これでって思うようになるんですね。まあ、えらい大ざっぱな説明ですけれども、こういう認知的不協和理論というのがあって、何で若者が車を買わなかったり海外行かないかっていうと、僕、学生とずっと二十年ぐらい付き合っているから分かりますけれども、あいつらめちゃ貧乏なんですよ、昔に比べて。貧乏やから全然物を買えない。だから、いや、いいねん、別にこれでとか言って、中食でいいねんみたいになってしまっていて、だから、先ほどもお話ありましたけれども、所得制約によって皆さんの心根がディプレッション、不況になってしまっているんです。逆に、所得制約なくなってお金があるようになったら、もう外国がんがん行くやつ出てくると思いますよ、スポーツカー買いたいやつ出てくると思いますよ。
 ですから、だからこそ、デフレの問題の一つの末端の精神的問題はここにもあると思いますので、逆にこの心を、何か買物をさせて景気対策じゃなくて、因果関係が逆だと、景気対策をきちんとやることを通じて状況を整えれば、若者は、元々若者ですからもうめちゃめちゃ頑張りますよ、いろんなものを買ったり、いろんなところに行ったりとか元々したいんですから。それをできるためにも、もう是非先生方のお力でデフレ脱却をしていただきたいということであります。
 最後に、箱物といいますか何といいますか、大きな巨大なインフラ投資で何が必要かと。これちょっと、手元にこれないのでここで説明させていただきますと、この表紙どうなっているかというと、新しい僕の、今この本で紹介しているのは国土計画のイメージを書いているんですよ。
 どういう国土計画を僕はやるべきかと考えているかといいますと、まず、首都直下型地震が来ます。東京、大阪、名古屋もこれ壊滅的ダメージを受ける可能性があります。そのときに一番の防災対策は、実はそこの土地の防災対策のインフラ投資じゃないんです。ここに住んでいる人々の都市機能を日本海側だとか北海道とか九州とかに分散化させたら、そしたらもうその人ら、まあまあ、そっちで地震に遭うかも、それもちょっと不幸ですけれども、もう確率はなくはないんですけれども、こっちの人はみんな生き残るんです。日本中が生き残っていると、東京、大阪、名古屋がぶっ潰れていても、まあぶっ潰れてほしくないですけれども、ぶっ潰れていても助けに行くこともできますし、あるいは全部ぶっ潰れても日本全体はもつかもしれない。だからこそ、今やるべきは日本の国土の分散化なんです。
 それと同時に、当然ながら僕は、それぞれの防災対策とか、いろいろと堤防を造ったりとか液状化対策とかは当然すべきですけれども、それプラス分散化をやるべきである。分散化をするときに、国土計画の中で歴史を見ますと、新幹線投資をした町は間違いなく大きくなります。例えば熊本市、政令市になるじゃないですか。あれは新幹線の見込み需要も含めて、もう間違いなく新幹線投資、だから都市間交通の投資をすると豊かになるんです。だから、ここで赤く書いているのは、新しい新幹線を通したりあるいはリニア新幹線を通したりとか、あるいは、僕、昨日、秋田に行っていたんです。秋田とかは単線で、もう隣に行くのに三時間ぐらい掛かったりするので、そこを複線化してあげたりとかですね。そういう鉄道投資とか。
 あるいは、別な言い方をしますと、工場立地というのがやっぱり必要なんです。工場立地のデータを見てみますと、高速道路が整備されたところは、例外もあるとは思いますけれども、平均的に言って、高速道路を整備されたところは確実に工場の誘致が進みます。これはもう過去のデータが教えるところです。ですから、国土構造の分散化をするためにも、そういういろんな投資をやっていくべきである。
 だからこそ、先ほど御質問いただいたような、国土計画を本当に、国土強靱化という大きなコンセプトの下で国土計画を作っていくことが必要だろうと思うんです。それプラス、インフラのいろいろなメンテナンスとかというソフトなことも当然やっていかないといけないと思います。
 以上でございます。
○参考人(櫨浩一君)  私は幾つか御質問にお答えしようと思うんですけれども、まず第一に、今お話ありましたのは震災に対する対応なんですけれども、今回は東北地方で、首都が直接打撃を受けたわけではなかったのでそれなりの対応ができたということだと思うんですけれども、首都が被災をすると恐らく首都機能が全く麻痺してしまって、誰も指令をする人がいなくなるという問題があって、これは是非どこかで必ずそういう首都のバックアップ機能をつくって、そこがいざというときには首都の救済のためにいろんな指揮を執るという、そういうスキームを早くつくっていただきたいというふうに思います。こういった組織は日常動いていないと当然機能しないわけで、そうすると、日常ある程度の人がそこにいてそれなりの業務をするということが必要になりますので、それも首都機能の一部をどこかに持っていくと、そういうことになるんだろうというふうに思います。
 それから二つ目は、公共事業のメンテナンスコストの問題でありまして、これはもう十五年か二十年ぐらい前に、私、どんどん公共事業を減らしていったときにどうなるのかという計算をしまして、その結論ではたしか二〇一〇年代の前半にメンテナンスのコストと公共事業費がほぼ同じになると。つまり、公共事業費を全部つぎ込んでも、今持っている道路とかそういったものを維持補修するだけで手いっぱいになるという、そういう計算でございました。
 当時、どなたかから御質問を受けた記憶があるんですけれども、その当時の国土交通省の統計によると維持更新費はそんなに比率が高くなくて、どうしてこんなギャップがあるのかという御質問だったかと思うんですけれ
ども、実際には、例えば首都高速道路とかこういったものは古くなってきて、どこかで完全に架け替えが必要になるわけですけれども、そのための費用がちゃんと積み立てられているわけではないわけであります。ですから、どこかの時点で膨大な社会資本の維持更新の経費が必要になります。
 そういう意味で、全ての社会資本を全部維持し続けるということは恐らく難しくなっていくと。新しいものを造るのであればなおさら、それを造るためにどこかの社会資本がもはや更新することを諦めないといけないという、そういう取捨選択をしないといけないということでありまして、それは国政の中心でいらっしゃいます皆さんが、ここは維持更新が必要であり、ここはもはやコスト的に見合わないので更新を諦めるという決断をしていただくということしかないんだろうというふうに思っております。
 三つ目は、社会福祉の需要に対してどうやって対応していくかということでありますけれども、これは今まで、医療でも介護でもそうでありますけれども、できるだけ公的なやり方で供給をするという考え方でやってまいりました。医療であれば、国民皆保険で、健康保険で基本的に全て主要なものはカバーされているという、そういう考え方でやってきたわけでありますけれども、残念ながら、私どもの組織の中でも、若い人と議論すると、高齢者のための医療費のためにもっと負担をするのは嫌だという、そういう声が非常に強くなってきております。自分の健康のためであれば恐らく誰も費用の支出を惜しまないというふうに思うんですけれども、ほかの人のために支出をするという話になれば当然限界があるわけでありまして、そういう意味で、公的な保険の制度というのはどうしても負担の面から限界ができてしまう。そこの上に、仕方がないので、その一階建て部分の公的な保険の部分に、自分の選択で、より手厚い医療あるいは介護というのが欲しい人は自分でお金を出して乗ると、上乗せをすると、そういうシステムを早く設計していただかないと必要なものは供給されないだろうというふうに思います。
 公的なところで一〇〇%全部カバーできるのが理想的でありますけれども、そのための負担をうんと求めれば必ず反対をする人が出てきて何年たっても実現できないと、そういう形になりますので、ここはやむを得ない話かなというふうに思っております。
 最後に、ちょっとデフレについて、これは藤井先生と少し考え方は違いますし、恐らく皆さんとも大きく考え方が違うというふうに思いますが、現在、我々、デフレの問題に長年苦しんできたので、デフレのリスクというのは非常によく認識をしております。ただ、インフレが起こったときにどういう問題が起こるのかというのは、多くの方々がすっかり忘れているというふうに思います。
 特に、私の研究所などでも、若い研究員は、少なくとも私より若い研究員は、デフレは経験をしておりますけれども、インフレは経験したことがないので、インフレでどういう問題が起こるのかというのは全く知らない。だから、インフレが起きたときに、それは金融引締めをすればいいんだとか増税をすればいいんだという、そういう非常に楽観的な見方をしているんですけれども、一九八〇年代の半ばの、例えばアメリカですね、ボルカーが出てきて物すごい引締めをやるわけでありますけれども、ああいうのを見ていると、決してインフレのリスク、大変そこを乗り切るためのコストというのもばかにはできないということでありまして、我々、両方のリスクを常にてんびんに掛けながら、どちらに重きを置くべきかということは考えていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っております。
○川田龍平君  私は、公的医療については、やっぱりしっかり国民皆保険制度を守っていくべきだという立場で、若いんですけれども、そう思っていますので、そこは是非やっていきたいなと思っています。
 ありがとうございました。