魯史の対聯・神像版画・疏文


魯史鎮の上平街西端から下平街へかけての道は、馬2頭はすれ違うごとのできる堂々とした石段です。石長昭さんの家はその街道上にある四合院でした。


そのこじんまりした門扉には、こんな広告が赤い紙で貼ってあります。
「為你家庭添光彩書写出售(あなたの家に光彩を添える書道売っています)」
「取貨及時、保你満意(出来上がりはお待たせしません。満足されることを保証します)」

金字はなかなかの腕前で書かれています。これは書写舗といって、筆をふるって字を書いて売る店なのです。

その販売内容は、「天地牌」・「祖先牌」・「竈君牌」・「春聯」・「婚聯」・「建柱聯」・「閤門聯」・「寿聯」・「輓聯」とあります。

「天地牌」は天地の諸神が宿る位牌のことで、年越しの際に貼ります。
「祖先牌」は祖先の位牌。「竈君牌」は台所に貼る竈神の位牌。隣の巍山イ族回族自治県では「馬子」(マーツ)といって、かまどの神様を描いた木版画があって、手で彩色した珍しい版画があります。それと同様のものがあるに違いありません。
「春聯」は旧正月、つまり春節の際に紅紙に目出度い対句を書いて門柱などに貼るものです。「婚聯」は婚礼の際に門や柱に貼る縁起物の対句。「建柱聯」は棟上げの際に柱に貼る対句。「閤門聯」は門に貼る対句。「寿聯」は老人の長寿祝いの対句。「輓聯」は葬儀用の対句で、亡き人を哀悼する内容で、白紙に墨書します。つまりこれら「対聯」(トゥイレン)の代筆屋さんなのです。

そして門扉には、「知足常楽」と題(「横披」ヘンピー)があって、左右に「処世坦然心自寛(処世は坦然として心自ずから寛く)」「知足常楽無可求(足を知るは常に求むるべきところなし)」と、書き手のモットーを対句にして貼っています。扉の中心に「自得其所(みずからそのところを得る)」としています。


石昭長さんは今年69歳、魯史完全小学校の教師をされていました。1962年昆明にある昆華師範大学卒業祖父の代に南京から移住し、半商半農、農閑期には行商に出かける生活だったそうです。

小学校から書を習い、そのまま教師として書を教え、絶えることなく書き続けて今日にいたります。年越しの際には、四.五百組もの対聯を書くといい、一組二元で売っているとのことです。

対聯は参考にする本はあるけれどもほとんど自分で考えたものといいます。
「国泰民安、和諧社会頌党恩・人寿年豊、太平盛世書新語」これは最近の老人の誕生祝いに書いた対聯。新築の門に貼るものは次のような対聯があります。
「門迎旭日増百福・宅居吉地納千吉祥」
「逢吉日祥光照屋宇・遇良辰瑞気満門」
「三星吉祥勤労門第・五福常臨康楽人家」
いずれも題は「喜気盈門」「吉星高照」などがあります。