ンボテ!
今回はコンゴ民主共和国(République démocratique du Congo)、かつて「ザイール共和国」と称していましたが、この国の北西には「コンゴ共和国」があり、混同しやすいですね。もともとこの辺りは「コンゴ(山)」と呼ばれており、行政経済が高度に整備された「コンゴ王国」という大国が存在しました。その後植民地化されてしまいましたが、ベルギーから独立した国が本作の「コンゴ民主共和国」、フランスから独立したのが「コンゴ共和国」になります。
さて表題の「キンシャサの奇跡」と言えば1974年10月30日首都キンシャサで行われた、ボクシングWBA・WBC世界統一ヘビー級タイトルマッチ、モハメッド・アリとジョージ・フォアマンの一戦です。当時32歳のアリは徴兵拒否による3年7か月のブランクで「蝶のように舞い蜂のように刺す」動きに衰えが見られました。対する25歳の王者フォアマンは40戦40勝37KO「象をも倒す」強烈なパンチ力を持っていました。下馬評ではフォアマンが圧倒的有利とみられていましたが、アリは老獪な作戦(ロープ・ア・ドープやトラッシュトーク)でフォアマンを翻弄し、遂に8ラウンドフォアマンをマットに沈めたのです。
ちなみにこの一戦のプロモーターはあのドン・キング。刑務所出所後、寝ている時に『神の啓示』を受け突如髪の毛が逆立ち、あの髪型になり(以来セット無しでもあの髪型とのこと)、プロモーターとして頭角を表していきます。この一戦のファイトマネーは1000万ドルといわれまだ新進のキングには到底賄える金額ではありませんでしたが、当時ザイールで独裁政治を敷いていた大統領を説得し、さらにリビアのカダフィー大佐をスポンサーとして資金を提供させ実現しました。些か胡散臭さのあるキングですが、間違いなく「キンシャサの奇跡」裏の立役者なのでありました。