川田 龍平 オフィシャルブログ



本日、4月14日の午後に「東日本大震災緊急院内集会」を行いました。
講師として、室崎益輝氏(関西学院大学災害復興制度研究所所長、日本災害復興学会会長)、新里宏二氏(日本弁護士連合会 副会長)、丸山嘉一氏(日本赤十字社医療センター国内医療救援部長)、中林一樹氏(明治大学特任教授、首都大学東京名誉教授)にお越し頂きました。


室崎益輝氏には、「被災地の被害状況と被災者の現状について」というテーマでお話していただき、現在の被災地の状況を阪神淡路大震災の時の事例と比べながらお話していただきました。
室崎氏は、防災の専門家40年のキャリアで、自分は瓦礫を運ぶこともできないのだから災害直後に現場には入らないことを鉄則としていたが、今回はあまりにも被災現場の情報が入ってこないので、はじめて直後に被災地に入ったとの切り出しで、今回の災害の特異性を訴えました。
いまだに内閣官房震災ボランティア連携室連携プロジェクトの「助けあいジャパン」のホームページでは、現地が混乱している旨、書いてあり、ボランティアは迷惑だから来るな、という情報発信が続いた。そんなことはなく、最初の10日にボランティアが入らなかったことにより、より被災者が大変な状況に追い込まれた。当初ガソリンがないということも言われたが、LPGのタクシーなら動けたわけで、LPGのタクシーをチャーターして拠点ごとに衛生携帯と医薬品を置いてくるだけでも、どれだけ助かったか、と具体的にすぐすべきことが全くできなかったことを、大きな悔みとともに訴えられました。
今回の災害のケースでは津波によってヘドロがそこら中に入り込んでおり、その被害が大きく、被災者の人たちがヘドロを掻き出さなくてはならない状況となっている。そのヘドロを被災者が掻き出す為にさわった事により感染症にかかってしまうケースが多くあるという事を 話されました。現在、被災地では津波によって流れてきたヘドロを掻き出すボランティアが多数必要であると強調され、1日2万人はボランティアが必要で、政府がすべきことは、それをきちんと情報発信してマネージしていくことなのです。
また、原発の問題のため、震災や津波で大きな影響を受けているにもかかわらず、その影響が軽視されている地域が多いことも、問題であると語られていました。
さらに、室崎氏は仮設住宅の建設が一刻も早く必要だとし、本当であれば、仮設住宅は一ヶ月もしくは、二ヶ月以内に建設が必要なものであるのに、政府は一年以内の予定で計画をすると言っており、もっと早くに仮設住宅が必要だと強調されていました。
最期に、復興時には安易に高台に町を作れば良いというものではなく、被災者自身たちで声を出し合いながら、どのような町にしていくかということを話し合って町づくりを行っていかなければならず、被災者たちの意見が町づくりに反映され、自分たちの望んだ町ができたという達成感が被災者のケアにもなると語られていました。
義援金についても、阪神大震災の時よりも多く集まっているという報道ばかりで、被災者があまりにも多い状況で、全く足りないし、今回の被災でどれだけの義援金が必要かという設定目標を決めれば、まだまだ義援金を出せる企業や人がいるのに、情報発信の仕方が間違っていると指摘されました。

復興のビジョンについては多くの案が必要ですが、すぐに一つのアイディアを取り上げて安易に決めるのではいけないとの事でした。

復興に対するビジョンの総論についてはじっくり行うことで、今やるべき事はとにかく、とりあえず住める仮設の住宅の建設であり、それを半年以内に作らねばないとのことでした。



丸山嘉一氏には「被災地の医療・保健・衛生状態の現状報告と対策」というテーマでお話していただきました。

丸山氏は津波による被害を強調され、石巻赤十字病院の被災直後からの状況を具体的に写真とともにご説明くださいました。本来の病院の機能を果たすのではなく、避難所、行政機能など、ありとあらゆる機能を果たさねばならず、病院のロビーもふとんで埋め尽くされるという状況で、外来は外のテントで対応しており、病院としての機能を果たすためにまず大変な努力が必要だったすさまじい状況が説明されました。
疾患については低体温症や、車の中など狭い場所にじっとしていた方のエコノミークラス症候群にかかるケース、インフルエンザ、津波に巻き込まれたために汚水が肺の中に入ってしまったことによる肺炎など、関連死が多くみられたとの事でした。また、介護が必要なお年寄りに対しての、介護施設付きの避難所の必要などを説かれていました。行政には特に環境の悪い地域を「行政特区」とし、国が直接指導を執り、指揮命令系統の簡素化をはかることをもとめられていました。


日弁連副会長で被災地仙台の代表でもある新里宏二氏には「東日本大震災に関する提言」(主に二重ローン対策について)として、被災地内で法律相談を行っている中での具体例をお話されました。
被災者の方がローンを組んで家を買ったが、その家が流されてしまうケースが多くあり、それらの人々から避難場所での相談をうけているとのこと。例えば、いちご農家の方で、農業施設を全て流され、ならに家族を失うといった人からの相談があり、その相談した農家ももう一度農業をしたいとのことですが、現在の状況では借金の返済などによりその事も難しい状況だと話されていました。
そのため、新里氏は被災者の方々に対して、平成の徳政令のようなことが必要だと話されていました。そして、地元の金融業者の支援を考えながら、現場の声を反映した制度を作るべきとのことで、作成中の日弁連としての「東日本大震災に関する第一次緊急提言」を配布されました。


中林一樹氏には「東北地方太平洋沖地震津波災害からの復旧復興に関する緊急提言」として、復興についてのお話をして頂きました。
まず、福島の原発災害による特異性と、短期・中期・長期に分けて、何が課題になるか、具体的に整理したうえで、東日本が危機である時に、西日本が支える、西日本が危機になった時に東日本が支えられるような復興をしなければいけないということ。また、被災しなかった地域も事前復興という考え方で、日本全体が災害に強い社会構造をつくらねばならない、という国家戦略としての国土復興グラウンドデザインを話され、グリーンテクノロジーの開発を組み込んだ国土づくりの提言などをして頂きました。



私は今回お越しくださった災害の専門家の方々から伺った現地の声とその対策を政策に取り入れ国政の場に反映し、いのちが最優先される社会を実現します。