川田 龍平 オフィシャルブログ


5月10日の参議院厚生労働委員会で質問に立ちました。

東日本大震災で被災地に派遣されている自衛隊員、医療従事者のこころのケア、がれき撤去作業者への健康保全対策、夏の節電時の医療供給体制についての質疑を行いました。

夏の節電時に危惧される医薬品の安定的な配送態勢の確保について、「厚生労働省としては、医療施設、医薬品製造業、医薬品卸売業、これらの事業・行為が支障を来すということがないように、厚生労働省挙げて今強く要望をしており、最大限の配慮を求めている」との細川厚労大臣の答弁を引き出しました。

以下質疑の内容です。


○委員長(津田弥太郎君) 次に、川田龍平君ですが、着席のまま発言することを許します。
○川田龍平君 ありがとうございます。みんなの党の川田龍平です。
 被災地における自衛隊の活動は目覚ましく、自衛隊が災害救援活動に高い適応能力を持っているということを内外に示しました。これは、ハイチ、パキスタンなどの国際救援、国際開発活動での長い経験と日ごろの厳しい訓練がもたらしたものと理解しています。
 しかしながら、今回の被災地における状況は、まさに生か死かという非常に厳しい状況であり、凄惨なその現場で捜索・復旧活動に従事することは隊員の皆さんに甚大な精神的なショックを与えていると聞いています。
 こうした厳しい環境で被災地の皆さんと日本の復興のために尽力をしている自衛官の皆さんやその家族の皆さんが安心して現地で業務に専念できるように、政府は十分な措置を講じなければなりません。
 防衛省として、被災地で活躍する自衛官の健康保全について、健康維持及びメンタルヘルスの面からその対策を教えてください。
○政府参考人(原徳壽君) お答え申し上げます。
 自衛隊員、長期にわたり現在も現地で頑張っております。この派遣隊員は非常に厳しい環境下で任務を遂行しているわけでございまして、精神的、肉体的な大きな負担を強いております。そういう意味から、心身両面におきます健康管理は非常に重要だと考えておりまして、その充実強化に努めているところでございます。
 具体的には、全般的に申しまして、任務中はローテーションによる休養を十分に取ること、あるいは必要に応じて医官による診察を行う、また任務終了後にも面接や健康診断を行いまして、その必要に応じて、医療が必要な場合は医療を受けさせるということにしております。
 また、特に石綿粉じん対策につきましては、三月二十八日に厚生労働省から出されました通知を踏まえまして、瓦れき撤去作業などにおきましては呼吸用保護具を使用するよう徹底を図っているところでございます。
 また、福島第一原子力発電所の事故対応に当たる隊員につきましては、防護マスクや防護服の着用、あるいは個人線量計の携行等々、様々な被曝対策を講じてきております。
 また、心の問題でございますが、平素から各駐屯地に配置しておりますカウンセラーあるいは臨床心理士等を活用しますとともに、陸上自衛隊におきましては、特に派遣から一か月半にわたりましてメンタルヘルスの巡回指導チームをつくりまして各宿営地へ派遣をして、隊員のメンタルヘルスに留意をしたところでございます。また、指揮官に対しましても、想定されます隊員の様々な症状への対処に係る助言、あるいはハンドブックを配布するなどをしたところでございます。現在は各駐屯地でこの臨床心理士等によるカウンセリングを実施しております。
 また、海上自衛隊あるいは航空自衛隊におきましても、護衛艦あるいは基地に臨床心理士あるいは精神科の医官を派遣いたしまして、メンタルヘルス教育及びカウンセリングを実施したところでございます。
 また、今後長期にわたりまして、心の外的傷害によりますいわゆるPTSDにつきましては、任務終了後におきましても定期的にチェックするよう、現在、対策を検討しているところでございます。
 いずれにしましても、今後とも派遣隊員の健康管理及びメンタルヘルスケアに十分に配慮してまいりたいと考えております。
○川田龍平君 防衛省は隊員の健康保全を考慮して隊員が安心して働けるように、また隊員の家族が安心して被災地に送り出せることができるように万全の体制を築こうと努力しているようですが、最前線で全力を尽くさせるためには後顧の憂いを除去できるような環境を用意しなければなりません。安心して働ける環境を用意するのが政府の責任と言えるでしょう。
 さて、自衛官とは異なりますが、同じように現地で活躍している医療従事者の健康保全はどうなっているのでしょうか。特に、メンタルヘルス面でどのような措置が講じられているか、教えてください。過度な労働が原因でストレスが蓄積して、医療の質が低下したり、また凄惨な光景を目の当たりにしてPTSDに苦しみ、医療現場から離れなければならなくなってしまっては大きな損失となってしまっています。厚生労働省としては、そのような事態を防ぐためにメンタルヘルス面でどのようなことをしているのかを説明してください。
○政府参考人(木倉敬之君) お答えいたします。
 今回の大震災の支援ということでは、今御指摘のように、医療チームの方々、医師始め歯科医師の方、看護師の方、薬剤師の方あるいは理学療法士等々の方々、そういう保健医療の資格をお持ちの方々、県からの要請に基づきまして我々が調整をさせていただいただけで、もう既に累計で一万三千人を超えるような方々が支援活動を続けていただいております。今御指摘のように、こうした方々のストレスのケアということ、大変重要な課題であるというふうに認識しております。
 これまでの災害の経験も踏まえまして、今回の大震災の直後から、国立の精神・神経医療研究センターでは災害時でのこういうふうな保健医療活動のマニュアルというものを示させていただきまして、その中ではやはり一週間程度の一定の期間でのローテーションというようなことを前提にしながら、支援活動におきます基本的心構えとして、やはり業務は限りなくあるわけでございますので、過重な労働にならないようにすること、それからストレスに対するセルフケアとして生活のペース、リズムを維持すること、気分転換の工夫、一人でため込まないための支援の工夫をチームでやっていただきたいというようなことの呼びかけもしております。
 さらに、派遣から戻られた後の方々へのケアといたしまして、派遣元の方で派遣体験を振り返りながらミーティングを行ったり、健康状況を把握するための面談等の体制も取っていただきたいこと、それから派遣後の休養できる期間を取っていただきたいこと、それから組織全体として派遣を行った組織で活動の報告会等、活動を共有をしていただきたいことなどを留意していただきたいというふうにお示しをしております。
 これをその周知を図っておるところでございますけれども、今後ともその継続的な支援が求められておりますので、これまでの活動の状況も踏まえながら、支援を続けていかれる医療従事者の方々に更に周知をしていただき、十分な活動を継続していただけるように努めてまいりたいというふうに思っております。
○川田龍平君 十分に周知をしたとしても、現場の隅々まで行き届いているかどうかは分かりません。是非とも所管官庁として医療従事者の健康保全にもっと配慮をお願いしたいと思います。
 一般事業所における精神保健については、厚生労働省の皆さんの努力もあって少しずつ成果が見えてきているようです。しかし、医者の不養生という言葉もあるように、被災地で働かれる医療従事者の皆さんは、人材不足と責任感の中でついつい無理をする傾向が見られます。また、自衛隊のように指揮命令系統が明確で、指揮官から命令で休むときに休むというようなめり張りのある勤務形態とはならないでしょう。そもそもローテーションが難しいので、休むことも簡単ではないのではないでしょうか。厚生労働省には、実態を把握し早急に対策を打たれることを望みます。
 さて、医療機関が被災地に医療従事者を業務として派遣する際に、健康被害が生じた場合にはあくまで自己責任という趣旨の念書を取るようなところがあると聞いたのですが、こうした念書は労働法上看過してもよいものなのかどうか、厚生労働省の見解をお示しください。
○政府参考人(金子順一君) 今、医療従事者についてのお話でございましたが、労働者全般についての一般論ということでお答えをさせていただきたいと存じます。
 労働基準法などの労働法規は、労使の契約を締結した当事者の労働契約の内容のいかんにかかわらず、強行的に適用になる法規でございます。したがいまして、使用者の方が業務命令、つまり仕事でその雇っている方を被災地の業務に従事させるといったような場合につきましては、御指摘のような念書を労働者との間で仮に交わしたとしても、強行法規である労働基準法の上での災害補償責任などについては、これは免れることができないものでございます。
 今議員が挙げられた念書の例でございますが、労働基準法の正しい理解を阻害したりとか、あるいは被災地で業務に従事する労働者の方に無用な不安を与えるということにもなりかねませんので、問題があるものと考えております。
 私どもといたしましては、こうした労働法規、適切に運用されますように、問題のあるような事案を把握した場合には厳正に対処し指導してまいりたいと思っております。
○川田龍平君 先ほども申し上げましたが、後顧の憂いなく働ける環境づくりをお願いしたいと思います。
 ところで、被災地では瓦れき撤去作業の求人が多数出ていますが、多くの求人では安全靴や作業着などは労働者自身が用意するよう求められており、アスベスト等の粉じん対策マスクについては言及もありません。本来企業が用意すべきこうした労働者の安全のための必需品がきちんと供給されているのかどうか不安です。一次補正予算でも、防じんマスク五万枚分の予算が付いています。より徹底した指導の徹底と配付をお願いしたいと思います。
 労働基準局の安全衛生部長名で四月二十二日にがれき処理に伴う労働災害防止対策の徹底についてという通知は出ていますが、五月二日には環境省と経済産業省と連名で厚生労働省は福島県内の災害廃棄物の当面の取扱いについてとの方針を出しており、今週以降、やっと環境省が瓦れきなどの放射能濃度を調査し今後の対策を考えるとしています。
 労働者の命を守るための対策が後手後手に回ってしまっているのではないでしょうか。厚生労働省の見解を求めます。
○政府参考人(平野良雄君) 瓦れき等の撤去の作業におきましては、作業を行います労働者の安全と健康を確保するために、作業に従事する労働者への安全靴、あるいは作業衣、防じんマスクといった保護具の着用を徹底することが必要でございます。この安全靴や作業衣、防じんマスクについては本来事業者が準備すべきものでございますが、防じんマスクにつきましてはその着用の徹底を図るため、都道府県労働局等におきまして九万枚を配付しているほか、今般の補正予算でも追加配付のための予算を計上したところでございます。単に事業者への指導にとどまらない実効ある対策に努めているところでございます。
 また、防じんマスクの正しい使用や安全靴、作業衣の着用につきましても、労働基準監督署等による安全パトロールの際に直接事業者にその徹底を指導してございまして、また瓦れき処理作業の注意事項を分かりやすく解説いたしましたリーフレットの配付や講習会を通じまして引き続きこれらの対策の徹底に努めていくこととしております。
 また、福島県内の災害廃棄物の取扱いにつきましては、災害廃棄物の処分の進捗状況も踏まえまして、御指摘のとおり、五月二日に政府として、避難区域及び計画的避難区域の災害廃棄物については、当分の間、移動及び処分は行わないこと、それ以外の浜通り及び中通りの災害廃棄物については、当面の間、仮置場に集積しておき、処分は行わないことと方針を定めたところでございます。
 厚生労働省といたしましては、浜通り及び中通りの災害廃棄物等を取り扱う事業者に対しまして粉じん等の吸入を防止するための措置等をきちんと講じさせることによりまして、作業を行う方の安全と衛生を確保してまいりたいと考えております。
○川田龍平君 この粉じん対策用マスクというのは入手もしにくく、正しく装着しないと効果も望めません。より徹底した周知をしていただきたいと思います。また、放射性物質については、風評被害ではなく実際に被害が出てからでは遅いので、是非ともよろしくお願いいたします。
 さて、医薬品の流通と医薬供給体制の確保について確認させてください。
 三月二十四日の当委員会において、計画停電に関連し、医薬品卸業者、製薬企業など、医薬関連産業への特別の配慮をお願いいたしました。大谷医政局長より、関係省庁と強く申入れ協議をしてまいりたいという強い言葉をちょうだいして、大変大きな期待をして、持っていたわけですが、海江田経済産業大臣や政府の見解からは、いまだに医療関連産業への特別の配慮というような話は出てきません。
 この夏にも同様に節電が呼びかけられていますが、医薬品の流通を担う医薬品卸業、製薬企業などの医療関連産業への配慮についてはどのようになっているのでしょうか。前にも申し上げましたように、医薬品や衛生材料がなければ医療現場は動きません。医薬品や医療材料配送体制の確保のために何かしらの腹案があるのか、教えてください。
 また、そもそも、医療機関にも一律一五%の節電を課すというのは、人の生死を軽んじることにならないのではないでしょうか。一五%の節電を守るために必要な医療機器を停止させたり温度管理が必要な輸液を室温保存せざるを得ない状況になるならば、それは安全な医薬品を、医療を安定供給できないということにほかなりません。命を大切にする社会を実現するためにも、一律一五%を強制するのではなく、何らかの配慮を考えていただきたいと思いますが、細川厚生労働大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) 委員と同じような考えの下で今強く要望いたしております。
 厚生労働省といたしましては、医療施設、それから医薬品製造業、それから医薬品卸売業、これらの事業があるいは行為が支障を来すということがないように、これは厚生労働省挙げて今強く要望をいたしておりまして、最大限のこれらに対しての配慮を求めているところでございます。
 ただ、一方では、ただそれだけを要求するというのではなくて、一方では、命とかには関係のないようなところでは、そういうところでもきちっと節電はしていくと、こういうことも厚生労働省としては求めていかなければいけないというふうに思っております。
○川田龍平君 この問題については、是非とも要望を要望として終わらせずに、これは必ず厚生労働省としての意向を経済産業省に認めてもらうように、所管大臣としてしっかり是非細川大臣に働いていただけるようによろしくお願いいたします。命の問題ですので、よろしくお願いいたします。
 質問を終わります。ありがとうございました。