温泉地に場外馬券売り場は不向き
薩摩川内市樋脇町市比野の温泉街に場外馬券売り場※を設置する動きがあります。私は、場外馬券売り場の擬似体験をしようと類似施設の場外船券売り場のボートピア金峰(南薩摩市金峰町)を南さつま市議会議員の清水春男さんと訪ねました。
人里はなれたところ
「ボートピア金峰」は敷地面積7万7千㎡、延床面積約4200平方メートルの平屋建て、駐車場は約843台収容可能、競艇(モーターボートレース)の場外船券売り場です。金峰町支所からは車で20分の人里を離れた場所にあります。
私たちが訪ねたのは2日、金曜日、平日にもかかわらず売り場には約500人の人たちがモニターに見入っています。場内は意外に静かです。しゃべる人が少なく、場内に置いてある今日のレース案内とモニターを交互に見ているという様子でした。携帯電話のカメラで場内を写していると警備員から「カメラ持ち込みは禁止です」と注意を受けました。あとで聞くと写真に撮られると困る人がいるからということです。家族やあるいは会社に知られないようにひっそりと来る人がいるということでしょうか。
確実に25%は吸い取られる
私たちは、競艇とはどんなものかを実体験するために100円を賭けてみることにしました。場内にはイベントガール「ツケマイ娘」と言う人たちが初心者でもわかるように賭け方を教えてくれます。実際のレースではボートの接触がおこって番狂わせがおこり、大穴がでました。私たちは、みごとに外れました。今回は100円を失っただけですが、中には数千円いや数万円を摩った人もいたかもしれません。
事業者は売り上げの大小にかかわらず25%が収益になります。勝った負けたはあっても船券を買った人の財布から確実に25%が吸い取られるしくみだということです。
売り上げ2万円
副場長の内野さんという人に話を聞きました。内野さんは、南さつま市の職員で芦屋町外二カ町競艇施行組合に派遣されています。
内野さんによると、一日1250人の入場を目標に、ひとりが平均二万円の券を買ってくれると見込んで2500万円を売り上げる目標だったが、実際は一日に600~700人で目標の半分しかない。地元自治体との協定により、組合は南さつま市に年間8500万円の交付金を払っていると話してくれました。
普通の銀行では100万円以上は引き出せないけれど、ここでは1000万円単位でも支払ってくれるのかと聞くと、内野さんは「いくらでも引き出せるので、大金をもって足を震わせながら場外へ出る人もいる」と話しました。一回の競艇でいっきに大金持ちなれば、財産を失う人もいる。ギャンブルの魔性にとりつかれたらまじめにこつこつと仕事をすることがばからしく思えてくるかもしれません。
原付でやってきた高校生
場外券売り場で気になることは、青少年に与える悪影響はないかということと地元雇用など地域に対する経済効果はあるのかということです。
内野さんによると親が未成年者を同伴でつれてくることがあるので、原則的に注意している。最近、施設ができてはじめて高校生らしい若者が原付でやってきたが、警備員が免許証を確認すると未成年者だったのでひきとってもらったということです。未成年者が入りにくいのは、売り場が街から遠く離れたところにあるという地理的条件があるからという説明を聞きました。暴力団などの出入り対策のために警察官OBを雇っているということです。
また職員90人のうち地元からの雇用は約70人。しかし、船券を買いに来た人が、南さつま市の観光地を訪れたり、買い物をするなど地域経済を潤すことはあまり考えられないとのことでした。場外券売り場が来て街がにぎやかになったということはなさそうです。
温泉街にふさわしいか
視察を終えてみて、「ボートピア金峰」とちがって中学校の通学圏内で、家族連れや高校生などさまざまな温泉客の出入りがあるグリーンランド市比野の施設内にギャンブル場はふさわしくないというのが実感です。
金峰とちがって、グリーンランド市比野の敷地内に高校生がいることは不自然ではありません。また馬券を買いに来る人は、ほとんどの場合、食事は場内で摂ることになるでしょう。市比野の温泉街を散策したり、買い物をしたりすることはほとんど考えられません。
「市比野にいたっくっで」といえば人は温泉に行くと考えるでしょう。馬券売り場ができれば、「市比野に行く」=「馬券を買いに行く」というイメージが定着し、観光客の足も逆に遠のくおそれがあるのではないでしょうか。
※場外馬券売り場
市比野ふれあい館に併設されているボーリング場に設置の予定。建物延面積が一階1300㎡、二階300㎡、開催日は、年間約280日(年間休日85日は、木曜日・金曜日)、開場時間は午前9時半~午後4時半。ナイターもある。来場予定人員は平日400人、休日800人、設置には地元合意が必要。現在、市比野コミュ二ティー協議会などで誘致を検討中。
写真は「ボートピア金峰」
人里を離れた山間に建設されています。
