川田 龍平 オフィシャルブログ
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12月8日(木)、厚生労働委員会で質問いたしました。


今回はB型肝炎特措法案についての審議でした。

以下、議事録を掲載いたします。

※未定稿文のため一部修正の可能性があります。


○川田龍平君  みんなの党の川田龍平です。
 まずは、今回の法案では、この慢性肝炎について、発症時から除斥期間を経過したか否かで給付金額の差別があり、これは許されないことです。今年の七月二十九日の閣議決定では、除斥期間を経過した慢性肝炎患者を含む現在の患者が約四万五千人だとされており、十二月二日の衆議院の厚労委員会での政府答弁では、現在の患者の内訳として、死亡五千人、肝がん、肝硬変重度二千人、肝硬変軽度二千人、慢性肝炎三万七千人と推計しています。
 そうすると、閣議決定された今後五年間で必要となる現在の患者分等の費用である六千億円の内訳は、死亡五千人、三千六百万円で一千八百億円、肝がん、肝硬変重度、二千人掛ける三千六百万円で七百二十億円、肝硬変軽度二千人掛ける二千五百万円で五百億円ですから、慢性肝炎は残りの二千九百八十億円ということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(外山千也君)  現在の患者分の費用のうち慢性肝炎患者に必要な費用は、患者等の費用の総額でございます約六千億円から、死亡、肝がん、肝硬変の重度、肝硬変軽度の患者等に必要な費用を除いたものでございまして、その額は正確には二千八百億円と算定しております。
○川田龍平君  この衆議院の厚生労働委員会の政府答弁では、除斥期間を経過した慢性肝炎患者は一万九千人と推計されています。
 他方で、厚労省は、基本合意前の昨年十月の原告弁護団との交渉時に、感染被害者であり提訴可能な慢性肝炎患者数は、一次感染者が約二万一千人、二次感染者が約三千人とする試算を出していました。
 そうしますと、閣議決定の前提となる慢性肝炎患者三万七千人のうち、これらの合計二万四千人が除斥期間経過前だとすると、千二百五十万円掛ける二万四千人で三千億円となり、それだけで慢性肝炎全体に必要な二千九百八十億円を超えてしまい、除斥期間を経過した慢性肝炎患者に対する給付金の費用が足りなくなってしまいます。
 また、衆議院厚生労働委員会の政府答弁である除斥期間を経過した慢性肝炎患者の推計一万九千人と先ほどの厚労省の試算である二万四千人を合計すると四万三千人となってしまい、やはり前回の政府答弁にあった慢性肝炎三万七千人との推計と合いません。これでは、いかなる推計や根拠に基づいて費用予測をしているのか全く分からなくなります。
 閣議決定の前提となっている慢性肝炎患者三万七千人という推計とこの慢性肝炎に対する費用二千九百八十億円との整合性が付く慢性肝炎患者の内訳、すなわち給付金千二百五十万円である除斥期間を経過していない者、三百万円である除斥期間を経過したが核酸アナログ製剤等の治療を経た者、百五十万円である除斥期間を経過したが核酸アナログ製剤等の治療を経ていない者、それぞれの推計人数とそのように推計した根拠をお示しください。
○政府参考人(外山千也君)  お答えいたします。
 政府といたしましては、原告以外の方にも同様の対応ができるよう、最大限どの程度の方が救済対象となり得るのかという観点から、一定の仮定を置いて対象人数を推計してきたところでございます。
 慢性B型肝炎患者につきましては、国の試算では、医療行政の基礎資料として広く活用されています患者調査を基礎資料といたしまして、予防接種による感染した可能性のある一次感染者について算定しております。
 具体的な手順といたしましては、現在、慢性肝炎である患者のうち、国の責任が認められた期間に満六歳以下であった者の数を算定し、それから医学文献を基に仮定した母子感染者の数を除きまして、そして、厚労省が実施いたしましたアンケート調査を基に、接種痕や母親、それから兄、姉の血液検査結果等の証拠の提出により、予防接種による感染と推認される者の数を見込むという手順により対象者数を算定しております。
 また、二次感染者の数につきましても、先ほど算定いたしました一次感染者の対象者数を基に医学的な知見を踏まえまして、子供が感染する割合について一定の仮定を置きまして対象者数を推計しております。
 それで、和解協議中の昨年十月時点では、国としては、過去に慢性肝炎を発症しましたけれども現在は肝炎が鎮静されていらっしゃる方につきましては慢性肝炎としての和解金を支給しないことを想定したため、推計上もこうした方を除くことを前提に二万四千人と算定したところでございます。なお、肝炎を発症する年齢についての医学的知見などを基に推計いたしますと、このうち一万五千人が除斥期間を経過した慢性肝炎患者でございます。
 その後、本年一月に示されました裁判所の所見におきまして、こうした肝炎が鎮静化している方については慢性肝炎として和解金を支給するとされまして、こうした裁判所の所見を受け入れたことを踏まえまして再度対象者数を算定した結果、一万三千人が増加し、慢性肝炎患者数は三万七千人となっております。
 なお、肝炎を発症した方について、その症状が鎮静化する割合や肝炎を発症する年齢についての医学的知見を基に推計した結果、一万三千人のうち九千人が除斥期間を経過していない慢性患者の方、四千人が除斥期間を経過した慢性肝炎患者の方でございます。
 このような算定の結果、あくまで一定の仮定を置いた推計値でございますけれども、給付金一千二百五十万円が支給される除斥期間を経過していない慢性肝炎患者は一万八千人、それから給付金三百万円が支給される除斥期間を経過した慢性肝炎患者で現在も慢性肝炎の状態にある方等は一万五千人、それから給付金百五十万円が支給される除斥期間を経過した慢性肝炎患者で現在は治癒されている方は四千人と算定しております。
○川田龍平君  この衆議院の厚生労働委員会の質疑では、これだけ多くの除斥期間を経過してしまった慢性肝炎患者がいるのは、予防接種の際の注射器の連続使用による感染被害の責任について政府が十七年間も裁判で争い、平成十八年、最高裁判決で国の責任が明らかになった後も被害者に関する調査や救済措置を怠ってきた国の態度が原因であるとの柿澤議員の質問に対し、最高裁判決までは国の責任は明らかでなかった、最高裁判決後も五人の原告だけでは救済の一般的基準が明らかにならなかったので仕方がなかったとの答弁がなされました。
 しかし、厚労省は病態別の感染被害者数の合計が四万五千人もいるとの推計をしているのであるから、この方たちを具体的に救済するための行政的措置を検討すべきだったのではないでしょうか。救済の一般的基準が最高裁判決では明らかでないというなら、自ら救済制度とそれのための救済の一般的基準を検討すればよかったのではないでしょうか。
 なぜ検討しなかったのか、辻副大臣、お願いいたします。
○副大臣(辻泰弘君)  御指摘をいただきました平成十八年の最高裁判決におきましては、集団予防接種により感染したとするための要件が示されたところでございますけれども、個々の感染経路を医学的、疫学的に特定することは非常に難しく、具体的にどのような証拠があればその要件に該当するのかということは、平成十八年の最高裁判決の五人の原告の方々のケースだけでは一般化できなかったところでございます。この点について、今回の和解協議におきまして対象者の要件が争点となり、今回の和解協議によって初めてその決着が付いたものでございます。
 このように、本年、国と原告との間で基本合意書が締結されるまでは、感染被害者やその遺族の方々を認定するための要件が明らかではなかったものでございまして、被害者の救済措置を講じることは困難であったと考えているところでございます。
 なお、御質問にございました感染被害者数が四万五千人であるということは、和解協議の結果、対象者の要件が決まった上で、本年六月の時点で算定をした数字でございまして、平成十八年最高裁判決の時点で算定していたものではないことを付言しておきたいと思います。
○川田龍平君  このB型肝炎の全国訴訟が始まって、三年もたってようやく基本合意に至ったわけですが、その基本合意の内容を一般化するために本法案の成立が期されているとの趣旨説明でした。
 しかし、そうであれば、厚労省は救済すべき被害者が数万単位で存在することは分かっていたけれども、全国の患者がこの病気を抱えながら裁判に立ち上がり、何度も厚労省前での座込みを行い、国との闘いの中で基本合意を勝ち取るという必死の努力がなされなければ、現在でも厚労省は被害者を救済するための本法案のような制度を検討しなかったということなのでしょうか。もし何らの救済手段の検討もしてこなかったのだとしたら、そのこと自体、大臣は謝罪するべきだと思います。
 私自身、薬害エイズの裁判で厚生省と闘ってきて、このような被害が二度と起こらない社会の仕組みをつくるために、この国の仕組み自体を変えなければいけないと決意して国会議員になりました。この長い長い裁判を闘わなければ国が動かないということで、このままで大臣はよいと考えるのでしょうか。私は、この長期にわたる裁判の和解後にやっと国が対応を検討することで、結果的に多くの除斥期間の被害者を生み出したということに対して、今日も多くの原告の方が傍聴席に見えられていますけれども、それにきちんと誠意ある謝罪をしていただきたいと考えますが、小宮山大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君)  委員がおっしゃるとおりだというふうに思います。
 政府としましては、国の責任を認めた平成十八年の最高裁判決、これを重く受け止めまして、裁判所の仲介の下、誠意を持って和解協議に応じ、原告の皆様と基本合意書を締結をいたしました。
 私といたしましては、御指摘あったように、長年にわたって本当に患者の皆様やその御家族に精神的、肉体的、また経済的な御負担をお掛けしたことを心からおわびを申し上げたいと思います。そして、原告の皆様と締結させていただいた基本合意書、これを誠実に実施をしていくことをお誓いをしたいと思います。
 この基本合意書の内容に沿った給付金の迅速、確実な支払をしていけるようにこの法案を早期に成立をさせていただきまして、一刻も早く本件の全面解決を図っていきたいと思っておりますし、また今後、仮に除斥期間を経過した肝硬変、肝がんの患者の皆様方が提訴をされた場合には、基本合意書の趣旨に照らしまして、裁判所の仲介の下で誠実に対応をなるべく迅速にさせていただくことをお約束したいと思っています。
○川田龍平君  私も是非やっていただきたいと思います。本当にこういう患者、病気の問題については、感染経路やそういったことで区別されるべきものではなく、本当に病気に対する治療のやっぱりしっかりとした研究開発ですとか、そういった薬については本当に早くやっていただきたいと思いますし、それから、こうした問題について、やはり二度と引き起こさないということをしっかりと厚生省の方で反省していただいて、この予防接種についても今これから話合い、いろんな問題で出てくると思います。そんな中でも、やっぱり是非こういったB型肝炎の問題も踏まえてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 さらには、本当にこの時間の問題、本当に十年、提訴した人もこれから和解を合意するに至るまでに更にまだ時間が掛かると言われています。本当にそれだけのやっぱり体制をしっかりと組んでいただきたいと思います。本当に早く、一日も早く、患者の方たちが救済されるような制度、仕組みにしていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。質問を終わります。