怖い藤子・F・不二雄作品 | よもやま雑記噺

よもやま雑記噺

著者が趣味の範囲内で思いのままに語る、ゆる~いブログです。

前回の記事から1月半位、経過してしまいました。その間にも悲しい報道が相次ぎ、何ともやりきれない思いが募ってしまいます。

前回の藤子不二雄A先生の訃報に関する記事に対しては多くのアクセスを頂きまして、本当に有り難うございます。今回は、その記事の中でも少し触れた、藤子・F・不二雄先生の作品を取り上げたいと思います。

藤子・F・不二雄先生と云えば、ドラえもんをはじめ、パーマン、キテレツ大百科などアニメでも大ヒットした作品を沢山生み出されています。作風は絵柄のやわらかさとテンポ良いコマ運びと絶妙な間によって非常に読み易い、漫画のお手本のような素晴らしさです。

F先生とA先生とは絵柄の違いや作風等で、とかく対称的に語られがちですが、F先生も対象となる読者年齢の違いにより作品内容も随分、印象の異なる作品を数多く発表されています。また、ドラえもんなどでも思わずゾクっとさせられるエピソードがいくつもあります。



出典 著者・藤子・F・不二雄 作品名・ドラえもん[恐怖編] 出版社・小学館 小学館コロコロ文庫刊


自分がドラえもんを夢中で読んでいた1970年代後半に怖いなぁと感じたエピソードも多数収録されています。特に初期てんとう虫コミックスに掲載されていたエピソードは印象深いです。







怖い中にもすっきりとしたオチをつけている所がF先生の作品の特徴と言えるでしょう。ここには掲載されていませんが、てんとう虫コミックス12巻に収録されている、幽霊城へお引っ越しとかいうエピソードも現実的な恐怖を感じた記憶があります。

ですが、対象年齢が上がると読後に何となくモヤモヤっとした作品も多数見受けられます。そんな作品を纏めたのがこちらになります。



出典 著者・藤子・F・不二雄 作品名・藤子・F・不二雄[異色短編集]1〜4  出版社・小学館 小学館文庫刊


これは90年代中頃に漫画文庫として発売されたものですが、元は80年代に単行本で発売されていたものです。

F先生が得意とされている、タイムトラベル的な作品や世相を風刺したものまで多岐に渡ります。1990年からフジテレビ系列で放送された、世にも奇妙な物語の原案に使われてもおかしくないものも多数見られます。世にも奇妙な物語といえば、玉置浩二氏が主演されていた、ハイヌーンという作品の原案が江口寿史氏が描かれた、すすめ!パイレーツの作品だというのは有名です。漫画では最後に店主の食い逃げだ。の一言でオチがついて終わるんですけどね💦😅。

F先生の異色短編で印象深いものをいくつか、ご紹介します。

発表時、社会問題となっていたコインロッカーベイビーと人口増加を風刺した間引きや、家庭内暴力や虐待が齎す、視えない恐怖を描いたコロリころげた木の根っ子。





我々が通常当たり前と思っている価値観と異なる世界を描いた気楽に殺ろうよ、極限状態に置かれた時の究極の選択と悲劇を描いたカンビュセスの籤。





1980年代、フジテレビ系列の月曜ドラマランド枠でオムニバス形式で放送され、その後、おニャン子クラブの渡辺美奈代さん主演で連続ドラマ化された夢カメラを始めとする一連のカメラシリーズと、そのカメラのセールスマン、ヨドバ氏が現代に取り残される事となる顛末を描いた懐古の客。





行き過ぎた正義感が狂気に変わる恐ろしさを描いた、我が子・スーパーマンとウルトラ・スーパー・デラックスマン。





時間の経過によって直面する現実と齎される悲哀を描いた、劇画・オバQ。



特に劇画・オバQは、新オバケのQ太郎と同時期に描かれている事を考えると非常に感慨深いです。



出典 著者・藤子不二雄(藤子・F・不二雄)  作品名・新オバケのQ太郎 出版社・小学館 てんとう虫コミックス刊


オバケのQ太郎というと自分の世代ではアニメも含め、この新オバケのQ太郎が最も思い入れが強いので同時期に描かれた劇画・オバQとのギャップには驚かされました。

因みに自分はOちゃん一推しです😊。バケラッタ


ドラえもん[恐怖編]の解説文で朝松健氏が、F先生は生前SFを、S(少し)F(不思議)の略のつもりで描いています。と語っておられたそうだと書かれています。

F先生にとっては、これら異色短編も世界の異なるパラレルワールドで起こったSF世界の一端に他ならないんでしょうね。

今流行りの漫画より、これらの漫画の方が自分には受け入れ易いと感じるのは単なるノスタルジーだけではないと思うんですが、如何なものでしょうね?😅。