棺桶の精 (1)


清和民(清初・和邦額『夜譚随録』巻二)


清和の民某甲(仮に甲という者としておこうということ)は、深夜に城内から帰ろうとしたが、一頭のロバに騎って、一人郊外の野を行き、誤って墓地に迷い込んでしまった。突然背後から彼の名を呼ぶのを聞いた。


某甲は振り返らずにロバを急がせた。その者はますます急いで叫び、急いで追いかける。みるまにロバの背中に騎ってきて、某甲の腰に手をまわした。手は氷のように冷たいのであり、堅くてふりほどくことができないのである。しかし某甲はもともと胆力のある男であったので、知らぬ存ぜぬのふりを装い、ひそかに下帯を解き、突然に背後の者を縛り上げたものである。その者は慌てふためき、ぶづぶつと放してくれるように懇願しつづける。


某甲は、聞いていないそぶりをして、ロバに鞭をくれて急いで引き返す。家に着くと大声で、「鬼を捕まえて帰ってきた」と叫んだ。家の者が火を灯して迎えると、某甲はすでに鞍を降りて縛りを解いていたが、背負っていた鬼はなんと小さな棺桶板であり、もはや人形ではなかったのである。