私選 レッド・ツェッペリン狂熱のリフ ベスト20! | 勝手にシドバレット(1985-1995のロック、etc.)

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 ジメジメと鬱陶しい日が続いているので、スカッと明快なリフの魅力について書きましょう。
 リフと言えばツェッペリン、ツェッペリンと言えばリフ。とにかく、これほどまでにリフの哲学にこだわりぬいたロック・バンドもありません。もちろん、リフを音楽性の柱とするバンドはほかにもいるのですが、ツェッペリンの場合は「なぜリフなのか」「リフになにが可能なのか」を自ら命題に課すかのように挑み続け、やがてはリフを”プレゼンス”、そこに実在させたも同然の域にまで到達しました。
 
 今回はそんなツェッペリンのリフの中でも私が偏愛する20のガガガを選んでみます。以前、こちらの記事でボブ・ディランのアルバムを20枚選びましたように、これは完全に私の嗜好です。ここに選んでないからダメというわけではまったくありません。また、順位も今日の気分によるもので、1位以外はかなり適当に並べてあります。基準は曲の完成度ではなく、あくまで私のリフの好みです。なので、これを読まれた方がご自身のZEPの推しリフを楽しく選んでいただければ、なによりです。
 たぶん、海外の雑誌かサイトで同様の企画はとっくに行われているでしょうし、昔の渋谷陽一のラジオであったような気もするのだけど、こういう大ネタもいいじゃないですか。では。
 
まず、惜しくも20位以内に収められなかった次点を発表します。Good Times Bad Timesです!
 ファースト・アルバムの1曲目。ハードロックの時代の幕開けを告げるファンファーレみたいなリフです。ギターに呼応するボンゾのドラムとセットになっていると考えていいでしょう。
 このアルバムが面白いのは、こうやってガガガ!と明瞭に始まっておいて、すぐにアコースティック・ハードなBabe, I'm Gonna Leave Youに移行するところ。普通だったら、もう1、2曲はエレクトリック・ギターが暴れる曲で掴むだろうに、あえて混沌とした苦みを利かせています。
 すごく好きなリフなのですが、1968年にこれを聴いた人の衝撃は、残念ながら80年代の私には丸ごと伝わりはしませんでした。なので21位に。
 山下達郎はGood Times Bad Timesを聴いて「リズム・アンド・ブルースだと思った」そうで、おそらくこのリフに管楽器的(ホーンライク)なセンスを感じたのではないでしょうか。だとしたら、それってZEPリフの本質を衝いているのかも。
 
さあ、20位。No Quarterです!
 人によっては低すぎると怒ったりするでしょうね。ツェッペリンのスタジオ・アルバム収録曲って66曲ありまして、そのほとんどがリフ主体なんですね。そこからベスト20を選ぶと、個人の嗜好で上に行ったり下に行ったり、入ったり入らなかったりするものです。
 このNo Quarterは5枚めのアルバム『聖なる館』でも特に印象に残るナンバーで、幻想的な曲調やヴォーカルと楽器に用いられたエフェクトがプログレッシヴ・ロック的で面白いです。キーボード・ソロは同時代のジャズを思わせたりするし、ギター・ソロもジャジー。
 それらのアレンジや音処理が強力なのでギターのリフが一歩退いた感もありますが、曖昧に拡散しそうなイメージをミステリアスな像にまとめているのが粘着性の高いリフです。かと言ってそれに曲を引っ張らせていないのがジミー・ペイジのプロデュース感覚。
 
19位。The Roverです!
 音階をシンプルに上下するこういうZEPリフが私は好きです。
 この曲が収録されているアルバム『フィジカル・グラフィティ』は2枚組で、なかなかヴァラエティに富んだ内容です。そして、その幅が広がったところに聴きどころも多い。
 反対に、前作『聖なる館』から引き継いだ王道ハードロックは小粒と言いますか、イマイチ。The Roverも特に新味があるわけではないのだけど、いかにも手癖でこしらえたようなリフが小規模ながら乗せてくれます。好調時のジミー・ペイジはこの手癖が冴えていて、曲全体の1ピースとしてはめ込まれた時に周囲の音を小気味良く回転させます。独自のグルーヴです。
 それから、この曲はイントロでのブレイク・ビーツを予感していたかのようなドラムが最高。オフビートで始まる”豪快な膝カックン”がたまらない。ツェッペリンのロックがファンク度を増してゆくうえでも、なくてはならないドラムだったんですね。
 
18位。Dancing Daysです!
 『聖なる館』の中では埋め草というか、工夫や新機軸の目立つ収録曲の中では暢気なタッチとオーソドックスな構成の曲です。同趣向のリフ曲でもThe Oceanはもっとファンキーなニュアンスがありますが、Dancing Daysはタイトルどおり気楽な雰囲気に包まれています。ロバート・プラントの声もやけに明るい。これが続くD'yer Make'erでの変に重たいレゲエへの絶妙なバトンタッチを担っています。
 ボンゾのドラムとペイジのギターのコンビネーションも絶好調だし、そこにジョン・ポール・ジョーンズのシンセ(VCS3か?)を重ねたセカンド・リフも、ありがちなんだけど鋭いトーンのリフが作られています。またこのギターがキンキンにとんがった音なんですよね。
 
17位。B'zのBad Communication!・・・ではなくて、Trampled Under Footです!
 いやあ、カッコイイ。スティーヴィー・ワンダーがクラヴィネットを使ってSuperstitionをヒットさせ、それをジェフ・ベックがカヴァーして、しからばウチらもと触発されたのか、ジョン・ポール・ジョーンズがクラヴィネットを担当しています。
 ツェッペリンのようなギター・リフを特徴とするバンドに、クラヴィネットのパラディドル奏法のキコキコした音色は合わなそうな気もします。音と音がちょっとおかしな摩擦を起こしかけている局面もある。しかし、それも含めてスリリング。いや、クラヴィとギターがぶつかり合いながら織りなすリフの気まずい気持ちよさが、この曲におけるファンクネスでありツェッペリンのロックなのです。
 
16位。お待たせしました。Dazed And Confusedです!
 ファースト・アルバムでこんな凄い曲をやっていた事に驚きましたし、これがカヴァーだと知った時には仰天しました。ヤードバーズの末期にこの試作的なヴァージョンがあった事はもっと信じられませんでした。
 リフの合わせ技で出来た曲という意味ではずっと後のAchilles Last Standにも線を引けます。でも、こちらはじつに60年代的な混沌を背負っています。
 ライヴでは長尺の演奏で展開された曲ですが、スタジオ盤でも6分26秒と長めだしドラマティックです。しかし、一瞬たりとも退屈させません。ベースとギターのリフで進むパートとインプロヴィゼーションのパートそれぞれにムダがないのです。
 どのリフも、結束バンドを最大限に絞るように曲を引き締めているし、テンポ・チェンジやダイナミクスの要所となっています。とりわけ後半でスピード・アップした演奏をリフのブレイクで立ち止まらせ、そこから下降してエンディングになだれ込む、この構成は見事。
 
15位。Nobody's Fault But Mineです!
 私がいちばん好きなツェッペリンのアルバムは『プレゼンス』で、それは「結論、出ました!」と断言する力強さに深い感銘を受けるからです。このNobody's Fault But Mineも、ファーストから各アルバムで必ず披露されていたダークなサウンドを実在感をもって表しています。
 その断言の刃となっているのがスライド・ギターやプラントのヴォーカルを駆使してのリフ。ブラインド・ウィリー・ジョンソンの原曲をブリティッシュ・ロックの突端にまで引き寄せ、”サイ=ファイ・ブルース”と呼ぶ人もいるプログレッシヴかつ生々しいブルースを創造しています。
 初期の豪胆なブルース・ロックもいいけれど、そこから出発してこの演奏をものにしたのはツェッペリンの偉大さ──なのに、リリース時のレコードに作曲者名を"Page/ Plant"とクレジットしていたのは、さすがにマズい(この種のハナシには事欠かないのもツェッペリンだけど)!
 
14位。やっと登場。Rock And Rollです!
 もういいだろうと言いたくなるくらいに耳にしてきたし、自分でもカヴァーした曲だし(ちなみに、その時の担当は鍵盤でしたが)、ツェッペリンのライヴ盤などでもわりと流して聴いてしまうくらいに食傷気味ではあるのですが、このリフは今でもやっぱり気持ちいいです。
 もっとも、イントロのボンゾのドラムがないと形無しのリフではあります。あれほど景気づけに効くドラム・パターンも珍しい。リトル・リチャードのKeep A-Knockin'から借用したパターンですが、法的な解釈はどうあれ、ツェッペリンのこの曲ではロックンロールへのオマージュになっています。
 ギターのリフもオーソドックス。誰にでも思いつきそうです。でも、どうだろう。思いつきそうで、誰もやってなかったリフだとは言えないでしょうか。ラ・♯ド・ミ・ソの音を使って、このリフをパッと組み立てちゃうセンスって非凡なのではないか。しかも途中をベンディングでダウンさせてますよね。少なくとも、ジミー・ペイジのこの先例がなかったら、凡人の私には思いつかないはずです。つまり、当時はありがちなようで新鮮だったんじゃないかと想像するのですが、これも誰かからの拝借だった可能性も、ツェッペリンならあり得るんですよね・・・。
 
13位。ここにImmigrant Songが来ます!
 もうホントに、Whole Lotta Loveなんかもそうなんですが、こんな単純な音階でよくこんなに盛り上がるリフを思いつくなぁと。ロックのリフの興奮ってそういうものだけど、単純だからすべて良しとも限らないわけで、なにがしかのマジックがなければ爆発はしません。
 爆発、してますよねぇ。私などはこの曲の入ったサード・アルバムはリリースから15年たって初めて聴いて、その時までにこの「移民の歌」はブルーザー・ブロディの入場曲として聞き覚えはあったんですが、それでもツェッペリンのオリジナル・ヴァージョンにはイントロだけで血が沸き立ちましたね。
 これもリフ単独よりはプラントの雄叫びとセットです。あそこまでわかりやすくロックの大見得を切っているヴォーカルだと、時間がたって陳腐化するというか古臭く聞こえたりもします。じつは、私の耳もその感覚からは逃れきれません。あ、昔のハードロックだ、昔はこれが良かったんだろうな、と思っちゃう。
 けれども、それだけで済まない心のざわめきもまた起こるんですよね。
 プラントのあの雄叫びだけでは響かないんです。たぶん、ギター・リフだけでも同じ。どちらからも古き佳きカッコよさは伝わるんだけど、この二つが合わさった、つまりプラントのヴォーカルも含めてこその狂熱のリフです。
 
12位。Misty Mountain Hopです!
 これもラ・ソ・ミ、ラ・ソ・ミと極めつけに単純な音階のリフで、それがここまで気持ちを高揚させるのはどういう事なんでしょう。ギターとジョン・ポール・ジョーンズのキーボードとがやはり一緒になっていて、キーボードの和音は時々ヘンな濁りを湛えています。
 さらに、歌が入ってからのメロディーがまたヘンで、それをプラントのヴォーカルをオーヴァーダビングして、しかもバラバラにズラしているものだから、全体がなんとも落ち着かない奇妙さを醸し出しています。なのにボンゾのドラムはドッカンドッカンと安定したフィルインを入れてくる。シンプルなのに味が複雑。何味なのかよくわからない。ツェッペリン・ミュージックはじつに変な音楽です。
 私もStairway To Heaven聞きたさに4枚めのアルバムを買ったクチでして、代表的な名曲が並ぶA面からB面に移ってからの”裏メニュー”の連発に戸惑いながらハマっていきました。Misty Mountain HopはB面のお品書きのトップが似合う、わかりやすいのにヘンテコなリフ曲です。
 
11位。Custard Pieです!
 『フィジカル・グラフィティ』のオープニングを飾る堂々のリフ曲です。もはやフレーズ中の音階も消失して塊となったリフは、ライヴ盤をはさんでの『プレゼンス』の前哨戦とも言えますね。
 Trampled Under Footと同様にジョン・ポール・ジョーンズのクラヴィネットがリフのカウンター・パートを支えています。けれども、律儀にソウル/ファンクをなぞっていたあちら以上に、ここではZEPリフの独創性を獲得しています。
 興味深いのは、その事がツェッペリンのロックからファンクネスを立ち上がらせている点です。ファンクのマネから外れた時にZEPのファンクネスが生まれた。ここですよ、ここに私は感動をおぼえるのです。ギター・リフのタイミングというか、塊と塊の間に16ビートが潜んでいる。そこにハードなグルーヴがある。  
 それにしても、このドラムの乾いた轟音はすごいですね。
 
10位。なんとここにランクインするのはRamble Onです!
 ホントに個人的な趣味。No Quarterよりもだいぶ上に来るという。
 ま、曲は大した出来ではないかもしれませんね。これが収録されたセカンド・アルバムはツアーの多忙期にあちこちのスタジオでレコーディングされたらしく、中には明らかに練りが足りない曲も含まれています。Ramble Onもその一つでしょう。
 でも、私はこの曲のリフ構成が好きです。まずアコースティック・ギターのストローク・リフがあって、ベースが高めの音でオクターブ間をよく動くリフで地味めに引っ張ります。プラントのヴォーカルが高まり、突発的なシャウトをかますと同時にエレクトリック・ギターのリフがガガガ!と伴奏をつける。
 ベースが饒舌かなという気はしますが、この三段構えのリフが聴き手に準備を与えて、シャウトとエレクトリック・ギター・リフの爆発で気分が高揚します。
 
9位。さあ、このへんから”俺のZEP”像のコアに近づいてきました。9位はFor Your Lifeです!
 いやあ、重い。ベースと一体になったヘヴィーなリフです。1曲めの大作Achilles Last Standが圧巻のエンディングを迎えて終わったあとに、このFor You Lifeのリフがズ~ンと鳴る。『プレゼンス』のアガるポイントの一つです。
 いっさいのエクスキューズを必要としない問答無用の大鉈リフですが、アクセントの置き方が一風変わっています。リフの頭の一拍が、前の小節の末尾から伸びるようにして始まって、一聴すると変拍子に聞こえるんです。このリフ外の展開部では拍の表と裏がBlack Dogふうにひっくり返るし、それも手伝ってなかなかクセのある曲に仕上がっています。
 Achilles~に続いて、ここでのペイジのギター・ソロも素晴らしいですね。私はそういう面ではペイジにあまり関心がないのだけど、『プレゼンス』でのギター・ソロはじっと聴き入ってしまいます。
 
8位。The Oceanです!
 私の年代だったら、これはビースティ・ボーイズがストリート的な魅力を教えてくれた曲でもあります。
 これも変拍子が混ざっていて、リフの最後の一拍が切れて、つんのめるようにリフ頭に繋がる。こういう場合、ドラムがそこをどう処理するのかに注意が向かいますが、ボンゾはスネアを入れてませんね。リフのカッコよさをチルアウトさせる妙な余白が付いています。で、それがまたファンキーなんです。どこかにお道化たワルさが感じられる。
 エンディングの唐突なシャッフル・パートは個人的には余計だったかなと思います。けれど、その生煮え感が『聖なる館』というアルバムの面白さでもありますね。
 
7位。Living Loving Maid (She's Just A Woman)です!
 Heartbreakerじゃなくて、こっちを選びました。Heartbreakerの堂々たるリフも最高なのだけど、私はあのギター・ソロがどうにも好きになれない。
 そのぶん、Living Loving Maid (She's Just A Woman)への思い入れが上昇して、曲自体もツェッペリンの全曲で指折りのお気に入りとなっております。
 このリフのなにが好きかって、R&B度が高いんです。ラ~ドラドレミ、ソ~ソソラド~ラがホーンライクで60年代っぽくて、ジャニス・ジョプリンにも合いそう。プラントのヴォーカルにも、Since I've Been Loving Youと並んでジャニスの節回しを思い浮かべます。
 注文をつけるなら、もうちょっと尺があってもいいんじゃないかな。聴くたびに、もっとこのリフを繰り返してくれ!と願います。
 
6位。出ました。Communication Breakdownです!
 ある種、時代がかった部分もあるのに、不思議と古くならない曲だしリフだと思います。
 そういえば、ツェッペリンはほかにこの手のパンキッシュな勢いのある曲はやってないんですよね。烈しさのアウトプットが必ずしもツェッペリン王道ではない。それもあってか、人気の高さにもかかわらず、ツェッペリンを代表する曲のポジションには届かないようです。
 でも、必殺のリフです。6弦Eの開放の重さにスピードを与えると、こういう鈍い荒々しさが生じるものなのだと知らしめたリフでもあります。それがハードロックであれパンクであれグランジであれ、そこに時代の苛立ちや焦燥がある限りは、このリフは永遠に有効でありカヴァーされ続けるでしょう。プラントのヴォーカルもスタジオ盤ではここまで喉を涸らしてシャウトした曲はないですね。
 
5位。やっと出ました。Black Dogです!
 衝撃でした。私は4枚めのアルバムを最初ミュージック・テープで持っていて、先述したようにStairway To Heavenを目当てに聴いたんです。そしたら、いきなりTaxmanみたいな不穏な空気が流れて、プラントのメタリックなシャウト、そして全楽器が一丸となったあのリフ!
 ツェッペリンの変拍子リフではKashmirと並ぶ秀逸さで、拍はリフの途中で裏返るし、オーヴァーダビングした音が和音を濁らせているし、いろいろと音楽的に変な事態が起きています。そして、その変さがロック的にはめちゃくちゃ正しいし、ハードで、なおかつキャッチー。この逆説の正解がロックだという感じがします。
 それと、ヴォーカル(の歌詞のパート)とリフを交互に置くことで、異様な緊迫感に貫かれています。まさに名曲。
 
4位。お待たせしました、Achilles Last Standです!
 これまた衝撃でした。『プレゼンス』というアルバムにどんなZEPサウンドが入っているのか、ジャケットからはなかなか読み取れません。意味ありげだし思わせぶりでもある。プログレっぽいのかなと予想してレコードに針を乗せて、このAchilles Last Standがフェイドインし、最初のリフが鳴ったあの感動と言ったら!!
 さっきCommunication Breakdownの項で書いたことを一部撤回しますが、この曲もスピード感と勢いがあります。ただ、長尺で緻密に構成されているので、どちらかと言うとプログレ風です。
 いや、ここまで来ると、そんなのはどっちでもいい。このリフの迷いのなさ、ヘヴィーな明るさに私は参ってしまったのです。
 全体の演奏も含めて、このリフの凄さはパーカシヴであることでしょう。打楽器的。ドラマティックな変化に満ちているいっぽうで、執拗に刻まれるリフが不変の逞しさと断定の強さを示しています。
 
3位。The Song Remains The Sameです!
 このイントロ。はじめて聴いたときに、リフに次ぐリフのつるべ打ちで圧倒されました。何回繰り出せば気が済むのかと。無尽蔵のZEPリフ攻撃ですね。
 やがてひと際太いギター・リフが主役のスポットライトを一身に浴びたかと思うと、テンポを落として雄渾の大河が眼前に開ける。完璧です。
 この曲が頭に置かれた『聖なる館』のアルバムから、ツェッペリンのリズムに対する意識が変わったと思います。前作でブルース・ロックを引きずった跡が一掃されて、この5枚めでそこを超えた方角へ向かおうとしている。レゲエやファンクに手を伸ばしているのもそうでしょう。それらはまだ未消化だったり、コピーにちょっとオリジナリティを盛った程度ではあります。
 しかし、The Song Remains The Sameのリフ攻勢には、後期ツェッペリンが成し得たリフの実在への手がかりが発芽しています。切れ味も格段に良くなった。
 これからツェッペリンを聴こうという人には、まずこの曲をお薦めしたいです。
 
2位。それはRoyal Orleansです!
 すみません、『プレゼンス』が心の底から好きなんです。何度も言いますが、あくまで私の好きなリフの2位ですからね。曲単位ではまた違うランキングとなるはずです。
 けれども、このRoyal Orleansは曲としてもかなり好きな部類。なぜなら、リフが凄いから・・・
 思わずのけぞってしまう攻撃性で叩きつける強烈なリフです。これも『プレゼンス』の特徴たる塊リフ。
 逃げ場がないですよね、この迫って来るリフからは。それを指してか、「閉所恐怖症的」との評もあったようです。ま、それもわかります。
 ただ、この曲って、塊リフ以外はファンクなんです。それもけっこう正調のファンク。そこだけを取り出してみると、案外と面白味に欠けるのかもしれません。
 タイトルは邦題の「ロイヤル・オルレアン」ではなく「ロイヤル・オーリンズ」。ニューオーリンズのロイヤル・ストリート(フレンチ・クォーター内)にあるホテルの名前です。歌詞にもニューオーリンズの名が出てきます。これだけの証拠からも、ツェッペリンはミーターズなどのファンクに倣ってこの曲をレコーディングしたと思われます。
 それを攪乱してハードで物騒な趣きに寄せているのが例のリフです。ツェッペリン一流の”だまし”でもありますし、『プレゼンス』で到達した塊リフにファンクと親和するグルーヴが内在していたと考えてもよさそうです。
 
さあ、いよいよ第1位。並み居る強豪を押しのけてZEPリフのトップに私が選んだのは、The Wanton Songです!
 これホント好き。ここまでの文章で、私が後期ツェッペリンのリフを偏愛しているのはバレバレでしょうが、The Wanton Songのそれは一番の好みなんです。
 旋律よりもリフ、音階よりもリズム、スベスベよりもザラザラ、と私の嗜好を突き詰めていくと、『フィジカル・グラフィティ』でCustard Pie以上にその条件に見合うThe Wanton Songのリフはドンピシャ。要するにですね、ガガガと鳴く珍種の動物が暴れているようなリフが好きなんです。
 このリフ、エアロスミスっぽくもあります。もうあと一音二音足せば、Walk This Wayか。リリース時期はほぼ同じで、どっちがマネしたとかの話ではない──のかなぁ?キッパリ言えないのがZEPファンの弱み。
 もっとも、エアロのハードロックは武骨なシンコペーションをR&Bやファンクから養分として相当に吸収していますから、『フィジカル・グラフィティ』期のツェッペリンと相反するものではありません。ただし、ツェッペリンのリフのファンクネスは裏拍に忍ばせてありますね。
 この曲は展開部でいきなりアーバンなタッチの進行を聞かせます。ちょっと、これ見よがしに。私としてはそこを抑えめにしてほしかった気持ちもないわけではないのですが、あのリフとの対比がスリリングであるのは確かです。そうした対比も、ヴァラエティに富んだ『フィジカル・グラフィティ』らしいと言えるでしょう。
 いずれにせよ、The Wanton Songが私のZEPの推しリフで、このポジションは揺るぎない岩のごとし、なのです。
 またこういう企画もやってみたいですね。次は何にしようかな。