こんにちは。

肢体不自由と盲目の1級障害を持つ!

ハンディキャップエッセイスト 河和 旦(かわ ただし)です。

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本日のテーマは、視覚障害と肢体不自由の重複障害者の【転倒】についてです。


私のような視覚障害と肢体不自由の重複障害者が転倒するリスクには、「肢体不自由に起因するリスク」と、「視覚障害に起因するリスク」の2つがあります。


介助者は、この2つのリスクがあることを知っておく必要があります。


肢体不自由に起因する転倒のリスク


肢体不自由、特に脳性麻痺は、筋肉のコントロールに影響を与えることがあります。そのため、以下のような問題が発生しやすくなります。



  • 筋力の低下: 筋肉が十分に発達していないため、立つ、座る、歩くなどの動作を支えるための基本的な力が弱いです。

  • 筋緊張の異常: 筋肉が過度に緊張したり、逆に緩すぎたりすることで、バランスを保つのが難しくなります。

  • 調整能力の障害: 正確な動作をコントロールする能力が低下しているため、不安定になりやすく転倒しやすいです。


視覚障害に起因する転倒のリスク


視覚障害がある場合、以下のような問題に直面します。



  • 障害物の識別: 床にある障害物を見落とし、つまずくリスクが高まります。

  • 空間認識の困難: 部屋のレイアウトや段差を見て認識することができず、転倒しやすくなります。

  • 光の変化への適応: 重度のロービジョン(低視覚者)は明るさの変化に目が追いつかず、一時的に視界が不明瞭になることで、バランスを崩しやすくなります。


介助者は視覚障害に起因する転倒、とりわけ「障害物の識別」が難しく、「空間認識が困難」になっていることに意識を払うことが必要です。


実際私は大学生のとき、キャンパス内を電動車椅子で一人で移動中に階段とスロープを勘違いし、階段から電動車椅子ごと落ちてしまったことがあります。


さらに、肢体不自由と視覚障害の重複者は、歩行時に白杖(はくじょう)を使えないことを知っておく必要があります。なぜ視覚障害と肢体不自由の重複者は白杖が使えないのでしょうか。


介助者が立位保持や歩行介助をする際には、一般的に介助者が障害者の体を支えます。このとき、障害者の手は介助者に掴まるか、介助者によって支えられています。そのため、歩くと同時に白杖を振ったり、白杖で路面をたたいたりして路面の情報を知ることができません。白杖は視覚障害者が安全に歩行するために前方の障害物を感知する重要なツールですが、介助が必要な場合はその機能を活用することが難しくなります。


では、このような状況の障害者をケアするために介助者はどのような心構えが必要でしょうか。



  1. 予防: 転倒を防ぐために、移動経路の安全確認を常に行い、障害物がないかをチェックする。

  2. コミュニケーション: 歩行中は障害物や段差について声をかけることで、安全を確保する。

  3. 忍耐: 障害者が自分のペースで動けるように、急がせずにサポートする。

  4. 理解: 障害者の感じている不安や困難を理解し、適切な支援を提供する。

  5. 継続的な学習: 障害者が持つ特定のニーズに合わせた介助方法を学び、知識をアップデートしていく。


介助者には、このような心構えを持って、十分な安全確認を行ってケアに当たってほしいと考えています。


私は、介護経験が浅いヘルパーさんに「私たち利用者の特性を充分知ってケアに当たってください」とお伝えしています。


介助者が利用者(障害がある当事者)の特性と注意点を理解しないままケアに入ると、利用者にけがを負わせたり、最悪の場合利用者の生命を脅かす危険性もあるためです。


以上、重複障害者の転倒にまつわることをお伝えしました。


この記事が介護職員等のお役に立てば幸いです。




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