こんにちは。

肢体不自由と盲目の1級障害を持つ!

ハンディキャップ・エッセイスト 河和 旦(かわ ただし)です。


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私は過去記事IT機器が利活用できるからこそ、今の私があるで、IT機器の利活用が私の生活に与えた影響について取り上げました。特に、視覚障害者にとってのIT機器の重要性や、それによって得られた様々な可能性について述べました。


本日のテーマは、「視覚障害者のAI利用と、文書作成時の課題」についてです。


視覚障害者の中には、就職前に視覚障害者向けの職能開発訓練校や就労移行支援事業所でWordやExcel、PowerPointの操作スキルを習得する人も多くいます。音声読み上げソフトとキーボード操作を駆使して文書作成を行うノウハウを学ぶことで、社会に出てからも活躍できる可能性が広がります。


しかし、WordやExcel、PowerPointのスキルを習得していても、AIを活用して文書作成を行うメリットは大きく、私は決して「甘えではない」と考えます。その理由は次の通りです。



  • 体裁の確認が困難: 視覚障害者は、文字の大きさ、フォント、行間、配置など、文書の体裁を視覚的に確認することができません。音声読み上げソフトや点字ディスプレイを使用しても、細かな体裁の把握は困難であり、意図した通りの見た目になっているか不安が残ります。実際私たちは紙面の内容をイメージしながら、音声読み上げソフトとキーボード操作で文書を作っていくのですが、晴眼者が意図した見た目と違う物になり、やり直しが多くなってしまいます。

  • 画像や図表の挿入の難しさ: 画像や図表を適切な位置に挿入したり、代替テキストを設定したりすることは、視覚的な情報が頼りとなるため、非常に困難です。AIの力を借りることで、これらの作業を効率的に行うことができます。

  • 時間の制約: 上記2点の理由などにより、体裁を整えるために、晴眼者よりも多くの時間と労力を要します。AIを活用することで、時間を節約し、より重要な内容に集中することができます。


現在、Microsoft Copilotがこのような状況に近い使い方ができるかと思います。


ただ、視覚障害者がAIを補助ツールとして活用することを考えれば、AIのベンダー側で、視覚障害者からのリクエストを処理するチューニングを、もっと強化してもよいと思います。


例えば「私は全盲の視覚障害者です。以下のベタ打ちのテキストデータにもとづき、晴眼者にも見栄えがよい製品紹介のリーフレットを作成してください」のようなプロンプトが送信されたら、視覚障害者の代わりにWordで体裁を整えるといった作業を強化する、といった具合です。


AI活用に当たっては、AIが生成する文章や画像の正確性や偏見など、倫理的な問題にも配慮する必要があります。このような懸念事項や問題点を指摘する人がいることは理解していますし、実際これらの指摘はもっともなことです。


それでも私は、ハンディキャップを持つ人がAIを積極的に使いこなす、というポジティブなAIの利用方法があってもよいと考えます。AIは、障害を持つ人々の可能性を広げ、社会参加を促進する強力なツールとなり得るのです。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。