川田 龍平 オフィシャルブログ

7月15日(金)、厚生労働委員会にて質問にたちました。

今回は予防接種法についての質疑でした。また、地域医療の安定した供給体制という観点から、薬局の問題について質問をいたしました。さらに、B型肝炎についても少し言及いたしまた。


以下、議事録です。

※未定稿文のため、一部変更があるかもしれません。


○川田龍平君  みんなの党の川田龍平です。
 今回の法律は、主として新型インフルエンザ予防接種を円滑に執り行うための法律と理解していますので、基本的には賛成であります。しかし、これに関連して確認だけをさせてください。
 既に、藤井議員始め各議員からも論点整理されていますが、予防接種行政全般について質問させてください。
 今回の改正では新型インフルエンザワクチンのみが対象となりましたが、世間一般の議論としては、子宮頸がんワクチン、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンなども重要な論点となっています。本来は、こうした世界的には標準となってきているワクチン全般について広範に議論すべきだと考えますが、ワクチン行政全般については、ワクチン研究の開発援助、ワクチン供給確保のための財政支援、ワクチン流通問題の解決、ワクチン接種機会確保といった論点からも、是非とも厚生労働省として省内で深く検討していただきたく思います。
 さて、本日は、様々なワクチンにかかわる問題がある中で、Hibワクチンと肺炎球菌ワクチンの健康被害の発生状況について確認したいのですが、昨今報道されていましたHibワクチンと肺炎球菌ワクチンによる死亡事故についてどのような状況にあるのかを現状を報告してください。
○大臣政務官(岡本充功君)  本年三月二日から四日までに、細菌性髄膜炎の予防接種ワクチンである小児用肺炎球菌ワクチンやHibワクチンを含む複数のワクチンを同時に接種をした後に死亡した例が報告され、これが続いたため、念のためこれらのワクチンの接種を一時的に見合わせて、専門家による評価を行うこととしたところであります。
 三月二十四日に開催された専門家による会議において、それまでに報告された同時接種による七例の死亡例について評価され、いずれの死亡例にも明確な因果関係は認められず、同時接種に関して安全性についての懸念はないとして、一定の条件の下で接種を再開して差し支えないとの意見がまとめられたところでございます。
 厚生労働省におきましては、このような評価結果を受けまして、接種対象者の方々が安心して接種を受けられるようにリーフレットやQアンドA等を作成して、四月一日より接種を再開したところでございます。
 接種再開以降の同時接種による死亡例は、六月十三日に熊本市において公表された乳幼児突然死症候群の疑いとされる一例が報告されておりまして、昨日、七月十三日でありますけれども、開催された専門家による会議において評価をいただき、明確な因果関係は認められないとされたところでございます。
 今後とも、報道、医療機関、自治体、接種を受けられる方々等に対して正確な情報を迅速にお伝えをするということが大変重要であると思いますし、接種の安全性の確保をしっかり図っていきたいというふうに考えております。
○川田龍平君  重篤な副作用事例でありますから、当然に今、疫学調査が実施されていると考えますが、このような副作用事例はどのような要因によって引き起こされたと考えられるのかの政府の見解を是非お示しください。
○大臣政務官(岡本充功君)  ワクチン接種による死亡事例の原因は様々ありまして、今回の報告もそうでありますし、これまでも接種してから一体何日後ぐらいに亡くなられたか、また実際に剖検等がされているか、こういった情報を基にその因果関係を専門家の先生に判断していただいています。
 そういう意味では、乳幼児の場合には、特にSIDS、乳幼児突然死症候群や食べ物の誤嚥といったものを含めて、また不整脈、様々な原因で残念ながらお亡くなりになられる方というのが一定の方お見えであるというのもまたこれ事実でありまして、なかなかこの安全性の評価というのは非常に難しいところがあります。海外での一体、事例がどのような状況にあるかとか、またその承認に当たっての様々なデータがどうだったか、こういうことも併せて総合的に判断をしていくと、こういうことが必要なんだろうというふうに考えております。
○川田龍平君  とにかく、事故が発生した場合には、そのような事例が二度と発生しないようにするためにはどのようにすればよいのかという視点で対応策を是非練っていただきたいと思います。世界的には一応安全であると言われているワクチンで事故が発生するわけですから、何か理由があるはずですので、是非とも解明して安全、安心にワクチンが接種できる環境を整えていただきたいと思います。
 それでは次に、規制・制度改革の対象項目として折衝が続いている調剤基本料の一元化についてですが、確かに国民にとって分かりにくい制度だという論点は同意するのですけれども、だからといって、効率性を論拠にして、より効率的な運営をしている薬局に基準を合わせるとなると、地域のために効率性が十分でない薬局がなくなってしまうではないかという懸念があります。
 チェーン店は何といっても店舗数が多いので、一件当たりの調剤基本料が安くても全体で吸収ができるでしょう。それは効率を優先しているからです。チェーン展開している調剤薬局を束ねる法人の社長の年収が一体幾らだということが御存じでしょうか。ある法人の社長の年収は、五億七千二百五十五億万円ということだそうです。これは、つまり効率化を進めていけばそこまで利益が得られるということであります。こういった調剤チェーンには、一物二価という錦の御旗の下で進められる、むしろこの一元化によって何ら困ることはないでしょう。むしろ、一元化の方向性によっては、棚からぼたもちのように一層の利益を生み出すことにより、この利得を使って更なる出店攻勢を強めて、それこそ地域のかかりつけの薬局を壊してしまうのではないかということも考えられます。一物二価と言ってしまえば非常に聞こえはいいのですが、結果的には広域で展開する門前薬局を中心にした大企業ばかりを優遇し、地方の零細薬局への配慮が全くないと思うのです。
 地域の健康を守る一つの手段として地場産業である地域薬局を撤退させるようなことにならないのか、内閣府の見解をお示しください。
○政府参考人(舘逸志君)  お答えさせていただきます。
 調剤基本料の一元化については、ただいま政府内で折衝を行っておりまして、大変調整が困難な項目であると認識しております。
 規制・制度改革に関する分科会においては、基本的に調剤薬局である限り、町内の薬局であれ、いわゆる門前薬局であれ、薬剤師が専門家として業務を行っており、能力やサービスに差異がないこと、一方で、同じサービスであるにもかかわらず診療報酬が異なるために患者の自己負担が異なってくると、そういう問題があると認識しております。現在の診療報酬のままでは消費者の方は安い方に行こうとしますから、自己負担の低いいわゆる門前薬局に流れる。その結果、町中の薬局から顧客が奪われるという懸念があると認識しております。
 このような考え方もあり、規制・制度改革に関する分科会の中間取りまとめでは、公定価格の設定の在り方として一物二価は改めることを検討すべきとの提案となったものと理解しております。
○川田龍平君  この内閣府の見解についての厚生労働省の見解、いかがでしょうか。
○政府参考人(外口崇君)  調剤基本料については原則四十点としているところ、処方箋の受付回数が特に多く、特定の医療機関からの集中率の特に高いごく一部の保険薬局については、類似の処方箋の受付が多くなる等、経営効率が高いことを勘案して診療報酬が低く設定されているものであります。
 少なくとも、通常の保険薬局に対してこの例外的な低い点数である二十四点を一律に適用することについては、その経営を継続することができるかどうか、複数の医療機関を受診している患者の一元的管理を適切に行えるかどうか等の問題があると考えております。
○川田龍平君  地域産業の空洞化と言ってはオーバーかもしれませんが、地域で生まれ育った、地に足の付いた医療提供機関がなくなってしまう、施設がなくなってしまうというのでは、安定した医療供給体制は望めません。
 確かに、内閣府のライフイノベーションワーキンググループの示した資料にもあるように、チェーン薬局の方が、調剤ミスの発見率、待ち時間に対する患者満足度などで門前薬局の方が高いという意見もあります。しかし、この高得点を得たという論拠になっている参考文献には、同様に、門前ではない地域の薬局では、顧客雰囲気に対する患者満足度、対応雰囲気に対する患者満足度は高いと言っているのです。
 また、顧客満足度というのは評価指標としては確かに重要なものですが、安全性の議論をするときには単純な消費者第一主義に偏ってしまっては非常に危険なものになるのではないでしょうか。インターネットにおける医薬品販売でもそうですが、利便さの追求と安全性の追求は必ずしも比例関係にはないのです。
 調剤基本料の一元化についても、調剤を何のためにしているのか十分に理解した政策とは言えないのではないでしょうか。そもそも、医薬分業を推進したのは、利便性よりも安全性を重視したからではないでしょうか。安全性をないがしろにしての利便性の追求は、命を軽視した医療政策とやゆされても仕方ありません。是非とも慎重に議論してもらいたいと思います。
 内閣府の示している一元化の議論を拝見すると、あたかも門前薬局が便利であるというような書きぶりです。そもそも、門前薬局が便利だというのであれば、診療所や病院でお薬をもらった方がもっと便利です。なぜ不便であっても薬局でお薬をもらう方がよいのかということを理解しているのかどうか、疑問を感じます。
 内閣府は、そもそも利便性という観点から医薬分業を否定し、診療所や病院に調剤を戻すべきと考えているのか、その見解を内閣府、お示しください。
○政府参考人(舘逸志君)  規制・制度改革につきましては、先ほども申し上げましたように、一物二価の問題を取り上げているだけでございます。特に医薬分業の問題について、規制・制度改革について取り上げておるものではございません。
 その論点は、医療機関が院内で医薬品を処方するか院外で処方するかという問題ではなく、医療機関から処方箋を受けた保険薬局において、その調剤基本料の取扱いに一物二価が認められるかどうかと、その論点を議論しているものでございます。
○川田龍平君  薬局で薬をもらうのがおっくうだというのは、残念ながら一般の国民感情ではないかと思います。
 ただ、ここは安全性をということで政策的に医薬分業を進めてきたのですから、その必要性をもっと国民に分かりやすく説明するのが政府の責任だと思います。
 また、先ほども例示しました、門前薬局の方が調剤ミス発見率が高いという東京医科歯科大学の川渕孝一先生の著書が指摘されるように、かかりつけ薬局機能ができていないというのであれば、政府もしっかりと関係団体に指導するべきでしょうし、改善が見られない薬局があるのならば、そういった薬局こそ調剤基本料の減算をしてしかるべきでしょう。
 いずれにしても、このかかりつけ薬局の在り方について厚生労働省はどのように考えているのか、その見解をお示しください。
○大臣政務官(岡本充功君)  今御指摘いただきました調剤薬局の在り方、本当に川田委員に厚生労働省の懸念を含めてお話をいただいているような気がしておりますが。
 そもそも医薬分業の長所は、薬剤師が医師と独立した立場から処方箋をチェックする、これができるということ、それから患者が複数の医療機関を受診した場合でも重複投与の防止や薬剤の相互作用確認ができるということ、それから病院の薬剤師は外来の調剤業務から離れ入院患者に対する服薬指導などを重点に仕事をすることができると、こういうようなことなどがメリットというふうにされておりまして、医療の質を向上させ患者さんに便益を与えると、こういうふうに考えてきております。
 こうした医薬分業が効果を上げるためには、特定の医療機関からの処方箋の受付がほとんどである、いわゆる先ほどからお話しの門前薬局ではなくて、個々の患者が複数の医療機関からの処方箋を特定の薬局で受けるかかりつけ薬局、先生御指摘のように、いろんな医療機関から受け取る、こういったところの方が多くなるということが、推進をするということが重要だというふうに考えています。
 医薬分業は、そういった中、これまで推進をしてまいりました結果、順調に進展をしておりまして、関係者の理解と協力があるということを感謝申し上げたいというふうに考えております。平成二十一年度は医薬分業率が六割を超えていると、こういうような状況でありますので、引き続き国民の皆さんにその便益をお知らせをしつつ、また関係者の皆さんの御理解を得つつ進めていかなければならないと、このように考えております。
○川田龍平君  この調剤基本料の一元化には、この一物二価の撤廃という考え方があるようですが、どうやら四十点から二十四点に一気に引き下げるということは考えていないと理解をしています。
 ただ、一物二価を撤廃するという原則である程度の平均化は模索しているというふうにも見えますが、そうなれば、一般薬局には減算となりチェーン店には加算となりますから、この大企業であるチェーン店優遇政策となるのは否めません。
 やはり、かかりつけ薬局を育てていくためにも、一般薬局に減算となるような一元化は余り好ましいとは言えません。ただでさえ地方で薬局がないのでインターネットで取引をしないといけないということを主張するくらいですから、政府自らが地方の薬局に打撃を与えるような政策に打って出るのは納得できません。
 インターネット取引は補完というのが政府の論拠なのですが、補完しなくてもよい状態こそが望ましい状態なのでしょう。それならば、地方にも元気な薬局ができるような政策を取るべきだと考えますが、厚生労働省の答弁によれば中医協の議論を通して決定されるということですから、そこは日本の産業構造や、あるべきかかりつけ薬局の姿などもしんしゃくした上で一元化の是非を決めていただきたいと思います。
 また、仮に一物二価の撤廃にこだわるならば、制度の表層ばかりをいじるのではなくて、医療保険制度の中身までしっかりと議論してはいかがかと思います。
 昨年十月にパリで開催されたOECDの大臣級会議で配付されたOECDレポート「バリュー・フォー・マネー・イン・ヘルス・スペンディング」にも何度も書かれていますが、拙速な医療費削減政策というのはかえって長期的な保健医療支出を増大させると、くどいほどに指摘をしています。一元化による医療費縮減効果がどれほどかは分かりませんが、政府の提案する一元化では拙速かつ短期的な医療費削減策の域を脱していません。政府には、長期的スパンに立った総合的な医療費削減政策を提案してもらいたいと思います。
 この一物二価を廃したいというのであれば、例えばドイツ、イタリア、デンマークなどでは、保険薬局からの保険請求に対して、政府や保険者からの支払に際して一律数%の割引を強いている政策を実行しています。
 例えば、調剤基本料であれ何であれ、基本は高いものに合わせ、窓口負担は一律とするということです。その上で効率が進んでいるところや後発医薬品の使用に消極的なところ、あるいは十分なかかりつけ機能を発揮していないところには、レセプト請求後に、そのレセプト請求の支払時に一定の割引措置を図るなどの思い切った改革を断行してみてはいかがでしょうか。OECD並みの医療水準というのであれば、同じOECDがいみじくも指摘するように、拙速な医療費削減政策はやめた方がよいと思います。
 もう一度内閣府に確認しますが、一元化を進めるについてもっと広範な議論をしていく考えはないんでしょうか。一物二価というのは、何も調剤報酬だけではないでしょうし、そういったものはほかにもいろいろあるのですから、拙速な医療費削減政策ではなく、社会保障の在り方そのものをきちんと議論すべきだと思いますが、内閣府の考えはいかがでしょうか。
○政府参考人(舘逸志君)  先生御指摘のように、総合的な検討というのは大変重要だと思っております。分科会においては、中間取りまとめの記載にもありますように、社会保障制度改革の必要性や方向性などについて、改革に向けた基本的な考え方を示しながら検討を行っております。その中で、調剤基本料の一元化については、国民から見て透明性の高い制度改革ということを求めて、その下で、国民視点での納得感、整合性、分かりやすさといったこと、そういうことを踏まえた上での検討となっております。
 今後とも、規制・制度改革を担当する事務局としては、規制・制度改革を行うに当たっての考え方を適切に整理しながら進めていきたいと思っております。
○川田龍平君  話がちょっと大きくなってしまいましたが、最後に細川大臣から、調剤基本料一元化への議論についての高所大所からの一言をお願い申し上げます。
○国務大臣(細川律夫君)  今、調剤の基本料の一元化についていろいろ議論がございました。私は、基本料の算定で処方箋の受付回数が多くて特定の医療機関から集中率が高いごく少数、これはまあ一%ぐらいのところでありますけれども、その低い点数にその他の九九%の大多数の薬局を合わせるということは、これはもう困難だというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、調剤基本料につきましては、現在の点数設定の考え方、そしてまた保険薬局への影響などを考慮いたしまして、これは、中医協の方で診療報酬改定全体の議論の中で慎重な検討を踏まえて適切に設定をしてまいりたいと、このように考えております。
○川田龍平君  是非適切な検討をしっかり加えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 最後で一言だけ。
 先ほど山本議員からも意見ありましたB型肝炎の和解につきましては、B型肝炎があるから増税なんだということにならないように是非とも配慮していただいて、しっかり和解を進めていただけるようによろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。質問を終わります。