相変わらず読み散らかしています。いや、前回の角川の本の後だと、実に読みやすい本で半日で読破できました。一応エコノミストが書いていることもあるのでしょうが、読みやすさの確保という点で、編集もちゃんと仕事をしているのでしょう。本離れとがどうのこうの、といわれていますが、やはり編集者が関わる本の方が、日本語とか、読みやすさとか、理解度の点では勝っているように思えます(編集者が仕事すればの話ですが....)。
講談社は、理解度でハードルの高いブルーバックスを抱えているだけに、わかりやすさという点ではノウハウがあるのかもしれません。それとも、ブルーバックスと現代新書は別なのでしょうか。もしかしたら、編集者でなく筆者の方がそういうことに気を遣うタイプだったのかもしれませんが....。
永濱利廣, 2022, 『日本病』, 講談社.
何か、旧字体の多い著者名ですね。どうでもよいことですが....。
久々に経済学についての本を読みました。いや、金融とか投資とかの本は読んでいたので、マクロ経済の本というべきでしょうか。で、過去の知識と照らし合わせて、経済「学」の現状はどうなっているんだ?と思ってしまいました。経済の現状ではなく、経済学の現状です。
まぁ、経済学出身ではないのですが、大学では周辺領域で経済学も少しだけかじることになりました。私が大学にいた当時は、経済学の2大派閥といえば、マル経対近経でした。で、なぜか私の回りはマル経が多かったわけです。それでもって、「レギュラシオン理論」と呼ばれるフランスの調整学派なんかが最新だったと思います(一応マル経らしい)。一方で近経の方では、主流派対マネタリズムというかケインズ主義対マネタリストの論争があったようですが、こちらの方はよくわかりませんでした。近経を勉強する機会がなかったんですよね。
当時、大学の中ではマル経が生き残っていたけど、一歩外に出るとマル経の影響力ってどうなんだろうという感じを受けました。まぁ、バブルからバブル崩壊への流れがあったり、法人資本主義や金融資本主義なんかが出てくる状況で批判的視点は持てるんだけど、マル経では批判から先の展開がちょっとお花畑かなと感じていたわけです。
で、ここ最近は、主流派対マネタリストが、主流派対MMT、あるいは3すくみになっているのでしょうか、その辺はもう少し勉強してみないとわかりませんが、MMTと呼ばれている「現代貨幣理論」というのが新興勢力として出てきているようです。ベースがマル経だと、なかなかついて行けません。レギュラシオン理論を勉強した際に、「資本主義は緩やかなインフレを必要とする」という理屈とかは学んだので、部分的にはわかる話も多いのですけど。
ということで、この本の背景には主流派対MMTあるいは主流派対マネタリスト対METの三つどもえの対立がありそうなのですが、久々にマクロ経済学を何冊か読んでみるかなぁ、などと考えてしまいます。まぁ、読むとしても新書レベルで軽くでしょうけど。いずれにせよ、本書は読みやすいし、データもちゃんと示してくるので話はわかるんだけど、なかなか話の裏まで見通せない印象があります。本書の話を鵜呑みにしないためには、たぶんMMTやMMT批判なんかをもう少し読んでみないといけないんでしょうね。
まぁ、日本語の問題も少なく読みやすいですし、統計数値なんかも例に挙げながら理解しやすくしていますので、その辺は楽に読めるのですが、それだけに批判的に読むのが少し大変かな、という気がします。