諾鄧村では神棚上部や門の鴨井に紅、黄、緑の招財童子の神像を貼る

習慣があります。財運招来の童子像です。


じつは私の専門はこの種の民間信仰用の版画です。

これは大理地方で「甲馬子」(ジャーマーツ)と呼ばれ、ペー族や漢族に広く見られる木版画です。

ところがよく見ると童子像の版刻は精緻を極めています。


間違いなく清代に彫られたもので、大理州では大理市の喜洲鎮と鳳儀鎮、洱源県に残るぐらいで、

たいへんな古版です。


素人が制作できるものではなく、この家では版木を展示していましたが、道教などの経典の版木も大量に展示してあります。


この村にある玉皇閣などの宗教建築群で祭祀が盛んであつたので、信徒組織が善行を施して功徳を積むために、お金を出しあつて経典を版刻してもらい、頒布したものです。


ですから、神様の版画も版刻職人の手で彫られたものと思います。


面白いのは、門の裏に一対の「往生神呪」を貼る習俗があることで、祖先の西方浄土への往生を願う

経呪が、魔除けのお札として多くの家で使われているのです。

不思議な習俗です。


雲南のこの種の神像版画は、拙著『神像呪符「甲馬子」集成--中国雲南省漢族・白族民間信仰誌』(川野明正著、東方出版、2005年)にまとめておきましたので、雲南の民間信仰と神々に興味のある方は是非ご覧ください。