べっこう飴細工(「糖画」)
べっこう飴細工は、四川でも雲南でもわりあいよく見られる飴細工です。「糖画」(タンホア)といいます。中国の廟会などでもみる典型的な大道芸の一つです。みたい方は、小学校の校門に行けばみることができる確率が高いです。もちろん子供相手の商売だからです。屋台の商売道具は、一に十二支の字が書いてあるルーレット、二に飴細工を造り上げるための大理石の台、三に看板代わりに出来上がった作品を挿しておく竿などです。あとは小さな炉に飴を鍋で溶かします。麦芽糖と黒糖が原料です。
四川省黄龍渓鎮にて(砂埃防ぐためにビニール袋にかぶせてあります)
子供たちは、ルーレットを回してそれが指した十二支の動物を作ってもらいます。鶏や鼠は外れのようなもので、大当たりはもちろん龍で、相当大きく作ってもらい、柄杓の先から流れる飴で一気に描いてくれます。気勢隆々、鬚はピンとはね、四本の脚もちゃんと描かれているのです。でも、こればかりはなかなかいつでも当たるというものでもありません。
重慶市磁器口にて(蝶の形がはっきりわかります。たいへん上手です)
明末にはこの種の飴細工はあったようです。清・褚人獲『堅瓠補集』によると、新年に神を祭祀するのに、火で溶かした飴を作り、型に押して動物や人物を作ったというもので、廷臣や武将にどが袷の服も杖も表現されていて「糖(飴の意味)丞相」などと呼ばれたと言います。
『成都通覧』の挿絵より
(少なくとも清末民初よりこのスタイルであることがよく分かります)
べっこう飴細工の本場は四川で、とくに東南部の塩と恐竜(の化石)の都、自貢が有名です。普通は十二支だけを書く芸人が多いのですが、この地方では四川劇の劇中人物、諸葛孔明・関羽・張飛、『楊家将演義』の女将軍穆桂英などが描けたといいます。
これらの飴細工は陽にかざすと影もきらきら光る美しい影絵となります。中国の民俗研究のサイト『福客』網(http://www.folkw.com )は「消失了的行当」(消えゆく商売)に「糖画」を取り上げていますが、手法として「皮影」といわれる影絵芝居や切り紙細工の手法と一脈通じることを指摘しています。なるほど鋭い見識ではないかと思います。


