川田 龍平 オフィシャルブログ

8月25日(木)、厚生労働委員会にて質問に立ちました。今回は子ども手当法案についての質疑でしたが、その他にも「茶のしずく」の問題、震災のにおける被災地の診療報酬加算についてなども質問させて頂きました。


以下、議事録です。

※未定稿文のため、一部変更の可能性があります。


○川田龍平君  みんなの党の川田龍平です。
 私は、三・一一以降、私たちに何より問われているのは、個々の政策論のベースになるもの、この国をどう立て直していくかのビジョンだと思います。その中でも、特に子供に関する分野は、人が財産である日本においてどういう人間を社会に送り出していくのか、その非常に大切なところであります。
 そこで、大臣にお聞きしたいのですが、社会保障、労働も含めた大きな枠組みの中で、これからの日本という国にとって子育て政策はどのような位置付けにあるとお考えでしょうか。私は、子育ては国づくりの大事な基盤として社会化していくべきと考えます。これまでのように夫婦と子供二人の典型的四人家族をモデルにした、ベースとした政策は、一人世帯が最大世帯となっている現在の状況ではもう適用できません。社会の状況が変わっているのに昔のやり方を続けることで、賃金も下がり、少子化の重圧を受ける若い世代が結婚や子育てをしにくい社会になってしまっています。それが結果的に税収の低下をも招いているのです。
 大臣、大臣のころとは全く変わってしまった今の日本の若者の状況を見た上で、今の日本の社会にとって子育て政策はどのような位置付けとお考えでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君)  子ども・子育て、これは国にとっても大変重要な問題だというふうに認識をいたしております。
 子ども・子育て支援につきましては、子供と子育て家庭、これを社会全体で支援すると、こういう基本的な考え方でやっていきたい。そして、そういう考え方の下で、まずは手当等の現金の給付、また待機児童の解消などの保育サービスの拡充、あるいはまたワーク・ライフ・バランスの実現など、バランスの取れた総合的な政策を講じることが重要だというふうに考えております。
 こうした考え方に基づきまして、子ども・子育て支援の総合的な対策を推進をするために、数値目標を盛り込んだ子ども・子育てビジョンを昨年の一月に閣議決定をしたところでございます。このビジョンの実現に向けて、私ども、関係府省とも連携を取りながらしっかり取り組んでまいりたいと、このように考えております。
○川田龍平君  この一極集中の中、都市部や農村部など地域によって家族形態や働き方がそれぞれ異なる日本社会においては、地域ニーズに応じた形で子供のための予算を使えるようにするべきで、国が一律に上から決めていくのは、結果としては日本は子育てをしにくくなるのではないでしょうか。
 ですから、今回の法案の中身についてはもっと私は慎重に審議すべきだと思いますが、重大な積み残しの部分があるということを一言申し述べ、今国会も最後の質疑でありますので、次の質問に移らさせていただきます。
 先日質問させていただいた茶のしずく石けんの問題について、非常に重大な問題なので再度質問させていただきます。七月二十八日の当委員会においてや質問主意書でも質問させていただきましたように、医薬部外品であるからといってその報告義務を簡易にしてしまうというのは、安全性を保障し、国民の命を守るという厚労省の本来の役割から全く逆行しています。少なくとも重篤な副作用についてはきちんと報告をさせるように指導を徹底してください。
 私が提出した質問主意書への答弁によれば、今回、小麦加水分解物に係る副作用についての学会文献が最初に海外で掲載されたのは平成十八年四月とあります。その後、日本で平成二十二年の十一月十五日発行の日本臨床皮膚科医会雑誌の茶のしずく石けんの被害事例が掲載されています。しかしながら、当該業者が監督官庁に報告したのは平成二十三年、今年の三月三十一日が最初ということになっています。少なくとも五か月もの間放置されていたことになりますが、その間にどれだけの方にエネルギー反応が出たのかは分かりません。
 これ何度も申し上げているように、たとえ医薬部外品であってもこのような重篤な副作用が起きるかもしれないのですから、重篤な副作用が生じた場合の報告はもっと迅速にされるべきです。このまま何もしないで、金太郎あめのように、医薬部外品は人体への作用が緩和であるからとか、全ての事例を報告させるのは膨大で気の毒であるとか、医薬部外品販売業者は医療機関と密接な関係が構築されていないといったような言い訳ばかりで手をこまねいていては、国家、この国の不作為により生まれなくてもよい副作用被害者を生んでしまいます。
 重篤な副作用が確認されたならば、それは速やかに報告されてしかるべきと申し上げているのですが、今回のようにただ五か月も放置されているようなケースを二度と起こさないためにも、具体的な措置を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(大塚耕平君)  確かに医薬部外品等につきましては、その製造販売業者に対しまして、有害な作用が発生するおそれがあることを示す研究報告などを知ったときは三十日以内にその旨を厚生労働大臣に報告しなければならないと、こうなっているところでございます。
 今回、先生が累次にわたりまして御指摘いただいております案件は、昨年の十一月に学会誌に論文が発表されたということは今御紹介いただきましたが、しかし企業から厚生労働省への報告は本年三月に初めて行われたということで、企業がいつ情報を入手し、あるいはどのように対応したかについては、現在、関係の自治体を通じて調査を行っているところでございます。
 しかし、今先生御指摘のように、こういう問題を繰り返し起こさないためにも、さらに関係者には善管注意義務をしっかり果たしていただくために、製造販売業者が重篤な健康被害の情報を医師、薬剤師等の医薬関係者から入手した場合においては、その事実を示す報告書類を研究報告として取りまとめ、薬事法の規定に基づき期限内に報告するよう、関係業者へ改めて徹底することといたしまして、昨日付けで通知を出させていただきました。
 また、何がしかの症状を発症された国民の皆さんは医療機関を受診するものと思いますので、従来より医薬品・医療機器等安全性情報報告制度というものを運用しておりますが、このような事例に遭遇した場合には厚生労働省に速やかに御報告いただけるよう、これも改めて医師、薬剤師等の関係者の皆さんに対して迅速に報告を求める通知を昨日付けで発出させていただいたところでございます。
○川田龍平君  この昨日発出の通知は確認をいたしました。医療関係者から情報を入手した場合には、社内で報告書をまとめ迅速に報告をするように指導を徹底するということですが、これでは不十分です。これは命の問題です。そもそも社内の報告書をどれくらいの期間でまとめればいいのかが不明確です。昨日発出の通知によれば、研究報告をしたときから三十日以内に厚生労働大臣に報告しなければならないとありますが、これは医療関係者から情報を入手した時点を起点とするのでしょうか、それとも社内で稟議を重ねて資料をまとめた時点を起点とするのでしょうか。
○副大臣(大塚耕平君)  御質問の趣旨は、先ほど私も申し上げました、そのおそれがあることを認識したというのはいつを起点とするのかという御下問だとございます。
 まさしく有害な作用が発生するおそれがあることを認識した日ということが一つの考え方になっておりますので、今先生が御表現いただいたような具体的な取りまとめ期間等までは想定しているものではございませんが、いずれにいたしましても、認識を得た場合には直ちに報告書類として記録し、起算日から三十日以内に報告するよう指導を徹底させていただきたいと思います。
○川田龍平君  特に社内でだらだらと稟議をしている間に時間ばかりたってしまうということでは本当に困りますので、明確に通知などで、単に研究報告などという言い訳がしやすい文言ではなく、少なくとも重篤な副作用が生じた場合には迅速に報告することを義務付けるように検討をいただきたいんですが、細川厚生労働大臣に見解を一言お願いします。
○国務大臣(細川律夫君)  今、大塚副大臣の方からいろんな、今回の通知の発出などについての御説明がありました。
 川田委員が御指摘あるように、こういう重篤な被害が出ているような問題について早急に対応をしなければいけない、これは当然だというふうに私も思っておりまして、今回通知を出しましたので、これをちょっと見まして、そのような必要があれば私も検討はしていきたいというふうに思います。
○川田龍平君  この文言を明確に書き換えていただくということで是非対応をいただきたいんですが、大臣、そういうことでよろしいでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君)  はい、検討させていただきます。
○川田龍平君  昨日は薬害根絶デーということで、大臣にも薬害根絶の碑の前でメッセージを、挨拶をいただきましたけれども、やはり本当にこの薬害の問題というのは厚生労働省がしっかりとこの問題に関心を持っていただいて、医薬部外品といえども薬の安全性も含めて安全、安心に使える社会というものを是非国としてしっかり行っていただきたいと思います。
 そこで次に、質問移りますが、私立大学病院や日赤病院など、最近、薬剤部長が薬の専門家たる薬剤師ではなく医師が兼ねるという場合が増えていると聞いています。薬学部を六年制として薬学を志す多くの若い人に長期の修業年限を課して多額の授業料を担わせているにもかかわらず、医療の象徴とも言えるような大学院で薬剤管理をつかさどる部署の長を薬の専門家として国が認定する薬剤師でない者を充てることを看過するのは適当ではないと考えています。
 そこで、まず文科省に質問ですが、そもそも政府が平成十八年に薬学部を六年制とした理由をお聞かせください。
○政府参考人(磯田文雄君)  医療技術の高度化や医薬分業の進展に伴いまして、医薬品の安全使用、適切な薬物治療の提供、患者への適切な服薬指導の実施など、医療の現場において医療の担い手としての薬剤師の役割が一層重要となってきております。
 このような背景を受けまして、薬剤師の養成において高い倫理観、医療人としての知識と教養、医療現場で通用する実践力、これらの育成のため一層の教育の拡充が求められたところでございます。このため、医療薬学系の科目及び病院や薬局における実務実習の拡充等を始めとした大幅な教育内容の拡充を行うということでございます。
 また、諸外国におきましても、薬剤師養成のための薬学教育につきましては四年ではなくさらに五年あるいは六年の例が多いということから、六年間の教育とさせていただきました。
○川田龍平君  この辺りの経緯は、ちょっと今席を外していますが、藤井先生が当時尽力されたということで存じておりますが、薬学部を六年制としたことにより更に質の高い薬剤師が輩出されるだろうという思いが込められた法制化だったと理解しています。
 そこで、端的に質問させていただきますが、六年制学部出身の薬剤師は病院の薬剤部長などにより責任ある立場で十分活躍が期待されるのではないでしょうか。文科省の見解をお示しください。
○政府参考人(磯田文雄君)  国立大学及び公立大学におきましては、薬剤部長は全員ほぼ我々の調査では薬剤師の資格を保有されておられますが、私立の調査した一部、五病院でございますけれども、御指摘のとおり、医師の方が薬剤部長をされているということでございます。
 私どもといたしましては、質の高い六年間の薬学教育を受けた薬剤師の方々が更に研さんを積まれまして、これまで以上に責任のある立場で活躍されることを期待しております。
○川田龍平君  文科省もこれだけの思いを持って薬剤師養成教育をしているにもかかわらず、就職先たる医療現場ではこの活躍の場がまだされていないということで、例えば、高い志を持って薬剤師を目指したものの、自分の未来を十分に開かれていないと知った若者の気持ちがどんなものか。
 薬の専門家たる薬剤師の活用の場として、民間病院の薬剤部長や薬剤科長の在り方について、薬剤師であることが望ましいなどの指導はできないものなのかどうか、大塚副大臣にお聞きします。
○副大臣(大塚耕平君)  まず、現在の枠組みでございますが、医療法において、病院の管理者に対して、医薬品の安全管理責任者を配置することや、医薬品の取扱いについての手順書を作成することなどを義務付けております。その上で、薬剤部長や薬剤科長にどのような職種の方を配置すべきかということについては、これは各病院の実情に合わせて適切に判断されるべきことと考えております。
 医師の皆さんは実際に薬の処方の内容を判断されるわけでありますので、医師の方々も十分にそういった知識及び管理能力はお備えになっているわけでございますが、今先生が御指摘のように、薬学部が六年制になり、初の卒業生が来年の三月に出るわけでございますので、そういう社会の変化も踏まえて、各病院で適切に判断されるものと思います。
○川田龍平君  少なくとも三百床とか四百床とかいうような地域の基幹病院においては、扱う医薬品の量も大変多いでしょうし、診療の片手間に医薬品の安全管理を行うということは不可能ではないかと思います。現実を実地に管理するという意味でも薬剤部や薬剤科で勤務する薬剤師が適当と考えますが、少なくとも大規模病院については医薬品を実地に管理する者を薬剤科や薬剤部の責任者に据えるように指導すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○副大臣(大塚耕平君)  基本的な枠組みは先ほど申し上げたとおりでございます。しかし、先生の今の御質問の前提となっておりますような三百床から四百床というような大規模病院においては、恐らく複数の薬剤師さんを採用していることでありましょうし、そういう中で、どういう方を適材適所として配置するかということについては、病院の経営陣、あるいは院長ほか幹部の皆さんの御判断によるものと思いますが、高度な、しかも先ほどの御説明によると、高い倫理観と実践力を備えた薬剤師さんがこれから増えるわけでございますので、適切に現場で判断していただけるよう厚生労働省としてもしっかり注視をしてまいりたいというふうに思います。
○川田龍平君  ありがとうございます。
 中央社会医療保険協議会の医療提供側委員として薬剤師が選任されることになっていますが、この薬剤師委員の選任要件を、長妻厚生労働大臣の時代に、病院において十年の経験を有する薬剤師としたと聞いています。これは事実と考えてよろしいでしょうか。
○政府参考人(外口崇君)  社会保険医療協議会法におきましては、厚生労働大臣は、診療側の委員の任命に当たり、地域医療の担い手の立場を適切に代表し得ると認められる者の意見にそれぞれ配慮するものとするとされております。この規定を踏まえて、中医協の委員として適切な方を委員として任命させていただいているところであります。
 なお、平成二十一年十月の委員交代の際に選任された薬剤師の委員は、病院での十分な調剤の経験を有している方であります。
○川田龍平君  若者の将来、未来が懸かっていますので、是非所管大臣としてしっかり頑張っていただきたいと思います。
 次の質問に今度時間がないので移らせていただきますが、最後に、この平成二十三年八月二十三日付けの日本経済新聞に掲載された被災地の診療報酬加算という記事について事実確認させていただきます。
 政府はこれまで医療保険制度の公平性という観点からこういう措置はとってこなかったと考えますが、そもそも被災地の病院支援や医療職の確保に充当させる資金であれば、公平負担の原則である医療保険財源からではなく、復興支援など別の財布から捻出するのが当然と考えるんですが、政府の見解をお示しください。
○政府参考人(外口崇君)  八月一日から三日にかけて中医協の会長及び委員が被災地三県を訪問し、それを踏まえ、昨日開催された中医協において、被災地における診療報酬について議論をしたところであります。
 昨日の中医協においては、算定要件の緩和については、可能なものについて速やかに実施するとされたところであります。一方、被災地における特例加算については、補助金や補償との役割分担を踏まえて、財源を含めて改定時までに検討をすることとされたところであります。被災地の医療提供体制の状況も踏まえつつ、中医協において議論をされるものと承知しております。
 なお、被災地における医療機能の復興支援については、三次補正予算の編成に向け、地域の実情に即した弾力的な対応を支援していく方向などで検討してまいりたいと考えております。
○川田龍平君  この件に関して、今朝の朝日新聞によると、その席で大塚副大臣は、非常時と考えれば、特例加算をした上で患者自己負担分を公費で負担する仕組みもあり得ると明言されています。公費負担といっても、結局地方に負担を押し付けるような形であっては地方が困惑するだけです。公費負担すればいいという問題ではないと思います。公費で負担するといっても、医療費がかさんだ部分のほとんどは被保険者たる国民が保険料という形で負担をすると。
 保険の基本は公平負担です。医療の本質とは異なる部分で負担を増加させるのは、社会保険制度としていかがなものかと考えます。正論で言えば、被災地支援は別の財源でするべきと考えますが、もう一度大塚副大臣の真意を御教示ください。
○委員長(津田弥太郎君)  時間ですので、簡単に答弁お願いします。
○副大臣(大塚耕平君)  昨日、私も中医協総会、出席をさせていただきました。
 特例加算を仮に行った場合には、患者さんの自己負担が増えるので特例加算はなかなか難しいという議論が行われておりましたので、私からは、選択肢を狭めることなく幅広く御議論をいただきたいという意味において、仮に特例加算をした場合に、患者さんの自己負担が増えることが理由でこの議論を遮断するということではなく、その場合には患者さんの自己負担分は公費で賄うという枠組みも考えられるので、幅広い選択肢の中で被災地のことを十分お考えいただいて論を尽くしていただきたい、そういう趣旨で申し上げました。
○川田龍平君  ありがとうございました。