この度の台風15号の被害、また多くの地域で停電となり大変不便な状況かと思います。

心よりお見舞い申し上げます。


夜中、千葉県に住む友人から連絡がきました。

停電で冷凍庫の魚がどんどん溶け、なんとか保存する方法はないかとのこと。

 

毎年川魚を買ってくれている友人なのですが、食材はその1つ1つが命なので無駄にしたくないという思いが伝わってきて嬉しく思いました。

そこで取り急ぎですが、停電で冷蔵庫が使えなくなったときに行う魚の保存方法を紹介させていただきます。



①焼き枯らし。

もし火が使える状態なら、迷わず焼き枯らしにするのがオススメ。水分を枯らすことで身が腐敗しなくなります。

焼き枯らしの種類はたくさんありますが、今回は一番イメージしやすい方法を紹介いたします。

まず通常の塩焼きを作るように、コンロや炭で焼いていきます。その際、塩は好みになりますが、骨酒やお茶漬けにする場合、振らないで焼くと良いでしょう。

塩焼きとして食べごろになったあたりから、コゲないよう弱火にして、さらに3時間ほど焼きます。

身がカチカチに固くなり、水分が完全になくなったら出来上がりです。

焼き枯らしなら長期間の常温保存が可能。食べるときはそのままの状態で骨酒、お茶漬けにすると美味です。



②焼干し。

長時間焼くのが面倒という場合は、焼き枯らしの工程である程度身が乾燥したら、干物ネットなどで干すと良いでしょう。焼いて身の水分がなくなりカチカチになってきたら、干していきます。

コチラも骨酒、お茶漬けなどにして食べると最高です。



③塩干し。

もし焼ける状況下にない場合、塩干しをするのがベスト。殺菌効果のある塩で腐敗を防ぐことができます。

魚を三枚におろし、両面にまんべんなく塩を振りかけていきます。夏場や雨の日は腐敗を防ぐため多目に塩をかけましょう。

※魚をおろせない場合は、そのままの姿でも構いません。三枚におろす理由は干し上がりや早くするためです。

次に魚を天日干しします。この際干物ネットがあれば万全ですが、ない場合はハエがたかったり鳥に食べらるのを防ぐため見張りをしてください。

干物として食べるなら、身のベタつきがなくなったら食べごろ。しかし常温保存せざる得ない場合は、このまま干し続けてください。いずれカラカラカチカチになり、その状態で長期間保管できます。

カチカチ状態になった塩干しを食べる際は、お茶漬けがオススメ。塩を多く振った場合は、水にさらし塩抜きをして、好みのレシピでお召し上がりください。

ちなみに日陰で干しても良いのですが、大場の好みとしては太陽にさらしたほうが旨味が出ると思います。



④味噌漬け。

焼き枯らしや塩干しが面倒くさいという人は、味噌漬けにするという方法もあります。

ビニール袋にたっぷりと味噌を詰め、その中に魚を入れます。身の全体に味噌が行き渡るよう、しっかり混ぜてください。味噌の塩分が魚の腐敗を防ぎます。

食べる際は身についた味噌を洗い落とし、そのまま焼いて召し上がります。

暑い日は自信がないので、できれば焼き枯らしや塩干しをオススメします。



これらの方法は他の食材でも応用できるかと思います。

電気のない時代、先人たちは塩漬け、乾燥などで食材を保存してきました。

 

便利になった現代、このような保存はなかなかする機会がないかと思いますが、魚を美味しい状態で保管することができる立派な知恵。災害時でなくても、わざわざ焼き干しを作る人もいるくらい、実は最高に美味しい加工方法だったりします。

食材は1つ1つが命。
廃棄することなく、すべて食べてあげることが、漁師の願いです。



取り急ぎですが、いざというときお役立てください。