川田 龍平 オフィシャルブログ

5月25日(水)の災害対策特別委員会で、年間被曝量を20ミリシーベルトから1ミリシーベルトまで下げることについて、また毎年小中学校で実施している学校健診に放射線被曝や放射線医学に関する検査項目に入れることについて等を質問いたしました。



以下、議事録(未定稿のため、今後一部修正される可能性があります)を公開いたします。



○川田龍平君  みんなの党の川田龍平です。
 原子力災害による放射性物質は今もまき散らされており、政府はいまだに対処ができておりません。引き続く放射能汚染により、健康被害が起こることを黙って見過ごすわけにはいきません。
 薬害エイズの裁判が先週ようやく最後の一人が和解に至りましたが、和解で終わりではありません。これからも被害自体は続きます。繰り返される薬害、水俣病やアスベストなどの公害による被害、そして広島、長崎の原爆による被害の障害も、被害者がその被害の因果関係を確定するために長い裁判を闘わなければなりません。もうこんなことはやめにしませんか。原爆投下から六十五年がたちましたが、いまだにその影響範囲が明確になったとは言えない状態にあります。一九九九年のジェー・シー・オーの事故の影響についても、現在裁判が進行中です。
 今回の福島第一原発事故の被害も、このままでは恐らく全く同じようなことが起こるのではないかと思います。戦後、何度も何度も繰り返されてきたこのような苦しみを二度と繰り返さないためにも、今回の原発事故の影響については、可能な限りの防衛手段と、問題が起こったときに少しでも迅速かつ正確に対応できるための調査と記録を国が責任を持ってしていただきたい。
 先ほども手帳の話も出ました。放射線が健康へ悪影響を与えるかについては様々な議論がありますが、ICRPの閾値なし直線仮説は、どんな低レベルの放射線でも健康に対して潜在的な悪影響があり、その上で許容できる範囲を決めるという立場であって、安全な放射線量というのはないということを言っているのです。三月二十五日の厚生労働委員会でも、私の質問に対して大塚副大臣から、ICRP、国際放射線防護委員会、こちらが定めた基準を参照しながら議論をし設置された水準だと思っておりますので、私どもとしては、現在はこの暫定規制値を一つの判断のよりどころとさせていただくというふうに思っておりますという答弁をしていただきました。この答弁がありましたので、このICRPの閾値なし直線仮説を採用していただけるものと思っています。
 その上で、ICRPのパブリケーション一一一として出版されたICRPの勧告を見ますと、暫定値として年間被曝量二十ミリシーベルトを上限と設定するのはあくまで参考値であり、この基準を超えると当該集団を強制的に移住させ、それ未満であれば住民は一定の条件に従ってとどまることを許されることになろうとあるとおり、本質的には避難が好ましいが、避難に伴う社会的、身体的なリスクを避けるという決断を住民自身がすることを尊重すべきであるという主張です。
 また、参考レベルを下回る被曝を無視してはならず、防護が最適化されているかどうか、あるいは更なる防護措置が必要であるかどうかを確実にするために評価を行うべきである、また、当局が実施する防護方策の優先事項は、被曝が最も大きい人々を防護することと並行して、当該事象に伴うあらゆる個人被曝を合理的に達成可能な限り低減することであるとも述べており、線量が参考値以下であるとしても政府はこの線量の低減に向けて努力すべきであるとも述べられています。
 つまり、ICRPは二十ミリシーベルトまでなら安全と言っているのではなくて、いずれにしても基準値を超えるのだから、政府は住民の方々に移住してもらうか線量を下げるかしなければいけません。ただし、住民の方々にも生活があることを考えると、必ずしも強制的に移住された方がいいというレベルではないというのが参考値なのです。
 ですから、政府は、まずICRPの言う当該事象に伴うあらゆる個人被曝を合理的に達成可能な限り低減する計画を速やかに示すべきです。現在残っているセシウムなどは半減期の長い核種ですから、今後自然に線量が下がるということはほとんど考えられません。なるべく速やかに被曝量を年間一ミリシーベルトの水準に近づけるべきだと考えますが、そのための方策をお持ちでしょうか。お持ちであれば、どの程度の期間でそれを実施するのか、お聞かせください。

○政府参考人(西本淳哉君)  お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、ICRP等を踏まえまして、基準等を考慮いたしまして、年間積算線量で二十ミリシーベルトに達するおそれのある区域を計画的避難区域として設定したわけでございますけれども、御指摘のとおり、ICRPの勧告でも、経済的及び社会的な要因を考慮した上で、合理的に達成できる限り、できる限り低く保たれるべきというふうに指摘しているわけでございます。したがいまして、できる限りその線量低減措置を実施していくということが大変重要だというふうに思っております。
 まずはしっかりと炉を止めるといいますか、放射性物質の放出が管理されて大幅に抑制される状態まで持っていくということがまず第一でございますけれども、これステップツーと言っておりますけれども、本格的な土壌の除染とか、これはステップツー終了後を予定しておるわけでございますけれども、それを待つまでもなく、それまでの間にも関係府省の協力で環境モニタリングをまず徹底して強化していく、あるいは土壌等の除染とかあるいは改良の方法を、実証の研究を進めていくということでございます。
 それからさらに、特に校庭とか園庭とか農地とか、こういった土壌につきましては、関係府省それから自治体等の取組によりまして早急に線量の調査を進めるとともに、表土と下層の土壌を入れ替えるとか、あるいは剥ぎ取った土壌を、表土を地下に埋設するとか、そういうようなことを徹底して進めることによって適切な手法によって放射線量の低下を図っていくという所存でございます。

○川田龍平君  今朝も地震が起きました。四号炉は、これは正確な情報じゃないかもしれませんが、傾いているという話もあります。まあこれはちょっと正確かどうか分かりません。本当に深刻な事態に今いるんだということをやっぱり考えていただいて、一日も早く封じ込めるということを是非実施していただき、そしてさらにはこの線量を低減することを是非やっていただきたいと思います。深刻なんです。
 ICRPが述べていることは、とどまることも可能だが、可能であればその地を離れることも検討されなければいけないということです。そして、なるべく当該の被災地に住む個々の住民の方の決断が尊重されるべきで、政府の役割はその決断を最大限サポートすべきだということです。
 現在、多くの自治体やNPO、企業などが、先ほど長崎の話もありましたけれども、子供の疎開場所の提供もしておられますが、福島市など線量の高い地域にお住まいの特にお子さんや妊婦さんは、こういった機会の利用を是非検討されるべきだと思います。政府としてもそのことをメッセージとして強く打ち出すとともに、情報収集し、利用したい家族の便宜を図ることを検討していただきたいと思います。また、大人も含めた地域住民が自主的に避難することにも情報や資金などで一定の援助を与えることも検討されるべきです。特に、受精直後の胎児が放射線に対して感受性が高いことが知られており、お子さんをつくる可能性のある若い御夫婦などにも避難のための支援が必要であると思います。
 こういった避難を検討している人々への情報面、経済面での支援策をお持ちであればお聞かせください。なければすぐにでもそういった計画を立案すべきだと考えますが、そのことの是非についてお聞かせください。

○政府参考人(西本淳哉君)  私ども、計画的避難区域につきましても、安全性を前提にしながら、様々な地域の実情とか状況、まとまり等も考慮して計画的避難区域を設定したわけでございますけれども、この中で、政府としては、計画的避難区域以外の方々、先ほど先生申し上げられましたような、いろんな地域の実情で避難区域でないけれども避難をする必要があるんだろうとかいうような方とか、大変いらっしゃいます。それから、お子さんをお持ちの方とかいらっしゃいますけれども、こういった計画的避難区域以外の地域の住民の方々にも御安心いただくために、地元自治体とも連携をいたしまして、放射線の専門家とともに、モニタリングの実際の結果とか、あるいは放射線の健康への影響などを丁寧に説明していく必要があるだろうというふうに思っておりまして、この五月二十八日にも南相馬市、それから六月五日にも伊達市に出向きまして、放医研の先生とか専門家の方々からしっかりと線量の影響とかモニタリング結果なんかをお知らせしていくというようなことを考えたいと思っております。
 それから、今回の災害救助法の適用範囲は福島県全域でございますので、例えば移転するという場合でも、仮設住宅の戸数なんかには制約がございますので当面はその避難指示区域の方々優先ということでございますけれども、自主的に避難を行う方々についても同法の適用の対象になるということでございます。

○川田龍平君  是非やっていただきたいと思います。
 学校の年二十ミリシーベルトの基準を今後変更する場合、ICRPの当局が、主要な利害関係者の代表をこれらの計画の作成に関与させるようにすることを委員会は勧告するとの趣旨に沿って、今後この見直しをするときには教員や保護者、さらには子供たちの声も聞いてから決めるべきではないでしょうか。林政務官、お願いします。

○大臣政務官(林久美子君)  川田委員にお答えをさせていただきたいと思います。
 これまでの基準はあくまでも暫定的な考え方ということでございまして、多分これは委員御存じかと思いますが、現在は、学校においては学校の先生にちょうど腰の位置、大体一メートルぐらいなんですが、子供の口の辺りのところに線量計を付けてもらって、実際どれぐらいの放射線量を受けるのかというようなことの継続的なモニタリングもしているところでございます。
 その上で、やはりその当事者の声をしっかりと踏まえるべきではないかと、これはICRPの勧告にもございますけれども、全く私も同感でございまして、様々な分野の専門家の皆様から御意見をいただくということにも留意をしていきたいと思っておりますし、文科省の方では、放射線防護と児童生徒の日常生活や心身の健康や発達などに関して各分野の専門家の方々から御意見を伺う機会もつくることにしております。

○川田龍平君  それで次に、文科省所管の放射線医学研究所を拡充して福島県内にメディカルセンターを設立し、地域住民の放射線被害の安心感を高めるためにも放射線健康被害についての治療と研究を促進するのも一つの方法ですし、毎年小中学校で実施している学校健診に放射線被曝や放射線医学に関する検査項目を追加し、児童の健康状態を最善のものに保っていく努力を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。

○大臣政務官(林久美子君)  お二つの御質問をいただきました。
 一つ目については、文科省としては、放射線医学総合研究所や大学などの研究機関や研究者のネットワークを生かしながら、そうした継続的にきちっとやっていく取組を支援をしていきたいというふうに思っております。
 二点目について、学校の健診についてでございますけれども、これも委員御存じのように、原子力災害対策特別措置法において、原子力災害の事後の対策として、居住者等に対する健康診断及び心身の健康に関する相談の実施その他医療機関に関する措置を行うというふうにされておりまして、小中学校に通う児童生徒についても当然この措置の対象になるものというふうに考えております。
 これを実際、学校の健診というものの中でやるのかどうかということに関してなんですが、場所として提供することとか、健診の際に、例えば問診をするとか、例えば甲状腺がんだったら首の辺りの触診をするとか、やはり学校で可能な方法というのもあると思いますので、そうしたことについて学校に対して協力を依頼するということも考えていきたいと思っております。
 いずれにしましても、しっかりと子供たちの健康が持続的に守られていくように関係省庁や自治体との連携に努めていきたいと思います。

○川田龍平君  この健診というのは診断率が低いですので、是非学校でやっていただきたいと思います。
 福島県が健康調査を実施するという報道がありますが、国は福島県と連携し何らかの健康調査をする必要性を感じていないのでしょうか。放射線に暴露していない他県の健康調査結果なども参照にしつつ、コホート的な視点から当該地域の健康増進政策を策定するのも原子力政策を推し進めてきた政府の責任と考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(西本淳哉君)  お答え申し上げます。
 今般の原発事故において避難された方々、住民の方々の中長期的な健康管理をしっかり考えていくということは非常に重要なことであるというふうに思っております。
 この中長期的な健康管理のやり方でございますけれども、これまでも原子力被災者生活支援チームにおきまして関係省庁と連携をしまして、あるいは研究機関と連携をいたしまして検討してまいりました。福島県さんや地元自治体さんとも相談してきております。今回、福島県が主体となって長期的な健康管理に関する調査を行う御予定というふうにお伺いしております。
 政府といたしましては、例えば放射線医学総合研究所、放医研などこの分野の知見を有する方々がたくさんいらっしゃいますので、その協力を得ながら積極的に支援してまいりたいと思っています。
 それから、御提案のコホートということでございますけれども、このコホートという視点を踏まえた長期的な健康管理の手法を含めまして、どのような手法で実施するのが最も適当かということにつきましても、専門家の方々の意見をよく聞いて検討してまいりたいと思います。

○川田龍平君  是非よろしくお願いします。
 最後に、放射線対策は各省庁にまたがって縦割りになっていて責任の押し付け合いとなっており、結局どこも責任を負わないという体制になっています。文科省と経済産業省とこの放射線の測定には環境省も、さらに農地や農作物の被害は農水省、加工食品や食品の場合には厚生労働省、労働者も厚生労働省、食品安全委員会や消費者庁と、原子力災害が起きたときには消防や救急医療については総務省と、各省各課によっていつまでたっても責任の押し付け合いというのが、今も起きているこの放射線による健康被害から国民を守るためにどこが責任を持ってやっているのかというところから、やはりこの放射線から国民を防護する、それを目的とした庁をつくるべきではないかと考えますが、特に、この消費者庁を私の個人的な考えとしては改組して、消費者庁・放射線防護庁という、そこをつくっていくのはどうかというふうに考えますが、政治家としての松本大臣に、一言どうですか、意見をお願いします。

○国務大臣(松本龍君)  御指摘のように、放射線防護につきましてはそれぞれの省が所掌をして、分担して実施をされております。例えば文部科学省では放射線による障害防止、また厚生労働省ではいわゆる労働者に着目をして労働衛生や労働者の保護の観点からの放射線の防護等々、様々、今言われましたように各省庁がばらばらで対応しておりますけれども。
 対策の一元化のために新たな組織をつくった方がいいという御指摘については、一般論としては慎重な検討を要するというふうに考えておりますけれども、今取りあえずは各府省の施策がそれぞれの所掌の下で引き続き深掘りをしていく、適切に実施をされることが重要だというふうに今の時点では考えておりますけれども、今の川田委員の御指摘は傾聴に値する御指摘だというふうに思っております。

○川田龍平君  ありがとうございます。
 新たにつくると大変ですので、消費者庁を、そこを広げてしっかりやるということを是非やっていただきたいと思います。