タンポポ属 蒲公英 和漢薬百科図鑑 | 日本漢方の初歩と自然の日記2

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タンポポ属
Taraxacum

蒲公英
蒲公草
耩耨草
鳧公菜
黃花地丁


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(難波恒雄 和漢薬百科図鑑より)

蒲公英

Taraxacum属植物は非常に種類が多く
『新修本草』の蒲公草の原植物の
種名を決定することは
不可能である。

現在市場にも
多種のTaraxacum属植物が
「蒲公英」と称して
市販されており
また、その他キク科の
Taraxacum属以外のものも
出まわっており混乱している。



【基源】  (学名略)

キク科
モウコタンポポ
シナタンポポ 
オダサムタンポポ(ネッカンタンポポ)
マンシュウシロタンポポ
ホクシタンポポ
セイヨウタンポポ
など多くのTaraxacum属植物の
帯根全草を乾燥したもの。

韓国産蒲公英は
主にケイリンタンポポなどの
全草である。
ときに根も蒲公英根と称し
出まわる。

日本産は
主にカンサイタンポポ
およびセイヨウタンポポの根で
「蒲公英根」と称する。


【薬味、薬性】

甘 苦 寒


【薬能】

蒲公英は能く
熱を清し
毒を解し
腫を消し
結を散じる効があり、
内服、外用ともに有効である。

臨床上、
乳癰腫痛を治すには
栝蔞、没薬を配し
疔毒惡瘡を治すには
土茯苓、甘草、金銀花、紫花地丁
を配し、
瘰癧、痰核を治すには、
夏枯草、牡蠣を配し、
湿熱毒瘡を治すには、
赤芍、牡丹皮、地膚子を配して
用いる。

また
単味で生まのものを搗き
諸瘡、腫痛に外用してもよい。

李杲は
「足の少陰、腎経の君薬である。」
といい、
朱丹溪は
「この草は土に属し、
黄花を開き、味は甘く、
⻝毒を解し、滞気を散じ、
よく陽明、太陰の経に入り、
熱毒を化し、腫核を消するに
奇功がある。
忍冬藤と共に湯に煎じ、
少量の酒を入れて佐として
服すれば乳癰を治す」
と言っている。


【用途】

解熱、消炎、健胃、利尿、
催乳薬として、
乳癰、皮膚潰瘍、眼疾腫痛、
消化不良、大便秘結、小便不利、
感冒、咽喉炎、淋病、乳汁不足
などに応用する。