「芭蕉布」という歌は一九六五年に発表されたが、沖縄女性の気高さと美しさが感じられ、私の最も好きな歌の一つだ。この歌を知ったのは大分後のことで、一九八〇年頃私の歌シリーズの一つとして、グループ展に発表した。画仙紙(35×67.5)に芭蕉の葉っぱを大きく描いて着色し、その中に「芭蕉布」の歌詞を書いた。そのころ「誰もいない海」や「津軽海峡冬景色」「菩提樹」などを書いたが、二、三十点出来たら個展を開いて、そこで出品した歌を歌ってもらおうと計画を立てたが、実現しなかった。
芭蕉布は沖縄の特産品で、糸芭蕉から取った繊維で織られた織物だ。沖縄住民の普段着から晴着まで広く愛されてきたが、大変な手間暇がかかり、織り手が少なくなって、入手が非常に困難で、今では数十万円から百万円もするそうだ。
ある時、私はこの芭蕉布の見本帖を古本屋で見付けたが値段を見てビックリ。五万円もしたのだ。買おうか買おまいか思案したが、結局あきらめた。芭蕉布の数センチ角の端切れが三十枚貼られていたが、今思うと買っておけばよかったと後悔している。私はつくづく目先の利かない人間なのだ。












