アメリカかインドか迷いましたが、結局、先にインドを読みました。

伊藤融, 2023, 『インドの正体』, 中央公論社.


知っていたことの少し詳しい内容が書いてあるという感じかな。でも、そこまで詳しいわけではなく、復習兼情報のマイナーアップデートというところです。いまいち欲しい情報がもらえない、というのが正直なところです。

ただ、「じゃあ、どういう情報が欲しいのか?」と聞かれると、それもなかなかに難しいわけです。確かにインドは多様というかほとんどカオスで、インドについて何かを一概に言うとは難しいのでしょう(その割には、「インドはこういう思考や特徴を持った国だ」といいきったりしているんですけど....)。経済ひとつとっても、綿花畑などでの児童労働を許容する経済構造(問題は社会構造の方か)と、超アナログのダッバーワーラーのシステムと、世界的になってしまったIT産業とが同時に存在しているわけです。しかも、他の国だったら「格差社会」とか「分断社会」ということで何とか説明がつきそうだけど、インドの場合は、確かに格差は格差なのだけど、それで説明できないような感じなんですよね。まだ、中国の方がわかりやすいわけで、共産党というエリートと民衆との対立、都市と農村との格差、無理矢理な中央集権の歴史、エリートがプロレタリアを名乗る矛盾、親族集団などを前提とした個人主義、などなどを組み合わせると、何となくわかったようなわからないような感じになります。が、インドは、全くわからないカオス状態です。この辺を紐解くヒントが欲しいのですけど、さすがに800円台の本だけあって教えてくれませんでした。

 

とりあえず、「インドについてわかる」本だとは思わない方が良いです。むしろ、「インドについてはわからない」ということがわかる本でしょうか。

次は、アメリカ2冊です。