リス族について 


学会二日目は、六庫鎮から5キロほど離れたリス族の村、新華村に行きました。海抜1000mぐらいの山の斜面にある村です。


怒江リス族自治州の民族構成は、総人口45.8万人(1997年)のうち、少数民族97%、リス族:51.04%・ペー(白)族:28.6%・ヌー族:5.69%・プミ族:2.93%・トールン族:1.17%という内訳になっています(雲南百科全書編纂委員会編『雲南百科全書編纂委員会編』1999年:159頁)




リス族は、金沙江・瀾滄江・怒江流域の山地に住む山岳民族で、ミャンマー・タイ北部にも居住するチベット・ビルマ語族イ語支の民族です。人口は、57.4万人(1990年)。唐代の西南少数民族について書かれた書籍樊綽(はんしゃく)著『蛮書』に「栗粟」と表記されます。「リス」「リスパー」が自称であるが、「高貴な人」の意味(斯陸益『リス族文化大観』昆明:雲南民族出版社、1999年)。「リス」「リスパー」が自称ですが、「高貴な人」の意味です。タイ北部のリス族は雲南省から移動した人たちですが、この地ではリス族のプライドの高さはしばしば指摘されるところです。名誉心の強さが有名です。


怒江リス族の生活状況を簡単にまとめておきます。


宗教:プロテスタント(1930年代より教会など県内に建立)
農業:トウモロコシと水稲が中心で、小麦も主要農産物。大豆・ソラマメ・エンドウマメに、ソバ若干。ジャガイモ。主に水稲と小麦、豆類の二毛作。
手工業:紡績(麻布)・竹細工(椀・匙・杯など)・トウモロコシの焼酎
狩猟:ボーガンを使って狩猟。
食事:白米やトウモロコシ粥など


蕭迎『雲南民族村寨調査:リス族──瀘水上江郷百花嶺村』 (昆明:雲南大学出版社:2001年)に六庫鎮のある瀘水県のリス族の村の民族誌があり、本書がこの地のリス族の状況を知るに適した一冊としてお勧めしておきます。