ナイジェリア・ポップのお薦め | 勝手にシドバレット(1985-1995のロック、etc.)

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ロックを中心とした昔話、新しいアフロ・ポップ、クラシックやジャズやアイドルのことなどを書きます。

 最近のナイジェリア・ポップで気に入ったものを紹介するコーナーです。

 この5年か6年ばかし、私はアフロ・ポップを好んで聴いており、ガーナやコンゴや南アフリカなどのダンサブルなポップ・ミュージックにも惹かれています。

 でも興味の中心はナイジェリア・ポップ、ナイジャです。よほどリズム形式が自分にフィットするのか、まるでチュールかマタタビを見つけた猫です。こうしているうちも、Lady Donliのニュー・アルバムがいつ出るのか、気になって仕方ありません。ナイジェリアといえば、今から39年前の16歳の頃、ラジオから流れてきたキング・サニー・アデのAse(アシェ)という曲に魅了されました。縁があったのでしょうか。

 

 さて、最初に紹介しますのは、Moonlight Afriqaという男性シンガー=ソングライター。私も初めて知ったアーティストです。

 

 彼は2021年にDr. Dolorのレーベルと契約していたようですが、先週の5月24日にCosign MusicからLove Dimensionというシングルを発表しました。

 これが良い。エレクトロニカな音像の打ち込みをパーカッシヴに破裂させつつ、全体は穏やかでチルな空気感を漂わせています。音数は少なく、ヴォーカルの節回しも適度にレゲエ風味。

 プロデューサーはDr. DolorNoticeも手がけたMikabaですが、この音のスタイルはMoonlight Afriqaの持ち味なのではないでしょうか。そう断定するのではなく、そんな個性を想像させるのです。要注目のMoonlight Afriqa、いいステージ・ネームですね。

 

 その月光アフリカを昨年11月のアルバム<What A Time To Bee Alive>でフィーチャーしていたのが、先述したDr. Dolor

 

 じつは私、そのアルバムを昨年聴き逃しておりまして、5月5日にデラックス仕様で、ようやく追いついた次第。聴けば聴くほど、昨年もっと自分のアンテナ精度を磨いておくべきだったと思いました。すごくいいアルバムです。

 アメリカのR&Bに通じるグルーヴを感触に持ったアフロ・ポップ。ナイジャのリズムのバウンドが、ふくよかな柔らかさでフワッと体を揺らすのがたまらない。

 BNXN(Buju)OxladeKaptainThe Cavemen、それにMoonlight Afriqaらが参加して、曲とアルバムを盛り上げているのも楽しめます。

 そして主役のDr. Dolorの気張らない歌がスムーズで心地よいんです。じつにリラックスさせます。今月、アルバムとして一番リピートしたのがこれでした。推薦します。

 

 次に、Nonso Amadiのデビュー・アルバム<When It Blooms>は癒しの佳作です。

 

 繊細さがウォームなタッチで表されています。歌も悩み多き内省を人肌で温めて差し出すかのよう。ナイジェリアの木下藤吉郎か。

 一回聴いてみて弱いかなと思ったのですが、やがてそこに優しい表情を感じとれて、大好きなアルバムとなりました。

 ナイジェリアの内省王子、Tay IwarをフィーチャーしたPiecesなんか、ネオアコを聴くような感覚でじんわりと胸にしみてきます。アフリカの若者も人生いろいろ悩んだりしてるんだなあ、という事を、そっと垣間見る音楽。

 

 ガラリと変わって、ストリート・ポップのパーティ・アンセム的な高揚感あふれる、Bella Shmurdaの新曲、NSV。

 

 フィーチャーされているのはナイジェリアのディーヴァの一人、Tiwa Savageです。彼女の濃厚な歌にバックアップされ、しかもプロデューサーのKrizbeatzによるパワフルなビートを得て、秀逸なダンス・チューンに仕上がっています。タイトルのNSVはNon Stop Vibeの略だそうです。文字どおりのNSVっぷり。メロディーもキャッチーで、歌詞のヨルバ語の意味にわからない部分が多いのですが、大いに盛り上がります。

 

 ナイジェリアのプロデューサー・チーム、44db collectiveのメンバーであるTrill Xoeの6曲EP<Lucent>も魅力的です。

 

 AzantiとMahgiをフィーチャーした先行シングルのLet You Inも素晴らしくスムーズな曲だし、私はWaniをフィーチャーしたTake You Awayがお気に入り。

 R&Bを志向したアフロ・フュージョンとして、クールで抑制した中に跳ねて刻まれるリズムがたまりません。

 

 そして最後に、南アフリカのTylaがナイジェリアのAyra StarrとコラボしたGirl Next Door。右がTylaで左がAyra Starrです。

 誰がプロデュースしてるんだろうと気になりながら聴いたら、イントロで「P!」とタグが聞こえて、P.Priimeだとわかりました。21歳の若さでノリにのってるナイジェリアのプロデューサーです。この曲もさすがにカッコいい。

 主役は南アフリカのポップ・プリンセスと呼ばれているTylaで、彼女もAyra Starrも21歳。TylaはChris Brownにフックアップされて、彼のヨーロッパ・ツアーに参加しました。

 あまりに可愛いので、アメリカでのインタビュー動画を見たんですけど、日本で紹介されたら人気が出ると思いますよ。「アメリカに来て、『南アフリカではキリンがスクール・バスの代わりなの?』って聞かれる」と笑ってたり。もしかして彼女の英語のアクセントは、王林の津軽弁みたいに、アメリカ人にはキュートに聞こえるのかな。

 

 で、彼女が言うには、「南アフリカで若者に人気があるのは、WizkidやRema、Ayra Starr」などのナイジェリアのシンガーだそうです。それって日本におけるK-POP人気みたいなものでしょうか。そこでAyra Starrの名前が出てくるのは嬉しいです。

 しかしTylaにデレッとしつつも、私の耳はAyra Starrのディープで強い歌声に持っていかれます。じつはこの二人、ステージで仲良く共演したことがあるんです(なんで私はホッとしてるんだ)。

 

 で、彼女が言うには、「南アフリカで若者に人気があるのは、WizkidやRema、Ayra Starr」などのナイジェリアのシンガーだそうです。それって日本におけるK-POP人気みたいなものでしょうか。そこでAyra Starrの名前が出てくるのは嬉しいです。

 というわけで、今回も無事に──推し変アラームが鳴りかけたりもしましたが──この人の写真を載せます。お納めください。