テスコボーイ系の命運 | カッツミーの競馬道

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 今週末は秋のG1シリーズの始まりを告げるスプリンターズSが中山競馬場で行われる。

 

 香港からの遠征馬2頭を含み、国内の一線級のスプリンターがこぞって参戦し、ハイレベルなレースが期待できそうだが、そのなかで私が注目しているのは前哨戦のG2セントウルSを制したトウシンマカオである。

 

 トウシンマカオは1970年代にリーディングサイヤーを4度取ったテスコボーイの末裔である。

 

 テスコボーイは、皐月賞、有馬記念、宝塚記念を勝ったトウショウボーイ、1億8500万円の黄金の馬ハギノカムイオー、皐月賞、菊花賞2冠のキタノカチドキ、2冠牝馬テスコガビーなど続々名馬を輩出し、1970年代の競馬シーンを彩った。

 

 後継種牡馬としてもトウショウボーイが3冠馬ミスターシービーを出すなどしたが、1986年の天皇賞(秋)を勝ったサクラユタカオーが活躍した。

 

 サクラユタカオーは毎日王冠と天皇賞(秋)を連続して日本レコードで勝つなどした快速馬で、長距離偏重の日本競馬にスピード改革をもたらした父テスコボーイの特徴をよく引き継いだ。

 

 サクラユタカオーも種牡馬として活躍した。初年度産駒に重賞3勝のダイナマイトダディを出すと、2年目にはスプリンターズS連覇のサクラバクシンオーを出した。その後もエリザベス女王杯を勝ったサクラキャンドル、安田記念、マイルチャンピオンシップを勝ったエアジハード、オークス馬ウメノファイバーと続々G1ホースを輩出したが、後年種牡馬能力を喪失し種牡馬を引退した。

 

 サクラユタカオーのバトンはサクラバクシンオーが引き継いだ。サクラバクシンオーは1400m以下では12戦11勝と、典型的なスプリンターで日本最強スプリンターと評され、私も同様に思っている。

 

 サクラバクシンオーは自身のスプリント能力を産駒に引き継いだ。産駒の芝勝ち鞍902勝の平均距離は1282mで、その数字は強力な遺伝力を示している。

 

 サクラバクシンオーは高松宮記念を勝ったショウナンカンプとビッグアーサー、朝日杯フューチュリティSとNHKマイルCのグランプリボスと3頭のG1ホースを出し、3頭とも種牡馬入りした。このなかではビックアーサーが現在種牡馬として活躍している。

 

 トウシンマカオはビッグアーサーの初年度産駒でテスコボーイから数えて5代目になる。テスコボーイ系はトウショウボーイの父系が途絶え、残っているのはサクラバクシンオーから続く父系だけである。ビックアーサーがコケればこの父系も終わりだろう。ビックアーサーは父サクラバクシンオーのスプリント能力を良く引き継いでいて、トウシンマカオも今まで勝った4重賞は全て1200m戦である。

 

 トウシンマカオがスプリンターズSを勝てば、種牡馬としての父ビッグアーサーの価値が高まり、より多くの繁殖牝馬を集めることができるだろう。またサクラユタカオー~サクラバクシンオー~ビッグアーサー~トウシンマカオと史上初の父内国産4代のG1制覇の偉業もかかる。

 

 そう、今週末のスプリンターズSのトウシンマカオはテスコボーイから続く父系の命運を懸けたレースと言えるのだ。