幽霊の詩吟 (李慶辰『酔茶志怪』巻二)


街の陶某は、清明節の墓参で、西の郊外に行ったが、車上で眠ってしまい、朦朧としていると、道の傍らに背の低い家屋があって、生け垣で囲ってある。女が門口に立っており、薄い上着に柄のないスカートで、衣装は地味だが雅である。陶は入って行くと、女は門扉を占めて入り、低い声で詩を吟じた。


清明の雨、紙灰は濡れて、良人は一度去って帰らない。
塵は玉色を埋めて、酒は金杯を涸らしている。 


※紙灰は、死者に対して燃やす紙銭の燃えさしのこと


清明の雨、孤墳は濡れて、家々の春色は門に閉ざされる。
紅は樹の枝に垂れ、緑は垣根を囲っている。


声は凄惨で、節回しは短く長く、陶が驚嘆していると、はっきりと目が醒めた。道の傍らを見ると、三尺ほどの荒墓があり、何株かの枯れた柳があるだけだった。慌てて馬に鞭をくれて過ぎゆくのであった。