死ぬ直前の心理は恐怖か、迷いか、それとも悔恨か
 末期患者200人に直接会って得る事の出来た
 「死に至るひとたち」の言葉を正直に伝えているものである

 「死を直感したひとたちは」 
 まず、その事実を否定し
 次に「何故、自分なのか」という怒りに出会う
 彼らは単に「死を待つひと」なのか
 
 そうではなく
 最後まで「人間らしく」生きたい
 自分に出来ることは、何かないのか
 と、願っている人たちなのであった

 周りの人たちが本人の意思を尊重し
 そうして上げることが
 最後まで人間らしく生きていく事であることを
 本書は証明している


 私的なこと
 きっかけは私の両親が80歳を超え
 そう遠くない時期に親の死を迎える
 その時に自分はなにをしてやれるのだろう
 死に直面した彼らの想いがうまく伝わらない

 高齢者、病人は病人のままで死んでいくのか
 そのもどかしさが彼らの精神を
 一段と壊してしまう
 病気ではあっても大往生がしたい
 
 私は大往生が最後の望みである
 葬式も、墓も、戒名もいらない
 こどもたち、せいぜい、孫くらいが
 憶えてくれれば良い

 余談
 この本は1971年から百刷以上を重ねており
 ターミナルケアー(末期医療)の聖書となっている
 「死とは長い過程であり、特定の瞬間ではない」
 というのが著者の主張である

 訳者は「死ぬ瞬間」というタイトルが定着してるので
 そのまま使ってるが著者の意思をいかした
 サブタイトルを付けている

 最後に
 ”死後の生や輪廻転生を信じる信じないに
   関わりなく本書は死へと至る人間の心の動きを
    研究した本として、その価値をまったく失っていない”
 という訳者の言葉を添えて