オリンパスE-410は去年発売されたデジタル一眼レフカメラです。
最近中国取材を前に新機材として導入しました。
いままでEー300を使ってきましたか、新機材を購入したのはすでに3年間バリバリに酷使してきたので、万一の故障が怖くなり、一度オーバーホールに出すことにしたからです。画像エンジンも日進月歩で、3年に一度機材を換えるぐらいがデジカメの技術進歩のレベルに合っています。E-410をメインにこれからバリバリ仕事に使うつもりです。
OLYMPUS E-410
故障が怖いならプロ用機材という手もありますが、プロ用機材は重いです。しかも高いです。取材をしながら写真を撮るのですから、小型軽量がよいのです。E-410は防滴防塵では有りませんが、機能は充分で妥協ない造りをしています。それでいて375グラムですから、とにかく軽いです(E-3で810グラム、E-510は470グラム。しかも電池を含めるともっと軽くなっています)。標準ズームレンズ14-42㎜(35㎜判だと28-84㎜相当。以下、二倍して換算してください)も190グラムしかありません。望遠ズーム40-150㎜も220グラムしかありません。防滴に関してはビニールコートを持って行って対処するつもりです。
ストロボをポップアップするとOM型ペンタが
旅行にはもってこいです。E-300が580グラムでしたから、ずいぶん軽いです。ここまで部品を見直して小型化したのは、さすがOM-1で小型軽量一眼レフの元祖となったオリンパスならではです。
この企業でないとできないカメラ造りというのは、オリンパスにあっては小型軽量です。オリンパスのデジタル一眼は、35㎜サイズの半分の画像素子基盤のサイズにブラッシュされたフォーサーズシステムです。かつてのハーフサイズカメラのようなものかもしれません。
この前仙台でこのカメラを使ってみて、これは使えるという確信がもてました。
上級機のE-510は、ボディー内手ぶれ防止機能がありますが、これが入って重くなるよりは、どうせ三脚はもって歩くのですから(朝の街撮りで8分の1秒とかのシャッタースピードを使うと、どうしても三脚がいらないというわけにはいきません)。
外観はグリップがなく、すっきりして薄く、OMシリーズの再来を思わせます。ペンタプリズムからレンズ台基あたりのイメージも、レトロチックです。これに速写ケースをつければ、完全にOM時代を彷彿させます。美しいカメラです。内蔵ストロボをポップアップさせるとピラミッド型の隠れペンタが現れ、これはOM-1、OM-2へのオマージュであることはいうまでもありません。
グリップはないですが、ホールドはし易いです。手で挟むように持ちます。
操作ボタンなどはさすがに男の手だと若干小さい感じは否めません。しかし、コンパネに情報が整理して出ますので、撮るたびにいちいち露出補正やら画像サイズやらISOを変更する私の撮り方だと、変更はし易く出来ています。AEFロックボタンは縦位置だとさすがにちょっと辛いです。このボタンはもっと大きくてもいいでしょう。
モードダイヤルが充分大きく造られているのは、やはりOM以来の設計思想だと思います。
上面からみたところ
画像エンジンはE-300で使われていたコダック製のものから、オリンパス独自開発のものにE-500から変わっているのですが、今回1000万画素にあがったうえ、色再現が非常に進歩しています。茶色が忠実に出るのと、赤色が多少地味な傾向ながらも納得ゆく色で、しかもオリンパスらしい派手ではないがシャープな、自然な色再現です。青はオリンパスブルーというくらいですから、本当に良い色です。また、山吹色にこだわった画像エンジンということで、たしかにこの色についての色の良さはE-300から大変に進歩しています。美しいです。
また、重要な進歩としては、ノイズの低減があり、ISOを感度をあげた場合のノイズは、E-300ととくべると格段の進歩があり、手ぶれ防止のために頻繁に増感して使うことが前提となる、手ぶれ補正機能なしのこのカメラには、この点の改良が生命線ともなってくる大切な点です。
もっとも得意の色であるオリンパスブルーですが、私が取材する中国の西南部は滅多に青空もみえません。むしろ土や木の質感の再現が大事です。田舎の風景や建物が主な被写体ですから。色からいえば赤系の色表現に定評があるニコンも選択候補のうちですが、やはりここはオリンパスの描写の自然さを買いましょう。
ところで、オリンパスブルーということで、宣伝に起用されたのは、今をときめく篤姫役の若奥様、写真好き女優宮崎あおいさんです。
「ブルー」だから「あおい」。
そこまで考えて売っているのかオリンパス。女性に一眼レフを売ろうという販売方針は正しいぞ、オリンパス。と応援したいです。白いストラップが用意されているのは、そのためのアイテムなのでした。
みてくれは本当に女性に喜ばれるかわいらしさがあります。品がいいデザインです。EOSkissやニコン系のヘンな角の丸さはありません。グリップなしがいい味を出しているのです。
機能的には、E-330に搭載されたライブビューのBモードが搭載され、角度が変えられない簡易型ですが、これがたいへん便利で、ファインダーから眼を離さないととれない角度から写真が撮れるのは、高所低所で絶対この機能が必要となる場合があります。
ライブビュー付き背面液晶
これは一度使ったらやめられません。たぶんライブビューの全モード撮影可能で、角度調整可能で、リアルタイムライブビュー時の視野率を上げた機種を、現在販売終了したE-330後継機で出してくるに違い有りません。そうしたらたぶん買うでしょう。
出来た写真の仕上がりはたいへん気に入っています。ただ、撮影する際の画像は、ナチュラルモードよりはヒビッドにした方が、写真らしい感じで好ましいと感じています。
不満はあります。この軽さは旅カメラとしてとてもよく、女性のみならず男性も恩恵を受けるものですが、
これはレンズセットの標準ズームと望遠ズームとあわせてバランスが絶好となります。したがっていままでのズイコーデジタルレンズでは、レンズの方が重すぎます。私の愛用の11-22㎜(35㎜判換算22-44㎜)広角ズームは485グラムですので、レンズとボディーを比べてレンズの方が重いです。したがってレンズ底部にもっとも重心を置いて撮ることになります。ヌケも解像力も良いレンズなのでこのレンズは中心の戦力です。これはE-410が軽すぎるために、改善は不可能で、仕方がないことではあります。
これだけ軽いと、一般ユーザーは手ぶれがし易くなるのは、割り切って使う必要があるでしょう。
ただ、本質が、旅カメラなのですから、そこはそういうものだと思うしかないです。
画質について、デジタルカメラ特有の癖である白とびのしやすさは、このカメラにも傾向としてあります。だから、標準で0.3アンダーに設定しています。
ボディー内蔵ストロボは、ほとんど大画角で撮ることと、バウンスして撮るのが中心ですから、まず使いません。なくても良いのですが、ないと一般ユーザーが困るのでつけているのでしょう。
視野率は95%で、あと2~3%くらいあがれば仕上がりの微調整でもトリミングの必要がだいぶ減ります。
旅カメラとしては、まず14-42㎜の標準ズームをつけてそれを基本にレンズ交換することになります。このためむき出しで使うよりは速写ケースに入れたまま使う方が、埃っぽい中国、それも私が仕事でよくいく北部の黄土地帯や新疆の砂漠地帯では安全です。傷も付きにくいです。でも、これはオリンパスのオンラインショップ限定で、私がカメラを購入したときにはすでに販売期間が過ぎてしまいました。中古を狙うしかありません。
速写ケースは見た目にもレトロで、女性も喜ぶおしゃれさがあるのですから、つねに購入可能なアクセサリーにするべきだと思います。
オリンパスのカメラは造りが丈夫な生真面目さがありますが、標準ズームと望遠ズームが、こんどのレンズセットでついてくるものだと、マウントがプラスチックです。性能的には大丈夫という判断だと思いますが、どうもこれは慣れません。不安です。これはキャノンのEOSの入門機ではじめたことだったかと記憶しています。
シャッター音は甲高いですが、落ち着いた音とレリーズ時のバランスは、ニコンのものがやはりいいかなと思います。
建築を撮ることが多いので、シフトレンズが本当に欲しいです。いまはラインナップにありません。キャノンやニコンだと、ちゃんと用意されているのです(だったらキャノンやニコンを使えといわれれば、一言もありません)。
まあ、こんな感想ですが、すでにすっかり気に入っていて、いちばんいえることは、この軽さは大事な性能の一つということです。気兼ねなく、どこにももっていけます。フットワークが軽くなり、結果はもちろん作品に反映してきます。とにかく写真を撮ることが楽しくなりますし、撮影対象とじっくり向き合って考えるのにも適しています。
なにしろミノルタがカメラ事業から撤退し(写真商売に必須のこの会社の露出計は、ケンコーが引き取るということで、朗報です)、ペンタックスも経営が思うに任せずホーヤと合併という昨今、オリンパスとペンタックスはカメラメーカーの意地を見せてがんばって欲しいです。オリンパスはパナソニックにも技術提供をしているようですが、フォーサーズ陣営の技術をリードするメーカーとして踏ん張って欲しいのです。
E-410はどういうカメラかというと、こういう結論を出しておきましょう。このカメラは、外観の品の良さと軽さ、気兼ねなさという点から、女性が使うのにたしかに向いています。
そうではありますが、女性が使うにしても、男性が使うにしても、今流行の手ぶれ補正機能なしということを承知で使う覚悟がいりますから、これは入門機ではありません。ユーザーは、そこを合点承知で購入するはずのカメラなのです。むしろ上位機種のE-510こそ入門機でありましょう。
便利さを棄て、手ぶれ補正を棄て、100グラムマイナスの軽さをとることが、結果としてプラスになると考えて買うというカメラです。
誰が使うにしても、感性のみならず、その場その場で光を読んで、適切な感度と被写界深度を確保する知性は当然必要になります(もちろんそこがコンパクトカメラではないという身の上なのですが)。
逆に言えば、お任せモードで撮っては決して楽しいカメラではありません。カメラ自体が軽いので、おのずと手ぶれを防ぐため、慎重に、じっくり構えて撮ることになり、ナイフを扱うような物腰の鷹揚さが必要です。バシャバシャ撮りまくるという使い方では浮ついてしまうのです。
E-410がたいへん好ましい道具であることは間違いないところです。小型軽量にこだわるのはオリンパスペンやOMシリーズ以来、この会社がもっている見識です。フォーサーズシステムを採用したときから、このような小型軽量一眼レフは、フォーサーズシステムの可能性を与える「理念」として、必然的に開発されるべき存在であったといえます。
写真を撮る楽しさにつねに帰ってくるような大事な原点を、このカメラは素質として持っています。そのような原点こそが、このカメラの開発者の思想であり、オリンパスのカメラ会社としての思想なのだと思います。
やっぱりオリンパス、私は好きです。



