久々です。というか読んでも書くのに困る様な本が続いていたので(インドとかインドとかインドとか....、まぁ、アメリカもありますけど)、間が開いてしまいました。ということで、連休はちょっと方向性を変えてみました。といっても連休中に読み終わらなかったのですが....。テーマは教科書です。

まず教科書とは何かという話からです。というのも、教科書にはいくつかのパターンがあるようです。とりあえず、教科書を「学校での授業に関連する書籍」と定義した場合、大まかに分けると3パターンでしょうか。とりあえず、「独学用はどう扱うのか」とか「教科書と参考書との違いは」とか、その辺は考えないことにします。

  1. 授業の時間に使う書籍
  2. 授業の予習に使う書籍
  3. 授業の復習に使う書籍

1.一番なじみのあるいわゆる「学校の教科書」です。教科書検定という制度に基づく「狭義の教科書」と言うべきでしょうか。小学校から高校までのイメージで、授業中に「教科書の何ページ開いて」という感じで使われるアレです。ただ、このイメージのものだけが教科書だとしてしまうと、大学とかでの教科書が教科書ではないことになってしまいます。大学時代によくあった「高い教科書を買わされたけど、講義で全く使わない」というアレです。ちなみに、高校までの教科書のイメージではダメだとわかったのは、大学を卒業してからなんですよね。この点、大学は最初に伝えるべきではないかと思うのですが....。

2.アメリカの大学とかでの教科書はこのパターンが結構あるようです。「講義の理解に必要となる情報を事前に習得しておきなさい」という目的で読む書籍です。なので、どちらかというと読み物的な感じになって、しかも基本的なことが平易に書かれている分、やたらと長くなるようです。冗長というのでしょうか。なので、すでに知っていることが長々と書かれていて退屈な場合もあるし、読み飛ばしても問題なかったりします。でもって、分厚くて結構高額です。アメリカの大学では、キャンパス内の書店に、この手の古本が大量に平積みされていたりします。新入生用に教科書を安く使い回すシステムが掲載されているみたいです。もっとも、20年以上前の話だし、1事例だけなので、本当のところはわかりませんが....。

3.どちらかというと日本の大学の教科書のパターンのようです。講義内容の要点をコンパクトにまとめてある感じで、講義をちゃんと聴いていれば、その講義の重要な部分がわかってくるというタイプです。逆に言うと、説明もコンパクトなのでわかりにくかったりします。講義を聴いていないとこの手の教科書だけを読んでも理解しづらいということになります。復習用と言うべきか、試験勉強用というべきか。

あと、2と3の合わせ技みたいなパターンがあって、いわゆる独学用の教科書というやつです。パターン的には3に近いのだけど、一応講義を受けなくても大丈夫な構成にしようとしている(それが成功しているとは限りませんが)書籍です。この手の教科書は、レベルが高すぎたり低すぎたりいろいろあって、読み方や使い方が結構難しいように思います。

で、2や3のタイプの教科書は、本屋で普通に売っています。ついでに言うと、上述の通り「教科書」とはいえ教科書検定なるものも受けているわけではありません。書店で「教科書」とされている本は、たいていは、上記2か3のどちらかで、2は一般書か翻訳物、3は学術書という傾向があるでしょうか。あと「○○学」とか「○○論」となっていてタイトル自体には「教科書」という言葉が入らない場合も多いです。タイトルそのものに「○○の教科書」とある場合は、たいていは2か2と3の合わせ技で一般書のような気がしますが、たまに3のパターンじゃないのかと思えるものもあります。

前置きが長くなりました。今回の本は3冊(上下巻があるので4冊?)、データ量節約のため、写真は1枚にまとめました。というか、光沢のある表紙は反射がきつくなるので、何とかして欲しいところです。


後藤達也, 2024, 『転換の時代を生き抜く投資の教科書』, 日経BP.

これは上記でいうと2のパターンです。で、そこそこ分量がありますが、中身は読みやすくと内容も簡単です。連休中2日で読み終わりました。ただ、ここまでいろいろ勉強してきたので、ほとんどが知っている内容で、新しい情報はありませんでした。「読みました。終わり」でしょうか。

なので、本当に最初の最初から投資を勉強する場合にはかなり適した本だと思いますが、ある程度知識と経験がある場合、例えば四季報や短信を眺める程度のレベルであれば、退屈なだけの本という気がします。「投資の教科書」ではなく「投資の教科書を読むための教科書」といえばよいでしょうか。指標関連の説明なんかは、何冊か読んだ後だとすごく薄っぺらい感じしかしません。

次に、まだ読みかけですが、これも2のパターンです。

ティモシー・テイラー, 池上彰監訳, 2013, 『経済学入門 ミクロ編』, かんき出版.
ティモシー・テイラー, 池上彰監訳, 2013, 『経済学入門 マクロ編』, かんき出版.


タイトルに「教科書」という語は入っていませんが、アメリカの教科書の翻訳らしいです。こちらも入門というより入門のための前提知識という感じでしょうか。これも読み物です。楽に読めますが、経済学を勉強したという感じにはなりません。

それ以前の問題として、著者でも経済学者でも翻訳作業をしたわけでもない人物の顔写真を帯に入れますかね。監訳って、いったい何をしたのでしょうかね。名義貸しでしょうか。なんか、普通に経済学者なり翻訳家なりの訳とした方が信用できそうな本です。

余談ですが、この手の経済学の教科書、大学時代は生協の本屋にはサミュエルソンやスティングリッツが平積みされていたので、この辺が主流なのだと思っていましたが、ネット情報ではマンキューが教科書として評価が高いようです。テイラーはどちらかというと一般書扱いされているようです。サミュエルソンかマンキューを読むべきだったかな?

さらについでに、参考のため、同じジャンルで2なんだろうけど3のパターンに近いかなと思われるものも出しておきます。

足立武志, 2019, 『ファンダメンタル投資の教科書 改訂版』, ダイヤモンド社.

それなりによい本だと思うのですが、う~ん、どうなんでしょうね。1回無理矢理読んだだけなので、何ともいえません。独学用で、理解させようというレベルはそこそこ高いのだけど、読んだだけでは想定されているレベルに達しない感じです。一般書というには、ちょっとレベルが高めでしょうか。たぶん、周回と演習が必要です。例題とか、練習問題とか、課題を出すとか(例えば「四季報から気になる業種の数社分の○○の数字を引き出して比べてみよう」とかそんな感じ)、そういった工夫があった方がよいでしょうか。こちらは逆に、最初に読んではダメな本です。まず最初に『転換の時代を生き抜く投資の教科書』を読んでから、1~2冊はさんで、あと四季報を読む様になってから、この本を読み始めるくらいの感じでちょうどよいでしょうか。後日、態勢を整えてから読み直しです。

 

連休でティラーを読み終わらなかったので、今週末延長戦中です。今月はいろいろと忙しいけど、何とか月末までに読み終わりたいところです。