こんにちは。
肢体不自由と盲目の1級障害を持つ!
ハンディキャップ・エッセイスト 河和 旦(かわ ただし)です。
始めてこのブログをご覧になった方は、プロフィールもご覧ください。
本日の話題は視覚障害者の会話で「声」や「音」に関する話題が多くなる、ということについて取り上げます。
最近Facebook上で再会した盲学校時代の全盲の後輩と、この話題で盛り上がっています。
例えば「○○ちゃんの声は声優の××さんに似ている」というような話題がとても多くなります。非常にマニアックな話だと、エレベーターの音声ガイドや到着時のチャイム音、ドアの開閉音などを聴いただけで、「このエレベーター、三菱のAXIEZシリーズですよね?」と、エレベーターの製造メーカーや機種を一発で当ててしまう日ともいます。
ちなみに私も、そのレベルのことができてしまいます。
また私たちが出版した『本から生まれたエッセイの本』の中に、「鉄道の音と私」という作品があります。この作品中で私が小学生時代、夏休み中に電車で旅行をしていたエピソードを綴っています。
ご興味を持ってくださった方は、ぜひ本も読んでみてください。
では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
私たち視覚障害者の会話で「声」や「音」に関する話題が多くなるのは、私たちにとってそれが周りの世界を認識するための重要な手段となっているからです。
晴眼者(視覚障害がない人)の皆さんは、視覚を通して多くの情報を得ることができます。
実際、晴眼者の場合は「脳の9割は視覚情報処理」であり、「記憶の8割は視覚記憶」であると言われています(樺沢紫苑,(2018).『学びを結果に変えるアウトプット大全』,サンクチュアリ出版,179ページより)。
つまり、情報の8~9割を受け取れない視覚障害者は、どうしたらよいか?ということになります。
そのため、代わりに聴覚、触覚、嗅覚などを駆使して周りの世界を認識しています。
その中でも特に「音」は、多くの情報をもたらしてくれる重要な要素です。
例えば、
- 人の声: 声のトーンや抑揚から、相手の感情やその場の雰囲気を感じ取ることができます。
- 環境音: 車の走行音や鳥のさえずりなどから、周りの状況を把握することができます。
- 音楽: 音楽は感情を揺さぶり、心を豊かにしてくれます。
このように、「音」は視覚に障害を持つ人にとって、世界を認識し、楽しむための重要な手段となっているのです。
このように感覚代償として音情報を活用しているという事情もあるため、私たちの方が晴眼者よりもたくさん音を聴いていたり、音のイメージを先妻に持っていたりします。
そのため、会話の中で自然と「声」や「音」に関する話題が多くなるのは、私たちにとってそれが日常の中心的な要素であることを示しています。
晴眼者の皆さんも、視覚だけでなく、聴覚やその他の感覚を意識することで、より深く世界を理解し、視覚に障害を持つ方への理解を深めることができるのではないでしょうか。
本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。